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英単語のつづりが覚えられない中学生へ—音の区切りで書く練習の手順|武蔵野個別指導塾

毎回落とす beautiful を beau、ti、ful の三つの箱に切り、見る・隠す・書く・比べるの1回で違った箱だけを3回書き直す、中学生のつづりの練習の流れと家での確かめ方を順に書いています。
読めるのに書けない英単語は、語をひと続きの文字の列として覚えるのをやめ、声に出したときの音の切れ目で2〜4つの箱に分けてから書くと、どこで落としているかが見えてきます。毎回同じ語を落とすなら、落としているのは語の全体ではなく、たいていその中の同じ1か所です。練習は「見る→隠す→書く→比べる」を1回の単位にして、比べて違った文字の箱だけを書き直します。発音しない文字は、区切ったあとで丸をつけ、書く練習のときだけわざと読みます。読み方そのものがあやしい語なら、区切る前に辞書の音声で音を確かめるところから始めます。
よくあるのは、中2の朝の単語の小テストで、ほかの語は書けているのに beautiful だけが毎週バツになるという場面です。答案を3週分並べると、beatiful、beutiful、また beatiful。間違える文字は週ごとに少しずつ違うのに、間違える場所はいつも語の頭の近くに固まっています。本人は「家で10回書いたのに」と言い、ノートには正しい beautiful が縦に10個並んでいます。見本の横でなら10回写せた語が、朝の教室で何も見ずに書くと、同じあたりで手が止まるのです。
読めるのに書けないのは、読むときに真ん中の文字を見ていないから
読むときと書くときでは、使える手がかりの量がまるで違います。読むときは、紙の上に文字が全部そろっています。頭の b と、語の長さと、終わりの ful が目に入れば、前後の文の流れも手伝って「beautiful だ」と当たりがつきます。真ん中の e、a、u を1文字ずつ確かめなくても、読むことはできてしまいます。書くときは反対で、白い紙の上に何も無いところから、9文字を正しい順番で1文字ずつ出さなければなりません。図1のように、読むときは形の全体で当て、書くときは1文字ずつ順に出します。読むときに素通りしていた文字が、書くときにそのまま抜け落ちます。図1の右側で赤くした2つの文字が、beautiful で抜けやすい a と u です。

二つ目の理由は、英語のつづりが音から1文字ずつ決まらないことです。ローマ字なら、音を聞けば書く文字はほぼ一通りに決まります。英語ではそうなりません。beautiful の最初の箱 beau は、声に出すと短いひとつの音なのに、文字は4つ並んでいます。耳で聞いた音を手がかりにしても、e と a と u をどの順で並べるかは音からは出てきません。different の fer の e は、ふつうの速さで読むとほとんど聞こえません。important の終わりの tant は弱く読むので、a なのか e なのかを音だけでは決められません。こういう所は、音ではなく文字のかたまりとして覚えるしかありません。
三つ目は、長い語をひと続きの列のまま覚えようとすることです。beautiful を9文字の列で覚えると、どこか1文字でも順番が狂えば全部がバツになります。ところが声に出してみると、この語は beau、ti、ful の三つの音でできています。三つの箱に切れば、覚えることは「三つの箱を順に並べること」と「箱の中の2〜4文字」の二つに分かれます。間違いが出たときも、どの箱で出たのかがすぐにわかります。
教室で小テストの答案を何週か分並べると、毎回同じ語を落とす生徒は、毎回ちがう間違い方をしているように見えて、実は同じ箱の中で間違えていることが多いのです。beautiful なら beau の中、different なら fer のところ、important なら最後の tant です。落としている場所が1か所なら、直す場所も1か所です。語ごと何十回も書き直す前に、どの箱が壊れているのかを見つける。そこまで来れば、あとは決まった手順で直せます。
落とした語を音で切り、違った箱だけを書き直す手順
ここに書く分と語の数は、中2で週に1回、朝に単語の小テストがあり、家で1日15分ほど取れる場合の始め方の例です。時間が取れない日は、1語にかける時間を削るより先に、語の数を減らします。たとえば1日に5分しか取れない日なら、手順4と5を2語だけにします。
- 落とした語を、間違えた形のまま写す(小テストが返った日・全部で5分)。返ってきた小テストから、バツの語をノートの左の欄に正しいつづりで、右の欄に自分が書いた形をそのまま写します。beautiful の右に beatiful、という具合です。間違えた形を消してしまうと、どの箱で間違えたのかが後でわからなくなります。たとえば1回の小テストで8語を落としても、この練習に回すのは5語までにして、残りは次の週に回します。
- 声に出して読み、音の切れ目に線を引く(1語1分)。落とした語を声に出して読み、音の切れ目に縦の線を入れます(下の表では / で書いています)。beau / ti / ful、dif / fer / ent、im / por / tant のようにです。どこで切るか迷ったら、英和辞典の見出しの語を見てください。多くの英和辞典は、見出しの語に小さな点を打って切れ目を示しています。中学の教科書の語なら、箱は2〜4つに収まることが多く、5つ以上になる長い語は、前半と後半に分けて別の日に練習してかまいません。
- 音どおりでない所に四角、発音しない文字に丸をつける(1語30秒)。区切った箱の中で、音と文字が素直に対応していない所を四角で囲みます。beautiful なら beau の eau、different なら fer の e、important なら tant の a です。形容詞の終わりの ful は、full と違って l が1つしかないので、ここにも四角をつけておきます。発音しない文字には丸をつけます。know の k、listen の t、answer の w、write の w がその例です。印がつくのは、1語にたいてい1〜2か所です。そこが、その語で落としやすい場所の候補になります。
- 見る→隠す→書く→比べるを1回やる(1語1分)。図2のように、1回の練習は4つの動きでできています。まず10秒、線と印のついた語を見ます。箱ごとに小さな声で読みながら、印のある文字を指でなぞります。次に、紙をかぶせて語を完全に隠します。隠したら見ずに、箱の順に書きます。書き終えたら紙をどけて、見本と1文字ずつ比べ、違った文字に赤で丸をつけます。比べるときは、語の頭から指で1文字ずつ追ってください。目だけで全体を眺めると、読むときと同じで真ん中を見落とします。全部合っていれば手順5は飛ばし、次の語へ進みます。
- 赤丸のついた箱だけを、隠して3回書く(1語1分)。赤丸がついたら、語の全体ではなく、赤丸のある箱だけを書き直します。beautiful で a が抜けたなら、beau だけを見て、隠して、3回書きます。そのあとで語の全体を1回、隠して書き、もう一度比べます。合っていれば次の語へ進みます。まだ違ったら手順4に戻りますが、同じ語で戻るのは3回までにします。3回戻っても合わない語は、その日の練習から外して翌日の最初に回します。合わないまま書き続けると、間違えた形を何度も手で書くことになるからです。
- 翌日、3日後、小テストの朝に、隠して1回だけ書く(1語20秒)。練習した日の翌日と、3日後と、次の小テストの朝に、見ずに1回だけ書いて比べます。合っていれば、ノートの右の欄の間違えた形の横に小さな丸を足し、違っていれば手順4からやり直します。丸が3つそろった語は、次の週の練習から外します。

手順2と3でつける線と印を、本文に出した語でまとめると次のようになります。
| 語(意味) | 音の箱 | 四角で囲む所 | 丸をつける文字 |
|---|---|---|---|
| beautiful(美しい) | beau / ti / ful | beau の eau、ful の l は1つ | なし |
| different(違った) | dif / fer / ent | f は2つ続く、fer の e | なし |
| important(大切な) | im / por / tant | tant の a | なし |
| listen(聞く) | lis / ten | なし | t |
| answer(答え・答える) | an / swer | なし | w |
小テストが金曜の朝にある週なら、たとえば次のように割り振ります。5語を練習に回したときの時間の例です。
| 曜日 | やること | 時間の例 |
|---|---|---|
| 金(小テストが返った日の夜) | 手順1〜3。間違えた形を写し、線と印をつける | 13分ほど |
| 土 | 手順4〜5を5語すべてで | 10分ほど |
| 日 | 手順6(翌日の確かめ)。違った語だけ手順4〜5 | 2〜6分 |
| 月 | 新しい範囲の語に時間を使う | 0分 |
| 火 | 手順6(3日後の確かめ) | 2分ほど |
| 水・木 | 新しい範囲の語。丸が足りない語だけ手順4 | 1〜3分 |
| 金(朝) | 手順6(小テストの朝の確かめ) | 2分ほど |
この割り振りが合わないと感じたら、語の数で直します。土曜の10分で5語が終わらないなら、次の週から3語に減らします。反対に、日曜の確かめで5語とも合う週が続くなら、練習に回す語を6語に増やしてかまいません。なお、同じ語の中で文字を落とすのではなく似たつづりの別の語と取り違えているなら、区切るだけでは直りません。2つの語を並べて見分ける練習が別に要ります。
「10回書いたのに」を生む4つのくせと、その直し方
見本を見ながら写してしまう
「10回書いた」というノートを見せてもらうと、10回とも見本を横に置いて写していることがよくあります。写しているあいだ、頭は思い出す仕事をしていません。目に入った文字を手に移しているだけです。朝の小テストで求められるのは、何も見ずに思い出して書くことなので、練習もそれと同じ形にします。こう変えます。書く前に必ず隠す。見本の上に紙を1枚置いておき、書くときだけかぶせれば、隠す手間は数秒で済みます。
間違えた語を、語ごと最初から書き直してしまう
図3の上の段のように、diffrent と書いてバツになったとき、different を最初から10回書き直すと、合っている dif と ent も10回ずつ書くことになります。直したいのは fer の e の1文字だけです。こう変えます。図3の下の段のように、比べて赤丸がついた fer の箱だけを隠して3回書き、そのあとで語の全体を1回だけ書きます。語ごとの書き直しは、最後の1回で足ります。

発音しない文字を、声に出す練習で素通りしてしまう
listen の t や answer の w は、ふつうに読むと音がしません。声に出して練習するほど、その文字は手から抜けやすくなります。こう変えます。書く練習のときだけ、発音しない文字もわざと立てて読む「書くための読み」を使います。listen なら t をはっきり言い、answer なら w をはっきり言いながら書きます。会話や聞き取りの練習では、ふつうの読み方に戻します。二つの読み方が混ざらないように、書くための読みはノートに書いている間だけ、と決めておきます。
1文字ずつアルファベットの名前で唱えてしまう
b、e、a、u、t、i、f、u、l と9つの文字の名前を唱えて覚えようとすると、9個の名前を順番どおり並べる仕事になって、ひと続きの列で覚えるのと変わりません。こう変えます。切るのは音の切れ目だけにして、箱の数を2〜4つに保ちます。文字の名前で唱えてよいのは、四角で囲んだ所のある箱の中だけです。beau なら b、e、a、u と唱えて覚え、残りの ti と ful は音のまま書きます。
確かめの問題
本文で使っていない語で、手順を試してみてください。
問1 次の2つの語を、声に出したときの音の切れ目で区切ってください。それぞれいくつの箱になりますか。また、information の中で、4文字が集まって一つの音になっている箱はどれですか。 window(窓)、information(情報)
問2 次の2つの語で、書くのに発音しない文字はどれですか。丸をつける文字を答えてください。 climb(登る)、daughter(娘)
問3 小テストで、breakfast(朝食)を2週続けて brekfast と書いた中学生がいます。手順のどこで、どの箱を、どう練習すればよいでしょうか。
答えと考え方
問1 window は win / dow の2つ、information は in / for / ma / tion の4つの箱です。4文字で一つの音になっているのは tion です。音どおりに書けない所なので、四角で囲みます。箱が4つある語でも、練習ではまず四角のついた箱を見ます。切れ目に迷ったら、英和辞典の見出しの点を確かめます。
問2 climb は最後の b、daughter は au のあとの g と h の2文字です。どちらも丸をつけ、書く練習のときだけ climb の b、daughter の g と h を立てて読みながら書きます。daughter は丸が2文字続くので、gh を一つの組として覚えます。
問3 落としているのは、break / fast の前の箱の中の a です。手順4で比べたとき、brek の e と k の間に a が無いことに赤丸をつけ、手順5で前の箱 break だけを隠して3回書き、最後に breakfast の全体を1回書きます。前の箱は、動詞の break(壊す)とまったく同じつづりですが、breakfast の中では読み方が変わり、音のとおりに書くと e だけになってしまいます。だからこの箱は音ではなく、「動詞の break と同じ5文字」と文字のかたまりで覚えます。
保護者が家でできること
家で確かめるとき、英語の読み方に自信がなくてもかまいません。お子さまがその週に練習した語を、保護者が日本語の意味で言い、お子さまが紙に書きます。答え合わせは、ノートの見本の横に書いた紙を並べ、語の頭から1文字ずつ指で追って比べます。文字の形を比べるだけなので、英語が得意でなくてもできます。問うのはその週に落とした語だけ、多くても5語にします。1回2分ほどで足り、小テストの朝なら、家を出る前の玄関で1語だけ問うのでも確かめになります。
声のかけ方は、「何回書いたの」より「どの文字で止まったの」が効きます。回数を聞かれると、お子さまは書く回数を増やす方向に動きます。止まった文字を聞かれると、壊れている箱を探す方向に動きます。
言わないほうがよい言葉と、その言い換えです。
- 「こんな簡単な語も書けないの」→「この語は、どの箱で止まるのかな」
- 「10回書きなさい」→「赤丸がついた所だけ、3回でいいよ」
- 「また間違えたね」→「前と同じ所かな、違う所かな」
- 「間違えたのは消して、きれいに書き直して」→「間違えた形は消さずに、横に残しておこう」
最後の一つは見落とされがちです。ノートの右の欄に残した間違えた形は、次の練習でどの箱を見ればよいかを教えてくれる、いちばん確かな手がかりです。きれいなノートより、間違いの跡が並んだノートのほうが、つづりの練習には役に立ちます。
個別指導で確かめること
個別指導の時間には、まず落とした語の答案を何週か分並べ、間違いがいつも同じ箱に出ているかを見ます。同じ箱なら、線を引いた場所が音の切れ目とずれていないかを声に出してもらって確かめ、印のつけ方から手順を組み直します。週ごとに違う箱で落としているなら、その語をそもそも正しく読めているかまで戻り、辞書の音声で音を確かめるところからやり直します。家で練習に回す5語も、この並べた答案の中から、同じ箱で2回以上落としている語を先に選びます。
まとめ
毎回落とす1語は、覚えの悪い語ではありません。同じ箱の同じ文字で、毎週同じようにつまずいている語です。間違えた形を消さずに並べ、音で切った箱のどれが壊れているかを見つければ、練習は語ごとの10回から、箱ごとの3回に縮みます。beautiful が書けなかったのではなく、beau の中の a と u が書けていなかった。そう言い当てられた語に残っているのは、もう9文字の難問ではなく、4文字の箱ひとつです。
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