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【政治経済】国民所得と経済成長を図解で総まとめ—GDP GNI NI の関係 三面等価 名目と実質 景気循環|武蔵野個別指導塾

パンの生産過程から付加価値を読み取り、GDPとGNIの関係や名目・実質の計算を3枚の図でたどります。成長率の例題と景気循環の練習で、数字が示す範囲を確かめましょう。
よくあるのは、塾の玄関の傘立ての前で、授業前に開いたノートの「GDPが増えた」という説明を見て、「商品の値段が上がっただけでも増えるのですか」と手が止まる場面です。傘が同じ本数だけ売れていても、1本の価格が高くなれば売上は増えます。それなのに、お金で表した生産額の増加を、そのまま生産量の増加と読んでよいのでしょうか。
この疑問は、国民所得を学ぶ出発点になります。経済全体を比べるには共通の物差しが必要ですが、物差しの作り方によって読み取れることが違うからです。GDP、GNI、NIは、似た略語を別々に暗記するより、「どこで生まれた価値か」「誰に帰属する所得か」「何を差し引いたか」を順番に確かめると整理できます。まず1個のパンの生産をたどり、国全体の所得、経済成長、景気の波へと考える範囲を広げていきましょう。
この単元で身につけること
- フローとストックを区別します。1年間の所得のように期間を区切って測る量と、ある日の資産のように一時点で測る量を、単位や説明文から見分けます。
- GDPを付加価値の合計として説明します。各企業の売上をそのまま足すと何が重複するのかを、材料の取引を使って確かめます。
- GDP、GNI、NIの関係をたどります。国内と国民、総額と純額、市場価格表示と要素費用表示という違いを、加減する項目と結びつけます。
- 三面等価の原則を説明します。生産・分配・支出が、同じ経済活動を異なる方向から測ったものだと捉え、支出面の式の輸入や在庫も読み取ります。
- 名目値と実質値を計算して成長率を求めます。比較に用いる価格と、増加率の分母になる年を確かめ、景気循環の種類やGDPの限界まで考えます。
中学校で学んだ家計・企業・政府の経済活動や、前の単元の企業の生産活動が土台になります。個々の企業の数字から経済全体へ進むときには、単なる足し算では二重計算になる点が新しい課題です。
基本の考え方
フローとストック、売上と付加価値
フローは一定期間に生じた量、ストックはある一時点に存在する量です。「この1年間に受け取った所得」はフロー、「年末の預金残高」はストックです。同じ円で表されていても、測る時間の区切りが違います。年間の貯蓄額はフローですが、貯蓄の残高はストックになります。「貯蓄」という言葉だけで決めず、何を測った数字なのかを文章全体から判断します。
GDPは国内総生産の略で、一定期間に国内で新たに生み出された付加価値の合計です。国の資産の総額ではなく、フローに当たります。建物が完成した年の生産はその年のGDPに関係しますが、建物が翌年も存在しているからといって、同じ建物の価値を翌年のGDPにもう一度加えるわけではありません。
付加価値とは、生産額から、その生産のために使った原材料などの中間投入額を差し引いた、新たに加えた価値です。パン店の売上には、仕入れた小麦粉の価値が含まれています。小麦粉を作った企業の売上とパン店の売上をそのまま足すと、小麦粉の価値を重ねて数えてしまいます。そこで各段階が新しく加えた部分だけを取り出します。
次の例では、農家が小麦を100円で売り、製粉業者が小麦粉を160円で売り、パン店がパンを300円で家計に売ったとします。農家の中間投入は0円とし、それ以外の材料費や輸入はないものとして考えます。各段階の付加価値は100円、60円、140円です。図1のように、この3つを積み上げると、家計が購入した最終財であるパンの300円と一致します。

図1の横の帯は、100円、60円、140円に比例した長さになっています。売上の合計560円との差260円は、途中で取引された小麦100円と小麦粉160円を重ねて数えた分です。「最終財の価値を数える」という説明と「付加価値を合計する」という説明は、同じ重複を避けるための2つの見方です。
ただし、何が中間財になるかは物の名前だけでは決まりません。小麦粉をパン店が材料として買えば中間財ですが、家計が家庭で使うために買えば最終消費の対象です。企業が長く使う機械を買う場合は、原材料のように全額をその期の中間投入とするのではなく、投資として扱います。購入者と使い道を確かめることが、分類の第一歩です。
国内と国民、総額と純額
GDPの「国内」は生産が行われる範囲に注目する言葉です。外国企業の国内工場で生まれた付加価値も、国内の生産であればGDPに入ります。一方、国内企業の海外工場で生まれた付加価値を、そのまますべて自国のGDPに入れることはしません。企業の名前や国籍だけで振り分けないようにします。
GNIは国民総所得で、その国の居住者に帰属する所得に注目します。ここでの「国民」は、パスポートの国籍で一律に決める意味ではありません。経済活動の拠点をその国に置く居住者という考え方が基本です。海外から受け取る雇用者報酬や利子・配当などを加え、海外へ支払う同種の所得を差し引いて、国内の生産から居住者の所得へ見方を移します。
GNI = GDP + 海外からの純所得
海外からの純所得 = 海外からの所得受取 − 海外への所得支払
この海外からの所得は、海外に商品を売った輸出額とは違います。海外の債券から得る利子は所得受取に当たりますが、国内で作った商品を海外に売ることは輸出です。また、海外工場の売上全額をそのままGNIに加えるわけでもありません。問題文では、海外からの所得受取・支払として示された金額を使います。国民総生産を表すGNPも教科書に登場しますが、GNIはそれを所得の面から捉えた概念として結びつけられます。
さらに「総」という言葉は、固定資本減耗を差し引く前の値であることを示します。固定資本減耗は、生産に使う建物や機械などの資本が使用や時間の経過によって減らした価値です。GNIからこれを引くと国民純所得になります。高校の計算問題で扱うNIは、通常、要素費用表示の国民所得です。市場価格に含まれる生産・輸入品に課される税を引き、補助金を加えて求めます。教科書では、この税を「間接税」とまとめて表す場合があります。
NI = GNI − 固定資本減耗 − 間接税 + 補助金
市場価格表示の国民純所得と、要素費用表示のNIを区別しておくと、なぜ税を引くのかを説明できます。要素費用とは、生産要素である労働や資本などへの報酬に注目した評価です。税は市場での価格に含まれていても、そのまま生産要素への報酬になるわけではありません。補助金は反対に、その報酬を支えるため加えます。ここで引く税を、家計が払う所得税などすべての税と取り違えないことも必要です。
同じ生産を3つの方向から見る
三面等価の原則とは、生産面・分配面・支出面から捉えた国内総生産が、概念上等しくなることです。生産された付加価値は、働く人への雇用者報酬、企業の営業余剰などに分配されます。また、作られた財やサービスは、消費や投資などの支出先から捉えることができます。同じ生産活動を3回足すのではなく、同じ対象を3方向から測っています。
分配面のGDPは賃金だけの合計ではありません。営業余剰・混合所得のほか、総額に対応する固定資本減耗、市場価格に対応する生産・輸入品に課される税から補助金を引いた額なども含めて考えます。NIの分配の説明とGDPの分配面の説明では、純額か総額か、どの価格表示かが違うため、名称だけを見て同じ数字と決めないようにします。
支出面は、高校では次の形に整理できます。Cは民間最終消費支出、Iは民間投資、Gは政府の財・サービスへの支出で政府最終消費支出と公的投資を含め、Xは輸出、Mは輸入です。投資には設備や住宅への投資のほか、在庫の増減も含めて考えます。
GDP = C + I + G + (X − M)
輸入を差し引くのは、国内の消費や投資などに含まれた外国での生産分を取り除くためです。輸入を「経済にとって悪いものだから引く」と評価しているわけではありません。政府支出についても、年金の給付など、現在の財・サービスの購入に直接対応しない移転支出をそのままGに入れません。給付を受けた家計が財やサービスを買えば、その支出が消費として関係します。
売れ残った商品があると、生産と支出は一致しないように感じるかもしれません。しかし、新しく生産されて売れ残った分は在庫投資に計上されます。翌期にその在庫を売れば、販売による支出と在庫減少を対応させ、以前の生産をもう一度新しい生産として数えない仕組みです。現実の統計には推計方法などによる不突合が生じる場合もありますが、教科書の三面等価はこの概念上の対応を表しています。
例題で解き方を確かめる
例題1 売上からGDPを求める
農家、製粉業者、パン店が順に100円、160円、300円で販売します。取引の条件は図1と同じで、パンはすべて家計に売られました。この生産過程の付加価値の合計を求め、560円ではない理由を説明しましょう。
- 各段階の中間投入を確かめます。何を仕入れて生産したかを先に整理すると、差し引く相手が定まるからです。農家は0円、製粉業者は100円、パン店は160円です。
- 生産額から中間投入を引きます。各段階が加えた価値だけを残すため、100 − 0 = 100円、160 − 100 = 60円、300 − 160 = 140円とします。
- 付加価値を合計します。国内で新たに生まれた価値を集めるので、100 + 60 + 140 = 300円です。最終財の販売額300円とも照合できます。
答え:付加価値の合計は300円で、560円は中間財の価値を重複して数えています。
この問題の大事な点は、仕入れを引いた残りを「利益」と呼ばないことです。付加価値からは、賃金なども支払われます。パン店の140円すべてが店の利益になるという意味ではありません。付加価値と利益を区別できると、生産面から分配面へ話が進んでも読み違えにくくなります。
例題2 支出面の式と輸入を読む
ある経済で、民間最終消費支出が300、民間投資が80、政府の財・サービスへの支出が100、輸出が70、輸入が50でした。単位はすべて同じとします。GDPを求め、輸入を引く理由を説明しましょう。民間投資には在庫投資を含み、政府支出の数字に移転支出は含まないものとします。
- 国内需要をまとめます。消費・投資・政府支出という使い道の違いを整理するため、300 + 80 + 100 = 480とします。
- 純輸出を求めます。国内の生産のうち海外に売った分を加え、国内の支出に含まれる海外生産分を除くため、70 − 50 = 20とします。
- 国内需要と純輸出を足します。支出先から国内での生産の価値を数えるので、480 + 20 = 500です。
答え:GDPは500で、輸入は国内の支出に含まれた海外の生産分を取り除くために引きます。
たとえば家計が輸入品を買ったとき、その購入額はCに含まれます。同時にMでも差し引くので、外国で生まれた価値を国内生産として数えずに済みます。輸入だけが独立してGDPを減らすと覚えると、この対応を見失います。また、Iの投資は新しい設備などの生産に関係する概念で、既存の株式を買う金額そのものではありません。
例題3 名目GDPと実質GDPを計算する
1種類の最終財だけを生産する経済を考えます。基準年には価格が100円、生産量が10個、比較年には価格が120円、生産量が12個でした。基準年と比較年の名目GDP、基準年の価格で測った比較年の実質GDP、それぞれの成長率を求めましょう。図2は、計算結果を同じ金額の目盛りで比べたものです。

- その年の価格と数量を掛けます。名目GDPは各年の価格で評価するため、基準年は100 × 10 = 1,000円、比較年は120 × 12 = 1,440円です。
- 比較年の数量に基準年の価格を掛けます。価格の変化を除き、生産量の変化を取り出すため、比較年の実質GDPは100 × 12 = 1,200円です。基準年の実質GDPは1,000円です。
- 増加額を前の年の値で割ります。成長率は出発点に対する増加の割合なので、名目は(1,440 − 1,000) ÷ 1,000 × 100 = 44%、実質は(1,200 − 1,000) ÷ 1,000 × 100 = 20%です。
- GDPデフレーターで価格の変化も確かめます。名目GDP ÷ 実質GDP × 100なので、比較年は1,440 ÷ 1,200 × 100 = 120です。基準年の100に対し、価格が20%上がったことと対応します。
答え:名目GDPは1,000円と1,440円、比較年の実質GDPは1,200円、名目成長率は44%、実質成長率は20%です。
図2では、比較年の名目値の棒が実質値の棒より長くなっています。この差には価格上昇が反映されています。実質GDPを求めるときは「名目GDP ÷ GDPデフレーター × 100」としても同じ結果です。デフレーターが120なら120で割って終わりにせず、100を基準にした指数であることを式に反映します。
価格が20%増え、生産量も20%増えたから名目成長率は40%、とはなりません。価格の倍率1.2と数量の倍率1.2を掛けると1.44になるからです。実際の経済には多数の財やサービスがあるため、物価調整はもっと複雑ですが、この例題では価格を固定する意味を確実に捉えましょう。
例題4 GDPからGNIとNIを求める
GDPが500、海外からの所得受取が30、海外への所得支払が10、固定資本減耗が40、間接税が35、補助金が5でした。単位は共通とし、間接税は生産・輸入品に課される税を表します。GNIと要素費用表示のNIを求めましょう。
- 海外からの純所得を求めます。国内の生産から居住者に帰属する所得へ移すため、30 − 10 = 20とします。
- GDPに純所得を加えます。国内の生産に基づく金額を所得の帰属で調整するので、GNIは500 + 20 = 520です。
- 固定資本減耗を引きます。資本の価値の減少分を除いて純額にするため、520 − 40 = 480となります。これは市場価格表示の国民純所得です。
- 間接税を引き、補助金を加えます。生産要素への報酬に対応する表示へ直すため、480 − 35 + 5 = 450です。
答え:GNIは520、要素費用表示のNIは450です。
GNIがGDPより大きい理由は、ここでは海外からの所得受取が支払を上回るためです。すべての国、すべての年でGNIのほうが大きいとは限りません。受取と支払の大小が逆なら、海外からの純所得はマイナスになります。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 GDPとGNIとNIを同じ範囲の数字にする
誤った書き方は「GDPが500なら、国民の所得もNIも500」です。どこが違うかというと、国内での生産と居住者の所得を区別せず、総額から純額への調整も省いています。正しい書き方は「GDPに海外からの純所得を加えてGNIを求め、さらに固定資本減耗などを調整してNIを求める」です。
図3のように、例題4の数字を段階ごとに置くと、1回の引き算でNIを出そうとしていないかを点検できます。上から下への順は調整の順序で、箱の大きさは金額の大きさを表すものではありません。

図3の480は、固定資本減耗を引いたあとでも、まだ市場価格表示です。450に進むときに初めて間接税と補助金を調整しています。「純」という字があればすぐNIと決めず、価格の表示まで確かめます。
誤り2 名目成長率から物価上昇率を機械的に引く
誤った書き方は、例題3について「44% − 20% = 24%だから、実質成長率は24%」です。違うのは、価格と数量の変化が足し算ではなく、倍率の掛け算で名目値に反映される点です。正しい書き方は「1.44 ÷ 1.20 = 1.20なので、実質成長率は20%」です。成長率から倍率に直し、最後に倍率から成長率へ戻します。
名目成長率から物価上昇率を引く方法は、変化が小さいときの近似として説明されることがあります。しかし、正確な値を求める計算問題では、与えられた名目値とデフレーターから実質値を計算するのが確実です。成長率がマイナスでも分母は出発点の値です。実質GDPが200から190へ減れば、(190 − 200) ÷ 200 × 100 = −5%となります。
誤り3 景気循環を決まった年数で必ず起こる予定表にする
誤った書き方は「前の好況から4年たったので、次は必ず不況になる」です。違うのは、景気循環の周期が一定の期限を保証するものではない点です。正しい書き方は「在庫投資や設備投資などの動きが重なって景気が変動し、周期の長さは目安である」です。
景気は、好況・後退・不況・回復という局面で捉えられます。売れ行きが弱まって在庫が積み上がると、企業は生産を抑える場合があります。反対に、在庫調整が進み需要が持ち直すと、生産が増えることがあります。こうした在庫投資との関係で説明される短い波がキチンの波で、約3〜4年が目安です。
設備投資との関係で説明されるジュグラーの波は約10年、建設投資との関係で説明されるクズネッツの波は約20年、技術革新との関係で説明されるコンドラチェフの波は約50〜60年が目安です。名称と年数を結ぶだけでなく、「在庫・設備・建設・技術」という主な説明要因を短い順に結びつけます。複数の波が重なるため、現実の経済が同じ形で繰り返すとは限りません。
景気循環と経済成長も区別します。景気循環は経済活動の拡大と縮小の動き、経済成長は実質GDPの増大を捉える考え方です。長期的に成長している経済でも、途中で景気後退は起こり得ます。逆に、ある年の成長率が高いという情報だけでは、その後も同じ速さで成長し続けるとはいえません。
ここで手が止まるなら、止まった単元まで一緒に戻ります。学年別個別指導コース/お問い合わせ
練習問題
練習1 期間と時点を見分ける
次の4つをフローとストックに分け、分類の理由を説明しましょう。Aは1年間のGDP、Bは年末の国富、Cは1か月の所得、Dは月末の借入金残高です。国富は、ここではある時点で保有する正味の資産を表すものとします。金額の大きさではなく、時間の表し方に着目します。
練習2 所得の調整を計算する
GDPが800、海外からの所得受取が25、海外への所得支払が45、固定資本減耗が60、間接税が50、補助金が10のとき、GNIと要素費用表示のNIを求めましょう。単位は共通で、税の範囲は例題4と同じです。GNIがGDPより大きいか小さいかも、計算結果に基づいて説明します。
練習3 実質GDPと成長率を求める
前年の実質GDPは500、今年の名目GDPは594、今年のGDPデフレーターは110でした。両年の実質値とデフレーターは同じ基準で比較できるものとします。今年の実質GDPと実質成長率を求めましょう。最初に物価の影響を調整してから、前年との比較に進みます。
練習4 GDPの意味と景気の波を説明する
「名目GDPが増えたので、すべての人の生活が同じだけ豊かになった」という説明の問題点を、物価と分配に触れて2文で説明しましょう。続いて、在庫投資と関係する景気循環の名称と、設備投資と関係する景気循環の名称を答えます。金額の増加が何を意味するかと、変動の要因を分けて考えます。
答えと解説
練習1の答え:フローはAとC、ストックはBとDです。GDPと所得は期間中に生じる量、国富と借入金残高は特定の時点で存在する量です。負債であっても残高ならストックなので、資産か負債かで分類するわけではありません。
練習2の答え:GNIは780、NIは680で、GNIはGDPより20小さくなります。海外からの純所得が25 − 45 = −20なので、GNIは800 − 20 = 780です。NIは780 − 60 − 50 + 10 = 680となります。支払のほうが大きいことが、GDPとGNIの大小を決めています。
練習3の答え:今年の実質GDPは540、実質成長率は8%です。594 ÷ 110 × 100 = 540としてから、(540 − 500) ÷ 500 × 100 = 8%とします。594と500を直接比べると、名目値と実質値を混ぜてしまいます。
練習4の答え:「名目GDPの増加には物価上昇が含まれるため、生産量の増加とは限りません。また、所得の分配は均等とは限らず、すべての人の生活改善を示すわけではありません。」在庫投資はキチンの波、設備投資はジュグラーの波です。GDPは生産の規模を見る指標であり、その増加が誰に届いたかは別に調べる必要があります。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
次の金融や財政の学習では、金利や政府の支出が消費・投資・生産にどう結びつくかを考えます。そのとき、GDPの支出面の式に戻ると、政策が働きかける場所を整理できます。国際経済では、輸出入と海外からの所得受取を区別することが、国際収支を読む土台になります。
家庭での確かめ方の1つ目は、5分で身の回りの金額に「期間」か「時点」を付ける方法です。月のおこづかいと月末の財布の残金のように対にして、前者がフロー、後者がストックである理由を声に出します。保護者がお子さまと確かめるときも、金額そのものより「いつからいつまでか」「いつの残高か」を尋ねると、区別の根拠が表れます。
2つ目は、5分で例題3の価格だけ、次に数量だけを変えて計算する方法です。価格だけが変わった場合に実質値はどうなるかを確かめ、名目値との違いを説明します。個別指導では、式の暗記に戻る前に、百分率の分母、価格と数量の掛け算、材料費を二重に数えない足し算まで戻って確かめます。途中式に「何をそろえる計算か」を書けるかが、理解を見る手がかりになります。
まとめ
GDPの大きさだけでは、所得の分配、余暇、環境への負担などを十分に捉えられません。市場で取引されない家庭内の無償労働なども原則としてGDPには含まれないため、GDPの外にある活動に価値がないという結論にはなりません。1人当たりのGDPを見ても、それは平均であり、全員の暮らしをそのまま表す数字ではありません。
経済の数字を読めるようになるとは、大小を答えるだけでなく、その数字が数えた範囲と、数えていないものを言葉にできることです。GDPの増加を暮らしの豊かさとして語るには、価格と分配への問いが欠かせません。
本気になった日が、入塾の日。
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