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【地学基礎】日本列島の成り立ちを図解で総まとめ—海溝・火山前線・弧状列島|武蔵野個別指導塾

海溝のすぐ隣に火山が並ばないのはなぜか。東北日本の断面図と活火山の地図を手がかりに、マグマが生まれる順序と付加体の新旧を、計算や論述の例題で解きほぐせます。
よくあるのは、定期テスト前の自習室で、白板に日本列島の断面を描こうとしたマーカーが海溝の次で止まるという場面です。右端に海溝を描き、斜めに沈むプレートの線までは引けています。ところが、火山をどこに置けばいいのかが決まりません。海溝のすぐ隣なのか、もっと陸の奥なのか。4 つのプレートの名前は言えるのに、どれがどれの下に沈むのかを聞かれると言葉が続かず、マーカーを持ったまま時間だけが過ぎていきます。
この単元を通り抜けると、白板の断面図を海溝から日本海まで説明つきで描けるようになります。火山の位置も、暖かい海の化石が山の石灰岩から出る理由も、プレートの沈み込みという 1 本の筋で答えられるようになります。
この単元で押さえること
- 4 つのプレート: ユーラシア、北アメリカ、太平洋、フィリピン海の 4 枚が日本付近に集まり、溝ごとに「沈む側」と「上にのる側」の組が決まっています。
- 海溝とトラフ: どちらも日本付近ではプレートの沈み込みがつくる海底の溝で、深いものが海溝、浅いものがトラフです。
- 海溝から陸への並び: 海溝、前弧、火山前線、背弧の順に並び、火山前線より海溝側には火山がありません。
- マグマの発生: 沈むプレートから出た水がマントルの融点を下げ、深さ約 100 km の上あたりでマントルの一部が融けます。
- 付加体: 海洋プレートの上の堆積物などが海溝で陸側に押しつけられたもので、日本列島の土台の多くをつくっています。
- 島弧: 海溝に沿って弓なりに連なる島の列で、弧状列島とも呼びます。
プレート境界の単元で学んだ沈み込みを日本列島という具体的な場所に当てはめる単元で、ここで出会うチャートや砂岩は、このあとの堆積岩と地層の単元で読み方を詳しく学びます。
基本の考え方
4 枚のプレートと沈み込みの組
日本列島は、大陸プレート 2 枚と海洋プレート 2 枚が集まる場所にあります。大陸プレートはユーラシアプレートと北アメリカプレート、海洋プレートは太平洋プレートとフィリピン海プレートです。図1のように、太平洋プレートは西北西へ、フィリピン海プレートは北西へ、それぞれ年に数 cm の速さで動いています。爪の伸びる速さにたとえられるほどゆっくりですが、止まることはありません。

海洋プレートは大陸プレートより密度が大きいので、ぶつかると下へ沈みます。海洋プレートどうしが出会う伊豆・小笠原海溝では、より古くて冷えた太平洋プレートがフィリピン海プレートの下へ沈みます。沈む場所の海底には細長い溝ができ、水深が約 6000 m を超えるものを海溝、それより浅いものをトラフと呼びます。日本海溝の最も深いところは約 8000 m、南海トラフは約 4000 m です。名前は違っても、図1の赤い線はすべて沈み込みの現場で、三角の印がついている側が上にのるプレートです。
| 溝の名前 | 沈むプレート | 上にのるプレート |
|---|---|---|
| 千島海溝・日本海溝 | 太平洋 | 北アメリカ |
| 伊豆・小笠原海溝 | 太平洋 | フィリピン海 |
| 相模トラフ | フィリピン海 | 北アメリカ |
| 駿河トラフ・南海トラフ・琉球海溝 | フィリピン海 | ユーラシア |
ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界は、日本海の東の縁から本州の中部へ抜けると考えられていますが、はっきりした線は引きにくく、位置には諸説があります。図1でここだけ破線にしているのはそのためです。
海溝から陸へ向かう並び
東北地方を東西に切って、太平洋側から陸へ歩くつもりでたどってみます。海溝の底から海底の斜面を上がって海岸に着き、低い山地や盆地を越えると、奥羽山脈の火山の列に出会います。海溝からここまでの間が前弧で、火山は 1 つもありません。最初の火山が現れる線が火山前線(火山フロント)で、海溝から約 200〜300 km 陸側を、海溝とほぼ平行に走っています。
火山前線より陸側は背弧と呼ばれ、ここにも火山があります。東北地方なら日本海側の平野へ抜け、その先が日本海です。「前線」は最前線の前線と同じ語感で覚えると、ここより海溝側には火山が出てこないという意味をつかめます。
水がマントルを融かす
なぜ海溝から離れたところに火山が並ぶのでしょうか。沈むプレートは、水を含む鉱物を持った岩石を地下深くへ運びます。深くなって圧力と温度が上がると、岩石は抱えていた水を放出します。この水が上にあるマントルに入ると、マントルの岩石の融点(融けはじめる温度)が下がります。雪道にまく凍結防止剤のおかげで 0℃ より低くても氷が融けるのと似た関係で、混ざりものが融けはじめる温度を下げるのです。
こうしてマントルの一部が融けてマグマが生まれ、まわりより軽いので上昇します。沈むプレートの上面が深さ約 100 km に達したあたりの真上に火山前線がくるのは、そこでマグマが生じはじめると考えられているからです。マントルが融けて生じるのは玄武岩質のマグマで、地殻の中を上がる途中で組成が変わり、日本の火山では安山岩質の岩石が多く見られます。
付加体と島弧
海洋プレートの上には、長い旅の記録が積もっています。海嶺で玄武岩の海洋地殻として生まれたプレートが陸から遠い海底を移動する間に、放散虫などの微小な生物の殻が積もり、固まってチャートができます。海山があれば、頂上のサンゴ礁が石灰岩のもとになります。海溝に近づくと、陸から運ばれた砂や泥がその上に重なります。
海溝でプレートが沈むとき、これらの一部がはぎ取られ、陸側へ次々に押しつけられます。ブルドーザーの刃の前に土がたまっていく様子に似ています。こうしてできた地質体が付加体で、押し上げられて陸の一部となり、日本列島の土台の多くを占めています。西南日本の太平洋側では、海溝に近づくほど新しい付加体が帯のように並びます。
こうした沈み込み帯に沿う島の列が島弧(弧状列島)です。千島弧、東北日本弧、伊豆・小笠原弧、西南日本弧、琉球弧が海溝に沿って連なり、弓はおおむね海溝の側へふくらんでいます。奥羽山脈のように、山脈や盆地が海溝とほぼ平行に細長く並ぶのも特徴です。背弧の日本海はこのような場所に開いた海で、背弧海盆と呼ばれます。約 2000 万年前ごろから開きはじめ、日本列島のもとになる陸地が大陸の縁から離れたと考えられています。
例題で解き方を確かめる
例題1 沈み込みの組を見分ける
次の a〜c の溝について、沈むプレートと上にのるプレートの組をそれぞれ答えなさい。a 日本海溝、b 南海トラフ、c 伊豆・小笠原海溝。
- 溝の位置を地図に置きます。組は場所で決まるので、名前の暗記より先に、図1の上で溝がどこにあるかを確かめます。
- 海側のプレートを読みます。沈むのは海側のプレートだからです。a と c の東側は太平洋プレート、b の南側はフィリピン海プレートです。
- 陸側のプレートを読みます。上にのるのは溝の反対側のプレートだからです。a の西は東北地方をのせた北アメリカプレート、b の北は西南日本をのせたユーラシアプレート、c の西はフィリピン海プレートです。
答え: a は太平洋プレートが北アメリカプレートの下へ、b はフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下へ、c は太平洋プレートがフィリピン海プレートの下へ沈みます。
例題2 断面図から火山前線を読む
図2は東北日本を東西に切った断面で、左が日本海側、右が太平洋側です。縦と横の縮尺をそろえてあり、火山の高さだけを誇張しています。(1) 火山前線の真下で、沈むプレートの上面の深さはおよそ何 km ですか。(2) 図2の前弧に火山がない理由を述べなさい。

- 左の目盛りで深さ 100 km の破線を見つけます。断面図の読み取りは、目盛りの確認から始めると読み違えないからです。
- 火山前線から真下へたどり、プレート上面と交わる赤い点の深さを読みます。赤い点が破線の上にあるので約 100 km です。
- 前弧の真下のプレート上面を読みます。理由を問う設問でも、まず図の事実を押さえる必要があるからです。図2では、前弧のどの場所でも上面は 100 km より浅くなっています。
- 読み取った事実をマグマの発生と結びつけます。聞かれているのは理由なので、事実を因果の形に直します。
答え: (1) 約 100 km。(2) 前弧の下では沈むプレートがまだ深さ約 100 km に達しておらず、マグマが生じないから。
例題3 付加体の順番と旅の距離
図3は付加体の断面の模式図です。A、B、C は断層で区切られた板のような岩体で、どの板も下から玄武岩、チャート、砂岩・泥岩の順に重なっています。(1) A〜C を、陸側に加わった順に並べなさい。(2) ある板のチャートの最下部の年代が 2 億年前、砂岩・泥岩の年代が 1.5 億年前でした。この間、プレートが年に 8 cm の一定の速さで海溝へ向かって動いたとすると、移動した距離は約何 km ですか。

- 海溝からの距離を見ます。新しい板は海溝の側で、古い板の下へもぐりこむように加わるからです。海溝から遠い A が最初で、近い C が最後です。
- 時間を求めます。距離は速さと時間の積なので、先に時間が要るからです。2 億年 − 1.5 億年 = 5000 万年です。
- 距離を cm で求めます。速さの単位が cm/年なので、そのままかけ算できるからです。8 cm/年 × 5000 万年 = 4 億 cm です。
- km に直します。問われている単位が km だからです。1 km は 10 万 cm なので、4 億 cm ÷ 10 万 = 4000 km です。
答え: (1) A、B、C の順。(2) 約 4000 km。
チャートが積もりはじめた海底は、海溝から 4000 km ほど離れていたことになります。1 枚の板を下から上へ読むだけで、海の底の旅の長さまで見積もれるわけです。
例題4 山の石灰岩を説明する
海から離れた山地で、暖かく浅い海にすむ生物の化石を含む石灰岩が見つかることがあります。その理由を「海洋プレート」「海溝」「付加」の語を使って 60 字程度で述べなさい。
- 出発点を決めます。暖かく浅い海の化石があるのだから、外洋の火山島や海山の上のサンゴ礁などが石灰岩のもとになったと考えます。
- 移動の手段を入れます。もとの場所と今の場所が離れているので、海洋プレートが運んだと説明します。
- 陸の一部になったしくみを入れます。沈まずに残るには海溝での付加が必要で、今は山にあるので隆起も添えます。
- 3 つの語が原因から結果の順に並んでいるか確かめます。語が入っていても順序が逆だと説明にならないからです。
答え: 海洋プレート上の海山にできた石灰岩が、プレートの移動で海溝まで運ばれ、陸側に付加したのち隆起して山地に現れたから。
まちがえやすいところと直し方
融けるのは沈むプレートだと書いてしまう
誤った書き方は「沈み込むプレートが摩擦熱で融けてマグマになる」です。
どこが違うかというと、融けるのはプレート自体ではなく、その上のマントルです。沈むプレートはまわりのマントルより冷たく、融ける主役ではありません。きっかけも摩擦熱ではなく、プレートから出た水です。図2で水の矢印がプレートの上面から上へ出ていて、その先にマグマがあるのはそのためです。
正しい書き方は「沈み込むプレートから放出された水によってマントルの融点が下がり、マントルの一部が融けてマグマが生じる」です。
火山前線を「火山が 1 列に並ぶ線」と書いてしまう
誤った書き方は「火山前線は火山が 1 列に並ぶ線で、背弧には火山がない」です。
どこが違うかというと、図4のように火山前線は火山が分布する範囲の海溝側の縁で、背弧側にも活火山があります。火山がないのは前弧の側です。また、海溝に近ければ火山があるとも言えません。図4の四国は南海トラフのすぐ近くにあるのに活火山がなく、ここではフィリピン海プレートが火山をつくる深さまで沈んでいないと考えられています。

正しい書き方は「火山前線は海溝とほぼ平行に走る、火山の分布の海溝側の限界である。これより海溝側に火山はなく、背弧側には火山がある」です。
付加体でも「上ほど新しい」と書いてしまう
誤った書き方は「付加体では、上にある岩石ほど新しい」です。
どこが違うかというと、1 枚の板の中では上ほど新しいのですが、断層をまたぐと逆になります。図3で B と C の境の断層を上下にまたいで縦にたどると、上に B、下に C があり、上の B のほうが先に加わった古い板です。新しい板が海溝の側から古い板の下へもぐりこむからです。地層累重の見方をそのまま全体に当てはめると、ここで逆の答えになります。
正しい書き方は「1 枚の板の中では上ほど新しいが、板どうしでは海溝に近く下にある板ほど新しい」です。
用語のまとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 4 つのプレート | 大陸プレートのユーラシア・北アメリカと、海洋プレートの太平洋・フィリピン海 |
| 海溝 | プレートが沈み込む、水深約 6000 m を超える細長い溝 |
| トラフ | 海溝より浅い細長い溝。南海・駿河・相模の各トラフではプレートが沈み込む |
| 沈み込み帯 | プレートが別のプレートの下へ沈む場所 |
| 火山前線(火山フロント) | 火山の分布の海溝側の縁。海溝とほぼ平行に走る |
| 前弧 | 海溝と火山前線の間。火山がない |
| 背弧 | 火山前線より海溝と反対の側。火山がある |
| 融点の低下 | 水が加わることでマントルの岩石が低い温度で融けはじめること |
| 付加体 | 海洋プレートの上の堆積物などが海溝で陸側に押しつけられてできた地質体 |
| チャート | 放散虫などの殻が陸から遠い海底に積もってできた、SiO₂ が主成分の岩石 |
| 石灰岩 | サンゴなどの殻がもとになった、CaCO₃ が主成分の岩石 |
| 島弧(弧状列島) | 海溝に沿って弓なりに連なる島の列 |
| 背弧海盆 | 島弧の背弧側に開いた海。日本海がその例 |
練習問題
練習1 次のうち、太平洋プレートが沈み込む溝をすべて選びなさい。ア 千島海溝、イ 相模トラフ、ウ 南海トラフ、エ 伊豆・小笠原海溝。
練習2 図2の縮尺を使い、海溝から水平に約 150 km の地点と約 350 km の地点を比べます。火山がありうるのはどちらですか。真下のプレート上面の深さにふれて答えなさい。
練習3 太平洋プレートが年に 8 cm の速さで斜面に沿って沈むとします。海溝から斜面に沿って 320 km 進んだ部分は、海溝を通過してから約何年たっていますか。
練習4 付加体の 1 枚の板では、古いチャートの上に新しい砂岩・泥岩が重なっています。これはプレートの移動について何を示していますか。50 字程度で述べなさい。
答えと解説
練習1 ア、エ。イとウはどちらもフィリピン海プレートが沈む溝です。太平洋プレートは、千島海溝では北アメリカプレートの下へ、伊豆・小笠原海溝ではフィリピン海プレートの下へ沈みます。
練習2 約 350 km の地点。約 150 km の地点の真下ではプレート上面の深さが約 40 km で、まだ 100 km に届いていません。約 350 km の地点の真下では約 140 km まで沈んでいて、ここは火山前線より陸側の背弧にあたります。
練習3 約 400 万年。320 km は 3200 万 cm なので、3200 万 ÷ 8 = 400 万年です。距離と速さの単位を cm にそろえてから割るのが手順の要です。
練習4 陸から遠い海底で積もったチャートが、プレートとともに海溝付近まで移動し、陸から来た砂や泥に覆われたこと。チャートは遠い海、砂岩・泥岩は陸の近くで積もるので、1 枚の板を下から上へ読むと海底の移動をたどれます。
次の単元へのつながりと確かめ方
ここで描いた断面図は、次の堆積岩の単元でそのまま使います。チャートや砂岩・泥岩が付加体のどこに現れるかを知っていると、岩石の分類表が地図の上の話に変わります。海溝型の地震や津波を学ぶときも、舞台は同じ沈み込みの場所です。
家に帰ってから 5 分で試せることを 2 つ書きます。1 つ目は、裏紙に右端から海溝、前弧、火山前線、背弧の順に断面を描き、水とマグマの矢印を入れてみることです。2 つ目は、地図帳で火山の記号を太平洋側からたどり、四国に見つからないことを確かめて、その理由を声に出して言うことです。お子さまの説明をご家庭で聞いていただくだけでも確かめになります。個別指導では、プレートの名前の暗記に戻る前に白紙へ断面を描いてもらい、手が止まった線から戻る先を決めます。融け方で止まるなら、火山とマグマの単元まで戻って確かめます。
まとめ
海溝の次に何を描くかで止まっていた白板は、沈むプレートを深さ 100 km まで追えば埋まります。地図では細い弓に見える列島も、断面で見れば海の底と地下のマントルがつながった 1 つのしくみです。火山は水がマントルを融かした先に現れ、海の底の岩石は海溝で陸にしがみつきました。山で石灰岩やチャートを見つけたら、それは何千 km も旅をしてきた海底のかけらです。沈みきれなかった海の底の上で、私たちはテスト勉強をしています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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