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【化学】電気分解を図解で総まとめ—電極反応・ファラデーの法則・電解精錬 溶融塩電解|武蔵野個別指導塾

陽極・陰極の反応を水と電極の材質から判断し、電気量から析出量を求める例題に取り組めます。銅の電解精錬、アルミニウムの製造、イオン交換膜法まで、電子の出入りでつなぎます。
よくあるのは、冬期講習の初日の教室で、電気分解の問題に「陰極では陽イオンが反応する」と書き、塩化ナトリウム水溶液から金属ナトリウムができると答えてしまう場面です。陽イオンが陰極側へ移動するという知識は使えています。それでも答えが違うのは、水溶液にある水も反応の候補になるからです。
電気分解は、電源を使って酸化還元反応を進めるしくみです。解くときには、まず電極で何が反応するかを決め、次に電子の物質量から生成物の量を求めます。この2つを一度に考えると、反応式も計算も不安定になります。電極の接続、電極の材質、水の有無を先に整理すると、計算に使う係数が自然に決まります。
銅を取り出す問題も、水素の体積を求める問題も、共通する出発点は電子です。その見方を身につけると、銅の精製やアルミニウム、水酸化ナトリウムの製造が、別々の暗記事項ではなく、電極反応を利用した技術として読めるようになります。
この単元で身につけること
- 陽極と陰極を電源との接続から決めます。電気分解では、電源の正極につながる電極が陽極、負極につながる電極が陰極です。
- 反応する粒子を、水溶液中のイオンだけでなく水まで含めて選びます。陽極では電極自体が溶ける場合もあるので、材質を確認します。
- 半反応式の原子数と電荷を合わせます。電子を含む式から、電子と析出物や気体との物質量の比を読み取ります。
- 電流と時間から電気量を求め、ファラデー定数を使って電子の物質量へ直します。最後に質量や気体の体積へ換算します。
- 銅の電解精錬、アルミニウムの溶融塩電解、イオン交換膜法を説明します。工業的なしくみでも、反応の場所と電子の出入りを対応させます。
化学基礎で学んだ酸化還元、イオン化傾向、物質量が、この単元の土台です。特に「電子を失うと酸化、受け取ると還元」と「反応式の係数比は物質量の比」を、式を見ながら説明できるようにしておくと、反応の判断と計算がつながります。
基本の考え方
電源との接続と電子の出入りを分けて読む
電気分解とは、外部から電気エネルギーを与えて化学反応を進めることです。水溶液や融解した塩の中に電極を入れ、直流電源につなぐと、条件が整ったところで電極反応が起こります。電解質は、水溶液や融解した状態でイオンとなって電気を通す物質です。水溶液の内部で電気を運ぶのは、主に移動するイオンです。
陰極では、電源の負極から送られてきた電子を粒子が受け取り、還元が起こります。陽極では、粒子や電極が電子を失い、酸化が起こります。したがって、電気分解については「陰極=負極側=還元」「陽極=正極側=酸化」と対応させられます。放電中の電池は正極で還元、負極で酸化が起こるため、電池の正負をそのまま電気分解へ移さないことが必要です。
図1のように、電源を図の上に置いて接続をたどると、左右の配置に惑わされません。図は白金電極を用いた硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解を表し、電子の矢印は導線上の移動を示しています。陰極には銅が析出し、陽極では酸素が発生します。

金属の導線中を動く電子と、水溶液中を動くイオンは区別します。電子が陰極から水溶液を横切り、そのまま陽極へ流れる図にしてはいけません。また、電流の向きは電子の移動方向と逆です。問題で「電流」と「電子」のどちらを尋ねられたかを、矢印を描く前に確認します。
反応の候補には水と電極も入れる
陰極で起こるのは還元です。Ag⁺やCu²⁺のような、イオン化傾向が小さい金属のイオンがある場合には、通常、金属が析出します。一方、Na⁺、K⁺、Ca²⁺などは水溶液から金属になりにくく、水が還元されて水素が生じます。中性や塩基性の水溶液で水が反応するときは、次の式が基本です。
2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻
酸性の水溶液で水素が発生する反応は、2H⁺ + 2e⁻ → H₂ と表せます。どちらも水素1 molが生じるときに電子2 molを受け取りますが、周囲に残る粒子の表し方が異なります。金属の種類、濃度、電極などで結果が変わる場合もあるため、イオン化傾向だけであらゆる条件の生成物を断定せず、問題に与えられた条件を使います。
陽極では、最初に電極の材質を見ます。銅の陽極なら、Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ と電極が酸化されて溶ける反応を考えます。白金など、問題の条件で電極自体が反応しない場合に、水溶液中の陰イオンや水を調べます。黒鉛も多くの高校の水溶液の問題では反応しない電極として扱いますが、後で扱うアルミニウム製造の炭素陽極は消耗します。
濃い塩化ナトリウム水溶液では、通常、塩化物イオンが酸化されて塩素が生じます。反応式は 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ です。一方、SO₄²⁻やNO₃⁻を含む水溶液では、これらのイオンは通常の問題条件では酸化されにくいため、水が酸化されて酸素が生じます。水を使う表し方は 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ です。塩基性の水溶液なら、4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 4e⁻ と書けます。
ここで「塩化物イオンがあれば必ず塩素」と広げすぎないようにします。濃度などの条件によって酸素の発生も関係するので、濃い食塩水という指定には意味があります。イオンがその電極へ移動することと、そのイオンが実際に電子を授受することは、別の判断です。
電気量を電子の物質量へ変える
電気量Qは、流れた電荷の量で、単位はCです。一定の電流Iを時間tだけ流したとき、Q = It で求められます。電流の単位AはC/sなので、時間をsに直して掛けるとCになります。分の数値をそのまま掛けると、必要な電気量の60分の1になってしまいます。
ファラデーの法則は、電極で変化する物質の量が通過した電気量に比例するという法則です。電子1 molがもつ電気量の大きさをファラデー定数Fといい、電子の物質量は n(e⁻) = Q/F です。ここでは教科書で用いる近似値として F = 9.65×10⁴ C/mol、標準状態を0 ℃・1.013×10⁵ Paとして気体1 molの体積を22.4 Lとします。原子量は各問題に示した値を使います。
たとえば Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu なら、電子2 molにつき銅1 molです。銅の物質量はQ/Fをさらに2で割ります。電子1 molが、いつでも物質1 molを生むわけではありません。一般に生成物1 molに電子z molを必要とするとき、その生成物の物質量は Q/(zF)、モル質量をMとすれば質量は MQ/(zF) です。
この計算は、流れた電気が考えている反応にすべて使われることを前提にします。以下の数値問題では電流効率を100%とし、反応物は十分にあるものとします。電流効率とは、流した電気量のうち目的の反応に使われた割合です。実際の装置で副反応があれば、理論値と得られる量は一致しないことがあります。
例題で解き方を確かめる
例題1 白金電極で硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解する
白金電極を用いて硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解します。銅イオンが十分に残っている間について、両極の半反応式、全体の反応式、溶液の色と液性の変化を答えます。溶液はよく混ざり、他の反応は起こらないとします。
- 陰極で電子を受け取る候補を選びます。Cu²⁺があるので銅が析出し、Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu と書きます。原子数は両辺とも銅1個、電荷の合計も両辺とも0です。
- 陽極の材質を確認します。白金はここでは反応せず、SO₄²⁻も通常酸化されないため、水の反応 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ を使います。
- 電子の数をそろえて式を足します。陰極の式を2倍すると電子4個が打ち消され、2Cu²⁺ + 2H₂O → 2Cu + O₂ + 4H⁺ になります。両極には同じ電気量が流れるので、電子の数を一致させる必要があります。
- 溶液に残る粒子を読みます。青色のもとであるCu²⁺が減り、H⁺が増えるため、青色は薄くなり、酸性が強まります。SO₄²⁻も含めた全体式は 2CuSO₄ + 2H₂O → 2Cu + O₂ + 2H₂SO₄ です。
答え:陰極は Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu、陽極は 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻、全体は 2CuSO₄ + 2H₂O → 2Cu + O₂ + 2H₂SO₄ で、青色が薄くなり酸性が強まります。
電気分解を長く続け、Cu²⁺がほとんどなくなれば、陰極の主な反応も変わり得ます。反応式は水溶液の名前だけで固定するのではなく、今どの粒子が存在するかという条件と一緒に読むことが必要です。
例題2 電流と時間から銅の質量と酸素の体積を求める
例題1と同じ条件で、1.93 Aの電流を1.00×10³ s流します。陰極に析出する銅の質量と、陽極で発生する酸素の標準状態での体積を求めます。原子量はCu = 64とし、この問題では換算に用いる値として扱います。答えは有効数字3桁で表します。
- 電気量を出します。Q = 1.93×1.00×10³ = 1.93×10³ Cです。すでに時間がsなので、そのまま掛けられます。
- 電子の物質量へ直します。n(e⁻) = 1.93×10³/(9.65×10⁴) = 2.00×10⁻² molです。ここまでは、生成物が銅でも酸素でも共通です。
- 陰極の係数比を使います。銅は電子2 molにつき1 molなので、n(Cu) = 1.00×10⁻² molです。64 g/molを掛けると、質量は0.640 gになります。
- 陽極は別の係数比を使います。酸素は電子4 molにつき1 molなので、n(O₂) = 5.00×10⁻³ molです。22.4 L/molを掛けると、体積は0.112 Lです。
答え:銅は0.640 g析出し、酸素は標準状態で0.112 L発生します。
図2のように、電子の物質量まで共通の道を進み、その後で半反応式の係数に従って分かれると、2で割るところと4で割るところを区別できます。銅と酸素の物質量が違うのは、両極を通る電気量が違うからではありません。

例題3 直列につないだ2つの電解槽を比べる
硝酸銀水溶液の電解槽と硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電解槽を直列につなぎ、十分な量の金属イオンがある状態で電気分解します。銀が2.16 g析出したとき、もう一方の槽に析出する銅の質量を求めます。原子量はAg = 108、Cu = 64とし、答えは有効数字3桁で表します。
- 直列という条件を使います。直列につないだ電解槽を同じ時間に通る電気量は等しいため、両方で反応した電子の物質量も等しくなります。析出する金属の質量が等しいとは限りません。
- 銀を物質量へ直します。n(Ag) = 2.16/108 = 2.00×10⁻² molです。Ag⁺ + e⁻ → Ag より、必要な電子も2.00×10⁻² molです。
- 銅の反応へ移します。Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu なので、銅の物質量は電子の半分の1.00×10⁻² molです。これに64 g/molを掛けます。
答え:銅は0.640 g析出します。
銀と銅の質量比は、108と64の比だけでは決まりません。同じ電子1 molからできる量を比べると、銀は1 molで108 g、銅は0.5 molで32 gです。したがって質量比は108:32であり、今回の2.16:0.640と一致します。並列の場合は各枝の電流が同じとは限らないので、この直列の関係をそのまま使えません。
例題4 アルミニウム製造の理論電気量を求める
アルミニウムの溶融塩電解で、Alを2.70 g得るのに必要な理論上の電気量を求めます。陰極の反応は Al³⁺ + 3e⁻ → Al と表して考えます。原子量はAl = 27とし、答えは有効数字3桁で表します。
- アルミニウムの物質量を求めます。n(Al) = 2.70/27 = 0.100 molです。質量から出発する問題でも、まず物質量へ直せば係数比が使えます。
- 電子の物質量へ直します。Al 1 molをつくるには電子3 molが必要なので、n(e⁻) = 0.300 molです。Cu²⁺の計算に使った2を、ここへ持ち込まないようにします。
- 電子の物質量にFを掛けます。Q = 0.300×9.65×10⁴ = 2.895×10⁴ Cです。途中では桁を保ち、最後に有効数字3桁へ丸めます。
答え:必要な理論電気量は2.90×10⁴ Cです。
実際のアルミニウム製造では、酸化アルミニウムAl₂O₃を融解した氷晶石Na₃AlF₆に溶かして電気分解します。氷晶石を用いるのは、Al₂O₃だけを融解させるより低い温度で、電気分解できる液体にするためです。水溶液では水の還元が起こりやすく、金属アルミニウムを得る方法にはなりません。
溶融塩電解とは、水溶液ではなく、融解した塩などのイオンを含む液体を電気分解する方法です。高校での量的関係はAl³⁺とO²⁻を使って整理できます。炭素陽極では酸化物イオンに由来する酸素が炭素と反応し、主に二酸化炭素となります。陽極の反応を C + 2O²⁻ → CO₂ + 4e⁻ とまとめると、全体は 2Al₂O₃ + 3C → 4Al + 3CO₂ です。炭素陽極が消耗する点まで、反応式から読み取れます。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 食塩水の陰極にナトリウムを書く
誤った書き方は「Na⁺ + e⁻ → Na なので、食塩水の陰極にNaが析出する」です。違うのは、水溶液中の水を反応の候補から外した点です。正しい書き方は「水が還元され、2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻ となる」です。Na⁺が陰極側へ移動することは、Naになることを意味しません。
この反応は、水酸化ナトリウムの工業的な製造につながります。イオン交換膜法では、濃い食塩水を用い、陽極側で 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻、陰極側で水の還元を起こします。陽イオン交換膜はNa⁺を通し、Cl⁻やOH⁻の通過を抑えます。陰極側へ移動したNa⁺と、陰極で生じたOH⁻によって、水酸化ナトリウム水溶液が得られます。
全体の反応は 2NaCl + 2H₂O → 2NaOH + H₂ + Cl₂ です。NaOHは金属ナトリウムが析出してからできるのではなく、溶液中でNa⁺とOH⁻として存在します。膜で両極側を隔てることは、塩素と水酸化ナトリウムの反応を抑え、生成物を分けて取り出すために重要です。ここで扱うのは装置の原理であり、家庭で食塩水の電気分解を試す課題ではありません。
誤り2 陽極では必ず酸素が出るとする
誤った書き方は「硫酸銅(Ⅱ)水溶液なら、どんな電極でも陽極からO₂が出る」です。違うのは、電極の材質を無視している点です。正しい書き方は「白金陽極なら水が酸化され、銅陽極なら通常は Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ と銅が溶ける」です。溶液名が同じでも、陽極の反応は変わります。
図3のように、銅の電解精錬では不純物を含む粗銅を陽極、薄い純銅の板を陰極にします。電解液には硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)水溶液を用います。粗銅の銅が陽極でCu²⁺となり、陰極ではCu²⁺が電子を受け取って純銅として析出するため、陰極側に純度の高い銅が集まります。

粗銅中の鉄や亜鉛など、銅よりイオン化傾向が大きい金属は陽極で溶けてイオンとなり、通常の精錬条件では陰極に析出しにくく、溶液中に残ります。銀や金など、銅よりイオン化傾向が小さい金属は陽極で溶けにくく、陽極泥として底にたまります。「不純物はすべて陽極泥になる」という覚え方では、この違いが説明できません。
純銅の電極同士なら、理想的には溶ける銅と析出する銅の物質量は等しく、Cu²⁺の量は変わりません。ただし、粗銅に他の金属が含まれると、それらの溶解にも電気量が使われるため、陽極全体の減少質量と陰極の増加質量が厳密に等しいとはいえません。電解精錬の問題では、純銅の移動だけを計算する条件なのか、不純物まで含めるのかを読み取ります。
誤り3 Q/Fをそのまま生成物の物質量にする
誤った書き方は「酸素の物質量はQ/Fだから、体積は22.4Q/F」です。違うのは、Q/Fが電子の物質量であるのに、酸素の物質量としている点です。正しい書き方は「酸素1 molに電子4 molが対応するので、標準状態での体積は22.4Q/(4F) L」です。数値を代入する前に、半反応式の電子の係数へ印を付けます。
半反応式を2倍しても答えは変わりません。たとえば酸素2 molに電子8 molが対応すると書けば、物質量の比はやはり1:4です。「電子の係数だけで割る」と覚えるより、求める物質の係数を電子の係数で割って掛ける、と読むほうが、式の書き方に左右されません。水素と酸素なら同じ電気量に対して物質量比は2:1で、同温・同圧の気体の体積比も2:1です。
練習問題
以下では、F = 9.65×10⁴ C/mol、標準状態での気体のモル体積を22.4 L/molとし、電流効率は100%とします。反応に必要な物質は十分にあり、数値の答えは有効数字3桁で示します。原子量はH = 1.0、O = 16、Na = 23、Cu = 64とし、換算にはNaOH = 40 g/mol、Cu = 64 g/molを用います。
練習1 食塩水から生じる物質の量
イオン交換膜法で濃い塩化ナトリウム水溶液を電気分解し、9.65×10³ Cの電気量を流しました。陰極で生じる水素の標準状態での体積、陽極で生じる塩素の物質量、陰極側に得られる水酸化ナトリウムの質量を求めてください。膜によって生成物の混合と副反応は防がれるものとします。
練習2 酸素の体積から通電時間を求める
白金電極を使って希硫酸を電気分解し、陽極で標準状態の酸素0.224 Lを得ました。電流が一定の1.93 Aだったとき、必要な時間をsで求めてください。また、同じ間に陰極で生じた水素の標準状態での体積も求めてください。
練習3 電解精錬で不純物を分類する
粗銅に少量の亜鉛と銀が含まれています。通常の銅の電解精錬の条件で、それぞれは主にどこへ移りますか。また、陰極に銅0.320 gが析出したとき、その銅の析出に使われた電気量を求めてください。陰極では銅の析出だけが起こるものとします。
練習4 水溶液と融解した塩を比較する
塩化ナトリウムについて、濃い水溶液を電気分解する場合と、水を含まない融解した塩を電気分解する場合の陰極反応を、それぞれ半反応式で書いてください。両者で陰極の生成物が異なる理由を、水の有無に触れて説明してください。
答えと解説
練習1の答えは、水素1.12 L、塩素5.00×10⁻² mol、水酸化ナトリウム4.00 gです。電子は9.65×10³/(9.65×10⁴) = 0.100 molです。水素と塩素はどちらも電子2 molにつき1 molなので、それぞれ0.0500 mol生じます。陰極の式では電子とOH⁻の係数比が1:1なので、NaOHは0.100 molに相当します。塩素の係数に合わせてNaOHまで半分にしないことがポイントです。
練習2の答えは、2.00×10³ s、水素0.448 Lです。酸素の物質量は0.224/22.4 = 0.0100 molで、電子はその4倍の0.0400 molです。電気量は3.86×10³ Cなので、t = Q/Iから時間を求めます。水素は電子の半分の0.0200 molであり、体積は酸素の2倍になります。
練習3の答えは、亜鉛は主にZn²⁺として溶液中に残り、銀は主に陽極泥となり、電気量は9.65×10² Cです。析出した銅は0.320/64 = 0.00500 molなので、電子は0.0100 molです。これにFを掛けます。この値から陽極全体の減少質量を銅0.320 gと決めることはできません。陽極では亜鉛の溶解も起こり得るためです。
練習4の答えは、水溶液では 2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻、融解した塩では Na⁺ + e⁻ → Na です。水溶液ではNa⁺より水が還元されやすいため、水素が発生します。融解した塩には水がなく、陰極でNa⁺が還元されます。同じNaClでも、溶媒として水があるかどうかで反応の候補が変わります。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
電気分解で身につけた「条件を確認してから反応式を書く」という順序は、無機化学で金属の製法を整理するときに使えます。特に、銅は水溶液から得られるのに、アルミニウムは溶融塩電解を使う理由を、水の反応と結びつけて説明できると、製法の暗記が具体的になります。次に反応速度を学ぶときも、反応する物質の種類と、反応が進む速さを分けて考える姿勢が役立ちます。
家庭では、まず5分で、紙に電源と2本の電極だけを描いてみます。正極・負極との接続、陽極・陰極の名称、電子の移動方向を加え、酸化と還元がどちらで起こるか声に出して説明します。次の5分では、Cu²⁺、Ag⁺、水素、酸素について、生成物1 molに対応する電子の物質量を半反応式から書き出します。実物の装置や薬品は必要ありません。
個別指導では、答えが違った段階に応じて、電源の接続、原子数と電荷の合わせ方、molへの換算まで戻って確かめます。保護者の方がお子さまの説明を聞く場合も、数値だけでなく「なぜ2で割ったのか」を尋ねると、計算の意味がつながっているかを確かめられます。
まとめ
電気分解の答案で根拠になるのは、生成物の名前を思い出したことよりも、その条件で電子を渡す粒子と受け取る粒子を選べたことです。水を候補に入れたか、電極が溶けるか、必要な電子は何molかという判断が、最後の質量や体積を支えます。
計算が合わないときは、掛け算をやり直す前に半反応式へ戻ってみます。そこには電極の変化も、工業的な製造の理由も、計算で使う比も書かれています。電気分解の答えを決めるのは、電極の名前だけではなく、そこで出入りする電子の数と反応の相手です。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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