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英語で話そうとする気持ち—「話せる気がする」が話す回数を決める|武蔵野個別指導塾
答えが浮かんでも声を出せないときは、相手や準備の条件に目を向けます。話す前の予想と実際の行動を記録し、次も使いたい助けを本人が選ぶことから始められます。

英語で話そうとする気持ち—「話せる気がする」が話す回数を決める
答えは浮かんでいるのに、声を出す前に迷う
よくあるのは、通学電車の座席で、隣に友だちが座った後、英語の発表用のメモを開き、書いてある文なら読めるのに、友だちに聞いてもらう約束を切り出せないという場面です。「何を話すか」は決めてあります。それでも、途中で言葉が出なくなったらどうしようと思うと、練習はまた明日でよい気がしてきます。
こうしたとき、周囲には「答えを知っているのだから話せばよい」と見えるかもしれません。けれども本人にとって、知っている英語があることと、今ここでそれを使おうと思えることは別です。声を出す直前には、相手、話題、準備、間違えた後の対応など、いくつもの気がかりが重なります。
英語で話す練習では、単語や文法を増やすことに加えて、「この条件なら自分にも伝えられそうだ」という見通しを育てたいところです。その見通しを確かめるには、気合いの強さを採点するより、実際にどこから話し始められたかを見るほうが役立ちます。まずは一人で試せる短い練習から、次の発話につながる条件を探していきましょう。

「できること」と「できそうな感じ」を分けて考える
第二言語の学習では、機会があればその言語でやりとりしようとする気持ちを「話そうとする意欲」として考えます。日常の「やる気」より場面を絞った考え方です。英語が好きかどうかだけでなく、目の前の質問に答えようと思えるか、自分から短く尋ねようと思えるかに目を向けます。静かな性格か、普段よく話すかという分類だけで、お子さまの英語への参加を決めつける必要はありません。
外国語として英語を学ぶ学習者の研究をまとめたメタ分析では、話そうとする意欲は、自分が感じる伝える力、不安、動機づけのそれぞれと中程度の相関を示し、その中で最も強く関係していたのは、自分が感じる伝える力でした(Elahi Shirvanほか、2019)。対象を日本の中学生だけに絞った研究ではなく、相関から「自信をつければ発話回数が増える」と因果の向きまで決めることはできません。この結果を、話し始める条件を考えるための手がかりにしましょう。
「自分が感じる伝える力」は、テストで測る英語力そのものとは区別します。たとえば、好きな食べ物を答える文を知っていても、相手から続けて質問されると思えば、答えるのをためらうことがあります。反対に、使える英語は少なくても、最初の質問がわかり、短く答えてよいとわかっていれば、口を開きやすいことがあります。どちらも、語彙の量だけでは説明しきれない場面です。
ここで目指す「話せる気がする」は、何でも間違えずに話せるという大きな自信ではありません。「好きなものなら、この文で伝えられる」「聞き取れなければ、もう一度お願いできる」といった、条件のついた小さな見通しです。何を頼りに話せると思ったのかが具体的なら、同じ頼りを次にも用意できます。漠然と「大丈夫」と言うだけでは残りにくい足場を、言葉と行動で残します。
また、意欲と実際の回数も分けて見ます。答えるつもりでいても、相手が先に話したり、順番が来なかったりすれば、発話は起こりません。一方、指示されて声を出した回数が多くても、次は自分から話したいと思っているとは限りません。気持ちが発話につながる過程を考えるときには、話したいと思えたか、話す機会があったか、その機会を使えたかを順に見る必要があります。
だから、発話が少ない日に確かめたいのは、本人の意欲の有無だけではありません。問いが広すぎなかったか、答えを選ぶ時間があったか、言い直してよいと理解していたかも見ます。「休日について自由に話して」では迷っても、「休日にすることを一つ言って」なら始められるかもしれません。話す内容の範囲を狭めることは、本人の力を低く見積もることとは違います。
たとえば「英語を話したいけれど、続く質問が心配」という気持ちなら、最初の答えを増やすだけでは心配が残ります。質問を聞き直す言葉を持つ、今日は追加の問いを決めておくといった準備が考えられます。「話したくない」という一言の中身を、内容、相手、進め方に分けると、本人にも選べる対応が出てきます。何を変えれば試せそうかを、本人の言葉で表せることも練習の目標にしてください。
逆に、毎回すべてを用意してもらう形では、自分で選んで話す部分が残りません。答えの候補を持ちつつ、自分のことに合うものを選ぶ。その小さな選択を練習に入れます。「英語全体に自信がつくまで待つ」という順番をほどき、今日の問いに使える準備を先に整えるのです。次の手順は、この考え方を家庭で試すための練習案です。
今日の一言を、自分で選んで試す手順
用意するものは、学校で使っている教科書、授業のノート、書くための紙、時間を見られる時計です。新しい教材を増やす前に、すでに学んだ表現で話せる内容を探します。最初は合計10分ほどを区切りにして、長く話すことより、始める前の予想と実際の様子を比べることに時間を使ってください。途中で難しさが強くなったら、文を短くして試し直せます。
1. 最初の2分で、答えられる問いを選ぶ
紙に「好きな食べ物」「放課後にすること」「好きな季節」と書き、その中から今日なら話せそうな話題を選びます。迷ったら、英語で言える名詞がすでにあるものにします。好きなことでも説明が複雑になる話題は、今日は横に置いて構いません。自分について伝える内容が一つ決まれば、そこで話題選びを終えます。
次に、教科書から使えそうな文の形を一つ探します。好きなものなら、I like apples. のように、学んだ文で十分です。教科書の文をそのまま自分の事実として使わず、名詞を自分に合うものに替えます。授業のノートは、替えた後も文の形が保てているかを見るために使います。教材を探し続ける時間と、声を出す時間を混ぜないようにします。
話す前に紙の端へ、「今は言えそう」「メモがあれば言えそう」「まだ難しそう」のどれかを書きます。これは成績ではなく、今日の準備を選ぶための目印です。「まだ難しそう」なら、答える内容を一つ減らすか、文全体を見られるようにします。強気の予想を書くことを目標にすると、本当は何が助けになるのかが見えにくくなります。
2. 次の2分で、始め方と困ったときの言葉を用意する
紙に今日の最初の文を書き、その下には続けられそうな内容を日本語で短く置きます。たとえば「好きな食べ物」「朝に食べる」です。初めから長い英作文を完成させる必要はありません。I like apples. の後に I eat them in the morning. を続けるなら、どちらも自分が言いたいことと合うか確かめます。続きが重ければ、最初の文だけを今日の目標にします。
さらに、相手の言葉が聞き取れないときに使う Please say that again. を、習った範囲で確かめておきます。やりとりの準備には、答えの文に加えて、会話を続けるための言葉も入ります。ただし、一人練習でこの文が言えたことと、人との会話で使えたことは分けて残してください。今は「困ったら何を言うか」を手元に持つ段階です。
紙は、上を「話し始める文」、下を「困ったときの文」に分けると探しやすくなります。授業のノートにある表現を、用途に合わせて取り出す使い方です。見た目を整えるために長く書き写す必要はありません。紙を置く位置も決め、詰まったときは見てよいことにします。助けを使ったかどうかが、後で次の条件を選ぶ手がかりになります。
3. 次の2分で、短く声を出して一度終える
自分で What food do you like? と問いかけ、用意した文で答えます。問いを声に出すのが負担なら、日本語で「好きな食べ物は」と読んでから英語で答えても構いません。練習の焦点は、今の自分が答えを始められるかどうかです。文を全部読んだ場合は「見て言った」、単語だけ見た場合は「単語を見て言った」と、そのまま記します。
話している途中で文法が気になっても、いったん決めた内容の終わりまで進みます。終えてから教科書やノートを開き、今日使った文の形を一つ確かめます。すべての誤りを一度に探そうとせず、たとえば I like の後に何を置いたかを見る程度に絞ります。「始められたこと」と「直したい形」を同じ欄に混ぜず、両方残してください。
声が出なければ、メモを近づけて最初の文を読み、それから顔を上げてもう一度言います。最初から見ずに言う条件だけに固定しないことです。それでも難しければ、その日は読めたところを記して終えます。言えなかった続きを延々と試すより、次に使う助けを具体的に決めて区切ります。終了の目安があれば、練習を始めるときにも範囲が見えます。
4. 次の2分で、一つの条件だけを変える
最初の試行で文全体を見たなら、次は名詞だけを残して言ってみます。メモを減らすのが難しければ、文全体を見たまま、食べ物の名前だけ替えてください。相手、話題、メモの量を一度に変えると、何が難しかったのかがわからなくなります。今日変えるものを紙に一つ書き、それ以外はなるべく同じにします。
ここで確かめるのは、最初の文に入れたか、選んだ内容まで言えたか、止まった後に戻れたかです。時計を見て話す速さを競う必要はありません。始めるまで少し待っても、自分で言う内容を選んで声に出したなら、その事実を残します。読むときよりゆっくりになったことだけで、練習全体を失敗にしないようにしてください。
変えた条件で難しくなったら、元に戻してよいと決めておきます。戻すことも、使える助けを見つけるための比較です。「単語だけでは途中で止まったが、最初の文があれば続いた」と書ければ、次回の出発点は明確です。楽に言えたときも、すぐに内容を増やし続けず、今日の範囲で一区切りにします。
5. 最後の2分で、予想と行動を並べる
紙には「話す前の感じ」「実際にしたこと」「使った助け」「次に試すこと」を短く残します。たとえば「メモがあれば言えそう/最初の文から言えた/文全体を見た/次は名詞だけ残す」です。書くのに時間がかかるなら、文章ではなく短い言葉で十分です。点数にまとめず、次の準備に使える情報を選びます。
振り返りでは、最初の予想に戻って確かめます。「まだ難しそう」と思っていたのに読めたなら、読む条件では始められたという発見です。「言えそう」と思ったのに止まったなら、止まった場所を丸で囲みます。予想を外した自分を責めず、見通しを少し詳しくします。話す前の気持ちと実際の行動は、同じ日に違っていても構いません。
記録を見返すときは、声を出せた日だけを集めず、取り組めなかった日の条件も短く添えます。「問いを選ぶ前に時間がなくなった」なら、次は話題選びから始めます。「答える内容はあったが、音にするところで迷った」なら、ノートの文を声に出すところへ戻ります。同じ空欄に見えても、次に必要な準備は違います。休んだ分をまとめて取り返す回数を決めるより、再開する位置を一つ決めておきましょう。
次の日は、その紙を見て同じ入口から始めます。人との練習へ進みたいときは、相手に聞いてもらえるか尋ね、最初は用意した問いだけにしてもらう方法があります。一人で始められたことを、そのまま人前での成功と数えず、相手がいる条件を新しく確かめます。練習への参加を自分で選ぶ部分を残しながら、試す場面を広げていきます。

個別指導で確かめたい、話し始めるまでの支援
個別指導を検討するときは、英語を話す量に加えて、その量に至るまでを見てください。問いを聞いて黙ったとき、すぐに先生が答えを完成させるのか、本人が選べる手がかりを用意するのかで、練習の中身は変わります。武蔵野個別指導塾では、黙ったときに先生が答えを完成させるか、本人が選べる手がかりを出すかを、体験授業や面談で確かめてください。
塾に相談したいのは、まず「英語がわからない部分」と「知っているが使いにくい部分」の切り分けです。たとえば、文を見れば意味を説明できるか、見ながら声に出せるか、名詞を替えて言えるかを順に確かめる方法があります。どの段階でも難しければ、言葉や文の学習へ戻る必要があります。見ずに答えるときだけ止まるなら、その条件の調整が相談の中心になります。
ここを気持ちの問題だけにすると、必要な学習が抜けてしまいます。本人が「自信がない」と言っても、具体的には質問の意味がわからないのか、使う動詞が出ないのか、答えの終わりが決まらないのかで助け方は違います。先生には「自信をつけたい」と伝えるだけでなく、家庭で試した紙を見せながら、止まったところを確かめてもらうと話が具体的になります。
課題の大きさについても確認したいところです。「自分の好きなことを話す」では広すぎるなら、好きなものを選ぶ、短く答える、理由を添えるというように、取り組む範囲を分けられるかを尋ねます。最初から理由まで必要なのか、今日は答えを始めるところを練習するのかが本人に伝わっていると、何を準備すればよいか見えてきます。
訂正の受け方も相談の材料になります。話そうとした直後に止められると、何を直す時間なのか本人が戸惑うことがあります。「先に内容を最後まで聞いてほしい」「終わってから、この文を確かめたい」と本人の希望を短く伝えてみてください。伝える練習と形を確かめる練習の区切りが見えるか、助けを求めたときに説明してもらえるかを見ます。
塾側に担ってほしいのは、英語の正しさの判断、課題の調整、次に使う表現の選定です。一方、家庭では、本人が決めた短い練習を始められる場所と区切りを整えれば十分です。保護者が発音や文法を全部判定する役まで抱える必要はありません。聞き手になる場合も、「何の話だったか」を日本語で返す程度から始められます。
家庭で避けたいのは、「今日は何回話したの」と回数だけを毎回確認する形です。回数の目標を満たすために同じ文を読み続けても、本人が選んで話し始める場面が増えたとは限りません。「今日はどこなら始めやすかった」と、条件を尋ねてみてください。答えたくなさそうなら、紙を本人の手元に戻し、必要なときに共有する形を相談します。
進み具合は、文の長さだけでなく助けの使い方でも見ることができます。「文全体を見れば答えられた」「単語を見て始められた」「質問を聞き直してから答えられた」は、それぞれ違う情報です。これらを一列の順位に並べる必要はありません。話題が変われば文全体のメモに戻ることもあります。何について、どんな条件でできたかを添えます。
連絡に使うなら、「場面・本人の予想・実際の発話・次の条件」の順にまとめると、気持ちと行動を分けて相談できます。たとえば「好きな食べ物の質問、メモが必要と予想、文を見て答えた、次は最初の語を残したい」です。記録を増やすこと自体を目的にしないようにします。
保護者の見立てと本人の感じが違う場合も、そのまま並べて伝えます。保護者にはすらすら言えたように聞こえても、本人は強く緊張していたかもしれません。「できたのだから自信を持ちなさい」で終えず、「どこに助けがあれば次も試せそうか」と聞きます。外から見えた達成と、本人が次に参加できそうかという見通しの両方が、支援を選ぶ材料になります。
話そうとする気持ちについての3つの疑問
Q1. 内気だと、英語で話す練習にも向いていませんか
普段の話し方だけで、練習の向き不向きを決めないでください。大勢の前で自由に話すことと、内容を決めて相手に短く伝えることでは、求められる準備が違います。まずは、話す内容が決まっているか、最初の文が手元にあるかを確かめます。性格を変える目標より、使える条件を見つける目標のほうが、今日の練習を選びやすくなります。
聞き手として待てたことや、相手の内容を理解できたことも、会話に参加するうえでは意味があります。そのうえで、自分の発話については別に小さな目標を持ちます。相手の答えを聞いた後に、自分の好きなものを一つ答えるところから試してみてください。
話すことに積極的に見えるお子さまにも、答えに迷う話題はあります。反対に、静かなお子さまでも、自分が伝えたい内容と使える文が結びつけば、試す入口を持てます。「あなたは話すのが苦手」とまとめず、どの問いなら答えを選べたかを一緒に確かめてください。
Q2. 間違いが多くても、ほめて自信をつければよいですか
ほめるなら、実際に起きた行動を言葉にします。「全部上手だった」ではなく、「メモを見直してから続きを言えた」「自分で食べ物を選んで答えた」と返します。そのうえで、直す必要のある形は別の時間に確かめます。達成を認めることと、英語の形を学び直すことは、同じ練習の中に置けます。
本人が言いにくかったと感じているのに「完璧だった」と返すと、次の相談がしにくくなることも考えられます。「始められたところ」と「まだ助けがほしいところ」を両方聞いてください。根拠のある見通しを育てるには、できた部分を具体的に扱い、困った部分も次の練習へ持ち越せる形にします。
Q3. 自信がつくまで、人との練習は待つべきですか
大きな自信が完成する日を待つより、本人が試せそうな条件を相談します。聞き手を選ぶ、問いを先に知る、メモを見てよいことにするなど、負担を調整する方法があります。今日は一人で練習し、次は短い答えだけ聞いてもらうという進め方もできます。急に知らない質問を増やす必要はありません。
話せなかった日は、機会がなかったのか、内容が難しかったのか、気が進まなかったのかを分けます。発話の回数が少ないだけで、努力不足とは判断できません。本人がつらさを訴えているときは練習を無理に続けず、気になるときは学校や専門の相談窓口に相談してください。
次に口を開くための、具体的な見通しを残す
英語で話そうとする気持ちを支えるには、「自信を持とう」という言葉を、使える準備へ変えていきます。今日の問いを選び、最初の文を用意し、声を出した後に予想と行動を比べます。話せた長さだけでなく、どの助けで始められたかを残すと、次の練習を自分で選ぶ材料になります。
保護者は、話す回数を外から増やそうとする前に、お子さまが次も使いたい条件に耳を傾けてください。一人で読む段階から人に伝える段階へ進むときも、今日使えた助けを持っていけます。小さな見通しに名前をつけることから、次の一言を準備しましょう。「最初の文だけ聞いて」と本人から頼む一言が、頭の中で終わっていた練習を、相手のいるやりとりへ動かします。
参考文献
- Elahi Shirvan, M., Khajavy, G. H., MacIntyre, P. D., ほか(2019). A Meta-analysis of L2 Willingness to Communicate and Its Three High-Evidence Correlates. Journal of Psycholinguistic Research. https://doi.org/10.1007/s10936-019-09656-9
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