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都立の文化・スポーツ等特別推薦—一般推薦と同時に出せる仕組みと実技検査|武蔵野個別指導塾

令和9年度は90校が実施。同じ学校の一般推薦にも出せますが、面接と作文などの検査と2,200円がもう1回ずつ加わり、志願者が定員より少なくても基準に届かなければ落ちることがあります。
2027年4月に入学する今の中3が受ける令和9年度の都立入試で、文化・スポーツ等特別推薦(いわゆる都立のスポーツ推薦)の骨組みは次の表のとおりです。都教委の令和9年度の実施要綱と募集案内で確かめた決まりだけを並べました。
| 知りたいこと | 令和9年度の決まり |
|---|---|
| 行う学校 | 90校。山崎高校は令和9年度は行わない |
| 出し方 | 種目を1つ決め、1コース(1科)に出す。出した後に志望を変えることはできない |
| 一般推薦との関係 | 同じ学校の一般推薦にも一緒に出せる。その場合は一般推薦の面接と作文などの検査も受ける |
| 検査 | 全員に個人面接か集団面接と、実技検査 |
| 落ちることがある場面 | 学校が決めた基準に届かなければ、志願者が募集人員より少なくても不合格がありうる |
| 書類とお金 | 大会の成績などを証明する書類の写しは出さなくてよい。入学考査料2,200円は、一般推薦も出すならその分がもう1回要る |
| 日程 | 一般推薦と同じ。検査は2027年1月26日(火)・27日(水)、発表は2月2日(火) |
よくあるのは、7月の部活の帰りに顧問から「特別推薦、考えてみないか」と言われた中3が自転車を押して歩く場面です。推薦は成績のいい人が出すものだと思っていた。都大会で勝った記憶もない。言われた言葉を頭の中で並べ直しながら家に着き、汗で重くなったユニフォームを洗濯かごに放り込んで、台所の親に「都立のスポーツ推薦って知ってる?」とだけ聞く。親も首をかしげる。そこで話が止まったまま秋を迎えると、出すかどうかを決める時間は、12月の三者面談までの数週間に縮みます。
「卓越した能力」を見る推薦—一般推薦と何が違うのか
都教委の令和9年度の実施要綱は、推薦に基づく選抜を、一般推薦、文化・スポーツ等特別推薦、理数等特別推薦の3つに分けています。文化・スポーツ等特別推薦の目的として要綱が掲げるのは、「各都立高校の個性化・特色化を推進するため、卓越した能力をもつ生徒の力を評価し、選抜する」という一文です。学校が特色として育てたい部活動や文化の活動について、種目ごとに生徒を迎える推薦だと読めます。
学校ごとの一覧を開くと、野球やサッカー、陸上競技のような運動部の名前に混じって、吹奏楽や美術、和太鼓といった文化の活動も「種目等」の欄に並んでいます。世間ではスポーツ推薦と呼ばれがちですが、正式な名前の頭に「文化」が付いているのはそのためです。吹奏楽部の生徒が、自分には関係ない話だと思い込んで読み飛ばすのはもったいない入試です。
一般推薦との違いは、検査の組み方に出ます。一般推薦では全員に個人面接があり、小論文か作文、実技検査、学校が決める検査のうち1つ以上が加わります。特別推薦では、全員に個人面接か集団面接と実技検査があり、そのほかに小論文や作文を組み合わせるかどうかは学校の校長が決めます。
読み違えやすいのは、調査書の扱いです。要綱は、特別推薦での評定や観点別評価の扱いを「一般推薦の扱いと同様に」各校が定めるとしています。学校ごとの一覧を見ると、調査書に満点を置く種目が多い一方で、調査書の満点の欄に数字がなく、面接と実技検査などだけで満点を組む種目もあります。実技が得意なら通知表は関係ない、と決めつけず、志望校の行の調査書の欄を必ず見ます。選考は、学校があらかじめ決めた方法で、面接や実技検査などを合わせた総合成績で行い、さらに各校が自校の教育活動の実績や特色に基づいて基準を決めます。その基準に届いたと認められた受検者の中から、合格の候補者が選ばれます。
応募の条件は一般推薦と同じで、志願する都立高校を第1志望とし、在学する中学校の校長の推薦を受けることです。中学校長は校内の推薦委員会などの審査を参考に推薦する生徒を決め、文化・スポーツ等特別推薦書という書類を作ります。この推薦書の推薦理由の欄には、学習や特別活動、校外の活動のうち特に目立つものに加えて、志望する種目への取り組みや意欲も書くよう、様式に注意書きが付いています。顧問の一言は入口にすぎず、推薦を出すのは中学校という組織です。
一般推薦と一緒に出すと、何が増えて何が決まるか
特別推薦の出し方は、種目を1つ選び、1コース(1科)に絞って出す形です。出した後に学校や種目を変えることはできません。そのうえで要綱は、その学校の一般推薦にも出願できるとしています。推薦はどれも志願する学校を第1志望とすることが応募の条件なので、別の都立高校の推薦と組み合わせる形にはなりません。
一緒に出すと決めたら、増えるものを先に数えておきます。
- 出願サイトでは、特別推薦の入力と合わせて、一般推薦の項目も入力する。
- 中学校長が作る推薦書は、文化・スポーツ等特別推薦書と一般推薦書の2通になる。調査書と自己PRカードは1部でよい。
- 入学考査料は特別推薦と一般推薦のそれぞれに2,200円かかり、合わせて4,400円になる。
- 検査は、特別推薦の面接と実技検査に、一般推薦の個人面接と小論文か作文などが加わる。
最後の点がいちばん重いところです。実技検査で体を使い切った後に、作文の課題が待っている組み合わせもありえます。どの検査がどちらの日に入るかは受検票と学校の一覧で確かめるとして、家庭で準備の時間を見積もるときは「練習が2種類になる」と考えておくほうが外れません。夏の大会が終わった後の時間を、部の練習の続きと、原稿用紙に向かう時間に分けることになります。
合否の決まり方は、要綱の合格候補者の決め方の手順を順に追うと見えてきます。図1のように、学校はまず種目ごとに、その種目の募集人員を超えない範囲で、総合成績の順に特別推薦の合格候補者を決めます。次に、推薦全体の募集人員からその人数を引いた数を一般推薦の募集人員とし、一般推薦の志願者を総合成績の順に選びます。両方に出した生徒は、まず種目の中で比べられます。そこで候補者にならなければ、次は一般推薦の志願者の一人として比べられる順番です。

図1の左から右へ読むと、同時に出す意味がはっきりします。特別推薦だけに出せば、種目の中で届かなかった時点でその学校の推薦は終わります。一般推薦を重ねておけば、もう一度比べられる場が残る代わりに、作文などの準備と考査料が増えます。どちらが有利かではなく、2種類の準備を1月まで続けられるかで決めるのが筋です。
推薦の枠の中で人数が動く—基準に届かないと定員割れでも落ちる
募集案内は、特別推薦について、推薦に基づく入試の対象人員の枠の内側に募集人員の枠を設けると説明しています。学校ごとの一覧には種目ごとの人数が書かれ、その合計が推薦の枠の一部を占めます。
たとえば、募集人員240人の学校で推薦の枠が20%なら、推薦で受け入れる人数は48人です。その学校の特別推薦の種目が3つで、人数が3人ずつなら合計9人。9人とも合格候補者になれば、一般推薦の募集人員は48から9を引いた39人です。ところが、基準に届いたと認められたのが6人だけなら、一般推薦は42人になります。図2のように、種目ごとの人数は上限であって、埋まらなかった分は一般推薦の側に回る、というのが要綱の手順を数字に直した姿です。

ここから2つのことが言えます。1つ目は、特別推薦には「志願者が少なければ受かる」という理屈が通らないことです。都教委の募集案内のQ&Aも、志願者が募集人員に達しない場合でも不合格となることがある、と答えています。たとえば、人数が2人の種目に志願者が1人しかいなくても、基準に届かなければ合格候補者にはなりません。倍率の数字だけを見て安心するのは、この入試ではいちばん危ない読み方です。
2つ目は、一般推薦だけを受ける生徒にとっても、一般推薦の人数は特別推薦の結果を受けて決まる数だということです。図2の上の段と下の段で一般推薦の人数が3人違うのは、一般推薦の受検者の点数とは関係なく、特別推薦の側で起きたことの結果です。
さらにその先では、推薦全体で入学の手続きをした人数を引いた残りが、第一次募集の募集人員になります。推薦の枠の割合そのものは、学校ごとの別表の推薦枠の割合の欄に載っています。
実技検査と点の内訳—一覧のどの欄を読むか
都教委の令和9年度の実施要綱・同細目の頁には、「文化・スポーツ等特別推薦実施校の選抜方法等一覧」と「文化・スポーツ等特別推薦の実技検査内容等一覧」の2つが載っています。募集案内にも、同じ欄の並びで入試方法等の一覧があります。
選抜方法等の一覧は、次の順に読みます。
- 種目等と人数: 志望する種目があるか、何人か、男女の分け方がどう書かれているか。
- 基準: 箇条書きの条件をすべて満たすことを求める書き方が多い欄です。技能や競技力に加えて、入学後もその部で活動を続けることや高校の学業と両立することを求める一文が、多くの種目に入っています。
- 調査書の活用と満点: 評定と観点別評価のどちらを使うか、調査書を点にしない種目か。調査書・面接・小論文や作文・実技検査・学校が決める検査の満点。
- 備考: 学校が掲げる今後3年間の部の数値目標や、選考で気をつける点。大会の成績が書かれていても、それが学校の目標なのか、志願者に求める条件なのかは、基準の欄と分けて読みます。
満点の欄は、その種目で何を重く見るかを数字で示します。たとえば、調査書点250・面接150・実技検査400で満点800の特別推薦と、調査書点300・面接150・作文150で満点600の一般推薦を並べると、図3のようになります。

この2つの例で、素内申(9教科の評定の合計)が34の生徒と30の生徒を、評定を使う場合の推薦の調査書点の式(評定の合計×調査書点の満点÷45)で点に直してみます。特別推薦の例では188.9点と166.7点で、差は22.2点。一般推薦の例では226.7点と200点で、差は26.7点です。満点に対する割合にすると、特別推薦の例で約2.8%、一般推薦の例で約4.4%。図3の例のように実技検査が満点の半分を占める種目では、評定4つ分の差の重さが、一般推薦の例より小さくなります。小数点以下の扱いは学校の計算に従います。逆に言えば、実技検査で力を出し切れなければ、通知表の貯金では埋まらない配点だということです。
実技検査の内容等の一覧には、検査日、会場、検査の中身、持参するものが種目ごとに書かれています。実技検査の日は推薦の検査の2日間のどちらか、または両日で、学校と種目によって違います。野球なら50m走、キャッチボール、ノック、打撃のような項目に、雨の日の別の内容が添えられている行があります。吹奏楽の行では、チューニングや音階、課題曲や自由曲の演奏が並び、持ち物の欄に楽器や提出用の楽譜を挙げる学校が見られます。面接の一部で、作品などを示しながら自分を語る発表をする学校の欄もあります。細かい内容は学校のホームページに載せると書く種目もあり、募集案内は、実技検査の詳細を各高校か中学校に問い合わせるよう案内しています。
よくある質問
都大会に出た実績がなくても出せますか
基準は種目ごとに違います。大会の成績を書く種目もあれば、段位と同等の技能、大会に準ずる競技力のように、成績そのものではなく力の水準で書く種目もあります。活動の実績を証明する書類の写しは出さなくてよいので、力を見せる場は実技検査と面接です。中学校長が書く推薦書の推薦理由にも種目への取り組みが入るため、顧問と担任に、これまでの活動を具体的に伝えておきます。
クラブチームで続けてきた競技でも対象になりますか
選抜方法等の一覧の上には、部活動に地域クラブ活動を含めるという注記があります。中学校の部ではなく地域のクラブで続けてきた場合も、志望校の種目の基準を読んで当てはまるかを確かめます。推薦を出すのは在学する中学校なので、学校の外の活動であるほど、担任に早めに知らせておく必要があります。
私立のスポーツ推薦と両方受けられますか
東京私立中学高等学校協会の説明では、私立の推薦入試は第一志望が条件で、合格したら入学し、都立の推薦は受けられません。都立の特別推薦も第1志望が条件なので、どちらの推薦に出すかは1つに決めることになります。私立の推薦の条件は学校ごとの募集要項と入試相談で確かめます。学校ごとの基準を比べたいときは、塾の「私立高校の推薦・併願優遇の基準と偏差値 一覧(東京・神奈川・埼玉・千葉)」も手がかりになります。
特別推薦で不合格だったら、その後はどうなりますか
推薦で不合格になっても、学力検査の第一次募集には出願できます。合格した場合は入学確約書を出し、第一次募集には出願できなくなります。出す前に「受かったら必ずこの学校に行く」と家庭で言い切れるかを、親子で確かめておきます。
確かめる順番
今週のうちに、次の順で確かめます。
- 都教委の令和9年度の実施要綱・同細目の頁から選抜方法等の一覧を開き、志望校の行で種目・人数・基準・満点を読む。親子で同じ行に線を引く。
- 同じ頁の実技検査内容等の一覧で、検査日、検査の中身、持参するもの、雨の日の内容を書き写す。学校のホームページに詳細を載せる種目なら、その頁も見る。
- 志望校の「本校の期待する生徒の姿」を読み、自己PRカードに書く活動を、種目の基準の言葉と照らして選ぶ。
- 顧問と担任に、校内の推薦の流れと、いつまでに申し出ればよいかを聞く。中学校ごとに違うので、学校の答えを正とする。
- 一般推薦も一緒に出すかを家庭で決める。出すなら考査料が2回分になり、作文や小論文の練習が加わる。
- 一般推薦の配点を学校ごとに比べたいときは、塾の「都立高校の目安一覧」も手がかりにする。
個別指導で確かめること
武蔵境の教室では、まず志望校の一覧の一行を生徒と一緒に読み、調査書点・面接・実技検査の満点を紙に書き出して、どこで点を取りにいくかを決めます。一般推薦も出すなら、その学校の作文か小論文の形に合わせて時間を計って書く練習を入れ、面接では、自己PRカードに書いた活動を種目の基準の言葉に照らして話せるかを確かめます。部活を引退した後の秋の授業も、12月末の時点の評定として調査書に載るので、提出物と授業の取り組みを見直します。
まとめ
特別推薦は、大会の記録を紙で見せる入試ではありません。実技検査の時間に技能を見せ、面接で入学後も続ける意思を自分の言葉で話し、調査書に満点を置く学校なら評定も点として加わる入試です。一般推薦を重ねれば、作文の練習と2,200円がもう一つずつ増えます。夏の帰り道に聞いた顧問の一言は、志望校の一覧の一行を家族で読んだ夜に、出すか出さないかの答えに変わります。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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