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小学校高学年の読書感想文—主題を一つに絞って書く|武蔵野個別指導塾

小学5年生と6年生の読書感想文は、心が動いた場面を3つ書き出して1つに絞るところから始めます。1,200字を5つの段落に配る目安と、本の言葉を引くときの決まりを、自作の例文で確かめてください。
小学5年生と6年生の読書感想文は、次の順で書くと止まりません。
- 読みながら、心が動いたページに付箋を貼る
- 読み終えたら、付箋の中から3つを選び、1つに絞る
- 絞った1つに、自分の経験を1つ結びつける
- 1,200字を5つの段落に配り、段落ごとに書く
- 本の言葉はかぎかっこで短く引き、そのあとに自分の言葉を続ける
よくあるのは、小学6年生の夏休み、学校の図書室で本を読み終え、原稿用紙を広げたまま 30 分動けない、という場面です。本はおもしろかったし、言いたいことも頭の中にはあります。ところが、主人公のことも、友だちの場面も、最後の別れも、全部書きたくなって、どれから書けばよいのかがわかりません。鉛筆が止まる原因は、書くことが無いからではなく、書きたいことが多すぎるからです。高学年の読書感想文で最初にすることは、書きたいことを増やすことではなく、1つに絞ることです。
書く前にすること
本を読み終えてすぐに原稿用紙に向かうと、あらすじの書き写しになります。読み終えたあとに、書く前の作業を 20 分だけ取ってください。この 20 分で感想文の出来がほぼ決まります。
最初にするのは、付箋を貼り直すことです。読んでいる途中に貼った付箋が 5 枚から 10 枚あるとします。その 1 枚ずつについて、「ここで何を感じたか」を一言で書きます。「かわいそう」「くやしい」「自分と同じ」「意外だった」のような短い言葉でかまいません。言葉にできない付箋は、はがしてしまってよいです。心が動いたように思えても、言葉にならないところは、感想文の材料にはなりません。
次に、残った付箋の中から3つを選びます。選ぶ基準は「一番おもしろかった」ではありません。あとで自分の経験とつなげやすいかどうかです。たとえば、主人公が弟をかばって叱られる場面は、自分にも弟や妹がいれば、すぐに経験とつながります。宇宙船が爆発する場面は、読んでいて興奮しても、自分の経験とはつながりにくいです。高学年の感想文で評価されるのは、本の中の出来事ではなく、本を読んだ自分に何が起きたかです。だから、自分の側に材料がある場面を選びます。
3つに絞ったら、図1のように、3つの候補をふるいにかけて、1つだけ残します。ふるいの網は3つです。1つ目は、自分の経験とつながるかどうか。2つ目は、その場面に、引用できる本の言葉があるかどうか。3つ目は、なぜその場面を選んだのかを、人に説明できるかどうかです。3つの網を全部通るものがあれば、それが主題です。2つしか通らないものが複数あるときは、「なぜ選んだか」を説明しやすい方を取ってください。理由が言えない主題は、書いている途中で必ず止まります。

主題が決まったら、メモを 1 枚作ります。書くのは4行だけです。1行目に、選んだ場面を 20 字で。2行目に、その場面の本の言葉を、そのまま 1 文。3行目に、つながる自分の経験を 30 字で。4行目に、本を読む前と読んだあとで、自分の考えがどう変わったかを 1 文で。この 4 行が、そのまま感想文の骨になります。4行目が書けないときは、主題の選び方が浅いしるしですから、残った2つの候補に戻ってやり直してください。ここで戻るのは遠回りに見えますが、原稿用紙を 2 枚書いてから戻るよりずっと早いです。
付箋も 4 行のメモも、5年生と6年生なら自分で書けます。保護者の方が横で手伝うなら、言葉を出す役ではなく、「それはどの場面」「そのとき自分はどうだった」と聞く役に回ってください。聞かれて答えたことを、お子さま自身が書く。この順番を守ると、他人の言葉が混ざりません。
書き方の手順
全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する青少年読書感想文全国コンクールの応募要項では、小学校高学年の部は本文 1,200 字以内と決められています。句読点は 1 つを 1 字として数え、段落を変えたときに空いたますも字数に入ります。題名と学校名と氏名は字数に入れません。原稿用紙を使って縦書きで自筆します。学校の宿題として出される感想文も、この長さに合わせていることが多いですが、学校によって原稿用紙の枚数や書き方の指示が違います。指示があれば学校の指示が優先です。
1,200字は、400字詰めの原稿用紙で 3 枚です。長いように見えますが、段落に配ってしまえば、1 つの段落は 100 字から 350 字です。図2の配分で書いてください。

1つ目の段落は書き出しで、150 字です。あらすじから始めません。選んだ場面から始めるか、自分の経験から始めます。「この本を読んで、わたしは一つのことを考え続けた。」のように、主題が1つだと最初に宣言するのも高学年らしい書き出しです。本の題名と、どんな話かの説明は、2 文までにおさえます。
2つ目の段落は、選んだ場面と引用で、300 字です。ここで初めて、本の中の出来事を書きます。書くのは、絞った1つの場面だけです。場面の前後がわからないと読み手が困るので、場面にたどり着くまでの流れを 2 文で説明し、そのあとに、本の言葉をかぎかっこで引きます。引用は 1 文か 2 文までにします。引いたら必ず、「この言葉を読んだとき、わたしは」と自分の側に戻ってください。引用で段落を終えないことが大事です。
3つ目の段落は、自分の経験で、350 字です。5つの段落の中で一番長く取ります。ここが感想文の中心だからです。本の場面と似た経験、または反対の経験を、いつ、どこで、誰と、何があったかがわかるように書きます。「わたしも同じようなことがあった。」で終わらせず、そのとき自分が何を言い、何を言えなかったかまで書きます。経験は 1 つだけにします。2 つ書くと、どちらも薄くなります。
4つ目の段落は、考えの変化で、300 字です。本を読む前の自分と、読んだあとの自分を並べます。「前は〜と思っていた。でも今は〜と思う。」の形がわかりやすいです。変化が小さくてもかまいません。「主人公のようにはできないとわかった」も、立派な変化です。ここで、2つ目の段落で引いた本の言葉にもう一度触れると、感想文が1本の線でつながります。
5つ目の段落は結びで、100 字です。これからどうするかを、1 つだけ、具体的に書きます。「がんばりたい」「大切にしたい」のような言葉は避けて、「次に弟が泣いたら、理由を聞いてから怒る」のように、行動の形で書きます。結びに新しい話題を出さないでください。
原稿用紙の決まりは、広く使われている形で書きます。段落の初めは 1 ます空けます。句読点とかぎかっこは 1 ますに 1 つ書き、行の最初に句読点が来るときは、前の行の最後のますに文字と一緒に入れます。会話文は行を変えてかぎかっこから始めるのが一般的です。これらも、学校で違う指示が出ていれば、学校の指示に従ってください。
下書きは、原稿用紙ではなく、ノートに書きます。段落ごとに、目安の長さを横に書いておき、書き終えたら数えます。350 字の段落が 200 字しかなければ、経験の中の会話か、そのときの気持ちを足します。逆に 500 字になっていたら、2 つ目の経験が混ざっていないかを確かめ、1 つだけ残します。5 つの段落がそろってから、原稿用紙に清書します。清書の途中で書き直したくなっても、まず最後まで写してください。途中で直し始めると、配分がくずれます。
例文で見る
自作の例文を 2 つ置きます。どちらも、そのまま提出できる長さにはしていません。型を見て、自分の本と自分の経験に置き換えてください。
1 つ目は、2つ目の段落、場面と引用の例です。転校してきた主人公が、クラスで一言も話さずに 1 か月を過ごす物語を読んだ、という設定で書きました。
「主人公のミカは、転校して 1 か月、クラスの誰とも話さない。給食の班でも、下を向いてパンをちぎっている。その日、隣の席のユウが、ミカのノートに小さな紙を入れる。紙にはこう書いてあった。『話さなくていいよ。でも、ここにいていいよ。』この一文を読んだとき、わたしは本を閉じて、しばらく動けなかった。話さなくていい、と言われたことが、わたしには一度も無かったからだ。」
この例文のよいところは 3 つあります。1 つ目は、場面にたどり着くまでの説明が 2 文で済んでいることです。1 か月話さないこと、給食でパンをちぎっていること、この 2 つで場面の重さが伝わります。2 つ目は、引用が 1 文で、かぎかっこの中にかぎかっこが来るので二重かぎかっこを使っていることです。3 つ目は、引用のすぐあとに「わたしは」と自分の側に戻り、なぜ動けなかったのかの理由まで書いていることです。引用で終わると、本の言葉の力を借りただけになります。
2 つ目は、4つ目の段落、考えの変化の例です。同じ本の続きとして書きました。
「本を読む前のわたしは、転校生には、こちらからたくさん話しかけるのが親切だと思っていた。4年生のとき、転校してきた子に、休み時間のたびに話しかけた。その子は 2 週間で、わたしを避けるようになった。わたしは、あの子の方がおかしいと思っていた。でも今は、ユウの紙の方が、わたしのおしゃべりより何倍も親切だったのだとわかる。話さなくていい、と言えるのは、相手が話すまで待つと決めた人だけだ。わたしは待てなかった。」
この例文のよいところは、変化の前と後が、同じ出来事で比べられていることです。「前は親切だと思っていた」「今はそうではないとわかる」の間に、4年生のときの自分の経験が挟まり、本の言葉が自分の過去を照らしています。もう 1 つは、最後の「わたしは待てなかった。」が、きれいごとで終わっていないことです。できなかった自分を認める 1 文は、高学年の感想文にしか書けません。
どちらの例文も、話の筋は作り話で、本の題名はありません。写して出せる形にしていないのは、感想文の中心が自分の経験にあり、そこだけは誰にも代わりに書けないからです。
まちがえやすいところ
高学年で提出された感想文を読むと、同じ誤りが 3 つ繰り返されます。誤りの文と、どこが違うか、直した文の順に置きます。
1 つ目は、主題が 2 つ以上あることです。誤りの文はこうです。「主人公が勇気を出したところと、お母さんが泣いたところと、最後に犬が帰ってきたところが心に残りました。」3 つの場面が並んでいますが、どれについても、なぜ心に残ったかが書かれていません。1,200 字で 3 つを書くと、1 つあたり 400 字を切り、経験も変化も入りません。直した文はこうです。「心に残ったのは、お母さんが台所で泣いた場面だ。主人公はその声を聞いて、立ち止まる。わたしにも、聞こえないふりをした夜がある。」場面を 1 つにし、すぐに自分の経験へ橋をかけています。
2 つ目は、経験が無いことです。誤りの文はこうです。「主人公はえらいと思いました。わたしも主人公のようになりたいと思いました。」自分のことが書かれているように見えますが、「なりたい」は経験ではなく、願いです。読み手は、この子が何をした子なのかがわかりません。直した文はこうです。「主人公は、班の発表で間違えた友だちをかばった。わたしは 5 年生の運動会で、リレーのバトンを落とした子が泣いているとき、何も言えずに水筒の水を飲んでいた。」いつ、どこで、何をしたかがあり、本の場面と反対の経験になっています。反対の経験の方が、考えの変化を書きやすいです。
3 つ目は、引用が長いことです。誤りの文は、本の 1 ページ分、8 文を書き写して、最後に「とても感動しました。」と 1 文だけ付けたものです。これは感想文ではなく、本の書き写しです。引用の長さにきまった規定はありませんが、主催者の要項には、不適切な引用があった場合は審査の対象外になることがあると書かれています。写した文の量が自分の文より多ければ、読み手は書き写しだと判断します。図3のように、引用は 1 文か 2 文で止め、そのあとに、なぜその言葉が残ったかと、自分の経験を続けてください。引用の 3 倍の長さを、自分の言葉で書くのが目安です。

直した形はこうです。「『ここにいていいよ。』の一文だけが、何度も頭に戻ってきた。この言葉が残ったのは、言われた側ではなく、言えなかった側の自分を思い出したからだ。」引用は 1 文、理由が 1 文、自分の側へ戻る 1 文です。本の言葉を引くときは、一字一句をそのまま写し、自分の言葉に直しません。直すなら、かぎかっこを外して「〜という意味のことを言った」の形にします。
よくある質問
読んだ本が長くて、どの場面も捨てがたいときはどうしますか
付箋の中で、自分の経験とつながるものだけを残してください。捨てがたいのは、本としておもしろい場面です。感想文に要るのは、自分とつながる場面です。この 2 つは違います。おもしろいだけの場面は、感想文には書かずに、家族に話して聞かせれば十分です。それでも 2 つ残るなら、「なぜこの場面か」を声に出して説明し、説明が長くなる方を取ります。
1,200 字に届きません。どこを足せばよいですか
足すのは 3 つ目の段落、自分の経験です。そのとき誰が何と言ったか、自分は何と答えたか、答えられなかったか、その夜どうしたか。会話と動作を足すと、気持ちの言葉を足すより自然に長くなります。「とても」「本当に」を足して伸ばすと、読み手にすぐわかります。足す前に、5 つの段落が目安の長さに届いているかを 1 つずつ数え、一番足りない段落から足してください。
本の言葉を引くとき、ページの番号は書きますか
小学校の読書感想文では、ページの番号を書く決まりは一般的ではありません。学校から指示があれば、それに従います。それより大事なのは、引く言葉を一字一句そのまま写すことと、引用の前後に、その言葉が本のどの場面のものかがわかる説明を 1 文置くことです。番号よりも、場面の説明の方が、読み手には役に立ちます。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
家で手伝うなら、書く前の 20 分だけにしてください。付箋を一緒に見ながら、「ここで何を思ったの」「それ、前にもあったよね」と聞く役に回ります。答えを出す役にはならないでください。書き始めたら、清書が終わるまで読まないのが、高学年のお子さまには合っています。
武蔵野個別指導塾の授業で確かめるのは、主題が 1 つか、経験が 1 つか、引用のあとに自分の言葉が続いているかの 3 点です。下書きを一緒に読み、3 点のどこが抜けているかを示したら、書き直すのはお子さま自身です。高学年の文章は、直してもらった文より、自分で直した文の方が、次の作文に残ります。
まとめ
付箋を 3 つに絞り、3 つの網で 1 つに決め、1,200 字を 5 つの段落に配り、本の言葉は短く引いて自分の言葉を長く書く。これだけで、あらすじの書き写しは消え、その子にしか書けない感想文になります。一つに絞った主題は、読んだ本の筋よりも長く、書いた本人の中に残ります。
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