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やる気はあるのに勉強できない—机に座ったあとで手が止まる中学生・高校生の最初の5分|武蔵野個別指導塾

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座ったのに手が止まる原因は、やる気より「やる事」の大きさにあります。「数学をやる」を「42ページの大問2」に切る1行と、解ける1問から入る最初の5分の手順を、今夜の机で試してください。

やる気はあるけど勉強できない日、足りないのは気持ちではありません。机の上の「やる事」が、手を動かせる大きさになっていないのです。「数学をやる」「英語を復習する」のままでは、鉛筆は最初の1問を選べません。座ったあとの最初の5分は、勉強を進める時間ではなく、やる事を1行に切り、解けるとわかっている1問で手を動かし、本番の問題の最初の一行を決める時間に使ってください。そこまで決まれば、残りの時間は1行を追いかけるだけで前に進みます。

よくあるのは、日曜の午後、教科書もノートも開いたまま、20分たってもページが1枚も進まないという場面です。部屋のドアは閉めてあり、テスト範囲表も横に置き、シャーペンも握っています。それなのに目は教科書の見出しとノートの白いページを行ったり来たりするだけで、時計の長い針だけが下へ回っていきます。本人は「やる気はあるのに」と思っています。その思いがあるぶん、何も書けなかった20分が、よけいに重く残ります。

なぜそうなるのか

座ったまま手が止まる生徒の机やノートを見せてもらうと、止まり方にはいくつかの決まった形があります。どれも、やる気の量とは別のところで起きています。図1は、教室でよく見る3つの形と、それを手が動く形に直した例です。

図1 手が止まるやる事の3つの形と、動ける形への直し方

やる事が大きすぎる

「今日は数学をやる」と決めて座った机には、教科書もワークも学校のプリントも出ています。数学という大きな箱のどこから手を入れても、終わりまでの距離が見えません。どの1問を始めても「これで進んだ」と感じられず、始める前から、終わらない量を背負っている状態になります。図1の1段目のように「42ページの大問2」まで小さくすると、終わりの位置が目に見えます。手は、見えている終わりに向かってなら動き出せます。

動詞があいまい

「英語を復習する」「理科をまとめる」という1行は、一見すると具体的です。けれど「復習」も「まとめる」も、手の動きを指していません。読むのか、書くのか、隠して言うのか、問題を解くのか。動詞が決まっていないと、手は最初の動きを選べず、目だけがページの上を滑ります。図1の2段目の「本文を3回音読」なら、口と目が何をするかがはっきりしています。動詞を手の動きに置きかえるだけで、止まっていた時間の多くは消えていきます。

答えまでの道が見えない

最初に開いたのが図形の証明、英作文、理科の記述のような「1行目が書きにくい」問題だと、手はそこで固まります。頭の中では考えているつもりでも、紙の上には何も残りません。こういう問題で止まるのは、答えまで一気に見通そうとするからです。図1の3段目の「仮定を書き出す」のように、答えの手前のいちばん最初の作業だけを決めれば、少なくとも1行は書けます。1行書くと、次の一行が見えてくることがよくあります。

始められる物が多すぎる

教科書もノートも、ワークもプリントも開いている机では、目に入る物の数だけ「どれから始めるか」の候補があります。英語のノートを見て「でも数学のほうが急ぎかも」と迷い、数学のワークを開いて「先に英単語を」と迷う。迷っている時間は、外から見ると何もしていない時間と同じです。それなのに本人の中には、やろうとしていたぶんの疲れだけがたまります。日曜の午後の20分は、たいていこの迷いでできています。

今夜からの手順

座ってからの最初の5分を、次の5段に分けます。時計を机の端に置き、分の数字を見ながら進めてください。図2は、5分の中で何をするかを時間の流れに沿って並べ、5分目の確かめまで描いたものです。

図2 座ってからの最初の5分にやる4つの作業と、5分目の確かめ

1. 開いている物を閉じて、1冊だけ開き直す(0〜1分)

教科書もノートもワークも開いているなら、いったん全部閉じます。そのうえで、今日いちばん先にやる教科の1冊だけを開き直してください。どれにするか迷ったら、次の授業が早い教科か、提出の日が近い教科を選びます。閉じた物は机の端に重ねておけば十分で、棚に戻したり並べ直したりする必要はありません。目に入る「始められる物」を1つに減らせば、最初の1分はそれで足ります。図2のいちばん左の「1冊だけ開く」がこの段です。

2. やる事を「ページ・動詞・数」の1行にする(1〜2分)

ノートの端か小さな紙に、今日やる事を1行で書きます。入れるのは、ページか問題番号、手の動きを表す動詞、数の3つです。「数学をやる」ではなく「ワーク42ページの大問2を解く」。「英語を復習」ではなく「教科書の本文を3回音読する」。「社会をまとめる」なら「教科書の太字を10個、隠して言えるか試す」にします。書いたら読み返して、ページを開いた手がまず何をするかが浮かぶかを確かめてください。浮かばないなら、動詞がまだあいまいです。1行に収まらないほど大きいなら、前半だけを書きます。後半は、前半が終わってから書けば間に合います。

3. 解けるとわかっている1問で手を動かす(2〜4分)

1行に書いた本番に入る前に、2分だけ、解けるとわかっている問題を解きます。前の授業でやった例題、前回の宿題で丸がついた問題、もう覚えている英単語の書き取りなどが向いています。新しいことを覚える時間ではなく、鉛筆が紙の上を動く感覚を取り戻す時間です。量は、数学なら計算問題を1〜2問、英語なら前回の本文から1文を書き写す、国語なら漢字を5個書く、くらいで足ります。ここで新しい問題に手を出すと、また止まります。答え合わせまでして丸を1つつけたら、次の段へ進みます。2分で丸が1つつくと、「今日はまだ何もできていない」という気持ちがいったん切れます。日曜の午後の20分で重くなっていたのは、問題の難しさより、この気持ちのほうです。

4. 本番の1問に印をつけ、最初の一行だけ決める(4〜5分)

1行に書いたページを開き、最初に解く問題の番号の横に小さな印をつけます。そして、その問題で紙に書く最初の一行だけを決めます。図形の証明なら、問題文から仮定と結論を抜き出して書く。英作文なら、日本文の横に主語と動詞だけを英語で書く。理科の記述なら、問われている言葉に線を引いて、答えの文の終わり方を決める。社会の資料の問題なら、グラフの縦と横が何を表しているかをメモする。答えまでの道は見えなくても、最初の一行なら決められます。決まったら、5分になる前に書き始めてかまいません。

5. 5分たったら、鉛筆が動いているかだけを見る

5分たったら、時計を見て、次に自分の手を見ます。鉛筆が本番の問題の上で動いていれば、そのまま続けます。区切りは25〜30分ほどを目安にし、1行に書いた分が終わったら、行の横に済の印をつけて次の1行を書きます。5分たっても本番の一行が書けていなければ、やる事がまだ大きいということです。図2の右下のように、1行を半分に切ってください。「大問2を解く」なら「大問2の(1)だけ解く」に、「本文を3回音読する」なら「本文の最初の段落を1回音読する」にします。半分にしても動かないときは、教科を替えて1段目からやり直します。同じ1問の前で20分座り続けるより、そのほうが早く前へ進みます。

学年と時期で変わるところ

中1は、やる事の大きさを自分で決める経験がまだ少ない学年です。小学校の宿題は「プリント1枚」「ドリル1ページ」のように、量を先生が決めてくれることが多かったはずです。中学に入ると、ワークのどこまでをいつやるかを自分で決める場面が増え、ここで初めて「座ったのに止まる」を経験する生徒が出てきます。中1のうちは、1行に書く量を1ページまでにしてください。数学なら1ページの中の大問1つ、英語なら単語5個のように、小さすぎると感じるくらいがちょうどです。

中2と中3は、テスト範囲が広がり、教科ごとの量も増えます。中3はそこに入試の準備が加わり、中1や中2の単元に戻る勉強も始まるため、「何から始めるか」で迷う時間が長くなりがちです。中3は、1行の頭に「どの学年の、どの単元か」をひとこと書き足してください。「中2・連立方程式 ワーク30ページの大問1を解く」のように書くと、開く本とページで迷わなくなります。

高校生は科目が増え、数学の1問に15分以上かかることも珍しくありません。1行に書くのは問題番号までにして、「大問3の(1)と(2)」のように1問の中をさらに切る書き方に慣れておくと、止まりにくくなります。予習が要る科目では、「教科書の次の段落を読み、知らない語に線を引く」のような、答えを求めない作業を最初の1問に回すのも手です。

時期によっても、最初の1問の選び方が変わります。図3のように、ふだんの日は、その日の授業の例題がいちばん手に取りやすい1問です。授業で一度見ているので、2分で丸までたどり着けます。テスト前は、前に間違えて直した1問を使います。一度つまずいて直した問題は解き方を手が覚えていて、最初の2分にちょうどよい重さです。夏休みや冬休みのような長い休みは、前の日の終わり方で次の日の最初の5分が決まります。区切りのいいところで閉じるのではなく、次にやる1問に印をつけ、その問題の最初の一行まで書いてからノートを閉じてください。翌日は、前の日に印をつけた1問の、その一行の続きから始められます。

図3 ふだん・テスト前・長い休みで、最初の1問をどこから選ぶか

よくある失敗と直し方

1行のつもりが、計画表の清書になる

1行を書くつもりが、色ペンで1週間の予定表を書き始め、気づくと30分たっている。やる気のある生徒ほど、ここにはまります。紙を整える作業には正解がなく、答えのある問題より始めやすいからです。しかも、書き終えると何かを済ませた気持ちになります。直し方は、書くのは鉛筆で1行だけ、書く場所はノートの端か小さな紙だけ、と先に決めておくことです。1週間の予定を考えたいなら、その日の勉強が終わってから10分で考えます。

解ける問題をずっと続けてしまう

2分のつもりが、得意な計算問題を10問、20問と続けてしまう。丸がつく問題は気持ちがよく、印をつけた本番に移るのが怖くなるからです。直し方は、最初の1問の量を1行の横に書いておくことです。「計算2問」「単語5個」と書いた数を越えたら、手を止めて本番に移ります。解ける問題を続けている間、手は動いていても、今日の1行は1つも進んでいません。

本番で止まると、教科書を単元の最初から読み直す

本番の問題で手が止まり、「基本からやり直そう」と単元の最初のページから教科書を読み始める。読んでいる間は勉強している気がしますが、問題に戻るころには時間がほとんど残っていません。直し方は、教科書やワークの中で、その問題にいちばん近い例題を1つだけ探すことです。例題の最初の一行を写し、それを手本にして本番の一行を書きます。単元の最初から読み直すのは、例題を読んでも手がかりがまったく見つからないときだけで足ります。

よくある質問

やる気があるのにできないのは、怠けているからですか

怠けているなら、日曜の午後にわざわざ机に向かいません。座って教科書を開いている時点で、始めようとする気持ちはもう十分にあります。止まっている原因は、たいてい気持ちではなく、やる事の切り方の側にあります。ただし、座っても何も手につかない日が何週間も続き、夜に眠れない、好きだった事にも気が向かないといったことが重なるなら、やり方を工夫する前に家の人に話してください。学校の先生や保健室、医療機関に相談するのもひとつの道です。

やる気はあるけど集中できないときも、最初の5分で直りますか

始めたあとに途中で切れる集中は、始められない悩みとは少し別のものです。最初の5分の手順が効くのは、座ってから最初の1問が始まらない場面です。始めて15分ほどで気が散るなら、1行の量が多すぎて、途中で終わりが見えなくなっていることがあります。そのときは1行を2つに分け、1つ目が済んだら印をつけ、いったん立って水を飲んでから2つ目に入ってください。終わりが近くに見えているほど、途中で気がそれにくくなります。

「やる気はあるけど」の日のたびに、この手順を全部やるのは面倒です

全部をやるのは、止まりやすい最初の2〜3週間で足ります。何度か続けると1行の書き方が手になじみ、座る前に頭の中で1行ができるようになります。そうなったら、紙に1行を書くのはやめて、本番の問題に印をつけるだけに縮めてかまいません。ただ、テスト前で範囲が一気に広がった週や、新しい単元に入ったばかりの週は、また止まりやすくなります。止まった日だけ、紙に1行を書くところへ戻してください。

保護者が手を貸すなら

お子さまが机に座ったまま進んでいないように見えても、「まだ終わらないの」「さっきから同じページだよ」と声をかけるのは控えてください。本人は、進まない時間にもう十分あせっています。手を貸すなら、始めて5分ほどたったころに「最初の1問はどれにしたの」と、1問だけを聞く形がよいでしょう。答えが返ってこなければ、問題番号を一緒に1つ選ぶところまでで手を止めます。1行を代わりに書いたり、計画を作ってあげたりすると、自分でやる事を切る練習の機会がなくなります。その日の午後に1行が書けていたら、その1行を見て「ここからなら進めそうだね」と言うだけで十分です。ほめ言葉を重ねるより、「最初の1問は何だったの」と聞くほうが、次に座ったときに本人が同じ手順を思い出しやすくなります。

個別指導で確かめること

教室では、生徒が家で書いた1行を見せてもらい、その1行で本当に手が動いたかを先に聞きます。同じ単元で「最初の一行」が書けない問題が続くなら、その単元のひとつ前、たとえば一次関数で止まるなら比例の式の作り方まで戻り、どこから道が見えなくなっているのかを生徒と一緒に確かめます。やる気を出させる言葉をかけるのは、その1行の大きさと最初の1問の選び方を見直してからにしています。

まとめ

日曜の午後、教科書とノートを開いたまま止まっていた20分は、やる気が足りなかった時間ではありません。やる事がまだ「数学」という大きな箱のままで、最初の1問が決まっていなかった時間です。次に座ったら、1冊だけ開き、1行を書き、解ける1問で丸を1つつけてから、印をつけた本番に入ってください。止まっていたページをめくるのは、紙の端に鉛筆で書いた、たった1行です。

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