絵と文の組み合わせは読解を助けます。漫画で使う読み方と、文章にも使える読み方を分けてつなぎます。家では絵から読み取った理由を、文のどこに書けるか確かめます。
本棚の漫画は何度も開くのに、文章の本は途中で閉じます。そこで漫画を取り上げても、「絵で何を読んでいたか」という問いは残ります。漫画を本への階段と呼ぶなら、どの段を渡るのかを具体的に見ておきます。
今回の研究は、絵のある文章の理解、グラフィックノベルで使う読解方略、高校の文学教材の視覚的な翻案を扱います。絵と文の関係、読み方の方略、教材の使い方が、それぞれの研究の焦点です。絵の働きと、形式をまたいで使える読み方に分けて読みます。
1. 論文を役割で並べる
全体の効果を示す論文として、Dai-Bao Guoほか(2020)は、文章に図や絵を加えると読解に正の効果があると報告しています。学年によらず全体の効果が見られた一方、絵、図解、流れ図のあいだには有意な差がありませんでした。正誤式の評価と比べ、自由記述などの評価では図の効果の現れ方が違っていました。これは漫画だけの比較ではなく、図を含む読解の実験研究をまとめた結果です [1]。
橋渡しの中身を示す論文として、B. Brenna(2013)は、小学校の教室でグラフィックノベルを読む子どもが、形式に特有の理解方略と、別の種類の文章にも使える一般的な理解方略を用いたと報告しています。グラフィックノベルへの好みは物語の本やノンフィクションへの好みと合い、漫画やカートゥーンの好みとは合いませんでした。本の形式と好みをそれぞれ確かめます [2]。
高校の教材を扱う論文として、Mike P. Cook(2017)は、ポーの作品のグラフィック版を、従来の文章の代わりに使う場合と補助として使う場合に分けて、読解を調べたと報告しています。文章の形式、学年、性別の各要因に有意な効果がありました。この研究では、教材を置き換える使い方と、補助する使い方を分けて検討しています [3]。
2. 絵があると考えなくなる?
図や絵を加えた実験の統合では、理解への正の効果が示されました。絵の役割を考えるときは、読解課題で何を確かめたかに注目します。図の効果は、図の種類と評価の形式に沿って読みます。図の種類の比較や評価形式が研究の論点になっています [1]。
家庭で確かめるのは、絵を隠すことから始めず、絵が何を伝えたかを言葉にしてもらうことです。「この人が困っていると思ったのは、どこを見たから?」と尋ねます。次に文章では、表情の代わりにどんな言葉が手がかりになるかを探します。絵と文章のそれぞれが伝えた情報を、その場面に戻って照らし合わせます。
39の実験研究を統合した読解への効果はg = 0.39で、中程度の正の効果でした。この効果量は、図を含む条件と比較条件の理解の差を共通の尺度でまとめたものです。正答率がその割合だけ増えたという意味ではありません。対象となったのは文章の理解を測る実験で、絵、図解、流れ図の比較だけでなく、複数の図を混ぜた条件も含まれます。図の名前から教材を選ぶ前に、理解を測る課題が自分の目的に合うかを見ます [1]。
絵のあるページを開いたら、人物、場所、出来事のどれを絵から読んだのか聞きます。そのあとで文章を読み、絵から受け取った情報と文に書かれた情報を並べます。子どもが説明するときにどちらを使ったかまで聞くと、絵の役割を具体的に確かめられます。
3. 漫画で身についた読み方は本でも使える?
教室の事例研究は、グラフィックノベルに固有の読み方と、別の文章にも用いられる一般的な方略を区別しています。絵の形式に固有の読み方と、文章を理解する一般的な読み方を分けます。渡すべきものは本の厚さより、理解のために使った手がかりです [2]。
たとえば家で、「何が起きたか」と「なぜそう考えたか」を分けて聞きます。漫画の場面で答えたあと、短い文章でも同じ問いを置きます。両方で答えが出ても、長編を読み切る力まで確認したことにはなりません。形式に慣れたこと、内容を理解したこと、自分で理由を説明したことを別の達成として見ます。
この教室の研究では、グラフィックノベルに対する子どもの反応を、演劇的な活動を通しても観察しています。読み方を説明する言葉だけでなく、登場人物や場面への反応を表現する活動も、読者の反応を捉える場になりました。観察されたのは流暢な反応であり、読解テストの得点差とは測るものが異なります。好みが増えたことを、文章中心の本へ移った人数と同じ成果として扱わず、どんな方略を使ったかに戻って考えます [2]。
好きなコマを選んだら、前の場面から何が変わったかを言葉にします。次に文章の同じような場面で、出来事の変化がどの文に書かれているかを探します。絵を文に置き換えるだけで終えず、理解に使った手がかりを本人に説明してもらいます。
4. 高校生にも漫画版を使ってよい?
高校の研究でも視覚的な翻案が教材として検討されています。代わりの教材と補助教材を分けていた点が、家庭での選び方に役立ちます。原文を読む前の手がかりにするのか、同じ場面の表現差を比べるのかで、学習の問いが変わります [3]。
日本の家庭では、漫画版を使う目的を先に決めます。話の流れを確かめるなら、読み終えて出来事を説明します。文章表現を読むなら、原文の言葉に戻ります。補助と置き換えを混ぜずに使います。
高校生N = 217の比較では、文章の種類、学年、性別を要因とする分析で読解テストを評価しました。学年だけでなく性別にも有意な効果があり、教材の形式以外の要因も検討されています。単に漫画版を読んだかどうかだけの比較として受け取ると、この設計の違いが抜けます。授業後の面接は、生徒と教師が教材をどう受け止めたかを集めたもので、読解の得点とは別の情報です。教材への感想と理解の結果を対応させて読む必要があります [3]。
漫画版を補助にする日は、原文の場面と並べ、台詞や描写の対応を探します。筋をつかむために読む日には、読み終えて出来事を順に説明します。同じ本でも目的を先に決めると、読み終わったあとに確かめることがはっきりします。
【反証】この回が言えないこと
図のメタ分析、教室の質的な事例研究、高校の教材比較は、測定も対象も異なります。長期に漫画から文章中心の本へ移行できた割合を示しているわけではありません。漫画の読書量と国語の入試成績の因果関係も、この研究では扱えません。高校の報告は効果の方向の詳細を示さないため、特定の翻案が原文より優れていたとは書けません [1][2][3]。
また、グラフィックノベルへの好みと漫画への好みが一致しなかったという結果は、漫画好きの子を分類する道具ではありません。教材の形式や好みを粗くまとめないための指摘です。子どもの実際の読み方を聞くことから、家庭での橋渡しを始めます。
今回の研究に示された有意な効果は、すべての高校生に漫画版だけを渡せばよいという指示にはなりません。
実務——家でできる 3 つの確認
漫画の好きなページを開き、絵から受け取った情報を言葉にします。文章の本へ進む日は、似た場面の文を選び、出来事と理由を探します。好きな本を起点に、読み方の手がかりをたどってください。
- 好きな場面を選び、絵でわかったことと文でわかったことを別々に話してもらいます。説明が場面のどこに結びつくかを一緒に見ます。
- 本を閉じ、出来事と理由を思い出して話します。その後に開いて確かめます。絵を覚えているだけなのか、出来事のつながりを説明できるかを見分けます。
- 別の機会に短い文章を読み、同じ問いを試します。漫画を卒業させることより、読み方を文章でも使えたかを点検します。
武蔵野個別指導塾では、完全1対1で、本文のどこから判断したかを聞きます。場面を閉じて出来事を説明するアクティブリコールと、間隔反復として後日文章で読み方を確かめる活動をつなぎます。絵に支えられた理解から、言葉を手がかりにした説明へ進みます。
武蔵境の中学受験対策では、本の形式だけで相談を終えず、子どもが挙げた場面と説明を持ち寄り、文章へ渡す手がかりを考えます。
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よくある質問
Q. 漫画を禁止すれば文章の本を読みますか?
研究は漫画の禁止を調べていません。その読み方を、短い文章でも試してみてください。
Q. 絵の本は簡単すぎませんか?
絵のある本が簡単すぎるかは研究で調べていません。絵のあるなしに加え、理由を説明できるかを見ます。
Q. 原文の代わりに漫画版だけでよいですか?
漫画版だけで原文の学習を代替できるかは研究で調べていません。教材を開く前に目的を決めてください。
出典
- Do You Get the Picture? A Meta-Analysis of the Effect of Graphics on Reading Comprehension(Dai-Bao Guoほか、2020、AERA Open)
- How Graphic Novels Support Reading Comprehension Strategy Development in Children.(B. Brenna、2013、Literacy)
- Now I "See": The Impact of Graphic Novels on Reading Comprehension in High School English Classrooms(Mike P. Cook、2017、Literacy Research and Instruction)



