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高校数学 単元解説(数I・A・II・B・III・C)

【数学I】必要条件・十分条件をベン図で見分ける—矢印の向きと反例の出し方|武蔵野個別指導塾

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x=2 と x²=4 はどちらが必要でどちらが十分か。包む円と包まれる円の図、反例の作り方、ア〜エから選ぶ定期テストの形の例題まで、手を動かして見分け方を身につけましょう。

よくあるのは、夜の自室の机で学校のプリントを広げ、「x=2 は x²=4 であるための□」の空欄を前にペンが止まる場面です。選択肢には必要条件と十分条件が並び、どちらの言葉ももっともらしく見えます。「x=2 は答えなのだから、なくてはならない。だから必要」と書いて丸つけをすると、正解は十分条件。解説を読めばその場では納得できるのに、次の問題でまた同じ迷いに戻ってしまいます。語感で選んでいるかぎり、この迷いは何度でも帰ってきます。矢印を 1 本引いて反例を 1 つ探す手順に置きかえると、この空欄は迷う場所から読み取る場所に変わり、定期テストの 4 択も同じ手順で片づけられるようになります。

p ⇒ q が真のとき、p は q であるための十分条件、q は p であるための必要条件です。ベン図では、包まれる小さい円の側が十分条件、包む大きい円の側が必要条件にあたります。矢印が真かどうかは、p を満たすのに q を満たさない例、つまり反例が 1 つでも見つかるかで決まります。

この単元で押さえること

この内容は数学I の集合と命題の中心にあり、あとで学ぶ逆・裏・対偶や背理法の土台になります。

基本の考え方

「ならば」を矢印で書く

正しいか正しくないかがはっきり決まる文や式を命題といい、正しいときは真、正しくないときは偽といいます。これに対して「x=2」や「x²=4」のように、文字の値を決めてはじめて真偽が定まるものを条件と呼びます。

2 つの条件 p, q を使った「p ならば q」という命題を、p ⇒ q と書きます。p が仮定、q が結論です。身近な例で試してみましょう。「武蔵野市に住んでいる ⇒ 東京都に住んでいる」は真です。武蔵野市は東京都の中にあるので、武蔵野市に住んでいるとわかった瞬間に、東京都に住んでいることも確定します。向きを逆にした「東京都に住んでいる ⇒ 武蔵野市に住んでいる」は偽です。三鷹市に住んでいる人は、東京都に住んでいるのに武蔵野市には住んでいないからです。同じ 2 つの言葉でも、矢印の向きを変えると真偽が変わることがある。この 1 点が単元全体の出発点になります。

ベン図で包む側と包まれる側を見る

条件 p を満たすもの全体の集合を P、条件 q を満たすもの全体の集合を Q とします。p ⇒ q が真であるとは、P のどの要素も必ず Q に入っているということで、これは P⊂Q と同じ内容です。図1のように、小さい円 P がすっぽり大きい円 Q に入っていれば、P の中のどこに立っても、そこは Q の中です。

図1 小さい円 P が大きい円 Q に包まれるベン図と必要・十分の位置

条件がきびしいほど満たすものは少なくなるので、円は小さくなります。「武蔵野市に住んでいる」は「東京都に住んでいる」よりきびしい条件だから、内側の円になるわけです。円の大きさと条件のきびしさが逆向きに対応している、と気づいておくと、式の問題でも同じ見方ができます。

十分と必要の意味を言葉に戻す

図1の小さい円の側を十分条件、大きい円の側を必要条件と呼びます。決まりを正確に書くと、p ⇒ q が真のとき、p は q であるための十分条件、q は p であるための必要条件です。

意味に戻すと納得できます。武蔵野市に住んでいるとわかれば、東京都に住んでいると言うにはそれだけで足ります。これが「十分」です。反対に、東京都に住んでいなければ、武蔵野市に住んでいるはずがありません。武蔵野市に住むには、東京都に住んでいることが欠かせない。これが「必要」です。

日常の「必要」は「大事なもの」くらいの意味で使いますが、数学の必要条件は「それが成り立っていないと話が始まらないもの」で、大事かどうかは関係がありません。導入の「答えだから必要」が誤りなのは、ここを取り違えているからです。x²=4 は x=-2 でも成り立つので、x=2 は x²=4 に欠かせないものではありません。

判定は文の主語で行います。「A は B であるための□」という文では A が主語です。主語から矢印が出ていれば十分条件、主語に矢印が刺さっていれば必要条件です。矢印の根元が十分、矢印の先が必要、と 1 組で覚えておくと、どの問題でもこの読み方に帰ってこられます。

矢印が両向きなら必要十分条件

p ⇒ q と q ⇒ p がどちらも真のとき、p は q であるための必要十分条件といいます。このとき q も p であるための必要十分条件で、p と q は同値であるといい、p ⇔ q と書きます。集合で見ると P⊂Q かつ Q⊂P なので P=Q、つまり 2 つの円はぴったり重なります。たとえば 2x=6 と x=3 は同値です。式の形は違っても、満たす x は 3 だけで同じだからです。

どちらの矢印も偽のときは、必要条件でも十分条件でもありません。2 つの円が一部だけ重なっている場合や、まったく離れている場合がこれにあたります。

反例の作り方

p ⇒ q が偽であることを示すには、p を満たすのに q を満たさない例を 1 つ挙げれば足ります。この例を反例といいます。ベン図でいえば「P の中で Q の外」にある要素です。探すときは次の順に進みます。

  1. 仮定 p を満たすものを、具体的にいくつか書き出します。式なら解いてしまいます。
  2. その中から結論 q を満たさないものを探します。
  3. 見つからないときは、負の数、0、1、整数でない数など、性質が変わりやすい値を試します。2 乗すると符号が消える式なら負の数が狙い目です。

反対に、いくつ例を試して全部うまくいっても、真の証明にはなりません。真だと言うときは、式の変形や集合の包含で「すべての場合」を押さえます。偽は 1 つの例で決まり、真は例を並べても決まらない。この非対称が反例の力です。

例題で解き方を確かめる

どの問題でも手順は同じです。矢印を 2 本に分けて別々に調べ、最後に文の主語を読みます。1 本目だけで答えを決めないことが、いちばんの要点です。

例題1(用語の見分け)

x は実数とします。「x=2」は「x²=4」であるための何条件ですか。必要条件、十分条件、必要十分条件、どちらでもない、から選びなさい。

  1. 主語の x=2 を p、もう一方の x²=4 を q とおきます。主語を p にそろえておくと、最後の読み取りで迷わなくなるからです。
  2. p ⇒ q を調べます。x=2 を代入すると 2²=4 なので真です。
  3. q ⇒ p を調べます。x²=4 を解くと x=2, -2 です。x=-2 は q を満たして p を満たさないので反例になり、偽です。
  4. 真の矢印は p ⇒ q だけで、主語 p から矢印が出ています。根元にいるので十分条件です。

答え: 十分条件

例題2(数直線の読み取り)

x は実数とします。「x>1」は「x>3」であるための何条件ですか。

不等式は、円より数直線のほうが包む関係を目で追いやすくなります。2 つの範囲を描くと、図2のように x>3 の範囲が x>1 の範囲にすっぽり入ります。

図2 数直線で x>3 が x>1 に含まれる様子と反例 x=2
  1. 主語の x>1 を p、x>3 を q とおきます。例題1と同じく、主語を p にそろえるためです。
  2. q ⇒ p を調べます。3 より大きい数は必ず 1 より大きいので真です。図2で赤い範囲が紺の範囲の内側にあることと同じです。
  3. p ⇒ q を調べます。図2の x=2 は x>1 を満たしますが x>3 を満たしません。これが反例で、偽です。
  4. 真の矢印は q ⇒ p だけで、主語 p に矢印が刺さっています。矢の先にいるので必要条件です。

答え: 必要条件

同じ 2 つの条件でも「x>3 は x>1 であるための□」と主語を入れ替えれば、答えは十分条件に変わります。問題文のどちらが主語かを読み飛ばすと、計算が全部合っていても答えだけが反対になります。

例題3(文字が 2 つある条件)

a, b は実数とします。「ab=0」は「a=0」であるための何条件ですか。

  1. 主語の ab=0 を p、a=0 を q とおきます。
  2. q ⇒ p を調べます。a=0 なら、b がどんな実数でも ab=0 なので真です。
  3. p ⇒ q を調べます。ab=0 は「a=0 または b=0」と同じ内容なので、b だけが 0 の場合が抜け道になります。a=1, b=0 は ab=0 を満たしますが a=0 を満たさないので反例で、偽です。文字が 2 つあるときは、反例も 2 つの値をそろえて書きます。片方だけでは条件の真偽が定まらないからです。
  4. 真の矢印は q ⇒ p だけなので、矢の先にいる主語 p は必要条件です。

答え: 必要条件

例題4(定期テストの選択問題の形)

次の (1) から (4) の□に当てはまるものを、あとのア〜エから 1 つずつ選びなさい。x, y は実数とします。

選択肢は次の 4 つです。

話題がばらばらに見えても、図3の表 1 枚で片づきます。縦に p ⇒ q の真偽、横に q ⇒ p の真偽をとると、組み合わせは 4 通りしかなく、ア〜エにちょうど 1 つずつ対応しています。

図3 2 本の矢印の真偽で 4 つの答えが決まる判定の表
  1. 各小問で、主語を p、もう一方を q とおきます。図3の表をそのまま読めるようにするためです。
    1. について、p ⇒ q は、x=y なら 2 乗も等しいので真です。q ⇒ p は、x=1, y=-1 が反例で偽です。表の右上にあたるので十分条件、イです。
  2. (2) について、p ⇒ q は、x=-1, y=-1 のとき xy=1 で正ですが x は負なので偽です。q ⇒ p は、x=1, y=-1 のとき x は正ですが xy=-1 なので偽です。表の右下にあたるので、エです。
  3. (3) について、p ⇒ q は、実数の 2 乗は 0 以上なので、和が 0 になるのは x²=0 かつ y²=0 のときだけで真です。q ⇒ p は代入すると 0 になるので真です。表の左上にあたるので、ウです。
  4. (4) について、p ⇒ q は、角が直角でない平行四辺形が反例で偽です。q ⇒ p は、長方形の 2 組の対辺はそれぞれ平行なので真です。表の左下にあたるので必要条件、アです。

答え: (1) イ (2) エ (3) ウ (4) ア

まちがえやすいところと直し方

誤り1: 主語を読まずに「真の矢印があるから十分」と書く

誤った書き方は「x>1 は x>3 であるための十分条件。x>3 ならば x>1 は真だから」です。

どこが違うかというと、調べた矢印 x>3 ⇒ x>1 の根元は x>3 で、問われている主語の x>1 は矢の先にいます。矢印が真だとわかっただけでは答えは決まらず、その矢印のどちら側に主語がいるかを読んではじめて決まります。

正しい書き方は「x>3 ⇒ x>1 は真、x>1 ⇒ x>3 は偽で反例は x=2。主語の x>1 は矢の先にあるので必要条件」です。問題文の主語に線を引いてから p とおくと、この取り違えは起きにくくなります。

誤り2: 仮定を満たさない値を反例にする

誤った書き方は「x²=4 ならば x=2 は偽。反例は x=3」です。

どこが違うかというと、x=3 は結論の x=2 を満たしませんが、仮定の x²=4 も満たしていません。反例は「仮定は満たす、結論は満たさない」の 2 つがそろってはじめて反例です。図4の左のように、反例の入る場所は「P の中で Q の外」だけで、P の外にいる x=3 は命題の真偽に何の影響も与えません。

図4 2 つの円の重なり方で反例の入る場所の有無を比べる図

正しい書き方は「偽。反例は x=-2。(-2)²=4 だが x=2 でない」です。図4の右のように P が Q に包まれていれば「P の中で Q の外」は空っぽで、反例の入る場所がないから命題は真になります。反例を書いたら、仮定に代入して成り立つこと、結論に代入して成り立たないことの 2 つを確かめる習慣をつけると、この誤りは消えていきます。

誤り3: 例をいくつか試して真と決める

誤った書き方は「n が素数ならば n は奇数。3, 5, 7 で成り立つから真」です。

どこが違うかというと、例をいくつ並べても、試していない数の中に反例がひそんでいるかもしれません。実際に 2 は素数で偶数です。例が決め手になるのは偽と言うときだけです。

正しい書き方は「偽。反例は n=2」です。逆に真と言いたいときは文字で一般の形を書きます。「n が 6 の倍数ならば n は 3 の倍数」なら、n=6k(k は自然数)とおくと n=3×2k となるので、すべての場合に 3 の倍数だと言い切れます。

用語のまとめ

用語 意味 テストでの見どころ
命題 真か偽かが定まる文や式 「大きい数」のように基準があいまいなものは命題でない
条件 文字の値を決めると真偽が定まる文や式 x=2 や x²=4 など
仮定・結論 p ⇒ q の p が仮定、q が結論 反例は仮定を満たし、結論を満たさない
反例 命題が成り立たないことを示す例 偽と言うには 1 つで足りる
十分条件 p ⇒ q が真のときの p 矢印の根元、小さい円の側
必要条件 p ⇒ q が真のときの q 矢印の先、大きい円の側
必要十分条件 両向きの矢印が真のときの p と q 2 つの円がぴったり重なる
同値 p ⇔ q の関係 満たすものの集合が同じ
部分集合 P⊂Q のときの P p ⇒ q が真であることと同じ内容
逆 p ⇒ q に対する q ⇒ p もとが真でも逆が真とは限らない

テスト前には、表の「十分条件」と「必要条件」の行だけでも手で書き写してみてください。「矢印の根元と先」「小さい円と大きい円」の 2 組が同じ向きにそろっていることを、書きながら確かめられます。

練習問題

練習1 x は実数とします。「x=-3」は「x²=9」であるための何条件ですか。

練習2 次の命題の真偽を調べ、偽のときは反例を 1 つ挙げなさい。x は実数、n は自然数とします。

練習3 x は実数とします。「0 < x < 1」は「x < 2」であるための何条件ですか。数直線に 2 つの範囲を描いて答えなさい。

練習4 次の□に当てはまるものを、例題4のア〜エから選びなさい。a, b は実数とします。

答えと解説

練習1 十分条件です。x=-3 ⇒ x²=9 は真で、x²=9 ⇒ x=-3 は x=3 が反例で偽です。主語から矢印が出ています。

練習2 (1) 偽で、反例は x=0 です。x²=x を解くと x=0, 1 で、x=0 は仮定を満たし結論を満たしません。(2) 真です。x>2 のとき x は正なので、2 乗しても大小は変わらず x²>4 です。(3) 真です。n=4k(k は自然数)とおくと n=2×2k で偶数です。

練習3 十分条件です。0 < x < 1 の範囲は x < 2 の範囲に含まれるので、0 < x < 1 ⇒ x < 2 は真です。逆は x=-1 が反例で偽です。

練習4 (1) ウです。二等辺三角形の 2 つの底角は等しく、逆に 2 つの角が等しい三角形は二等辺三角形なので、両向きとも真です。(2) アです。「a>0 かつ b>0 ⇒ a+b>0」は真で、逆は a=3, b=-1 が反例で偽です。主語の a+b>0 は矢の先にいます。(3) エです。a=1, b=-2 のとき a>b ですが a²=1, b²=4 なので、a>b ⇒ a²>b² は偽です。a=-2, b=1 のとき a²>b² ですが a>b ではないので、a²>b² ⇒ a>b も偽です。

次の単元へのつながりと確かめ方

この単元の矢印は、すぐ次の逆・裏・対偶と背理法でそのまま使います。対偶は「q でない ⇒ p でない」の形の命題で、もとの命題と真偽が一致するため、直接示しにくい命題の証明に役立ちます。数学II の微分では「f’(a)=0 は x=a で極値をとるための必要条件」という形で、もう一度出会います。

家で 5 分あれば、次の 2 つで確かめられます。1 つ目は主語の入れ替えです。「x=2 は x²=4 の十分条件」と言えたら、続けて「x²=4 は x=2 の必要条件」と声に出せるかを試します。2 つ目は白い紙を 1 枚使います。大小 2 つの円を描き、小さい円に正方形、大きい円に長方形と書いて、どちらが十分でどちらが必要かを 10 秒で言ってみます。ご家庭で答案をのぞくときは、答えの正誤より先に、お子さまの答案に矢印と反例が書いてあるかを見ていただくと、どこで止まっているかがつかめます。

個別指導では、答えを選ぶ前に数直線や円を自分で描けているかを見て、描けないときは不等式の表し方や集合の記号まで戻って確かめます。

まとめ

文字が増えても図形の話に変わっても、やることは矢印を 2 本に分けて反例を探し、文の主語が矢の根元か先かを読むことだけです。問われているのは 2 つの集合の包み方なので、小さい円と大きい円の図を 1 枚持っていれば、空欄の前で語感に頼る理由はなくなります。

必要と十分は、語感で選ぶ言葉ではありません。反例を探し終えたあとに、ようやく名乗ることを許される言葉です。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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