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高校生の英単語の勉強法—中学の覚え方のままでは追いつかない量への切り替え|武蔵野個別指導塾

中学で1語を10回書いて間に合ったやり方は、範囲の広い高校の小テストでは時間が足りません。1語を見る秒数の決め方、すき間の長さごとの割り当て表、訳だけで覚えた抽象的な語の言い換えまで、切り替えの手順を順に追えます。
高校の英単語は、中学で効いていた「1語を何度も書いてその晩に仕上げる」やり方を手放し、「1語の時間を短く決めて日をずらして何度も会う」やり方へ切り替えれば、量に追いつけます。たとえば小テストの範囲が単語帳の100語なら、最初に決めるのは書く回数ではなく、1語を見る秒数です。定期テストでつづりまで書かせる語があるなら、書く練習はその語にだけ残します。訳の漢字を覚えたのに長文で意味がつながらない語には、訳のあとに自分の言葉の言い換えを1つ足します。中学のやり方が間違っていたわけではありません。範囲が狭いときにしか間に合わない方法だった、というだけです。
よくあるのは、高1の5月、最初の単語テストが返ってきて、点が中学のころの半分ほどしかなかった、という場面です。中学では前の晩に1語を10回ずつ書けば、毎週のテストはほとんど落としませんでした。高校のテストの範囲は、たとえば単語帳の100語です。同じやり方で書き始めたものの、半分を過ぎたところで日付が変わり、残りは目で追っただけで布団に入りました。返ってきた答案の×は、範囲の後ろ半分にかたまっています。覚える力が落ちたのではありません。時間の割り方が、量に合っていなかったのです。
1語10回の書き取りが、高校の範囲で間に合わなくなる理由
まず、出会う語の量が変わります。中学校の学習指導要領では、中学の3年間で新しく加わる語は1,600〜1,800語程度で、その下に小学校で触れた600〜700語程度が敷かれています。合わせると、中学を出るまでに2,200〜2,500語程度です。高校に入ると、全員が履修する「英語コミュニケーションⅠ」で400〜600語程度が足され、続くⅡとⅢでは、それぞれ700〜950語程度がさらに上に積まれます。Ⅲまで履修すれば、合計は4,000〜5,000語程度です。図1のように並べると、Ⅲまで進む人は、小学3年から中学3年までの7年で積んだ量に近い量を、高校の3年で足すことになります。ⅡとⅢをどこまで履修するかは学校の教育課程と選択によるので、手元の教科書の表紙で科目名を確かめてください。

量が増えると、1回のテストの範囲も広がります。中学の小テストが、たとえば教科書の1課分の20語なら、1語を10回書くのに1分かかっても20分で終わります。同じやり方のまま範囲が100語になると、100分です。部活から帰って夕食と入浴をすませたあとに、100分の書き取りを毎週続けるのは無理があります。しかも書き取りは範囲の頭から順に進むので、時間が尽きたところから後ろの語は、1回も練習しないままテストを迎えます。場面の答案で×が後ろ半分にかたまっていたのは、このためです。
次に、語の性質が変わります。中学までに出会う語には、desk、window、river のように、指でさせる物の名前がたくさん入っています。高校の教科書では、influence や environment、society のように、絵に描きにくい語が増えます。訳の「影響」「環境」「社会」を覚えても、その日本語の中身が自分の中でぼんやりしていると、長文の中で文と文がつながりません。書き取りの回数を増やしても、このぼんやりは消えません。手が覚えるのはつづりの形で、意味の中身ではないからです。
もう一つは、1回で仕上げる前提が崩れることです。中学では、前の晩に一度しっかり書けば、翌朝のテストまでは持ちました。高校では範囲が出た日からテストの日まで数日あき、そのあとの授業や模試でも同じ語にまた出会います。教室でテストの翌週に同じ範囲から数語を聞き直すと、一晩でまとめて書いた語ほど出てこないことがよくあります。書いた量の多さは、思い出せる語の数を約束してくれません。切り替えるべきなのは、気合いや机に向かう時間の長さではなく、1語あたりの時間の配り方です。
1語にかける時間を削って、同じ語に日をずらして会う手順
たとえば次の手順は、高1で学校の単語帳から週1回の小テストがあり、平日に英単語へ使える時間が1日30分ほどある場合の、塾での始め方の例です。部活や通学で30分が取れない日が続くなら、手順3の「日をずらして3回会う」は崩さずに、手順5のすき間の時間を多めに使って埋め合わせます。逆に時間に余裕がある人も、1語の秒数を伸ばすのではなく、手順7で拾った語に回してください。
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範囲を2本に分けて書き出します(5分)。手帳か単語帳の表紙の裏に、「単語帳の小テストの範囲」と「教科書の新しい語の範囲」を並べて書きます。高校では、この2つが別々の速さで進むことがあります。片方だけを見ていると、もう片方のテストが近づいたときに、まとめて書き取りをする中学の形に戻ってしまいます。2本を同じ場所に書いておくのは、どちらの範囲に今週何回会ったかを、一目で見るためです。
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1語を見る時間を決めます。英語を見て、日本語の意味を声か心の中で言うまで3秒待ちます。出てこなければ答えを見て、意味を1回言ってから次の語へ進みます。1回目は知らない語が多いので、たとえば1語15秒を上限にします。15秒なら、100語の1周は25分です。この段では書きません。テストで問われるのは「英語を見て意味を出す」ことなので、練習もその形でやります。答えを見る前に3秒待つのは、思い出そうとした手ごたえがないまま答えを読むと、読んだだけで覚えた気になってしまうからです。
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同じ範囲に、日をずらして3回会います。1回目は範囲が出た日、2回目は翌日、3回目はテストの前の日です。3回とも範囲の全部を回しますが、言える語は3秒で次へ進むので、2回目からは1周が短くなるのがふつうです。図2のように、上限の15秒で数えても3回で75分となり、1語に1分かけて書き取りを1回だけする方法の100分より短いうえに、1語に3回会えます。日をずらすのは、同じ日に3回続けて回すと、3回目は直前に見た答えを覚えているだけになり、言えたかどうかの確かめにならないからです。

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書く語を絞ります。書き取りをするのは、定期テストでつづりまで書かせると先生が言った語と、英作文で自分が使う語だけにします。書く前に、まず手順2の形で意味が言えるかを確かめ、言えた語だけを書きます。意味の出ない語をいくら書いても、つづりの練習にしかならないからです。
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すき間の時間に、長さごとの仕事を決めておきます。たとえば次の表のように割り当てます。5分で20語を1周するのは、手順2の上限の15秒で数えた量です。
| すき間の長さ | 場所の例 | やること |
|---|---|---|
| 2分 | 授業が始まる前、信号や乗り換えの待ち | 前の回で言えなかった語だけを見る |
| 5分 | 朝の電車、昼休みの終わり | 20語のかたまりを1周する |
| 10分 | 帰りの電車、夕食の前 | 新しい範囲の1回目の続きを進める |
| 15分以上 | 家の机 | 書く語の練習と、言い換えを足す作業 |
先に決めておくのは、すき間が来てから何をするか迷うと、開いた頁の最初の語ばかりを見ることになるからです。場面の答案で後ろ半分に×が集まったのと同じことが、すき間の時間でも起きます。単語帳には20語ごとに鉛筆で小さく区切りの線を引いておくと、5分のすき間でどこから始めるかに迷いません。
- 定期テストの2週間前は、2本の範囲の重さを入れ替えます。共通テストの英語は、英語コミュニケーションのⅠとⅡ、それに論理・表現Ⅰから出題されるので、教科書の語は受験と別物ではありません。定期テストの前に教科書の語を厚くするのは、受験から目をそらすことにはならないのです。たとえば1日30分なら、次のように配ります。
| 時期 | 単語帳の範囲(小テストと受験) | 教科書の新しい語(定期テスト) |
|---|---|---|
| ふだんの週 | 1日25分 | 英語の授業があった日に5分 |
| 定期テストの2週間前から | 1日5分、言えなかった語だけ | 1日25分 |
| テストの翌週 | 1日25分に戻し、止めていた所から | 英語の授業があった日に5分 |
テストの前でも単語帳を0分にしないのは、0分の日が2週間続くと、テストが終わったときに前の範囲が抜けていて、再開する場所さえわからなくなるからです。1日5分でも残しておけば、テストの翌週は止めていた所からそのまま続けられます。
- 週の終わりに、言えなかった語を数えて次の週を直します(5分)。3回目でも言えなかった語にチェックをつけて数え、手帳の範囲の横に数を書きます。チェックのついた語は、次の週の2分のすき間に回します。チェックの数が週ごとに増えていくなら、1語の秒数を伸ばす前に、次の節の3つ目のつまずき(訳だけで覚えている)に当たっていないかを疑ってください。
切り替えの途中で起きる4つのつまずき
1つ目は、速く回すうちに、3秒待たずに答えを見てしまうことです。1周を早く終わらせたい気持ちが、待つ3秒を削ります。こう変えます。答えの側を紙やしおりで隠し、意味を口に出してから紙をずらします。声が出せない電車の中では、唇だけ動かせば十分です。3秒待って出なかった語は失敗ではなく、2回目に回す語が1つ見つかったということです。
2つ目は、不安になって書き取りに戻ってしまうことです。書かずに回すと、勉強した手ごたえが薄く感じられます。テストの前の晩に、結局100語を頭から書き始めてしまう、というのがよくある形です。こう変えます。手ごたえを、書いた頁の数ではなく、言えた語の数で持つようにします。3回目の周で言えた語を数えて手帳に書けば、前の週との違いが数字で見えます。「書くのは手順4の語だけ」と表紙の裏に書いておくのも効きます。
3つ目は、抽象的な語を、訳の漢字だけで覚えてしまうことです。influence を「影響」で覚えて小テストは満点だったのに、長文の中では何が何に影響したのかが読み取れない、ということが起きます。こう変えます。図3のように、訳のあとに2つ足します。1つ目は、訳の日本語を、小学生にもわかる言葉に言い換えることです。influence(名詞では「影響」、動詞では「影響を与える」)なら、「あるものが、別のものの考えや動きを変えること」と言い換えます。2つ目は、自分の身の回りの場面を1つ添えることです。「先輩の一言で部活を決めた」は、先輩の話が自分の部活選びに影響を与えた場面です。opportunity(名詞・機会)なら、言い換えは「何かをするのに、ちょうどよい時やきっかけ」、場面は「留学の説明会の申し込みが始まった」のように作れます。この作業は1語に1分ほどかかるので、すき間ではなく家の机で、3回目でも言えなかった抽象的な語から順にやります。

4つ目は、言える語にも上限の15秒を使い切ってしまうことです。ていねいにやろうとする人ほど、知っている語の例文まで毎回読み、2回目も3回目も1周に25分かかります。そうなると、3回目を回す時間が取れずに飛ばす週が出てきます。こう変えます。15秒は上限であって目安ではありません。3秒で意味が言えた語は、そこで次へ進みます。浮いた時間は、言えなかった語にもう一度戻る分に回します。
確かめの問題
問1 たとえば、単語帳の80語が小テストの範囲です。Aさんは1語に45秒かけて書き取り、範囲を1回だけ回します。Bさんは1語9秒を上限にして、日をずらして範囲を4回回します。Bさんは上限いっぱいの秒数で数えるとして、2人がかかる時間と、1語に会う回数をそれぞれ答えてください。
問2 たとえば、昼休みの残りが3分です。前の回で言えなかった語が8語、今日から始まる新しい範囲が40語あります。この3分で何をするとよいか、理由と一緒に答えてください。
問3 responsibility(名詞)を「責任」という訳だけで覚えている人がいます。訳のあとに足す言い換えと場面を、1つずつ作ってください。
答えと考え方
問1 Aさんは80語×45秒で3,600秒、つまり60分かかり、1語に会うのは1回です。Bさんは80語×9秒×4回で2,880秒、つまり48分かかり、1語に4回会います。Bさんのほうが12分短く、会う回数は4倍です。1語にかける秒数を削った分を会う回数に回すと、全体の時間はかえって短くなることがあります。
問2 前の回で言えなかった8語を見ます。3分は180秒なので、8語なら1語に22秒ほど使え、意味を言ってから答えを確かめるまでを2回くり返せます。新しい40語の1回目は、1語15秒で数えると600秒、つまり10分かかるので、3分では途中で切れ、どこまで進んだかもあいまいになります。新しい範囲は、10分以上取れる帰りの電車か家の机に回します。
問3 答えの例です。言い換えは「自分が引き受けて、最後までやりとげなければならないこと」です。場面は「班長として、班の提出物を集めて先生に渡す」のように、自分が実際に引き受けたことを使います。訳の「責任」だけでは、長文で誰が何を引き受けたのかを追えないので、言い換えで中身を、場面で使いどころを足します。
保護者が家でできること
高1の5月に点が下がると、お子さまは「中学のときはできたのに」と自分を責めがちです。そこへ同じ言葉を重ねると、書き取りの時間をもっと増やす方向へ走ってしまいます。言い換えるなら「高校は範囲が広いから、やり方を変える時期なんだね」です。点の低さを、力の不足ではなく、やり方と量の食い違いとして話してください。
確かめ方は、単語帳の今週の範囲を開いてもらい、お子さまが選んだのではない語をたとえば3語だけ、英語から日本語で聞くことです。英語の読み方に自信がなくても、語を指さして「これの意味は」と聞けば足ります。言えたら、そこで終わりにします。言えなかった語を責めずに「それは明日もう一回だね」と次の回へ回す言い方をすると、手順3の2回目にそのままつながります。
言わないほうがよい言葉は、「何回書いたの」「ノートが真っ白じゃない」です。書いた量を尋ねると、お子さまは量で安心しようとして、中学の形に戻ります。代わりに「今日は何語言えた」と、言えた数を聞いてください。テストの前の晩に、夜遅くまで書き取りを続けている姿を見かけたら、それが切り替えの合図です。
個別指導で確かめること
高校の小テストで×がついた語の中に、中学の教科書で出た語が混ざっていないかを、最初に確かめます。混ざっていれば、高校の範囲を急ぐ前に、中学までの2,200〜2,500語程度のうち意味の出ない語を拾い直すところまで戻ります。あわせて、横で単語帳の1列分を回してもらい、1語に何秒かけているか、答えを見る前に3秒待てているかを見ます。秒数は本人が思っているより長いことが多いので、時計で測った値を手帳に書き残します。
まとめ
5月の答案で後ろ半分に固まった×は、覚える力が足りない印ではなく、1語に1分という掛け算が100語で100分にふくらみ、夜のうちに終わらなかった跡です。次の答案でまず数えるのは、×が範囲の前と後ろのどちらに多いかです。1語を見る秒数を決めて日をずらせば、範囲の最後の語にも、最初の語と同じ3回が回ってきます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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