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青ペンで書きなぐる勉強法は中学生に合うか—書いて覚えるときの回数と、隠して思い出す一手間|武蔵野個別指導塾

ノート1冊を青く埋めても小テストで書けない中学生へ。書く前に答えを手で隠して1語30秒思い出し、書けなかった語だけを見て1回・隠して1回で書く順番と、1語6回までという上限の理由を示します。
青ペンで書きなぐる勉強法は、中学生に合う使い方と合わない使い方がはっきり分かれます。手が止まらない、やった量が目に見える、という良さはそのまま生かせます。合わないのは、答えを見ながら同じ語を何十回も写し、ノートが埋まったことで覚えたつもりになる使い方です。書く前に答えを手で隠して30秒思い出し、書けなかった語だけを書いてください。何回書くかは回数で決めず、隠したまま書けたかどうかで決めます。
よくあるのは、ノート1冊を2週間で青く埋めたのに、社会の小テストが半分しか書けなかった中学3年の場面です。ページをめくると同じ語が縦に15回、20回と並び、下の方の字は形が流れて読めません。机の端には中身の減ったペンが3本転がっています。返ってきた答案を前に「これだけ書いたのに」と言ったきり、本人は黙ってしまいます。2週間分の青は本物の努力です。足りなかったのは量ではなく、ペン先を紙に置く前の一手間でした。
なぜそうなるのか
先に、書きなぐりの良いところをはっきりさせておきます。ひとつは、手が動いているあいだは考えが別の方へ流れにくいことです。教科書を目で追うだけだと3行目あたりで部活のことを考え始めますが、ペンを握って書いていれば、少なくとも机の前には戻ってこられます。もうひとつは、やった量が目に見えることです。青く染まったページの厚みは、昨日の自分より前に進んだしるしとして気持ちを支えます。きれいに書かなくてよいので、始めるまでが速いのも長所です。青という色そのものに覚えやすくする力があるかどうかは、ここでは決めつけません。色を何にしても、次の3つの理由はそのまま残るからです。
1つ目は、見ながら写しているあいだ、頭が答えを探していないことです。教科書の「直接請求権」という字を見て、そのままノートに写す。このとき頭がしているのは、字の形を目から手へ運ぶ仕事です。ところが小テストの答案には、答えが書いてありません。問いの文を読み、空っぽの欄に向かって、自分の中から語を取り出してくる必要があります。図1のように、見ながら写す流れには「思い出す」という段がそもそも入っていません。何十回写しても、取り出す練習は1回もしていないことになります。

2つ目は、同じ語を続けて書くと、3回目か4回目から手だけが動くようになることです。1回目は見本の形を見て書きます。2回目は少し速くなります。5回目を過ぎると、目はもう見本を見ていません。手が1行上の自分の字をなぞり、頭は夕食のおかずのことを考えています。ページは埋まるのに、頭の中では何も起きていない時間が長くなります。書きなぐったページの下の方で字が崩れているのは、その時間の跡です。
3つ目は、テストの問いの形と、練習の形がずれていることです。社会の小テストでは「国会に設けられ、裁判官をやめさせるかどうかを決める裁判所を何というか」のように、説明を読ませて語を答えさせる形がよく出ます。ノートに並んでいるのが「弾劾裁判所」という語だけなら、説明からその語へたどる道は一度も通っていません。しかも、書きなぐった字は細部が流れます。「劾」は左が「亥」、右が「力」ですが、急いで何度も書くうちに右側が潰れ、あいまいな形のまま手が覚えてしまうことがあります。答案の欄で手が止まったのは、書いた量が足りなかったからではありません。
今夜からの手順
青ペンもノートも、そのまま使います。変えるのは順番です。図2は、ひと晩の勉強を5つの段に分けた流れで、2の段の「先に隠す」が、この勉強法に足りなかった一手間にあたります。

1. 覚える語を15個までに区切り、ノートの左に問いを書く
最初に、今夜覚える量を決めます。小テストの範囲が教科書で10ページあっても、1回に扱うのは2〜3ページ分、語にして10〜15個までにします。それより多いと、あとで隠して確かめる時間が足りなくなります。
ノートの新しいページの真ん中に縦の線を1本引き、線の左に問い、右に答えを書きます。問いは、教科書の説明を短く言い直した一行です。左に「地方公共団体が法律の範囲の中で定めるきまり」、右に「条例」。左に「住民が首長の解職などを求めることができる権利」、右に「直接請求権」。理科なら左に「植物が光を受けて養分をつくるはたらき」、右に「光合成」。国語の漢字なら左に読みがな、右に漢字です。最初の1回は問いを作るだけで10分ほどかかりますが、この10分は削らないでください。説明を自分の言葉で一行に縮める作業が、そのまま語の意味を確かめる時間になります。
2. 書く前に、右側を隠して1語30秒で思い出す
ここが一手間の中心です。ペンを持つ前に、線の右側を手のひらか白い紙で隠します。赤いシートは青いインクを見えなくしてくれないので、隠すのは紙か手です。左の問いを読み、30秒以内に答えを口で言うか、別の紙に書きます。
答え合わせをして、問いの横に印を付けます。すっと書けた語は○、出かかったけれど字が違った語や時間がかかった語は△、何も出てこなかった語は×です。15個なら5〜8分で終わります。2週間書き続けた後なら、○が思ったより多いこともあります。書いた青は無駄ではありません。どの語が書けて、どの語が書けないのかを、一度も確かめていなかっただけです。
3. ×と△の語だけを、見て1回・隠して1回の組で書く
書きなぐりを使うのは、ここからです。今夜、○の語はもう書きません。×と△の語だけを選び、まず見本を見ながら1回書きます。このとき、意味を小さく声に出しながら書いてください。「住民が、首長をやめさせるように求めることができる、直接請求権」。書き終えたらすぐ右側を隠し、何も見ずにもう1回書きます。合っていれば次の語へ進み、違っていたら、見て1回・隠して1回をもう一組やります。
字の細かいところで△になった語は、1回目だけゆっくり書きます。「劾」なら、左の「亥」と右の「力」を分けて見て、部品ごとに書きます。2回目からは速く書いてかまいません。書きなぐりの速さは、形が頭に入ったあとで使うと生きます。
1語に使うのは多くても3組、書く回数にして6回までにします。3組やっても隠すと書けない語は、回数の問題ではありません。意味がつかめていないか、似た語と混ざっているかのどちらかです。印を×のまま残し、教科書でその語が出てくる段落を読み直すほうへ回してください。
4. 順番を変えて、15個を全部もう一度隠す
×と△が片づいたら、○の語も含めて全部を隠し、今度は下から上へ、逆の順番で答えていきます。上から順に覚えると、前の語が次の語の手がかりになってしまい、テストで順番が変わったとたんに出てこなくなるからです。逆から、あるいは1つおきに飛ばして答えると、その手がかりが外れます。ここで×が残った語は3の段に戻り、見て1回・隠して1回をもう一組やります。図2で4から3へ戻る矢印が、この戻り道です。
余裕があれば、向きも変えます。右の答えを見て、左の説明を口で言えるかを確かめるのです。「条例」と見て「地方公共団体が法律の範囲で決めるきまり」と言えれば、語と意味の両側から道がつながっています。終わったら、ページの端に「15中13」のように、隠して書けた数を書き込みます。何ページ書いたかではなく、この数がその夜の記録です。
5. 寝る前と翌朝に、×だった語だけを2分隠す
最後の段は、ペンをほとんど使いません。寝る前に、その夜×が付いた語だけを隠して答えます。2分もあれば終わります。翌朝、家を出る前にも同じことをします。夜に書けた語が、朝には抜けていることは珍しくありません。抜けていたら印を×に戻し、その日の夜の1の段に回します。
ここまでで1回分です。最初の夜は問いを作る時間を入れて40〜50分、2回目からは20〜30分が目安になります。ノートが青く埋まる速さは、前より落ちます。そのかわり、埋まったページの1行1行が、思い出そうとした跡になります。
学年と時期で変わるところ
中1は、書く暗記の型を作る時期です。小学校で漢字の書き取りを何度も書いて覚えてきた生徒ほど、中学の理科や社会の用語も同じやり方で覚えようとします。中1のうちは量より順番を体に入れてください。漢字10個、英単語10個くらいの小さな範囲で「問いを書く・隠す・×だけ書く」を回し、10〜15分で1周できる感覚がつかめれば十分です。
中2は、教科の範囲が広がり、書きなぐりだけでは時間が足りなくなる学年です。全部の語を書く必要はありません。漢字で書けないと点にならない語、英語のつづり、理科の化学式のように、書いた形そのものが問われる物を書く対象にします。記号を選ぶ形で問われやすい語は、隠して口で言えれば足りることもあります。どちらの形で出るかは、返ってきた答案や学校のプリントを見て確かめてください。
中3は、3年分の範囲を相手にします。書きなぐりのノートを何冊も重ねるより、×が付いた語だけを集めた一覧を1冊育てるほうが、入試の前に見返せる物が手元に残ります。都立高校の一般入試(第一次募集)を受けるなら、学力検査は2027年2月21日の日曜日です。11月から数えても4か月を切っていて、1年生からの地理や歴史の語を全部書き直す時間はありません。○の語は飛ばし、×の語にだけ手を使う順番が、ここで効いてきます。
高校生になると、古文単語、化学の物質名、英単語の量が一気に増え、書く暗記だけでは回りません。隠して口で言う確かめを中心にし、書くのはつづりや漢字を誤った語と、記述の答えで使う語に絞ります。
時期によっても変わります。ふだんの日は、授業で出た語を当日のうちに5〜10個、10分ほど隠して確かめるだけで足ります。テスト前の2週間は、範囲を15個ずつの組に分けて1日に2〜3組を回します。テストの1週間前からは新しく書く量を減らし、隠して答える時間を増やしてください。前の晩に新しいページを青く埋めるのはやめます。夏休みや冬休みのような長い休みは、前の学年の語を全部隠すところから始めると、○の語を書かずに済む分だけ、×の語にまとまった時間を回せます。
よくある失敗と直し方
ペンの本数とページ数で、勉強が終わったことにする
使い切ったペンを並べ、埋まったページを数えると、その日の勉強が終わった気持ちになります。量が見えるのはこの勉強法の良さですが、その物差しが測っているのは手が動いた量で、思い出せた量ではありません。直し方は、記録の欄を替えることです。手順の4の段で書いた「15中13」の数だけを、カレンダーやノートの表紙の裏に書き写していきます。空になったペンを並べたいなら、並べてかまいません。その隣に、隠して書けた数を置いてください。
1つの語を20回、続けて一気に書く
1つの語を縦にずらりと並べると、2回目からは1行上の自分の字を写す作業に変わります。見本が目の前にある限り、頭は答えを探しに行きません。直し方は、同じ語を続けて書かないことです。×の語が3つあれば、1つ目、2つ目、3つ目、また1つ目と、順に回して書きます。あいだに別の語が入ると、戻ってきたときには前の字が少し遠くなっていて、思い出す仕事が生まれます。
その夜に書けたので、その語を終わりにする
書けた直後は、答えがまだ目の奥に残っています。その状態で書けても、次の日に書けるとは限りません。小テストはたいてい数日後で、そのあいだに抜けた語が答案の空欄になります。直し方は、図3のように時間をあけて隠し直すことです。当日は全部、翌朝は×の語だけ、3日後にもう一度全部を隠します。3日後に、当日は○だった語に×が付くことがあります。その語こそ、小テストの前日に見る語です。前日は×の語だけを隠して答え、新しく書きなぐるのはやめておきます。

よくある質問
書いて覚えるのと、声に出して覚えるのは、どちらが暗記のコツとして向いていますか
テストにどんな形の問いが出るかに合わせて選んでください。漢字、英語のつづり、化学式のように、書いた形が点になる物は、書く練習を外せません。歴史の出来事の順番や理由のように、つながりで覚える物は、声に出して説明するほうが速く回ります。字を書くのがとても遅く、書く暗記だけで1時間が過ぎてしまう人は、口で答えて確かめる回数を増やし、最後の1回だけ書く形にしてもかまいません。
1つの語は、何回書けば覚えられますか
決まった回数はありません。目安は、隠したまま書けるかどうかです。手順の3の段で上限を6回にしたのは、それ以上書いても書けない語は、書き方より覚え方を変えたほうが早いからです。その夜のやめどきも決めておくと楽になります。15個のうち×が2〜3個まで減ったら、その夜はそこで切り上げ、残りは翌朝の2分に回してかまいません。夜遅くまで粘って×を0にするより、朝にもう一度隠すほうが、小テストの日に残ります。
書いて覚えると時間がかかり、手も疲れます。減らす方法はありますか
いちばん効くのは、書く前に隠すことです。○の語を書かなくなるだけで、書く量は目に見えて減ります。字の形に自信のある長い語は、2回目からは最初の2〜3字だけを書き、残りを口で言う形にすると、さらに短くなります。15〜20分書いたら手を休め、指を開いたり閉じたりしてから続けてください。何日たっても手首や指の痛みが引かないときは、書く量を減らしたうえで家の人に伝え、医療機関に相談してください。テストの当日の朝は書かず、左の問いを見て口で答えるだけにします。
保護者が手を貸すなら
お子さまの青いノートを見かけたら、まず量そのものを認めてください。2週間で1冊は、手を止めなかった時間の長さです。そのうえで、聞き方を1つだけ替えます。「何ページ書いたの」ではなく「隠して書けたのはいくつ」と聞くと、話がノートの左と右に向かいます。お子さまから頼まれたときは、左の問いを読み上げる役をすると、隠して答える練習が一人のときより速く回ります。頼まれていないのに毎晩ノートを開き、端の数を確かめるのは控えてください。その数はお子さま自身の記録で、家の人が点検するための表ではありません。ノートの埋まり方が前より遅く見えても、それは隠して答える時間が増えた分です。急がせる言葉はいりません。
個別指導で確かめること
教室では、隠して書けなかった語の中から、問いを読んでも意味を言えない語を拾い、その語が出てくる教科書の段落まで戻って読み直します。字の形で×になる語は部品に分けて書き、似た字と並べて違いを言えるかを確かめます。書けない理由が意味の側にあるのか、字の形の側にあるのかを先に分けておくと、その夜に書く語はぐっと少なくなります。持ってきてもらった2週間分の青いノートは捨てず、どのページの語が隠すと書けないのかを印で分ける材料にします。
まとめ
青ペンも、ノートも、2週間の手の動きも、捨てる必要はありません。変えるのは、ペン先を紙に置く前の30秒です。答えを手で覆い、何も見えない欄に向かって語を取り出そうとする時間があれば、書きなぐったページはそのまま小テストの答案の練習になります。次のノートの1ページ目は、左側の問いから青く染まっていきます。
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