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スマホで勉強しても頭に入らない—画面で読む勉強と紙に書く勉強の分け方|武蔵野個別指導塾

電車で30分クイズに正解しても、夜の小テストで書けないことがあります。画面では選ぶだけで、手で書いていないからです。スマホは音と確認に、長い文と計算と書く練習は紙に回し、寝る前は紙で3語に絞ります。
スマホで勉強しても頭に入らないのは、覚える力が足りないからではありません。画面の上でしている作業が、テストで求められる作業と違うからです。画面のクイズで練習しているのは「並んだ答えから選ぶ」ことで、テストの紙が求めるのは「何もない所に自分で書く」ことです。スマホは音を聞くことと、覚えたかの確認に回します。長い文を読む、計算する、書く練習をする、の3つは紙に戻します。寝る前は画面を閉じ、紙の上で3語だけ思い出して終わります。
よくあるのは、高校1年の生徒が朝の電車で単語のクイズを30分続けたのに、その日の夜の小テストで半分しか書けなかったという場面です。電車の中では、4つの選択肢のどれが正しいかはすぐにわかりました。正解の音が鳴り、画面の点数も上がっていきました。ところが夜、日本語だけが印刷された紙を前にすると、最初の2文字から先が出てきません。本人は「あんなにやったのに」と言います。やったのは本当です。ただ、電車でやったことと、紙の上で求められたことが、別の作業だったのです。
なぜそうなるのか
スマホの勉強が残らない理由は、気合いや根気の話ではなく、画面という道具の性質にあります。塾で中高生の家庭学習の話を聞いていると、理由はおおむね次の4つに分かれます。
選ぶ練習と、書く練習は別の練習
画面のクイズの多くは、問題の下に答えの候補が並ぶ形です。候補を見れば、「これは見たことがある」という感覚を頼りに正しいものを選べます。けれども小テストの紙には候補がありません。頭の中から語を引き出し、つづりを1字ずつ並べ、手で書く。この「引き出して書く」部分を、電車の30分では一度も練習していないのです。図1のように、画面のクイズと紙の小テストのあいだには、思い出して書く練習という一段が抜けています。クイズの正解の数が多くても、それは「見てわかる語」の数であって、「書ける語」の数ではありません。

指で送る速さが、止まって考える間を消す
画面は、指を少し動かすだけで次の問題に進みます。間違えた語でも、正しい答えが一瞬表示されて、すぐに次の問題が出てきます。紙の単語帳なら、間違えた語の横に印をつけ、つづりをもう一度目で追うくらいの間が自然にできますが、画面ではその間が生まれにくいのです。30分で解いた問題の数は多くても、1語あたりに頭を使った時間はとても短いことがあります。しかも、どの語を間違えたかが手元に残りません。夜になって「どれが苦手だった」と聞かれても、答えられないのはそのためです。
画面が切り替わるたびに、勉強が細切れになる
電車の中のスマホには、勉強以外の知らせが次々に届きます。友だちからの連絡、動画の新着、ニュースの見出し。1つ開いて戻るたびに、さっきまで頭の中で並べていた語の流れは切れています。乗り換えの駅で画面を閉じ、次の電車でまた開けば、そこでも区切れます。30分続けたつもりでも、中身は数分ずつの切れ端の集まりになっていることがあります。切れ端のあいだに入ったのが別の画面の文字なら、頭に残るのはそちらのほうです。
長い文と計算は、画面の大きさに合わない
スマホで現代文の文章や英語の長文を読むと、指で送るたびに前の行が画面の外へ消えます。段落と段落のつながりを確かめたくて戻ると、どこまで読んだかを探し直すことになります。数学も同じです。問題を画面で見て、計算はノートでする。目が画面と紙を何度も往復し、そのたびに式の途中が抜けます。紙の問題集なら、問題と余白が同じページの上にあり、書き込みながら全体を見渡せます。長い文と計算は、画面の上だと中身より操作に気を取られやすいのです。
今夜からの手順
手順といっても、スマホの勉強をやめる話ではありません。画面に向く仕事と紙に向く仕事を分けて、1日の流れの中へ順番に並べ直します。
1. スマホでしている勉強を、1日分だけ書き出す
今夜、紙を1枚用意して、今日スマホでした勉強を時刻と一緒に書き出します。「朝の電車で単語のクイズ30分」「昼休みに教科書の写真を見る」「夜に数学の解説の動画を見る」のような書き方で足ります。書き出したら1行ずつ、「音を聞く・覚えたかを確認する」ものと、「長い文を読む・計算する・書いて練習する」ものに分けます。図2の左側に入るものはスマホのまま続け、右側に入るものは紙に移します。5分あれば終わる作業ですが、これを飛ばすと、自分の1日のどこを変えればいいのかが見えません。

2. 新しく覚える語は、夜の机で紙に書いて覚える
初めて見る語を電車のクイズで覚えようとすると、選択肢の見た目で答えるくせがつきます。新しい語は、夜の机で、日本語を見て英語を書く形で覚えます。目安は、その日の新しい語が10〜20語なら15〜20分ほどです。1語につき、声に出して読みながら2〜3回書き、書いたらすぐに手で隠して、もう一度何も見ずに書きます。隠して書けた語に小さな丸をつけたら、その日の仕事は終わりです。スマホのクイズは、こうして一度紙で書いた語を、翌朝の電車で確かめるために使います。覚えるのが先、確かめるのが後。順番を入れ替えるだけで、電車の30分の意味が変わります。
3. 電車のクイズは、選ぶ前に答えを言う
確かめにスマホを使うときも、ひと手間で「選ぶ練習」を「思い出す練習」に近づけられます。問題の語が出たら、選択肢を見る前に親指で画面の下半分を隠し、答えを頭の中で言ってみます。英語なら、つづりを1字ずつ頭の中でなぞります。言えてから指をどけて、自分の答えと同じものを押します。言えなかった語は、たとえ選んで正解しても間違いと数えます。1問あたりの時間は少し長くなり、30分で解ける問題の数は減ります。それで構いません。減った分だけ、1語に頭を使う時間が増えています。
4. 間違えた語は、降りる前に紙へ移す
画面の上で間違えた語は、そのままにすると画面の中に消えます。降りる駅の2つ手前でクイズを終え、その日に言えなかった語を、ポケットに入る小さなメモ帳に書き出します。揺れる車内で字を書くのが難しければ、クイズを閉じる前に間違えた語の一覧の画面を写真で残し、駅のベンチや教室の席で書き写しても構いません。この紙が、夜の机でやることの名簿になります。図2の下の矢印は、この動きを表しています。画面の上の点数ではなく、紙に残った語の数が、その日の電車の本当の成果です。
5. 夜の机で、白い紙のテストをする
夜は、メモ帳に移した語と、前の日に覚えた語を合わせて、白い紙でテストをします。日本語を左に書き、右の空欄に英語を書く形です。10語なら5分ほどで終わります。答え合わせは赤で、つづりの1字違いも×にします。×の語はメモ帳に残し、○の語には線を引いて消します。古文単語なら古語を見て意味を書く、社会の用語なら説明を見て語を書く、というふうに教科に合わせて向きを変えます。答え方の形を学校の小テストや定期テストにそろえておくと、毎晩の5分がそのまま本番の練習になります。
6. 寝る前の10分は、画面を閉じて紙で3語
寝る前にスマホで勉強すると、クイズの1回が短いぶん、次の1回、もう1回と続けやすく、終わった画面から別の画面へもすぐ移れます。最後に目に入ったのが勉強ではない画面になる夜が続くと、寝る前の勉強は形だけになります。寝る前の10分は、スマホを充電器ごと机の上に置いてから布団の横に座り、その日のメモ帳から×の語を3語だけ選んで、何も見ずに紙に書きます。書けたら終わり、書けなければ答えを見てもう一度書いて終わりです。朝になっても眠気が抜けない日が何日も続くなら、やり方を直すより先に、そのことを家の人に伝えてください。学校の保健室や医療機関に相談する道もあります。
学年と時期で変わるところ
中1と中2は、スマホを持ち始めて間もない生徒もいる時期です。漢字の書き取りや英語のつづりのように、手で書いて覚える量が多い学年なので、スマホは確かめの道具として小さく使い、覚える作業は紙に置いたほうが崩れません。学校へのスマホの持ち込みや、学校で使う端末の扱いは学校ごとに違います。学校の決まりを確かめてから、家での使い方を決めてください。中3になると、3年分の内容を見直す時期が来ます。量が増えるほど、画面のクイズで「全部見た」という気持ちになりやすくなります。見た語と書ける語を分けて数えるくせは、この学年でこそ効きます。
高校生になると通学の時間が長くなる生徒もいて、電車の時間はまとまった確かめの時間になります。その一方で、英単語に加えて古文単語や理科・社会の用語まで、覚える量は中学より大きく増えます。電車でスマホの確認、夜の机で紙に書く、という分担を高1のうちに決めておけば、学年が上がっても組み直さずに済みます。
時期でいえば、ふだんの週は図3の流れのまま回します。朝の電車はスマホで確認、夜の机は紙に書く、寝る前は紙で3語、次の朝にまた確認。次の朝に×がついた語は、その日の夜の机に回ります。

テスト前の2週間は、紙の時間を増やします。範囲の語や用語を一度ずつ紙で書いて確かめ、書けなかったものだけをスマホの確認に回します。テストの前日と当日の朝の電車では新しい語に手を出さず、×のついた語の見直しにとどめます。長い休みには通学がなくなり、電車の30分という区切りも消えます。家でスマホを手に持ったまま勉強すると、確かめの時間がいつまでも終わりません。休みの間は、確かめの時刻を「昼食の前の15分」のように決めて区切り、それ以外の時間は紙の勉強に使います。
よくある失敗と直し方
クイズの正解が続いたので、覚えたことにする
同じクイズを何度も解くと、正解が続く日が来ます。けれども、問題の順番や選択肢の並びが毎回似ていると、語そのものではなく、「この問題の次はあれ」「答えはいつも上のほう」といった手がかりで当てていることがあります。正解が続くこと自体は、覚えた証拠になりません。直し方は、正解が3回続いた語を、紙で日本語から書く確かめに回すことです。紙で書けた語だけを「覚えた」の側に移し、書けなかった語はクイズに戻します。
板書や教科書を写真に撮って、あとで見るつもりで終わる
写真に撮った時点で、勉強した気持ちになります。けれども写真はたまる一方で、見返すときも指で拡大して一部ずつ見るので、ページ全体のつながりが目に入りません。撮ることと覚えることのあいだに、何の作業も挟まっていないのが原因です。直し方は、撮った日のうちに、写真の中身を紙に3行だけ書き出すことです。何の話か、大事な語、自分がまだわからない所。写真は「どこに書いてあったか」をあとで探すための控えにします。
電車の30分で、その日の勉強を済ませた気になる
冒頭の高校1年の場面が、まさにこれです。30分という時間は長く、画面の点数も上がるので、夜の机に向かう理由が薄れます。けれども、電車の30分でできるのは確かめまでで、書く練習はまだ残っています。直し方は、電車の時間を「夜にやる語の名簿を作る時間」と考え直すことです。図3の流れのとおり、朝の電車で見つけた×の語が、夜の机の仕事を決めます。電車でたくさん間違えた日は、夜にやることがはっきりした日です。
よくある質問
スマホで勉強したことを、次の日にはもう忘れています。覚える力が弱いのでしょうか
前の日に覚えた語を次の日に忘れていること自体は、珍しくありません。見てほしいのは量です。紙で書いて覚えた語でも同じように抜けているなら、1日に覚えようとしている語の数が多すぎるのかもしれません。新しい語をいったん半分に減らし、その分を前の日の語の確かめに回してください。2〜3日続けて、翌日に残った語の数をメモ帳に書いて見比べると、自分に合う1日の量が見えてきます。
寝る前にスマホで勉強するのは、やめたほうがいいですか
画面を見続ける勉強は、寝る前から外すことをすすめます。ただ、英語の本文の音声を聞くだけなら、画面を伏せて音だけを流し、止める時刻を先に決めておく使い方もあります。中学生の場合は、家でスマホを使ってよい時刻の決まりがあるなら、そちらが先です。勉強のためでも決まりの時刻を越える理由にはしないほうが、家の中でもめずに長く続けられます。
スマホで動画の解説を見て勉強したのに、すぐ忘れてしまいます
動画は、解き方を見せてもらう道具です。見ている間、手を動かしているのは画面の中の人で、自分ではありません。使うなら、問題を先に紙で解いてみて、止まった所まで来てから動画のその部分だけを見ます。見終わったら動画を止め、同じ問題を何も見ずに紙で最後まで解き直します。見る場面は、止まった所を調べるときに絞ってください。最初から最後まで通して見るだけの日が続いたら、使い方を見直す合図です。
保護者が手を貸すなら
電車で勉強しているお子さまに「スマホばかり見て」と声をかけると、勉強していた時間まで否定された気持ちになります。手を貸すなら、夜の紙のテストの出題役がちょうどいい距離です。お子さまのメモ帳を受け取り、日本語を1語ずつ読み上げて、書けたかどうかの答え合わせは本人に任せます。5分で終わる関わり方ですが、紙に書く時間が1日の中に確かにあることを、お子さま自身が確かめられます。スマホの画面の中身をのぞいたり、クイズの点数を聞いたりするのは控えます。聞くなら「今日、紙に書けた語はいくつだった」くらいで足ります。
個別指導で確かめること
授業では、電車のクイズで正解していた語を白い紙に書いてもらい、つづりのどこが崩れるかを見ます。崩れ方が語の終わりだけなのか、途中の母音の書き分けなのかを見て、音と文字の結びつきが中学の段階で抜けているとわかれば、そこまで戻って書き方を整えてから高校の語に進みます。
まとめ
小テストで半分しか書けなかった夜は、失敗の夜ではありません。電車の30分で集めた×の語が、ようやく紙の上に並んだ夜です。画面で選べた語は、白い紙に自分の手で書けた時点で、はじめて覚えた語に数えてください。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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