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受験生の親ができること—直前期に言う言葉、言わない言葉|武蔵野個別指導塾

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「勉強してるの?」を「ごはん、いつにする?」に変える。親の持ち場を3つに絞り、不合格の最初の一言まで先に決めておけば、直前期の夜はもう迷いません。

受験生の親ができることは、次の3つに絞れます。勉強の中身には入りません。親から始めてよい話は生活の話だけで、点数と合否の話はお子さまが始めるまで待ちます。

親の持ち場 すること 言う言葉 言わない言葉
生活を回す 食事・風呂・送迎を昨日と同じに続ける 「ごはん、いつにする?」 「勉強してるの?」
事務を持つ 日程・受験票・締切の控えを親も持つ 「受験票、一緒に見ようか」 「ちゃんと準備したの?」
結果から守る どの結果でも態度を変えないと示す 「おかえり、ごはんあるよ」 「落ちたらどうするの?」

よくあるのは、夜食を盆にのせて階段を上がり、子ども部屋の前で足が止まるという場面です。扉のすき間から明かりが漏れているのに、ペンの音は聞こえません。盆の上で湯気が細くなっていきます。「がんばってるね」は軽い気がする。「模試どうだった」は聞きたいけれど、今夜ではない。「早く寝なさい」は昨日も言いました。結局、扉を少しだけ開けて「ここ置くね」と言い、盆を置いて階段を下ります。下りながら、もうひとこと何か言うべきだったかと考えてしまう。言わなくて正解でした。あの「ここ置くね」で足りています。

親の持ち場を3つに決めれば、迷う夜が減る

直前期の親が苦しくなるのは、やることが多いからではありません。どこまで口を出してよいのか、その線が見えないからです。線が無いまま毎晩迷っていると、迷いがそのまま言葉になって扉の向こうへ届きます。だから先に線を引きます。お子さまが試験場へ持っていけるのは自分の頭だけで、台所も交通も書類の控えも受験料の支払いも親の側にあります。図1のように、本人が持てないものを親が持つ、これが分担の線です。

図1 親の持ち場は3つ、勉強の中身は手放す

「生活を回す」は、食事と風呂と送迎を昨日と同じに続けることです。「事務を持つ」は、受ける試験の日付、受験票の置き場所、入学手続きの締切を親の手帳にも書いておくことです。共通テストは 2027年1月16日(土)・17日(日)、都立高校の学力検査は 2027年2月21日(日)、東京の私立中学の入試は例年2月1日から始まります。学校ごとに違う日程は、各校の募集要項で確かめてください。「結果から守る」は、模試の点でも合否でも、親の機嫌と態度が変わらないと示し続けることです。

手放すものも決めておきます。点数の管理、勉強時間の見張り、志望校の蒸し返しの3つです。解き方の判断は親にはできませんし、お子さまの側にも、いまは親の助言を聞く余裕がありません。志望校を変えるかどうかの話し合いが本当に要るときは、親子だけで夜に話さず、担任か塾の先生を入れて昼に話してください。家族の中で見守る人が複数いるなら、声をかける係も1人に決めます。同じ質問を2人からされるのは、それだけで重いからです。

言わないほうがよい言葉には見分け方がある

言わないほうがよい言葉には共通点があります。点数や合否に踏み込むか、答えを迫るか、誰かと比べるか、このどれかです。どれも善意から出るので、言っている側は気づきません。下の表に、口から出やすい言葉と言いかえを並べました。

言わないほうがよい言葉 重くなる理由 言いかえ
「勉強してるの?」 やっていても、やっていなくても責められたと聞こえます 「ごはん、いつにする?」
「大丈夫?」 「大丈夫」としか答えられず、本音が閉じます 「何か要る物ある?」
「模試どうだった?」 親のほうから結果に踏み込んでいます 「見せたくなったら見せて」
「ここまでやったんだから受かるよ」 落ちたときに努力まで否定された形になります 「ここまでやったのは見てきたよ」
「落ちたらどうするの?」 親の不安を本人に預けています 「次の日程は控えてあるよ」
「あの子はもう決まったって」 比べられた言葉は試験当日まで残ります 言いかえずに、言わない
「いくらかかったと思ってるの」 合否にお金の重さを足してしまいます 言いかえずに、言わない

図2のように、言いかえの多くは問いを生活の話へ移しているだけです。「勉強してるの?」には答えようがなくても、「ごはん、いつにする?」には「あと少ししたら」と答えられます。答えられる問いなら、扉の向こうの声が返ってきます。その声の調子で、今夜の様子はだいたいつかめます。

図2 言わない言葉と言いかえを3組並べた対応

迷ったときの物差しは1つです。口に出す前に「不合格だったとしても、この言葉は本当か」と自分に聞いてください。「受かるよ」は外れることがあります。「見てきたよ」は、どちらの結果が出ても本当のまま残ります。合否がどちらに転んでも嘘にならない言葉だけを選べば、大きくは間違えません。

それでも、言ってしまう夜はあります。そのときは長い説明をせず、「さっきの言い方はよくなかった、ごめん」と短く謝って、いつもの話に戻してください。言いわけを足すと、謝罪がもう一度の説教に変わります。親が間違えて直す姿は、失敗した科目を引きずらずに次へ進む手本にもなります。

ごはんと送迎は、昨日と同じを続ける

食事は普段どおりを軸にします。試験が近いからと献立を変えたり、食べ慣れない物を足したりする必要はありません。いつもの味は、今日もいつもの日だという合図になります。お腹の調子を崩さないことのほうが、特別な一品よりずっと大事です。

夜食も同じで、夜食そのものが問題なのではありません。話しかけるための口実になると重くなります。置いたら下りる。机の上の問題を目で追わない。部屋を見回さない。要らないと言われたら持っていかなくて構いませんし、それを寂しがる顔も見せないでください。

試験から帰ってきたときの言葉は「おかえり、ごはんあるよ」で止めます。「どうだった?」は、本人が話し始めるまで飲み込みます。2日続く試験や、翌日に別の学校が控えている日は、特にここが効きます。本人が話し始めたら、助言を返さず「そうか」で受けてください。

送迎の車の中も、階段と同じです。話しかける義務はありませんし、模試や志望校の話を始める場所でもありません。黙って運転するだけで、送迎の役目は果たせています。試験当日の付き添いは、どこまで来てほしいかを前日までに本人に聞いて決めます。家の玄関まで、駅の改札まで、会場の手前までと、答えはお子さまによって違います。車での来場を認めていない会場もあるので、受験票と案内で確かめてください。経路と所要時間は親も控え、電車が止まったときの別の経路と連絡の手段まで決めておきます。当日の朝の言葉は「行ってらっしゃい」で十分です。

親の不安には、先に置き場を作る

親が不安なのは当たり前で、消そうとしなくて構いません。問題は置き場所です。置き場が無いと、不安は夜の階段を上がって、いちばん受け取ってはいけない人の部屋に置かれます。「落ちたらどうするの?」は、その形をした不安です。

手順は単純です。心配ごとを紙に書き出し、「今、親の手でできること」と「試験が終わるまで決まらないこと」に分けます。前者は事務に変えます。たとえば「当日に熱が出たら」という不安は、追試験と追検査を調べた時点で手順に変わります。共通テストの追試験は 2027年1月23日(土)・24日(日)で、やむを得ず欠席するときは受験票に書かれた問合せ先の大学へすぐ連絡して申請します。都立高校はインフルエンザ等の追検査が 3月9日(火)です。「受験票を忘れたら」も、共通テストなら試験場本部で仮の受験票の交付を受けられると知っているだけで、玄関での親の声が変わります。細部は年度で変わるので、共通テストは受験票と一緒に必ず読む「受験上の注意」が、都立高校は東京都教育委員会の実施要綱と受検票が最優先です。

後者の「受かるかどうか」は、親の手ではどうにもなりません。紙に書いて閉じます。話すなら、お子さま以外の大人にしてください。配偶者、きょうだい、友人、担任、塾の先生。相手を1人決めておき、助言ではなく聞いてもらうことを頼みます。同じ学年の保護者との情報交換や、合否の書き込みを読みに行く夜は、この時期だけ減らして構いません。読んだ分だけ、次の夜の言葉が荒れます。親でもお子さまでも、眠れない、食べられない日が続くように見えるときは、かかりつけの医師か学校の相談窓口に早めに相談してください。

不合格のときの最初の一言は、発表の前に決める

不合格の知らせは、親の顔と声の準備が間に合わないうちに届きます。その場で言葉を探すと、いちばん言いたくなかった言葉が出ます。だから発表の前に決めておきます。いちばん使いやすいのは「教えてくれてありがとう」です。自分から結果を口にするのは、本人にとって重い仕事だからです。言ったら黙ります。泣くなら止めず、黙るなら黙らせておき、次の言葉は「ごはん、どうする?」で足ります。

最初の一言にしないほうがよい言葉もあります。「次があるよ」は正しくても早すぎます。痛みの前に出口を見せられると、痛いと言えなくなるからです。「だから言ったのに」は論外として、「何が悪かったんだろう」も当日は置いておきます。原因の話は、受験がすべて終わって、本人が話したくなってからで間に合います。

順番はこう決めます。受け止める、食べて眠る、次の試験の事務を親が進める、原因の話は最後です。翌日に次の試験があるなら、持ち物と経路を親がそろえ、本人に伝えるのは「明日の物はそろえてあるよ」だけにします。落ちた試験の振り返りをその夜にさせないでください。

誰が先に結果を見るかも、前もって決めておきます。高校受験や大学受験なら、本人に聞きます。一人で見たいと言うなら、結果だけは知らせてほしいと頼んで任せます。中学受験で親が先に見るときは、画面を閉じて一呼吸置き、顔を整えてから向かい合ってください。親もつらいので、泣くのは構いません。ただ、その涙は本人が眠ったあと、先に作った置き場へ持っていきます。発表の日は手帳に書き、その日の夕食だけは予定を入れないでおきます。都立高校の学力検査なら、発表は 3月1日(月)です。

よくある質問

受験生の親がしてはいけないことは何ですか

他の子と比べること、結果を先回りして話すこと、親の不安を本人に預けることの3つです。どれも悪意からは出ません。「あの子は推薦で決まったらしいよ」は情報を渡したつもりでも、受け取る側には比較としてしか届きません。口から出そうになったら、台所に戻るくらいでちょうどよいのです。

勉強していないように見えるとき、声をかけないといけませんか

スマートフォンを見ている、昼まで寝ている、その姿だけで直前期の中身は判断できません。声をかけるなら勉強の話ではなく生活の話にします。どうしても気になるなら、本人を問いただす前に、担任や塾の先生に様子を聞いてください。朝起きられない日が続くなど生活そのものが崩れているときは、勉強の話としてではなく、体と生活の話として本人に聞きます。

「がんばって」は言ってはいけないのですか

禁句ではありません。試験当日の玄関で1回なら、「行ってらっしゃい」と同じ挨拶として届きます。重くなるのは毎晩くり返すときと、点数の話の直後に言うときです。もう十分にやっている本人に毎日言い続けると、まだ足りないという意味に聞こえます。

親は仕事を休んで付き添うべきですか

休むかどうかより、困ったときに連絡がつくことのほうが大事です。大学受験や高校受験なら、付き添いを望むかどうかを本人に聞き、望まないなら家から普段どおりに送り出します。仕事があるなら、当日の連絡手段と、動ける家族を前日までに決めておけば足ります。中学受験は親の付き添いが前提になることが多いので、日程が決まりしだい休みの段取りをしてください。

チェック表

図3のように、場面ごとの一言を決めておくと、その場で言葉を探さずに済みます。下の表は印刷して台所に貼り、できたものから印を付けてください。

図3 前日から発表までの場面ごとの親の一言
時期 確かめること 印
毎日 食事と風呂の時刻を昨日とそろえた □
毎日 点数と合否の話を親から始めなかった □
毎日 他の子の話をしなかった □
毎日 不安はお子さま以外の大人か紙に置いた □
試験の前まで 試験の日付、発表の日、手続きの締切を親の手帳に書いた □
試験の前まで 受験票の置き場所を親子で同じに決めた □
試験の前まで 経路、別の経路、所要時間を親も控えた □
試験の前まで 追試験や追検査の有無と連絡先を確かめた □
試験の前まで 不合格のときの最初の一言を決めた □
前日 どこまで付き添うかを本人に聞いた □
前日 夕食はいつもの献立にした □
当日の朝 受験票の確認は一度で止めた □
当日の朝 玄関の言葉は「行ってらっしゃい」にした □
帰宅 「どうだった?」を飲み込んだ □
発表の日 誰が先に結果を見るかを決めてある □
発表の日 夕食の時間に予定を入れていない □

今夜できることと個別指導で確かめること

今夜できることは2つです。1つ目は、次の試験の日付と受験票の置き場所を親の手帳に書くことです。お子さまに聞かず、募集要項と受験票で自分で確かめてください。2つ目は、今夜の声かけを「ここ置くね」か「ごはん、いつにする?」だけにして、扉の向こうの声の調子を聞くことです。言葉を減らしても何も壊れないと、一晩で確かめられます。

個別指導では、模試の点の上下ではなく、間違えた問題が前の学年のどの単元まで戻れば解けるのかを、本人の答案で1題ずつ確かめます。勉強の中身を親が手放せるのは、その確かめを本人と先生の間に置けるからです。

まとめ

直前期の親の言葉で点は上がりません。けれど、親の言葉ひとつで、扉の向こうの夜の重さは変わります。扉の前で足が止まるのは、言葉を選んでいる証拠です。励ましの名文を探さなくて構いません。盆を持つ手と、いつもの声があれば足ります。「ここ置くね」は、合格の夜にも不合格の夜にも、同じ声で言えます。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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