【中1理科】地震を図解で総まとめ—P波・S波と初期微動継続時間の計算|武蔵野個別指導塾

地震の記録にある2つの到着時刻から、初期微動継続時間と震源距離を求めます。震源と震央の図、波形、到着時間のグラフを使い、震度とマグニチュードや緊急地震速報の仕組みまで順に追えば、ニュースの数字も読めるはずです。

よくあるのは、図書館の机で地震の問題を解き、記録の「10時00分10秒」と「10時00分20秒」のどちらを式に入れるか迷う場面です。P波が速いことは覚えていても、地震の発生時刻、波が届いた時刻、届くまでにかかった時間を同じものとして扱うと、計算が止まってしまいます。

地震の問題は、地下のどこで起きたか、何が伝わるか、観測地点で何を記録したかを順に分けると整理できます。最初に地面が揺れ始めた時刻と、大きな揺れが始まった時刻の間隔には、震源までの距離を知る手がかりがあります。波形の見た目だけでなく、横軸や単位を読むことが大切です。

多くの教科書では地震を中1で学びます。速さや比例の考え方を使って記録を読み、ニュースで耳にする震度やマグニチュードも、何を表す数なのか説明できるようにしていきましょう。

この単元で身につけること

  • 震源と震央を区別します。地下で地震が発生した場所と、その真上の地表の地点を図で対応させます。
  • P波とS波の到着順を説明します。2種類の波の速さの違いから、初期微動と主要動が順に現れる理由を考えます。
  • 初期微動継続時間を求めます。2つの到着時刻の差を取り、地震が発生してからの経過時間と区別します。
  • 震源距離を計算します。速さが一定という条件のもとで、距離と時間の比例関係を表やグラフに結びつけます。
  • 震度とマグニチュードを使い分けます。ある場所の揺れの強さと、地震そのものの規模を混同しないようにします。
  • プレートの動きと地震を結びつけます。緊急地震速報が、地震の発生後に得られた情報を利用することも押さえます。

小学校で学んだ大地の変化に、「震動が時間をかけて伝わる」という見方を加える単元です。算数の速さも、移動する物体だけでなく、波が伝わる距離を考えるために使えます。

基本の考え方

地震が起きる場所とプレート

地下の岩石には、周囲からの力によってひずみがたまることがあります。岩石が急にずれると、蓄えられていたエネルギーが放出され、その一部が地震の波として周囲に伝わります。岩石のずれによって生じる割れ目が断層です。地震では、広がりをもつ断層面に沿ってずれが進むことがあります。

震源は、地下で岩石の破壊が始まった場所です。震央は、その震源の真上にある地表の地点です。中学の問題では震源を1点として示し、そこから観測地点までの距離を震源距離と呼びます。震央から観測地点までの地表に沿った距離である震央距離とは、出発点が違います。

図1 震源と震央の位置および観測点までの距離

図1のように、震源と震央は上下に並びます。赤い点から観測点までの斜めの線が震源距離です。観測点が震央にあっても、震源が地下にあるなら震源距離は0になりません。この区別は、距離が書かれた表を使う前に確かめておきたいところです。

地球の表面付近は、プレートという硬い岩盤で覆われています。プレートは非常にゆっくり動き、海のプレートが別のプレートの下に沈み込む場所では、境界付近にひずみがたまります。その境界で急にずれが起きる場合のほか、沈み込むプレートの内部や陸側のプレートの内部でも地震は起こります。「地震はすべてプレートの境界だけで起きる」とは考えないようにします。

先に届く波と後から届く波

P波とS波は、地震によって生じ、地中を伝わる波です。P波はS波より速いため、同じ震源から出た波を同じ地点で観測すると、P波が先に到着します。P波による最初の比較的小さな揺れを初期微動、S波が届いてからの大きな揺れを主要動といいます。

P波が到着してからS波が到着するまでの時間が、初期微動継続時間です。「初期微動」という揺れの名称に、「継続時間」という長さを表す言葉がついています。初期微動が続く間にもS波は進んでいます。P波が観測地点に着いてからS波が震源を出るわけではありません。

速さの異なる2人が同時に同じ場所を出発すると、遠くの到着点ほど到着時刻の差が大きくなります。地震の波も、各波の速さを一定とする問題では同じ関係になります。震源距離が2倍なら、それぞれの到着までの時間も、その差も2倍になります。

実際の地中では、場所によって波の速さが変わります。計算問題では、示された速さや「初期微動継続時間は震源距離に比例する」という条件を使います。いつでも同じ係数で距離を求められると決めつけず、その問題の表や条件を確かめます。

震度、マグニチュード、緊急地震速報

震度は、ある観測地点での揺れの強さを表します。日本の震度階級は、0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10段階です。同じ地震でも、震源からの距離や地盤などによって地点ごとの震度は異なります。一方、マグニチュードは地震そのものの規模を表す数です。観測地点ごとに地震の規模が別々になるわけではありません。

緊急地震速報は、地震の発生後、震源に近い地震計が捉えたP波などの情報から震源や規模を推定し、各地の強い揺れを予測して伝える仕組みです。情報は地震の波より速く伝えられるため、S波による強い揺れより先に知らせられる場合があります。ただし、震源に近い場所などでは間に合わないことがあります。地震の発生前に日時を当てる仕組みではありません。

例題で解き方を確かめる

例題1 波形から時間を読む

ある地点で、初期微動が10時00分10秒に始まり、主要動が10時00分20秒に始まりました。初期微動継続時間を求め、それぞれの始まりに到着した波の名前を答えましょう。図2は、その記録の時間関係を表した模式図です。縦方向の振れは揺れの様子を示しており、震度の目盛りではありません。

図2 P波とS波の到着時刻と初期微動の区間
  1. 小さな揺れが始まった位置を探します。先に届くのはP波なので、10時00分10秒がP波の到着時刻です。
  2. 大きな揺れが始まった位置を探します。後から届くS波の到着時刻は、10時00分20秒です。
  3. 後の時刻から前の時刻を引きます。初期微動継続時間 = 20秒 – 10秒 = 10秒となります。

答えは10秒で、順にP波、S波です。図2の横軸は10時00分からの秒数なので、最初の10秒間はこの地点でまだ揺れが記録されていません。この区間を初期微動に含めないようにします。また、この記録だけで地震が10時00分00秒に発生したとはいえません。

例題2 比例を使って震源距離を求める

同じ地震を観測したA地点では、震源距離が60 kmで、初期微動継続時間が10秒でした。B地点の初期微動継続時間が15秒のとき、震源距離を求めましょう。ただし、両地点で初期微動継続時間は震源距離に比例するものとします。

  1. 基準となる組を取り出します。A地点の「10秒で60 km」を1組として使うのは、時間と距離の対応を保つためです。
  2. B地点の時間が何倍かを求めます。15 ÷ 10 = 1.5なので、距離も1.5倍です。
  3. 距離を計算します。60 km × 1.5 = 90 kmとなります。

答えは90 kmです。60 km ÷ 10秒 = 6 km/秒として、6 km/秒 × 15秒 = 90 kmと求めてもかまいません。ただし、この6 km/秒は「到着時刻の差1秒に対応する震源距離」であって、この情報だけからP波やS波自体の速さと呼ぶことはできません。

例題3 2地点の記録から波の速さと発生時刻を求める

次の表は同じ地震の記録です。P波の速さ、S波の速さ、地震の発生時刻を求めましょう。各波は震源からそれぞれ一定の速さで伝わったものとします。

地点 震源距離 P波の到着時刻 S波の到着時刻
A 60 km 10時00分10秒 10時00分20秒
C 120 km 10時00分20秒 10時00分40秒
  1. 距離の差を取ります。120 km – 60 km = 60 kmです。同じ地震なので、到着時刻の差から、余分な距離を伝わるのにかかった時間を取り出せます。
  2. P波どうしの時刻を引きます。20秒 – 10秒 = 10秒なので、P波の速さ = 60 km ÷ 10秒 = 6 km/秒です。
  3. S波どうしの時刻を引きます。40秒 – 20秒 = 20秒なので、S波の速さ = 60 km ÷ 20秒 = 3 km/秒です。
  4. A地点までのP波の所要時間を求めます。60 km ÷ 6 km/秒 = 10秒です。到着時刻から10秒戻すと、発生時刻は10時00分00秒です。

S波でも60 km ÷ 3 km/秒 = 20秒となり、到着時刻の10時00分20秒から戻すと同じ発生時刻になります。2つの波で答えが一致することを確かめると、時刻の引き間違いを見つけやすくなります。

この問題では、120 kmを2地点の到着時刻の差で割ってはいけません。差の10秒に対応する距離は60 kmだからです。「全体の距離と全体の時間」か「距離の差と時間の差」かをそろえることが、速さの計算の土台です。

つまずきやすいところと直し方

初期微動継続時間をP波の所要時間にする

「P波が届くまで10秒だから、初期微動継続時間も10秒」という考え方は、測り始めを取り違えています。P波の所要時間は地震の発生から測り、初期微動継続時間はP波の到着から測ります。例題3ではたまたま両方が10秒ですが、いつも一致するわけではありません。

たとえば震源距離が60 kmで、P波の速さが6 km/秒、S波の速さが4 km/秒なら、それぞれ10秒、15秒で届きます。初期微動継続時間は15秒 – 10秒 = 5秒です。式を書く前に、時間の始点と終点を言葉にします。

グラフの線が急な方を必ず速いと考える

「傾きが大きい方が速い」とだけ覚えると、軸が入れ替わったときに誤ります。図3は横軸が発生後の時間、縦軸が震源距離です。この配置では、同じ時間でより遠くまで進むP波の線が急になります。

図3 震源距離と到着までの時間を表す2本の直線

図3の60 kmの高さで横に読むと、P波は10秒、S波は20秒で届き、その横方向の間隔が10秒です。横軸を距離、縦軸を時間にした図なら、同じ距離に短時間で届くP波の線の方が緩やかになります。線の見た目より先に、軸の名前と単位を読みます。

マグニチュードが同じなら震度も同じと考える

「同じ地震だから、どの町も同じ震度になる」という考え方では、規模と地点ごとの揺れが混ざっています。マグニチュードが表すのは地震の規模であり、震度は観測地点の揺れの強さです。一般に震源から遠いほど揺れは弱まりますが、地盤などの影響も受けます。

正しくは、まず説明の対象が「地震そのもの」か「ある場所」かを確かめます。「A地点は震度3、B地点は震度4」は同じ地震でも成立します。波形の振れの大きさだけから、条件を見ずに震度を決めることも避けましょう。

練習問題

各問は独立した問題です。計算では答えだけでなく、使った時間が「時刻の差」なのか「発生からの所要時間」なのかもノートに書いて確かめましょう。

練習1

震源の真上の地表の地点を何と呼びますか。また、その地点から観測地点までの地表に沿った距離を何と呼びますか。

練習2

P波が14時02分58秒、S波が14時03分06秒に到着しました。初期微動継続時間は何秒ですか。

練習3

初期微動継続時間と震源距離が比例し、8秒の地点の震源距離が48 kmでした。12秒の地点の震源距離を求めましょう。

練習4

震源距離90 kmの地点に、P波が6 km/秒、S波が3 km/秒で伝わります。各波の所要時間と初期微動継続時間を求めましょう。

答えと解説

練習1:震央、震央距離です。地下の震源から測る震源距離とは区別します。

練習2:8秒です。次の分までの2秒と、その後の6秒を足します。06から58をそのまま引くことはできません。

練習3:72 kmです。48 km × (12 ÷ 8) = 72 kmとなります。

練習4:P波は15秒、S波は30秒、初期微動継続時間は15秒です。90 ÷ 6 = 15、90 ÷ 3 = 30を求め、後の到着時間から前の到着時間を引きます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

地震で生じる断層や地面の上下の変化は、この先に学ぶ地層や大地の変化とつながります。また、記録から距離と時間の対応を読み取る力は、物体の運動をグラフで考えるときにも役立ちます。

家庭では5分ほどで、次の2つを試せます。1つ目は、紙に地表の線と地下の点を描き、震源・震央・観測地点を書き込むことです。指で震源距離と震央距離をたどり、始点の違いを説明します。2つ目は、練習2の時刻を紙の時間の線に置くことです。分が変わる位置を挟んで秒数を数え、引き算の答えと照らし合わせます。

個別指導で計算が止まったときは、波の名前だけでなく、「速さ = 距離 ÷ 時間」と時刻の引き算まで戻って確かめます。図のどの区間を計算したのかを指せれば、式と現象を結び直せます。

まとめ

地震の記録にある数字は、地下で起きた出来事が各地点へ伝わった跡です。計算の答えを出したら、その時間の始まりと終わり、距離の出発点を図の上で示してみましょう。そこまで説明できると、表が変わっても、時間の軸が入れ替わっても、必要な関係を自分で取り出せます。

到着時刻の差を正しく読むことは、見えない地下の距離を測ることにつながります。


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