
読み物 家庭と子どもの日々(10-27 本人「読み物として引き込む記事」)
通知表を開く前の五分—数字の列より先に子どもの顔を見て、所見の一行と「ここだけは」を一つ選ぶ夕方

通知表を持ち帰った日の夕方、親がまず開くのは、評定の数字の並びです。けれど、数字の列を読む前に、五分だけ、通知表を閉じたまま子どもの顔を見てください。通知表に書いてあるのは学期の結果です。子どもの顔に出ているのは、その結果を、本人がどう受け取ったかです。

玄関で、鞄から出てこない一冊
学期の最後の日、子どもはいつもより早く帰ってくることがあります。玄関で靴を脱ぎ、鞄を置き、そのまま自分の部屋へ向かう。鞄の中に、通知表が入っていることは分かっています。けれど、子どもの方からは出してきません。
出してこないことを、隠していると決めつけないでください。
子どもは、学校で通知表を受け取った瞬間に、もう中を見ていることが多いです。友だちと見せ合ったかもしれないし、誰にも見せずに鞄へしまったかもしれない。いずれにしても、親より先に、自分の数字を知っています。そして、その数字が親にどう読まれるかも、だいたい分かっています。
出してこないのは、その数字を親に読まれる瞬間を、少しでも先へ延ばしたいからです。上がった科目があっても、下がった科目が一つあれば、子どもの目はその一つに吸い寄せられています。
だから、玄関で「通知表は」と聞かないでください。おやつを出し、着替えを待ち、部屋から出てくるまで待ちます。食事の前後の落ち着いた頃に、「見せてくれる」と頼みます。命令ではなく、頼む形で。
数字の列より先に、顔を見る五分
子どもが通知表を持ってきたら、すぐには開かないでください。
通知表を受け取ったら、テーブルの上に置いて、五分だけ子どもの顔を見て話してください。話すことは、通知表の中身でなくてかまいません。今日はどうだったのか、学期の最後の日に何があったのか、友だちとどこかへ寄ったのか。そんな話で十分です。
この五分は、子どもに「親は、数字だけを見る人ではない」と伝える五分です。
親が通知表を受け取るなり開いて、指で数字をなぞり始めると、子どもは自分が数字の列として読まれていると感じることがあります。数字が上がっていれば、ほっとします。下がっていれば、身を固くします。どちらの場合も、子どもは自分の気持ちを話す前に、親の顔色を読む側に回ります。
顔を見て話した五分の後なら、通知表を開いても、子どもは親の隣に座っていられます。

評定の数字は、前の学期と並べて読む
通知表を開いたら、評定の数字を一つずつ読む前に、前の学期の通知表を横に並べてください。
一つの学期の数字だけを見ると、高いか低いかしか分かりません。前の学期と並べると、動いたか動かなかったかが分かります。そして、動いた科目にだけ目を向けてください。
上がった科目があれば、そこを最初に指さしてください。「ここ、上がったね」。それだけで十分です。理由を聞くのは、その後です。
下がった科目があったときは、「どうして」と聞く前に、子どもの方から何か言うのを待ってください。子どもは、下がった理由を、たいてい自分で分かっています。提出物を出し忘れた、小テストで点を落とした、授業中に分からなくなったまま追いつけなかった。親に問い詰められて言う理由と、自分から言う理由は、中身が違います。問い詰められて言う理由は、たいてい言い訳の形をしています。自分から言う理由は、次にどうすればいいかの入り口になります。
子どもが何も言わないときは、それでかまいません。「この科目、どのあたりから分からなくなった」とだけ聞いてください。「どうして下がったの」ではなく、「どのあたりから」。時間と場所を聞くと、子どもは責められずに、自分の記憶をたどれます。
所見の一行に、学校での姿が出る
評定の数字の横か下に、担任が書いた所見の欄があります。多くの親が、数字の後に、急いで読み流す欄です。
けれど、所見の一行には、家では見えない子どもの姿が書いてあります。授業中に手を挙げていること。係の仕事を最後までやり遂げたこと。友だちに声をかけていたこと。数字には出ない場所で、子どもが学校の中で何をしていたかが、短い言葉で残っています。
所見は、声に出して読んでください。子どもの前で、ゆっくり。子どもは、自分が学校でどう見られているかを、親の声で聞くことになります。良いことが書いてあれば、子どもは少し照れた顔をします。その顔を見てから、数字の話に戻ってください。
所見に、気になる一言が書いてあることもあります。「提出物の期限を守りましょう」「集中の続かない時間があります」。そういう一言は、責める材料にしないでください。次の学期に、親と子どもが一緒に見る場所として受け取ってください。

親が、自分の通知表を思い出す
通知表を前にすると、親の胸に、子どもの頃の通知表がよみがえることもあります。
数字が下がって、家に帰るのが嫌だった日。所見の欄に書かれた一言を、何年たっても覚えていること。親に褒められた記憶より、叱られた記憶の方が鮮やかに残っている人も、少なくないはずです。
その記憶は、今夜の言葉を選ぶときに役に立ちます。
あの日、自分は親に何と言ってほしかったのか。何を言われたくなかったのか。数字を指でなぞられたときの、あの身の縮む感じ。黙って隣に座ってくれたときの、あの少しほっとした感じ。子どもの頃の自分が覚えていることは、今の子どもが感じていることと、それほど遠くありません。
自分の通知表の話を、子どもにしてみるのもよいかもしれません。「お父さんも、中2のときに数学が下がってね」「お母さんは、所見に落ち着きがないって書かれたことがある」。親にも数字の下がった学期があったと知ると、子どもは、下がった数字を自分だけの失敗として抱えずにすみます。
ただし、話は短くしてください。親の昔話が長くなると、今夜の主役が入れ替わります。
次の学期の「ここだけは」を、一つだけ選ぶ
通知表の話の終わりに、次の学期に向けて、一つだけ決めてください。
一つだけです。五教科全部の目標を立てると、子どもは最初の週で息切れします。下がった科目が三つあっても、選ぶのは一つ。「次の学期は、ここだけは」という一つを、子どもに選ばせてください。
親が選ぶと、子どもにとっては課題を出されたことになります。子どもが選ぶと、子どもにとっては自分で決めた約束になります。
選んだ一つは、科目の名前より、少し細かい形にしてください。「数学を頑張る」ではなく、「数学の小テストの前の日に、前の小テストを一回解き直す」。「英語を頑張る」ではなく、「英語の単語を、週に一度、書いて確かめる」。細かく決めると、できたかどうかが、学期の途中で分かります。
決めた一つは、紙に書いて、通知表と一緒にしまっておいてください。次の通知表を持ち帰る日に、その紙を出して、一緒に見ます。
通知表を、塾へ持っていくとき
塾に通っている子どもなら、通知表は塾にも見せてください。武蔵野個別指導塾では、学校成績や定期試験や通知表など成績が分かる物を、最初の授業で持ってきてほしい物の一つにしています。入塾してからも、通知表は、講師が学期の結果を確かめる材料になります。
武蔵野個別指導塾には、LINEでの学習管理と保護者面談があります。その連絡や面談の場で、通知表と一緒に、家で決めた「ここだけは」の一つも伝えてください。完全マンツーマンの授業では、講師1名が生徒1名の隣に座ります。家で決めた一つが講師にも届いていれば、次の学期の90分を、その一つから始められます。
塾に通っていない子どもで、通知表を見て塾を考え始めたなら、入塾前カウンセリングと事前診断テストは無料です。通知表と、直近の定期試験の答案を持って、教室へ相談に来てください。
よくある質問
Q. 通知表を見せてくれないときは、どうすればよいですか。 A. 玄関で「通知表は」と聞かず、子どもが落ち着くのを待ってから「見せてくれる」と頼んでください。出してこないのは、親に読まれる瞬間を先へ延ばしたいからであることが多く、隠しているとは限りません。
Q. 評定が下がった科目は、どう聞けばよいですか。 A. 「どうして下がったの」ではなく、「どのあたりから分からなくなった」と聞いてください。時間と場所を聞くと、子どもは責められずに記憶をたどれます。子どもの方から理由を言うのを待つのも一つの方法です。
Q. 所見の欄は、どう読めばよいですか。 A. 子どもの前で、声に出してゆっくり読んでください。所見には、数字に出ない学校での姿が書いてあります。気になる一言があれば、責める材料とせず、次の学期、一緒に見る場所として受け取ってください。
Q. 次の学期の目標は、いくつ立てればよいですか。 A. 一つだけにしてください。子どもに選ばせ、「数学の小テストの前の日に、前の小テストを一回解き直す」のように細かい形にすると、学期の途中でできたかどうかが分かります。
Q. 通知表は、塾にも見せた方がよいですか。 A. 見せてください。武蔵野個別指導塾では、成績が分かる物を最初の授業の持ち物にしていて、入塾後も講師が学期の結果を確かめる材料になります。家で決めた一つも、一緒に伝えてください。
まとめ
通知表を持ち帰った日の夕方は、数字の列を読む前に、五分だけ子どもの顔を見てください。開いたら、前の学期と並べて、動いた科目にだけ目を向ける。上がった科目を先に指さし、下がった科目は「どのあたりから」と聞く。所見は声に出して読む。そして、次の学期の「ここだけは」を、子どもに一つだけ選ばせてください。
通知表の読み方や、次の学期の進め方に迷ったら、教室にご相談ください。
- 武蔵野個別指導塾(東京都武蔵野市境2-2-3 渡辺ビル4F・JR中央線 武蔵境駅 徒歩30秒)
- 電話: 0422-27-7828(365日・24時間)
- メール: musashinokobetu.daily@gmail.com
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