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自分の話す力を自分で採点する—自己評価が当たるようになる観点の作り方|武蔵野個別指導塾
録音を内容・伝え方・言葉の形に分けて採点し、丸の横に実際の発話を添えます。先生と判定が違った箇所を問い直せば、次に加える理由や直す文の形まで具体的に決まります。

自分の話す力を自分で採点する—自己評価が当たるようになる観点の作り方
録音を聞くと、失敗したところだけが残る
よくあるのは、家のベランダに面した窓辺で、録音した英語を聞きながら、振り返り用紙の「よくできた」に丸を付けてよいか迷うという場面です。最後まで話したものの、途中で単語が出てこなかったことが気になります。原稿に書いた理由も言えていますが、声を聞くと自信がなくなり、全部を低く評価してしまいます。
反対に、覚えた文をすらすら言えたことで満足し、質問に答えていないことを見落とす場合もあります。どちらにも足りないのは、自分への厳しさではなく、何を証拠に判断するかという約束です。「英語が得意か」と聞かれると迷っても、「好きなものと理由を言ったか」なら、録音に戻って確かめられます。
自分の話す力を採点する目的は、今日の出来に順位を付けることではありません。できたことを残し、次に直す場所を選ぶためです。中学生が一人で使える観点の作り方と、先生や保護者と見方をそろえる方法を、短い発表の練習に沿って考えます。

自己評価のずれは、観点を言葉にすると見えてくる
自己評価には、実際の言語の成績との関係があります。観点づくりで参考になるのは、基準の種類や示し方、自己評価を練習したかによって、成績との相関が変わったという分析です(Li・Zhang、2021)。全体の相関は0.466と報告されています。対象は67研究、97の独立標本、68,500人超をまとめた集団であり、この全体の関連から、日本の中学生が自分の発表をどれだけ正確に採点できるかをそのまま決めることはできません。相関は、自己評価の高低と成績の高低がどの程度一緒に動くかを表し、採点が当たった割合を示す数字ではありません。
ここから練習を考える際の手がかりは、「自分で採点して終える」よりも、基準を読み、その基準で実際に判断する練習まで用意することです。以下では、この考え方を家庭で取り組める形に具体化します。採点表を細かく埋めること自体を目標にせず、丸を付けた理由を発話の中から示せるようにしていきます。
まず、「自信を持って話せた」と「聞き手に理由を伝えた」は違う問いです。前者は自分の感覚を、後者は話した内容を確かめます。緊張していても理由は言えますし、気持ちよく話しても理由を忘れることはあります。気分の記録を残すなら、発話の評価とは欄を分けましょう。「緊張した」と書いたことで、内容の丸まで消す必要はありません。
また、「上手に話す」の中には複数の要素が入っています。問いに答えること、必要な内容を加えること、言葉をつなぐこと、習った形を使うことは、それぞれ別に確かめられます。たとえば、過去の出来事を話す課題で、したことは伝わったものの、動詞は現在形だったとします。「何をしたかを述べた」は認め、「過去の形を使う」は次の課題に残せます。全体に大きな丸かばつを付けると、この区別が消えてしまいます。
さらに、話した本人には、言うつもりだった内容が頭に残っています。原稿の理由をよく覚えていると、録音ではその文を飛ばしていても、言ったような気がするかもしれません。そこで、採点のときは原稿の完成度と実際の発話を切り離します。原稿を伏せ、録音に入っていた言葉だけで判断する作業が必要です。
反対に、言い直したことをすべて失敗と数えると、伝え直せた部分を評価しにくくなります。言葉を選び直して話を続けたのか、そこで内容が途切れたのかを見ます。「一度も止まらない」という基準にする前に、その課題で必要なのが速さなのか、内容を最後まで届けることなのかを考えてください。自分に都合よく基準を変えるのではなく、話す前に決めておくことが要点です。
短い録音と証拠のメモで、採点の練習をする
最初の2分で、課題と条件を決める
用意するのは、学校で使っている教材や配布された課題、ノート、録音できる道具です。録音は自分の声だけを短く残せば十分です。学校の課題文から、誰に何を伝えるのかを抜き出してください。「好きな季節を紹介する」と「昨日したことを説明する」では、確かめたい内容も言葉の形も変わります。
今日は「好きな季節と、その理由を話す」と決めたとします。ノートに、話題、準備の時間、見てよいメモを書きます。学校の練習課題なら、示された条件に合わせてください。家庭で自由に試す場合は、準備を1分、発話を30秒ほどに区切るところから始められます。これは家庭で作る練習の区切りです。
比べる条件もそろえます。初回は原稿を読んで、次回は何も見ずに話したのなら、同じ出来でも負担が違います。ノートに「全文を見た」「単語のメモを見た」「何も見なかった」と残しましょう。評価の横に条件があれば、丸の数だけでは見えない変化を追えます。
次の3分で、観点を聞いて確かめられる文にする
最初は、内容、伝え方、言葉の形から、それぞれ見るところを選びます。内容なら「好きな季節を言い、理由を付けた」、伝え方なら「言葉に詰まっても、理由の終わりまで話した」、言葉の形なら「好きなものを述べる文で、主語と動詞を言った」と書けます。学校の評価表がある場合は、その言葉を先に読み、今回の課題ではどんな発話が当てはまるかを書き添えてください。
ここで使う問いは、練習用です。学校の正式な評価を作り直すものではありません。発音も見るよう求められているなら、「発音がよかった」という広い問いをそのまま増やさず、先生に確かめる語を選んでもらうなど、聞く場所を絞ります。自分で音の違いを判断できない部分は、質問として残せます。
判定は「証拠がある」「一部だけある」「まだ探せない」と言葉で残すと、理由を添えやすくなります。数字を使いたい場合も、先に各数字の意味を文章で決めてください。「なんとなく真ん中」と埋めると、次回も同じ迷いが残ります。今回の練習では、数字の合計を作らず、観点ごとの判定と証拠を並べてみましょう。
教材は、最初に課題の条件を読むために使います。次に、使う文の形を確かめるために使います。最後に、採点後に迷った箇所を調べるために使います。ずっと開いておくのではなく、役目ごとに開いたり閉じたりすれば、教材を見ればできることと、自力で言えることを分けて記録できます。
観点が使えるか迷ったら、発話を聞く前に、判定が分かれる例を考えてみてください。I like spring.だけなら好きな季節は言えていますが、理由はまだです。そこへIt is warm.が続けば、理由の文もあります。この違いを採点表の余白に書いておくと、どこまで話せば条件を満たすかを読み返せます。自分で作った例なので、学校の基準への当てはまりに迷う場合は先生に尋ねましょう。
「聞き取りやすかった」のように、自分だけでは決めにくい観点もあります。その場合、自分の録音では、文の終わりまで声が入っているかを確認し、聞き手に意味が届いたかは、誰かに聞いてもらったときの欄へ分けます。自分は話す内容を知っているため、音が曖昧でも言葉を補って聞けることがあります。自分で確認した範囲を明記すれば、まだ人に確かめてもらいたいことが残ります。
準備の1分と発話の30秒を分ける
「好きな季節」「理由」を短いメモにしてください。たとえば、springとwarmを書きます。英文を確かめるなら、I like spring. It is warm. のように、習った言葉で組み立てます。背伸びをした表現を増やすより、何を言えたら今回の問いに答えたことになるかを先に決めましょう。
準備が終わったら、採点のことをいったん横に置き、録音して話します。話しながら頭の中で丸を付けようとすると、次に伝えたい内容を見失いやすくなります。途中で止まった場合も、録音をすぐに消さず、言えるところまで続けてください。止まった後にどう再開したかも、後で確かめる材料になります。
聞き直す3分では、観点ごとに証拠を探す
最初は、内容だけを聞きます。好きな季節と理由が入っていたら、その言葉を短く書き取ってください。録音の位置がわかるなら、「最初の文」「最後の文」でも十分です。原稿に理由が書いてあっても、声に出していなければ、今回は理由の証拠に含めません。
次は、伝え方を聞きます。どこで止まり、その後どの言葉から再開したかをメモします。「springの後で止まったが、It is warm.まで言えた」と書けば、「止まったから全部だめ」という判定から離れられます。言葉を繰り返した場合も、繰り返しの後に内容が進んだかを聞いてください。
最後に、言葉の形を聞きます。I like spring.なら、Iとlikeの両方を実際に言ったかを確かめます。意味はわかるけれど形に迷う箇所は、教材の対応する文と照らします。調べても決められないところには「先生に聞く」と書き、無理に丸やばつを付けません。わからない場所を特定できたことも、次の相談の材料です。
聞くたびに判定が変わる場合は、同じ録音に別の目的を重ねていないかを確かめてください。内容を見ると決めた回に、声の小ささが気になって丸を消してしまったなら、内容の欄は内容だけで見直します。声については余白に書き、必要なら次回の観点にします。気になることを無視する必要はありませんが、いま答えている問いを途中で取り替えないようにします。
証拠のメモは、長い書き起こしにする必要もありません。「理由は最後の文」「Iを言い忘れた」のように、次に聞く位置がわかる長さで十分です。ただし「だめだった」だけでは、後で録音に戻る場所がわかりません。録音を保存しない場合も、実際に言った短い言葉を残すと、相談で記憶だけに頼らず説明できます。練習の最後に、そのメモを見て自分がどこを聞いたか思い出せるかを確かめましょう。
直す2分では、次に変えることを選ぶ
採点が終わったら、次の発話で変えることを選びます。理由が抜けていたなら、メモに「理由」と大きく書きます。文の最初が抜けたなら、I likeの部分だけを声に出してから全文を話します。言葉の途中で止まったなら、止まった箇所を含む短い文を練習してから、全体に戻します。
その後、同じ条件で再び録音します。最初の録音を消さず、選んだ観点の証拠がどう変わったかを比べてください。「今度はよかった」ではなく、「理由の文が入った」「主語から始められた」と書きます。改善を確かめる方法は、内容の有無を見ること、再開した位置を比べること、教材で確かめた形を聞き取ることです。
次に何を直すか迷ったら、課題の目的に戻ります。好きな季節を紹介する課題で、季節の名前は言えたものの理由が抜け、文の形にも迷いがあるとします。今回はまず理由を付けると決め、その理由に使う短い文を教材で確認します。気になった箇所を全部直そうとして話せなくなるより、選んだ修正を実際の発話に入れるところまで進めてください。残りの疑問は消さずに、次に聞くこととして残します。
別の日には、好きな食べ物など、言える語がある別の話題でも同じ観点を使います。その際は、話題が変わったことを記録してください。季節の発表で丸が増えた記録と、別の話題でも理由を言えた記録を並べると、覚えた文を再現できることに加え、観点を別の発話にも使えるかを確かめられます。

個別指導では、本人と先生が見た証拠を突き合わせる
個別指導に相談するときは、「自己評価が低いので自信を付けてほしい」という希望に加えて、どこで判断が止まるのかを伝えると相談が具体的になります。「理由は言ったつもりだが、録音から見つけられない」「文法の間違いがあると内容までばつにしてしまう」などです。本人の採点表と短い録音があれば、評価のずれが起きた場所から話を始められます。
まず、本人と先生が同じ発話を、それぞれ先に評価する方法を相談してみてください。先生の判定を見てから本人が丸を付けると、理由を考える前に答えを合わせてしまうことがあります。先に自分の判定と証拠を残しておけば、後から見比べたときに、判断の道筋を確かめられます。
判定が違ったら、「どちらの点が正しいか」だけで終わらせず、根拠にした部分を示し合います。本人が「理由は言えた」とし、先生が「理由が足りない」としたなら、録音のIt is warm.を一緒に聞きます。本人は理由の文があることを見ており、先生は課題で求められた説明の詳しさを見ていたのかもしれません。この場合、理由の有無と説明の詳しさを、別の問いに整理できます。
一方、先生が聞き取れた単語を本人が気付かず低く付けているなら、その音声の位置を確かめます。文法の誤りを本人が見落としているなら、全部を直した英文を渡すだけでなく、今回選んだ形がどこで変わったかを示してもらいます。ずれた原因が、基準の読み方なのか、音声の聞き取りなのか、言葉の知識なのかで、次にする練習は変わります。
先生と同じ判定になった場合も、理由が一致しているかを見る意味があります。どちらも「できた」としていても、本人は「暗記できたから」、先生は「問いに答えたから」と考えていることがあります。次の課題でも使えるのは、問いと発話を結び付けた理由です。採点の答え合わせとともに、何を見たのかを言葉にする時間を相談してください。
こうした判定を支えるために、指導に求めたいのは課題と基準の関係を整理することです。学校の評価表に「内容」とあっても、本人が何を見ればよいかわからなければ使えません。今回なら、好きな季節を言うことと、理由を添えることが当たるのかを確認します。塾独自の言い方だけを覚えるのではなく、学校の課題文へ戻ったときにも、自分で見る場所を選べる説明が必要です。
進み具合は、判定の高低に加え、証拠の書き方でも見られます。初めは「まあまあ」だけだった記録が、「理由の文を言った」に変わり、さらに「理由は言ったが、課題で求められた具体例はまだ」に変わることがあります。判定が厳しくなっても、観点を細かく読めるようになった可能性があります。以前の自分と比べるときは、基準を途中で変えていないかも確かめましょう。
家庭と指導側で共有するなら、長い感想文より、同じ順番で短く残す方法が考えられます。「今回の課題」「本人が選んだ観点」「録音の証拠」「判断に迷ったこと」「次に試すこと」の順です。たとえば「季節の紹介/理由を言う/最後にIt is warm./これで十分か/理由を詳しくする必要があるか相談」と書けます。この形なら、家庭が先生の代わりに採点を完成させなくても、必要な問いを渡せます。
共有する際には、評価が食い違ったときの問いも添えられます。「理由があると判断したのは最後の文ですが、課題に合っていますか」と書けば、先生が確認する場所を絞れます。「何点ですか」だけでは、点の理由を聞き直す必要があります。本人が録音の場所と疑問を結び付けて質問できるようになることも、指導で確かめたい変化です。家庭では文章を整えすぎず、本人の言葉を残しておきましょう。
武蔵野個別指導塾への相談を考える場合は、本人の自己評価と発話のどちらを材料にし、見方の違いをどう説明してもらえるか、体験授業や面談で確かめてください。お子さまが「何を直すか」を自分の言葉で説明できるかどうかも、確認したい点です。
指導側に相談したい範囲は、評価基準の具体化、言語面で判断しにくい箇所の確認、次の課題の選択です。家庭では、録音できる時間や場所を用意し、本人が記録を残すきっかけを作れます。保護者が英語の正しさをすべて判定する必要はありません。「その丸の証拠はどこにあるの」と聞き、本人が示した箇所に耳を傾ける関わり方ができます。
自己評価で迷いやすいことへの答え
Q1 自分に甘いので、厳しく採点したほうがよいですか
厳しさを足す前に、丸の条件を具体的にしてください。「最後まで言えた」だけを見ているところへ「もっと厳しく」と言われても、何を変えるかが決まりません。「問いに答えた」「理由を言った」と分ければ、流れるように話せても理由が抜けたことを拾えます。反対に、止まっても理由を伝えられた部分は残せます。
採点する前に条件を書き、録音を聞いた後で都合よく変えないようにしましょう。証拠があれば認め、証拠が足りなければ何が抜けたかを書く。この扱いをそろえることで、自分をほめたい日にも落ち込んだ日にも使える採点表に近付きます。自分への厳しさそのものを成果にしないことです。
Q2 録音を聞くのが苦手でも、自己評価できますか
初めは、声全体の印象を評価せず、短い文の中に目的の言葉があるかだけを聞いてください。季節の名前と理由の文を探すところからなら、聞く範囲を絞れます。録音に抵抗がある日は、話した直後に、実際に言えた語と途中で止まった箇所をメモする方法もあります。
ただし、原稿を眺めて「全部言ったはず」と埋めることは避けましょう。思い出せない箇所は空けておき、次に短く録音できるときに確かめます。先生に相談するなら、発表全体を何度も聞くより、判断したい文だけを聞く進め方を提案できます。無理に評価項目を増やさず、証拠を取れる範囲から始めてください。
Q3 先生と同じ判定になれば、話す力が伸びたと考えてよいですか
判定が近付いたことと、発話が変わったことは、別々に確かめます。前と同じ発話を正確に見られるようになったなら、採点の見方が育っています。理由の文が増えた、習った形を自力で使えたという変化があれば、練習した部分の発話にも変化があります。
そこで、記録には「自分の見方が変わったこと」と「話せる内容が変わったこと」を並べてください。先生の判定を当てる競争にせず、自分で選んだ修正が次の発話に現れたかまで追います。初めての話題に取り組むときも、条件を残して同じ問いで見直せば、何ができて何が助けを必要としているかを話し合えます。
今日の丸に、発話の証拠を添える
今日から始めるなら、採点表をきれいに作り込む必要はありません。短い課題を選び、「何を言えたらできたとするか」を書いてから話してください。録音を聞き、その判定の根拠になった言葉を添えます。最後に、次の発話で変えることを選びましょう。
うまくいかなかった気持ちと、実際に言えた内容は、同じ紙の別の場所に残せます。丸を付けた文をお子さまが示したら、その文と観点のつながりを聞くところから家庭の会話を始められます。迷った欄は先生への質問になります。小さな採点表にも、学習を動かす具体的な問いを入れられます。「理由を言えた」の丸の横に根拠の文がなければ、次は理由を一文足して録音します。その一手を書き込めば、採点表から明日の練習が始まります。
参考文献
- Li, M., & Zhang, X.(2021). A meta-analysis of self-assessment and language performance in language testing and assessment. Language Testing. https://doi.org/10.1177/0265532220932481
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