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子供が勉強しないときの声かけ—言う時刻と最初の一言、言わずにおく三つの言葉|武蔵野個別指導塾

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夕食の皿を置いて座ってから、科目の名前と二つの選択肢だけを言い、10秒黙って待つ。比べる・脅す・突き放す言葉を使わずに、勉強しない中学生へ最初の一言をかける手順を、言い換えの例つきでまとめてあります。

声をかけるのは、夕食を終えて親が手を止め、子供の近くに座ってからの一回にします。最初の一言は「宿題は」と問うのではなく、科目と物の名前を一つ言い、始める時刻か順番を二つの中から本人が選ぶ形にします。比べる・脅す・突き放すの三つの言葉は、言いたくなっても口に出しません。言い終えたら黙って10秒待ち、本人が決めた時刻までは二度目を言いません。今夜の最初の一手は、皿を流しに置いてから椅子に座ることです。

よくあるのは、夕食の皿を下げながら「宿題は」と言いかけた台所の場面です。背中越しの声は水の音にまぎれ、居間のソファからは「あとで」とだけ返ってきます。もう一度言おうと振り向くと、お子さまはスマホを見たまま顔を上げません。親の頭の中には、学校から届いた提出物のお知らせや、テストまでの日数が並んでいます。けれど、お子さまの耳に届いたのは「宿題は」の三文字と、少しとがった語尾だけです。何を言うかを考える前に、いつ、どの姿勢で言うかで、話の行き先はほとんど決まっています。

同じ一言でも、言う時刻で届き方が変わる

子供が勉強しないとき、親が今夜すぐに変えられるのは、言葉の中身よりも言う時刻です。同じ「宿題は」でも、帰ってきた直後と夕食の後と寝る前とでは、子供の側の受け取り方がまるで違います。家の中で声をかけがちな時刻を、四つに分けて見ていきます。

帰宅の直後

部活や学校から帰ってすぐの中学生は、頭の半分がまだ外に残っています。鞄を下ろし、水を飲み、制服を着替えるまでの数分は、学校での顔を家での顔へ戻している途中です。ここで「今日の宿題は」と聞かれると、休む前に予定を詰め込まれたように感じ、「今帰ったばかりなんだけど」と返したくなります。親の側も、帰ってきた顔を見た安心から、いちばん気になっていることをつい口にしてしまいます。帰宅の直後に言うのは「おかえり」と、必要なら「おやつは棚にあるよ」くらいまでにして、勉強の話はこの時刻に持ち込みません。

夕食の後

夕食の後は、空腹がおさまり、家族がまだ同じ部屋にいて、寝るまでの時間も残っています。声をかける時刻の第一の候補はここです。ただし、皿を下げながらや洗い物をしながら、つまり背中を向けたまま言うと、言葉は台所から飛んでくる指示に聞こえます。親が手を止めて、子供の斜め向かいに座ってから言うと、同じ一言でも相談の形に近づきます。部活や習い事で夕食が遅い日は、食後すぐにこだわらず、お風呂の前を候補にします。大事なのは時刻の名前ではなく、親子とも手が空いていて、やり直しのきく時間がまだ残っていることです。

寝る前

寝る前に「結局やってないじゃない」と言うと、子供にはもう取り返す時間がありません。できることが何も残っていない時刻にかけられた言葉は、相手を動かす力を持たず、責められたという気持ちだけを布団の中まで連れていきます。翌朝、目が覚めて最初に浮かぶのが昨夜の一言だと、その日の始まりまで重くなります。寝る前に勉強の話をするなら、やったかどうかの確認はせず、「明日の朝、何時に起こせばいい」のような翌日の段取りにとどめます。

何かの途中

動画の途中、ゲームの対戦の途中、友だちとのやり取りの途中で声をかけると、子供は区切りを親に取り上げられたように感じます。反発が向かう先は、言われた中身ではなく、割り込まれたことそのものです。途中の様子が見えたら、勉強の話を出す前に「それ、あとどのくらいで区切りがつく」と区切りの時刻だけを聞き、その時刻にもう一度来ます。

図1 帰宅の直後・夕食の後・寝る前で、子供の側の状態が違う

図1のように、帰宅の直後はまだ頭が切り替え中で、寝る前には時間が残っていないので、どちらも勉強の話には向きません。ここで言うと決めてよいのは、座って話せる夕食の後です。そのときも、皿を置いてから口を開くという順番だけは崩さないようにします。

家でできる手順—最初の一言から、待つ長さまで

塾で保護者の方から「結局、何て言えばいいのか」と聞かれたとき、最初に置くのは次の7つの手順です。どれも道具はいりません。変えるのは、言う人、言う時刻、言葉の並べ方、黙っている長さの四つです。

1. 声をかける人と時刻を、先に一つに決める

家の中で声をかける人が二人いると、子供は同じことを二回言われます。親が二人とも別々に「宿題は」と聞けば、一回ずつは短くても、受け取る側には二倍の重さになります。今週は誰が言うかを一人に決め、言う時刻も「夕食の後、皿を置いて座ってから」のように場面で決めておきます。もう一人は、その日は勉強の話をしないと決めて、ほかの話題の相手になります。

2. 最初の一言は、科目と物の名前から始める

「宿題は」「勉強は」という聞き方は、何を指しているのかがぼやけています。ぼやけた問いには、「あとで」「やる」というぼやけた返事しか返ってきません。最初の一言には、科目と物の名前を一つ入れます。たとえば「理科のワーク、明日出す分だよね」。親が知っている事実を一つ置くだけで、問い詰める調子が消え、子供の頭の中で「何の話か」がすぐに決まります。何が出ているか親が知らない日は、「今日は何か出てる」と事実を聞くところから始めてかまいません。

3. 続けて、二つから選ばせる

事実を一つ置いたら、次の一手を本人に選ばせます。選ばせるのは「やるか、やらないか」ではなく、「いつ始めるか」か「どれから始めるか」です。「お風呂の前にやる、それとも後にする」「プリントとワーク、どっちから片づける」。選択肢は二つにします。三つ以上にすると比べる手間が増え、決めないまま時間が過ぎていきます。どちらを選んでも、親は「わかった」とだけ返します。選んだ方に口を挟まずにおくと、決めたのは自分だという感覚が本人の手元に残ります。

4. 言い終えたら、黙って10秒待つ

二択を出したあと、返事が来るまで親は何も足しません。頭の中でゆっくり10まで数えます。中学生の返事は、親が待てる長さより少し遅れて出てくることがあります。黙っている間に「聞いてるの」「どっちなの」と重ねると、考えかけていた子供は考えるのをやめ、言い返す方に回ります。10秒たっても返事がなければ、「決まったら声かけて」とだけ言い、親は自分の用事に戻ります。その場を離れることは、見張っていないという合図にもなります。

5. 「あとで」には、時刻だけを聞き返す

返事が「あとで」だったときは、責めずに「何時から」とだけ聞き返します。本人が「9時」と言ったら、その数字を復唱して終わりにします。「9時ね」。ここで「本当に」「この前もそう言ったよね」と足すと、せっかく決まった時刻が言い争いの材料に変わります。時刻を言わないときは、親の方から「8時半か9時、どっちにする」と二択に戻します。時刻を決めるのが本人であるかぎり、どちらの数字になってもかまいません。

6. 決めた時刻に、一回だけ知らせる

本人が決めた時刻になったら、親の出番は一回だけです。「9時になったよ」。時刻という事実だけを言い、「やるって言ったよね」とは付け足しません。知らせたあとの15分は、二度目を言わずに待ちます。15分たっても動かないときに初めて、「始めにくいなら、最初の1問だけどれにするか決めようか」と、入口を小さくする提案をします。ここでも、決めるのは本人です。

図2 事実を一つ言い、二つから選ばせ、黙って待ち、決めた時刻に一言

図2のように、最初の一言は四つの段でできています。「事実を一つ言う」の段では科目と物の名前を、「二つから選ばせる」の段では「どっちにする」の形を使います。「黙って待つ」の段は10秒、「決めた時刻に一言」の段は一回だけです。どの段でも、親が言葉を足したくなる所で足さずにおくことが、この型の中身そのものです。

7. 一週間は同じ型で続け、日曜に一度だけ聞く

型を変えた初日に、子供がすぐ机に向かうとは限りません。親の言い方が本当に変わったのかを、子供は何日か様子を見て確かめます。同じ時刻、同じ型を一週間続け、日曜の夜に「今週の声かけで、嫌だった言い方はあった」と本人に一度だけ聞きます。返ってきたのが「別に」の一言でも、聞かれたこと自体が、親が言い方を気にかけているという知らせとして届きます。嫌だと言われた言い方があれば、次の週はそこだけを直します。

言葉と場面の例—言いがちな一言を、こう言い換える

台所や居間でつい出てしまう一言を、五つ言い換えます。言いがちな言葉、言い換え、変える理由の順に並べます。

  1. 「なんでやらないの」は、「どこで手が止まってる」に変えます。「なんで」は理由を答えさせる問いですが、勉強しない理由をその場で言葉にするのは大人でも難しく、言えないまま責められた形になります。「どこで」と聞けば、答えは場所になります。ワークの何ページ、プリントの何番、と指で示せる答えは、言い訳ではなく次の手がかりです。

  2. 「ちゃんとやりなさい」は、「漢字のプリント1枚で、今日は終わりにしよう」に変えます。「ちゃんと」の基準は親の頭の中にしかなく、子供からは、どこまでやれば終わりなのかが見えません。終わりの線を先に言っておくと、始める前から出口が見えるので、腰が上がりやすくなります。

  3. 「やる気あるの」は、「今日は疲れてる。それとも、やり方がわからない」に変えます。やる気があるかと聞かれた側には、言える答えがほとんど残っていません。「ない」と言えば叱られ、「ある」と言えば「じゃあやりなさい」が返ってくるからです。結局、口から出るのは「ある」か沈黙で、どちらも次の手につながりません。疲れなのか、わからなさなのかを二つに分けて聞けば、親が手を貸せる向きが見えてきます。

  4. 「やればできるじゃない」は、「数学から先にやったんだね」に変えます。褒めたつもりの「やればできる」には、今まではやっていなかった、という含みがあります。見たことをそのまま言葉にすると、評価ではなく事実として受け取られ、次の日も同じ順番を選びやすくなります。

  5. 「勉強しなさい」は、「今日のうちに片づけたいのは、どれ」に変えます。「勉強しなさい」には、何をどこまでやるかが入っていません。何が気がかりかを本人の口から言わせると、親が思っていた物と違う答えが返ってくることがあります。その食い違いこそ、親がまだ知らなかった本人の予定表です。

言わずにおく三つの言葉—比べる、脅す、突き放す

三つとも、親が本気で心配しているときに口から出る言葉です。心配が強いほど言葉は強くなり、強い言葉ほど、勉強とは別の所に跡を残します。図3のように、それぞれに置き換える一言を先に用意しておくと、のどまで出かかったときに差し替えられます。

図3 比べる・脅す・突き放す言葉と、置き換える一言

比べる—「上の子は、言わなくてもやってたのに」

親がやりがちなのは、きょうだいや友だち、近所の子の名前を出して比べることです。「隣の家の子は毎日2時間やってるって」も同じ型です。比べられた子供が考え始めるのは、勉強のことではなく、比べられた相手と自分の関係です。きょうだいと比べれば家の中に、友だちと比べれば学校の中に、勉強とは関係のない傷が残ります。しかも子供は、相手の得意な科目や家の事情をよく知っているので、「あの子とは違う」という言い返しをすでに持っています。直し方は、比べる相手を昨日のお子さまに替えることです。「昨日より10分早く始めたね」「先週は出せなかったプリント、今週は出せたね」。昨日の自分と比べられても、言い返す材料はありません。図3の「昨日と比べる」は、この置き換えを指しています。

脅す—「スマホ取り上げるよ」「このままだと高校に行けないよ」

脅しの言葉は、その場では子供を動かすことがあります。けれど、動いた理由は勉強の中身ではなく、失うものへの怖さです。怖さで机に向かった時間は、取り上げられる心配が消えると一緒に消えます。言った以上は実行しないと次の脅しが効かなくなり、親は言葉の強さを上げ続けることになります。「高校に行けない」のように親にも決められない先の話を持ち出すと、子供はその言葉が本当ではないことにすぐ気づきます。直し方は、約束を先にしておくことです。決まりが必要なら、言い争いの最中ではなく落ち着いている日に、「平日の夜、スマホは10時になったら居間に置く」のような生活の決まりとして、本人の言い分も聞いて決めます。言い争いの最中に持ち出された罰は、決まりではなく脅しとして届きます。

突き放す—「もう勝手にしなさい」「知らないからね」

突き放す言葉は、親が疲れ切ったときに出ます。言った側は「本人に任せた」つもりでも、子供には「見放された」か「怒らせたまま終わった」に聞こえます。そのあと本当に困ったときに、子供は親に相談しにくくなります。勉強のつまずきは、一人で抱えている時間が長いほどほどけにくくなります。直し方は、手を引くときにも待っていると言うことです。「今日はもう言わない。困ったら呼んで、待ってるから」。言わないと決めることと、待っていると伝えることは、一つの言葉の中で両立します。

よくある質問

中学生になって、声をかけると「うるさい」としか返ってこない

「うるさい」は、言葉の中身より、回数や言い方に向けられた返事であることがあります。まず、一日に何回勉強のことを口にしているかを数えてみます。二回以上なら、夕食の後の一回に減らします。言い方は、物の名前と二つの選択肢の型にそろえます。「うるさい」と返ってきた日も言い返さず、「そっか。時刻が決まったら聞かせて」で切り上げます。言い返されない夜が続くと、子供の側も身構える理由が減っていきます。

声をかけても子供が勉強しない。どうすればいいか

同じ型を一週間続けても机に向かわないときは、言葉だけでは届かない理由があるのかもしれません。授業がわからなくなっている、学校で何かあった、夜にあまり眠れていない、といった事情です。言葉をさらに強くする前に、担任に授業中や提出の様子を聞いてみます。理由がわからないまま声を大きくすると、子供は勉強からではなく、親の声から逃げるようになります。

テストの前だけは、強く言ってもいいか

テストの前は親も焦り、言う回数が増えやすい時期です。それでも、言う時刻と回数はいつもと同じに保ちます。いつもと違う時刻に違う勢いで言われると、子供はテストより親の様子に気を取られます。変えてよいのは中身の方で、「テストまでに、どの科目を一回見直しておきたい」と、範囲の中から本人に選ばせます。

学校と相談先で確かめること

声かけの型を変えるとき、学校で聞いておくと家の言葉が具体的になることがあります。面談や連絡帳で、次のように尋ねてみてください。

言葉を変えても家の中のぎくしゃくが続く、親の方がつらくなってきた、というときは、相談先を使います。スクールカウンセラーには、学校に来ている曜日に会えます。その曜日と申し込み方は、担任に聞いておきます。武蔵野市にお住まいなら、市の教育支援センターが、子育てや学校生活、性格や行動についての相談を予約で受けています。夜や休日に話を聞いてほしいときは、東京都教育相談センターの電話相談が24時間受け付けています。武蔵野市の外にお住まいの場合は、お住まいの市の教育委員会にある教育相談の窓口へ問い合わせます。

個別指導で確かめること

1対1の授業では、宿題やワークのどこで手が止まっているかを、授業の始めに本人と一緒に開いて確かめます。家で「英語のプリント」と物の名前を言われても、止まっている問題を自分で言えない子供は、どこから手をつけるかを決められないまま机の前に座ることになります。授業の終わりには、家で最初に解く問題を本人に選んでもらい、その問題の横に印を付けておきます。そうしておくと、保護者の方の一言は「印のところ、今日やる」の短さで足り、二つから選ばせる問いも「印の問題から、それとも単語から」と具体的になります。

まとめ

声かけで親が動かせるのは、言う時刻と、最初の一言の形と、黙っている長さです。先に座り、物の名前を一つ言い、選ぶのは本人に残す。返事を待つ10秒を親が言葉で埋めずに持ちこたえた夜、「宿題は」と言いかけた台所は、言い争いの場所から、次の一手を本人が決める場所に変わります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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