【中2理科】電流と磁界を図解で総まとめ—磁界の向き・電磁誘導・静電気と電子|武蔵野個別指導塾

磁界の矢印と電子の移動を3枚の図で整理し、モーターの力の向き、誘導電流、交流の周期を例題で確かめます。電流の向きと電子の動きを区別して、図の読み違いを直せるようにしましょう。

よくあるのは、部活帰りの自転車置き場でライトの発電機を見て、「電気でモーターが回るのに、なぜ回すと電気ができるのだろう」と考え、ノートの電流と磁界の矢印が混ざってしまう場面です。磁石、コイル、電流という同じ道具が出てくるため、何を原因にして何が起きたのかを見失いやすい単元です。

まず、電流を流して磁界をつくる場合、電流が磁界から力を受ける場合、磁界の変化から電流が生じる場合を分けましょう。さらに、静電気を電子の移動で説明できると、目に見えない電気を「どちらへ、何が動いたか」という図で考えられます。右手と左手を使う前に、図の矢印が表すものを確かめるのが出発点です。

この単元で身につけること

  • 磁界と磁力線を区別します。磁力がはたらく空間を磁界といい、その向きや強さを線で表したものが磁力線です。
  • 電流がつくる磁界の向きを求めます。直線の導線とコイルで、右手のどこを電流の向きに合わせるかを使い分けます。
  • モーターの力の向きを考えます。電流と磁界の向きを別々に読み、どちらかを逆にした結果を判断します。
  • 電磁誘導が起こる条件を説明します。磁石があるかだけでなく、コイルの中の磁界が変化しているかに注目します。
  • 直流と交流、静電気と電子を結びつけます。電流の流れ方、帯電、放電を整理し、放射線の性質と利用にも触れます。

前の回路の学習で扱った電流の向きと、電流の単位 A、電圧の単位 V が土台になります。多くの教科書では中2で学びますが、磁石のN極・S極や異なる極どうしが引き合う性質に戻って確かめてもかまいません。

基本の考え方

磁界の向きは方位磁針のN極で決めます

磁石のまわりには磁界があります。ある場所の磁界の向きは、その場所に置いた方位磁針のN極が指す向きです。磁石の外側では、磁力線はN極から出てS極へ入ります。磁力線そのものが空間に浮かんでいるわけではなく、目に見えない磁界を表すための線です。磁力線が混み合うところほど磁界が強いと読みます。

直線の導線に電流を流すと、導線を中心とする同心円状の磁界ができます。右手の親指を電流の向きに合わせると、残りの指を曲げた向きが磁界の向きです。図1のように、紙面の手前へ流れる電流は点、紙面の奥へ流れる電流は交差する線で表せます。矢を正面から見ると先端が点に、後ろから見ると羽根が交差する形に見えると考えると区別できます。

図1 紙面に垂直な電流と導線のまわりの磁界

図1の左では磁界が反時計回り、右では時計回りです。同じ距離で比べれば、電流を大きくすると磁界は強くなります。同じ電流なら、導線から遠ざかるほど磁界は弱くなります。図の円は代表的な磁力線であり、円が描かれていない場所にも磁界はあります。

導線を何回も巻いたコイルでは、棒磁石に似た磁界ができます。右手の4本の指をコイルを流れる電流の向きに曲げると、親指がコイル内部の磁界の向き、つまりN極になる側を指します。一方の端から見て電流が反時計回りなら、その端がN極です。電流を逆にするとN極とS極が入れかわります。電流を大きくする、同じ長さに巻く回数を増やす、鉄心を入れるといった方法で、電磁石を強くできます。

電流を力に変えることと、動きから電流を得ること

磁界の中の導線に電流を流すと、導線が力を受けます。電流と磁界が直角なら、力はその両方に垂直な向きです。左手の人差し指を磁界、中指を電流に合わせたときの親指が力の向きになる関係を、フレミングの左手の法則といいます。右手は電流がつくる磁界、左手は電流が受ける力、と目的から選びます。

モーターでは、コイルの向かい合う辺に逆向きの電流が流れ、それぞれが反対向きの力を受けて回転します。基本的な直流モーターの整流子は、半回転ごとにコイルを流れる電流を逆にして、同じ向きに回転を続けられるようにします。電気のエネルギーを運動に変える装置です。

反対に、コイルを貫く磁界を変化させると電圧が生じます。これが電磁誘導です。回路が閉じていれば誘導電流が流れ、磁石をコイルに出し入れする実験で確かめられます。磁石を止め、磁界が変化しなくなると誘導電流は流れません。発電機は磁石とコイルの位置関係を変化させ、運動のエネルギーから電気のエネルギーを取り出します。

直流・交流と、電気を運ぶ電子

乾電池による電流のように、向きが変わらない電流を直流といいます。向きと大きさが周期的に変わる電流が交流です。交流が同じ変化を1秒間に何回繰り返すかを周波数といい、単位は Hz を使います。1往復の変化が1回であり、向きが変わるたびに1回と数えるのではありません。

物体をこすり合わせると、一方から他方へ電子が移動して帯電することがあります。電子は-の電気を帯びています。電子を受け取った物体は-に、失った物体は+に帯電し、同種の電気どうしは反発し、異種の電気どうしは引き合います。金属の中で移動する電子の向きは、約束で決めた電流の向きと逆です。この違いは、静電気と回路をつなぐ要点になります。

例題で解き方を確かめる

例題1 導線の右側の磁界を読む

図1の左の導線を真上から見ています。電流は紙面の奥から手前へ流れています。導線の右側の点Aで、方位磁針のN極は紙面の上と下のどちらを向くでしょうか。

  1. 電流が手前向きであることを、中央の点の記号で確かめます。磁界の円周上の矢印と電流の向きを取り違えないためです。
  2. 右手の親指を手前へ向け、4本の指が反時計回りに曲がることを確かめます。これで磁界が円を回る向きに決まります。
  3. 円の右端で、円に沿う向きを読みます。方位磁針は導線へ向くのではなく、その点の磁界に沿うため、答えは紙面の上向きです。

電流を逆にすれば時計回りになり、同じ点AでN極は下を向きます。点Aを左側に移した場合も向きは変わるので、電流の向きだけでなく観測する場所まで確認しましょう。

例題2 モーターで受ける力を判断する

図2ではN極が左、S極が右にあり、磁界は右向きです。導線の電流を紙面の手前から奥へ流すと、導線はどちらへ力を受けるでしょうか。また、電流だけを逆にした場合と、電流・磁界の両方を逆にした場合を考えます。

図2 右向きの磁界と奥向きの電流が生む力
  1. 磁石の間の磁界をN極からS極へ読んで、左手の人差し指を右へ向けます。磁界は磁石の外側の向きで決めるからです。
  2. 中指を紙面の奥へ向けます。親指が下を向くので、図2の導線が受ける力は下向きです。
  3. 変更する条件を1つずつ調べます。電流だけを逆にすると力は上向き、さらに磁界も逆にすると力はもう一度逆転して下向きです。

「逆にしたら力も逆」とだけ覚えると、両方を変える問題で間違えます。電流だけ、磁界だけなら逆、両方なら元と同じ、と変更の回数を追いましょう。磁石のN極とS極を交換することは、導線の場所の磁界を逆向きにする操作です。

例題3 誘導電流が流れる条件を比べる

コイルと検流計をつなぎ、N極を近づけると針が右に振れました。同じ接続のまま、N極をコイル内で止めたとき、N極を遠ざけたとき、S極を近づけたときの針の振れを答えましょう。

  1. 最初の観測を基準にします。針が左右のどちらへ振れるかは接続にもよるため、「N極なら必ず右」と一般化しないためです。
  2. 磁界が変化しているかを確認します。N極を止めたときは変化がないので、針は中央に戻り、誘導電流は流れません。
  3. 基準から変えた操作を比べます。N極を遠ざけるときは動きが逆なので左、S極を近づけるときは極が逆なので左へ振れます。

同じ磁石とコイルで速く動かすと、磁界の変化が速くなり、誘導電流は大きくなります。条件をそろえれば、磁石を強くすることやコイルの巻き数を増やすことでも大きくできます。比較実験では、動かす速さと巻き数を同時に変えないことが大切です。

例題4 交流が1回変化する時間を求める

周波数が50 Hzの交流があります。同じ状態へ戻るまでの1回の変化に何秒かかるでしょうか。また、0.10 sでは何回の変化を繰り返すでしょうか。

  1. 50 Hzを「1 sに50回」と読み替えます。単位の意味から計算を選ぶためです。
  2. 1回にかかる時間 = 1 s ÷ 50 = 0.02 s と求めます。1秒を50等分した時間が周期です。
  3. 0.10 s ÷ 0.02 s = 5 と計算します。答えは5回で、時間どうしを割るので回数に秒は付きません。

向きが反対になる半回分の時間と、同じ状態へ戻る1回分の時間は別です。波形を読むときも、山から隣の山まで、という対応する位置で1回を数えます。

つまずきやすいところと直し方

磁力線の矢印を電流の矢印だと思う

「導線のまわりを電流がぐるぐる流れる」という読み方は誤りです。図1で円を描いているのは磁界であり、電流は導線の中を紙面に垂直に流れています。矢印のそばに「電流」「磁界」と書き足し、何の向きかを先に分類しましょう。コイルでも、電流は巻かれた導線に沿い、内部の磁界はコイルの軸に沿います。電流と磁界は常に同じ向き、という関係ではありません。

磁石が入っていれば発電し続けると思う

「強い磁石をコイルに入れておけば、ずっと電流が流れる」という考え方では、電磁誘導に必要な変化が抜けています。磁石とコイルが静止し、磁界が一定なら誘導電流は流れません。近づける、止める、遠ざけるという時間の順に分けて判断します。磁石を固定してコイルを動かす場合でも、コイルを貫く磁界が変われば電磁誘導は起こります。発電機を回すには外からエネルギーを与える必要があり、磁石だけが電気を無限に供給するわけではありません。

+に帯電するときは+の粒が移ると思う

こすった物体が+になったからといって、この場合に+の電気が移動したと考えるのは誤りです。図3は、電子が布から棒へ移動する場合の模式図です。電子を失った布が+、受け取った棒が-になります。図の記号は実際の粒子数や大きさを表すものではありません。

図3 布から棒への電子の移動と帯電の対応

図3のように、移動するものを電子にそろえて説明すると、+は電子の不足、-は電子の余分として読めます。たまった電気が空気中などを移動したり、流れ出したりする現象が放電です。雷も放電の一例ですが、静電気を確かめるために火花を起こす必要はありません。

圧力を低くした気体中で高い電圧をかける放電管では、陰極から出る電子の流れを調べられます。電子の流れである陰極線と、放電の際などに生じることがあるX線を同じものとしないようにしましょう。X線は放射線の一種です。放射線には物質を通り抜ける性質などがあり、医療や検査で利用されますが、人体への影響は種類や受ける量などによって異なります。放射線を出す性質は放射能といい、放射線そのものと区別します。放電管などの実験は先生の管理のもとで行います。

練習問題

練習1 図1の右のように電流が紙面の奥へ流れるとき、導線の右側で磁界は上向き、下向きのどちらですか。

練習2 図2の状態から、電流をそのままにして磁石のN極とS極だけを交換しました。力の向きを答えましょう。

練習3 例題3と同じ接続で、S極をコイルから遠ざけました。針はどちらへ振れますか。その後、磁石を止めるとどうなりますか。

練習4 周波数が60 Hzの交流が、0.50 sに繰り返す変化は何回ですか。また、こすって電子を失った物体の帯電は+、-のどちらですか。

答えと解説

練習1は下向きです。右手の親指を奥へ向けると磁界は時計回りになり、円の右端では下を向きます。

練習2は上向きです。磁界だけを逆にすると、電流が受ける力も逆になります。

練習3は右へ振れ、止めると中央に戻ります。基準の「N極を近づける」から極と動きの両方が逆なので、誘導電流の向きは基準と同じです。

練習4は30回、+です。60 × 0.50 = 30 と求めます。電子は-なので、失った物体には+の電気が余ります。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

電子の移動は、次に水溶液とイオン、電池を学ぶときの土台になります。モーターと発電機は、エネルギーの移り変わりにもつながります。家庭では5分で、紙に点と交差する線を描き、右手で磁界の向きを確かめてみましょう。次に、紙に電子の印を3個描いて一方から他方へ移し、失った側と受け取った側の符号を書きます。電源や火花を使わずに、向きと帯電を練習できます。

個別指導では、手の形が合わない原因を、電流の読み取り、見る方向、磁石の極の区別まで戻って確かめます。答えの矢印だけでなく、どの条件を変えたかを言葉で説明できるところまで確認すると、図が回転しても考え直せます。

まとめ

図を見て迷ったら、動いているものと、変化させた条件を一つずつ書き出しましょう。正しい矢印を選べても、その理由が「前と同じ図だから」なら、場所や向きを変えてもう一度確かめる余地があります。電流が磁界をつくることと、磁界の変化が電流を生むことを区別できれば、モーターと発電機を同じ道具から説明できます。電流と磁界の理解は、矢印に原因を添えたところから確かになります。


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