添削された動詞を、別の内容でも自力で選べるか確かめます。誤りの選び方、書き直す順序、別の文で確かめる方法をつなぎ、家庭での練習と個別指導の役割を整理します。

英作文は直されて伸びる—書き直しの手順
添削の赤い文字を、自分の次の一文につなげる
よくあるのは、朝の台所で、返された英作文と訂正メモを交互に見ながら「直したところは全部わかります」と答え、同じ意味を別の文で書こうとすると手が止まるという場面です。ノートには正しい英文が残っています。それでも、何を手がかりにその形を選んだのかを尋ねると、赤い文字を見直したくなります。
このとき、添削を無駄にしたと責める必要はありません。正しい形を読んで納得することと、自分の伝えたい内容に合わせてその形を選ぶことの間に、まだ練習する余地があるのです。書き直しでは、その間を埋めます。きれいに清書できたかだけで終わらず、直した理由を短く言い、答えを隠して書き、別の内容にも使ってみます。
英検などの英作文に向けた学習でも、添削の量を増やす前に、返された後の動きを決めると取り組みが具体的になります。誤りを全部一度に克服しようとせず、今回持ち帰る修正を選びましょう。本人が一人で進める練習と、講師が判断を引き受ける部分を分ければ、保護者が毎回英文を採点する必要もなくなります。

なぜ「直されたらわかる」のに、また間違えるのでしょうか
英文を書くときは、伝える内容を考え、使える単語を探し、語順や動詞の形を選びます。書いた後なら気づける誤りも、内容に注意を向けている途中では通り過ぎることがあります。「知っているのに間違えた」という言葉だけでは、何を練習すればよいかが見えません。そもそも形を知らなかったのか、知っていた形を使う場面で選べなかったのかを分けてみます。
添削には、自分の表現と伝えたい意味のずれを見つける働きがあります。ただし、訂正文を眺めるだけでは、どこに注目して直すのかまで意識しないまま読み終わることもあります。たとえば、過去の出来事を書いた文の動詞が直されていたら、訂正された単語だけを見るのではなく、「この話はいつのことか」という問いと結びつけます。次の作文でも使える確認の仕方にするためです。
英作文への訂正フィードバックをまとめたベイズ的メタ分析では、中程度の効果が長期に持続し、正しい形を示す方法、誤りの位置などを示す方法、解説を添える方法の間で差は小さいと報告されています(Brownほか・2023)。添削そのものを避けるより、受け取った訂正を学習に組み込む方向を支える結果です。赤い文字が多い方式だけをよい指導と考える必要はありません。
文法の正確さに絞ったメタ分析も、訂正による中程度の改善を示しています。効果の違いに最も強く関わっていたのは学習者の習熟度で、方法では直接訂正する場合の効果がやや大きくなっていました(Limほか・2020)。この結果を指導に生かすなら、正解を渡すか自分で考えてもらうかを、本人が今使える知識に合わせて選びます。まだ学んでいない形に下線だけを引いても、考える手がかりが足りません。説明できる形なら、答えを見る前に直す機会を設けられます。
前者は52研究、後者は35研究を統合した分析であり、ここで扱う対象は複数の学習者集団なので、特定の国・年齢・人数の一集団に対する結果としても、そのまま英検の得点上昇を約束する結果としても受け取れません。この点を踏まえ、日々の練習では、同じ文が直せたかと、新しい作文で正しく使えたかを分けて確かめます。研究の結果を本人の次の行動へつなぐには、この確認が必要です。
直接の訂正を受けたなら、正解がある利点を使って理由を確かめます。誤りの位置だけが示されたなら、まず自分の候補を出してから照合します。解説つきなら、長い説明を覚えるより、自分が次に見る場所を短い言葉にします。「時制に注意」では広すぎると感じたら、「文の出来事が今か過去かを先に決める」とします。添削の形式が違っても、その後に本人がすることは設計できます。
また、文法的に正しいことと、読み手に理由が伝わることは、確認する問いが違います。動詞を正しく直せても、主張と理由のつながりが弱いままなら内容の見直しが必要です。反対に、内容を大きく書き換えながら細かな語尾も全部直そうとすると、どの修正ができたのか追いにくくなります。まず伝える筋道を整え、それから今回練習する形を確かめる順序を用意しましょう。
今日の添削を使い切る、書き直しの手順
最初の3分で、伝えたい内容を取り戻します
用意するのは、最初に書いた英文、添削された英文、書き直し用の紙です。元の文を消してしまうと、どこで判断が変わったか追えません。ノートを使うなら、元の文と直した文を別の場所に残します。添削を開く前に、課題で何を聞かれ、自分は何を答えたかったのかを日本語で短く書きます。難しい表現へ置き換えることが目的にならないよう、内容を先に取り戻します。
続いて、問いに答える部分と、その理由を述べる部分を自分の英文で探します。理由を書いたつもりでも、同じ主張を言い換えただけなら、読み手が納得する材料を足します。この段階では、添削者の文章を丸ごと借りず、自分が言いたい理由を保ちます。何を伝える文なのか決まってから、英語の形を見直しましょう。
次の5分で、今回直す箇所を選びます
添削の印を見て、「意味が伝わりにくいところ」「習った形を取り違えたところ」「まだ説明を聞きたいところ」に分けます。記号を凝って作る必要はありません。余白に短く書けば十分です。今回の練習では、意味を変えてしまう箇所を先に扱い、その後に自分で理由を説明できそうな形を選びます。残りの印は保留のまま残し、直したことにしないでおきます。
たとえば、昨日図書館で勉強したことを伝えたくて「I study at the library yesterday.」と書き、動詞が「studied」に直されていたとします。注目するのは、単に末尾に文字を足すことではありません。「yesterday」が指す過去の出来事を述べているため、動詞も過去の形にするという関係です。今習慣にしていることを書く場合との違いを、日本語で言えるか確かめます。
正しい形を見ても理由がつかめなければ、手元の文法資料で過去形の項目を調べます。最初からページ全体を読み直すより、「昨日の出来事を述べるときの動詞」という問いを持って探します。例文のどの語が時間を表し、どの語が動作を表すかを確認します。資料の文章をそのままノートに写す代わりに、自分の文のどこを判断し直すのかを書き添えます。
添削の印そのものが読めないときは、推測で正解を作らず、疑問を分けて残します。「下線の単語を変えるのか」「語順を変えるのか」「理由の説明を足すのか」のどこが不明なのかを書きます。質問できる機会には、印を指しながら、自分が考えた修正案も伝えます。自分の候補があると、添削者も、形の知識が足りないのか指示が伝わっていないのかを判断しやすくなります。返事を待つ間は、理由を理解できている別の箇所を進めます。
7分ほど使い、答えを隠して書き直します
訂正された英文を隠し、最初の英文だけを見ながら修正します。上の文なら、「I studied at the library yesterday.」と自分で書きます。直した後に添削を開いて比べ、同じ形になったかを見ます。違いがあったときは、すぐ上書きせず、どちらを選んだのかが残るようにします。書き直すときに迷った場所こそ、次の質問の材料になります。
ここでの自分への確認は、「直した箇所を指せるか」「その変更の理由を言えるか」「元の意味が保たれているか」の3つです。正解と同じ綴りになっていても、理由を言えなければ資料へ戻ります。理由は長い文法説明でなくてかまいません。「昨日の話なので動詞を過去の形にしました」と言えれば、何を根拠に選んだかが伝わります。
内容にも修正が入っていた場合は、文法の確認と分けます。主張に理由がつながっているかを読み、足した文を抜くと何が伝わらなくなるのか考えます。なくしても意味がほぼ変わらないなら、同じ内容を繰り返しているかもしれません。理由を具体的にする語句を補い、そのうえで選んだ文法項目を点検します。全体を清書するのは、こうした判断を終えてからで十分です。
5分で、同じ形を別の内容に使います
次は元の英文も隠し、「昨日、公園でサッカーをした」と伝える文を書きます。「I played soccer in the park yesterday.」のように、動作と場所を変えます。元の文の綴りを覚えているだけなのか、過去の出来事に動詞の形を合わせられるのかを見分ける練習です。使い慣れた語で内容を変え、今回の確認点が見えるようにします。
書けたら、時間を表す語に線を引き、それに合わせた動詞を丸で囲みます。「study」を「studied」にした文と、「play」を「played」にした文を比べ、どちらにも同じ判断があると説明できるか確かめます。過去形が別の形になる動詞を使いたくなったときは、綴りを資料で調べます。すべての動詞に同じ文字を足せばよい、と広げすぎないことも必要です。
教材は目的ごとに使い分けます。添削済みの作文は自分が見落とした場所を探すため、文法資料は形を選ぶ理由を確かめるため、未着手の作文課題は別の内容でも使えるか試すために使います。模範文がある場合は、自分の文を書いた後で、主張と理由のつなぎ方に注目して読みます。表現をすべて置き換えず、取り入れたい働きを選び、自分の内容で書ける範囲に戻します。
新しい文を書く際に、元の文へ戻りたくなったら、まず何が必要なのかを言葉にします。単語の綴りだけを確かめたいのか、文全体を見ないと始められないのかを分けます。辞書で語を調べて書けた場合は、その助けも記録します。資料を使ったことを失敗とせず、自力で判断した部分と助けを借りた部分を残すためです。次は同じ語を使う文なら書けるか、違う語でも形を選べるかと、確かめる範囲を調整できます。
次の学習の冒頭3分で、残った課題を見つけます
次に机に向かったら、前回の訂正文を開く前に、短い文を自分で書きます。過去の出来事を書くと決め、その時間と動詞の形が合っているかを点検します。その後で前回の記録を開き、同じ確認ができたかを比べます。できていれば、少し長い作文の中でも使ってみます。迷ったなら、練習を増やす前に、時間の判断と動詞の形のどちらで止まったかを記録します。
最後に作文全体を読むときは、今回直した文の前後も見ます。動詞を直した結果、時間の流れに食い違いがないか、内容を足した結果、同じ理由を繰り返していないかを確かめます。選んだ箇所を練習することと、完成した文章として意味が通るかを見ることは、両方必要です。ここで新しい疑問が出たら、記録に残して終えてかまいません。次回の出発点が決まった状態でノートを閉じます。
記録は「今回見た場所」「自分で直せたか」「次に聞くこと」を短く残せば足ります。「過去形が苦手」と大きくまとめず、「昨日の話だとわかったが、動詞の綴りを迷った」と書くと、次に調べる場所が決まります。まとまった時間が取れない日は、選んだ文を書き直すところまで進め、別の内容に使う練習を次回の冒頭に置きます。中断する位置を決めれば、再開時に最初から迷わずに済みます。

個別指導では、直し方と確かめ方を一緒に整えます
個別指導で講師が担うのは、正しい英文を渡すことに加え、本人が次にどの判断を練習するかを選ぶことです。似た誤りに見えても、説明を聞いた経験がない場合と、説明できるのに作文中で見落とす場合では、必要な支えが異なります。最初の作文だけで決めつけず、本人に意味と修正理由を尋ね、書き直しの様子も見てから、次の課題を用意します。
まだ形を知らない箇所では、講師が正しい形と短い説明を示します。本人に推測を重ねてもらうだけでは、何が正しいか判断できません。一方、理由を説明できる箇所なら、まず印を手がかりに直してもらい、必要になったところでヒントを足します。答えをすぐ見せるかどうかを一律に決めず、本人がどこまで考えられたかに応じて支援を調整します。
添削では、意味のずれ、文法の誤り、表現の選択を混ぜないことも講師の責任です。文法的に成り立つ言い方を、講師の好みだけで誤りと扱うと、本人は何を直すべきか迷います。「この形では意図と違う意味になります」「この言い方も使えますが、今回は別の表現も試せます」と説明を分けます。何が必須の修正で、何が表現を広げる提案なのかが伝わる添削にします。
課題を出す際も、講師は今回の修正を使う機会があるかを見ます。過去の出来事を述べる形を練習した直後に、習慣だけを書く課題を渡しても、同じ判断を確かめる場面がありません。まず使う機会を作り、その後に、どの形を使うかを本人が内容に応じて選ぶ課題へ進めます。練習した形を何でも使わせるのではなく、使う必要がない文も区別してもらいます。正しい形を書けることと、その場面で選ぶことの両方を見ます。
本人が持つ役割は、伝えたい内容を決め、指摘された箇所で自分がどう考えたかを言葉にし、書き直した文を残すことです。すべてを文法用語で説明する必要はありません。「昨日のことを言いたかったのに、いつもの行動を書く形を使いました」と話せれば、修正の出発点になります。わからないところに印を残して持ってくることも、次の授業を進めるための立派な準備です。
家庭が持つ役割は、英語の正誤判定よりも、取り組む時間と紙面を確保することです。保護者が英語に詳しくても、本人が考える前に正解を重ねて伝えると、どこまで一人で直せたのかが見えなくなります。「今日はどの印を直す予定ですか」「次に先生へ聞く場所は決まりましたか」と、本人の作業を確かめる問いを使います。答えに詰まったら、そのまま質問として残してかまいません。
進み具合は、赤い印の総数だけで判断しません。短い文だけを書けば誤りが少なく見え、伝えたい内容を増やすと新しい誤りが出ることもあります。講師は、同じ確認点を含む元の文、書き直した文、別の課題で書いた文を並べます。「答えを見て直した」「ヒントで直した」「新しい文で自分から確かめた」と、支援がどの程度必要だったかも添えます。文章の長さや内容と一緒に読むことで、印の増減だけでは見えない変化を追えます。
保護者への連絡には、変化が見える短い組み合わせを使います。「前回は、過去の話と判断した後も動詞を直すのに声かけが必要でした。今回は別の文で、時間を表す語を見て自分から直せました。次回は理由を詳しく書く中でも同じ確認が続くか見ます」と伝えます。こうすれば、できたことと次に見ることが一つながりになり、家庭は先回りして新しい文法を教え込まずに見守れます。
まだ変化が出ていない場合も、「復習不足でした」で終えません。「訂正文を見れば説明できますが、答えを隠すと同じ箇所で止まります。次回は文を短くし、直す場所を本人が選ぶところから確認します」と伝えます。本人の意欲を推測するより、止まった動作と支援の変更を共有するほうが、家庭にも見通しが生まれます。家庭学習を増やすかどうかも、何で止まったかを確かめた後に相談します。
社会人が一人で学ぶ場合には、同じ連絡の型を自分への記録に置き換えられます。前に必要だった助けと、今回できた動作を並べ、次回の冒頭に確かめることを残します。英作文を誰かに見てもらう機会があるなら、完成文だけでなく、元の文と自分で直した文も渡します。「この形を選んだ理由でよいですか」と質問すれば、正解を受け取るだけでは見えなかった判断のずれを相談できます。
添削と書き直しで迷いやすい3つのこと
Q1. 間違いは毎回すべて直してから、次へ進むべきですか
意味を取り違える箇所は優先して確かめますが、毎回すべてを同じ深さで練習する必要はありません。全体の訂正を受け取ったうえで、今回自分で使えるようにしたい形を選びます。まだ扱わない箇所には保留の印を残し、次に相談する材料にします。直す場所を選ぶことは、残りを正しいと扱うこととは違います。
たとえば、理由が伝わらない文を整えた後で、今回は過去の出来事を述べる形を確かめます。ほかの表現まで一度に覚えようとして手が止まるなら、今日の確認点へ戻ります。次の作文で同じ形を使えたかを見てから、扱う範囲を広げましょう。訂正の数を減らすこと自体を目標にせず、本人が判断できる箇所を増やします。
Q2. 正しい英文を何度も写せば、書き直しの練習になりますか
書き写すと、綴りや語順を丁寧に見る機会は作れます。ただ、見ながら写した文だけでは、自分でその形を選べるかが残ります。写すなら、その後に訂正文を隠し、意味を手がかりに書くところまで進めます。さらに内容を変えた文で同じ確認ができれば、次の作文に向けた手応えを確かめられます。
見ずに書けなかった箇所は、丸ごと暗記し直す前に理由を調べます。動詞の形で止まったのか、使いたい単語が出なかったのかで、戻る資料は異なります。きれいに書けたページを完成の目印にするより、迷った箇所に短いメモを残すほうが、次に何をするかを決めやすくなります。
Q3. 添削後も同じ間違いが出たら、練習方法が悪いのでしょうか
同じ誤りが出たという事実から、方法全体をすぐに決めつける必要はありません。まず、前回は答えを見て直したのか、自力で直したのかを確認します。次に、短い文ならできるのか、内容を考える作文の中でも確かめられるのかを見ます。比べる場面をそろえると、どこまでできて、どこから支援が必要かが具体的になります。
直した理由を説明できないなら、説明と短い文の練習へ戻ります。説明はできても書いていると見落とすなら、書き終えた後に時間の表現と動詞を照らす手順を加えます。「もっと気をつける」だけで終わらせず、本人が実行できる動作を決めましょう。新しい内容を書く難しさも含めて見れば、前回の練習で得たものを確かめながら続けられます。
次の作文に持っていく確認を、一つ決めましょう
返された英作文は、訂正が多いか少ないかだけで読むものではありません。どこを直すと意味が伝わり、その形を何を手がかりに選べるのかを探す材料です。今日扱う箇所を選び、理由を言い、答えを隠して直し、別の内容で確かめます。この流れをノートに残せば、添削を受けた後の学習が具体的になります。
まずは手元の作文から、自分で直した理由を言える文を選んでください。次に書くときの確認が決まれば、保護者も講師も、その動作ができたかを一緒に見られます。返却された紙の赤い文字を次の作文へ運ぶのは、「いつの話か」と自分で問い直す具体的な手順です。
参考文献
- Brownほか・2023、Language Teaching Research、英作文への訂正フィードバックに関するベイズ的メタ分析。 https://consensus.app/papers/details/eb6b8dc2c02d5671a136fee6971ff1d3/
- Limほか・2020、書いた英文への訂正と文法の正確さに関するメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/866c5fde73635e3cae1a001589b62a1d/





