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小論文の練習方法—初めての人の書き始め方と、添削の赤字を次の1本に生かす手順|武蔵野個別指導塾

赤字を「論の赤」と「表記の赤」に仕分けて論から直し、同じ問いを白紙から時間を計って書き直せば、ボランティアの1問で受けた添削を次の1本に生かせます。
初めて小論文を書くなら、600字までの短めの問いを1つ選び、1本目は時間を区切らずに書いてください。時間を計るのは、同じ問いを2回目に書くときからで十分です。添削の赤字が返ってきたら、立場・理由・反論にかかわる「論の赤」と、誤字や句読点にかかわる「表記の赤」に分け、論の赤から直します。論の赤が問題提起か主張に入っていれば全文を、反論か再反論に入っていれば反論の段から後ろを書き直し、表記の赤しかない段落は、印の付いた箇所を直せば足ります。
よくあるのは、返ってきた答案の赤字を、どこから読めばいいかわからず眺めている放課後という場面です。練習の問いは「ボランティアを授業にすべきか。あなたの考えを600字以内で述べなさい」。余白には「結局どちらの立場?」「反対する人の言い分が弱すぎる」と書かれ、本文には誤字の丸と、読点を動かす印が散っています。机の上ではもう消しゴムが動いていて、最初に消されたのは2行目の誤字でした。
小論文の書き方の練習で、赤字を上から順に直すと遠回りになる理由
赤字を上から順に読むと、たいてい誤字の丸から直すことになります。誤字は見つけた所にすぐ印が付くので、答案の前のほうにも並びやすいからです。反対に「結局どちらの立場?」のような赤字は、答案を最後まで読まないと書けません。主張の段の1文目で反対と言い、3文目で賛成の利点を並べ、段の終わりで「よく話し合って決めるべきだ」と結んだ答案は、終わりまで読んではじめて立場の揺れが見えます。そのためこの種の赤字は答案の後半の余白に書かれやすく、上から読む人ほど後回しにしてしまいます。
教室で返した答案を並べてみると、赤字は大きく2つに分けられます。1つは立場・理由・反論にかかわる赤字で、ここでは「論の赤」と呼びます。問題提起で問いをどう受け取ったかに付いた赤字も、こちらに入ります。もう1つは誤字・句読点・話し言葉の文末にかかわる赤字で、こちらは「表記の赤」です。図1のように、2つは直したときに起きることが違い、その違いが直す順番を決めます。

表記の赤は、直しても文の並びが変わりません。「けど」を「が」に変えても、前後の文はそのまま残ります。論の赤はそうはいきません。「結局どちらの立場?」に答えるには、主張の段の文を入れ替え、それに合わせて反論と再反論の段も組み直すことになります。もし先に誤字を3か所直していて、その誤字が組み直した段に入っていたら、直した字は段ごと消えます。表記から直すと同じ所に2回手を入れることになるのは、このためです。
答案を読む側に立ってみても、順番の理屈は変わりません。「この人はどちらの立場で、なぜそう言うのか」「反対の意見にどう答えたのか」が読み取れないうちは、字の誤りをきれいに直した答案も、何を言いたいのかわからない答案と読めます。表記の誤りが多い答案は、論が通っていても急いで書いたと受け取られやすいので、表記を軽く見てよいわけではありません。ただ、論が崩れた答案の誤字を直しても、崩れた論はそのまま残ります。
初めての1本で時間を区切らないのも、同じ考え方からです。時間を区切って書いた答案に「反論に答えていない」と赤字が入ったとき、時間が足りずに書けなかったのか、反論への答え方を知らなかったのかが、本人にも添削する人にも見分けられません。1本目は組み立てる練習、2本目は時間内に書き切る練習と分けておけば、赤字の原因が1つに絞れます。短めの問いから始めるのは、赤字の数が少なく、論の赤がどの段に入ったかを見つけやすいからです。
なお、「ボランティアを授業にすべきか」に正しい立場があるわけではありません。反対で書いても賛成で書いても、理由が問いに答え、反対の意見に応じていれば答案として成り立ちます。添削で直すのは立場の向きではなく、論の通り方です。
初めて小論文を書く人が、赤字を次の1本に生かすまでの6つの手順
図2は、1つの問いを2回書いて次の問いへ移るまでの流れです。図の中の番号は、下の手順の番号と同じです。

- 600字までの問いを、時間を区切らずに書く。書く前に、問題用紙の余白か別の紙へ構成メモを作ります。問題提起・主張と理由・反論・再反論を、文ではなく語で1行ずつ並べれば足ります。答案の紙は、本番に近いマス目の原稿用紙を使ってください。時間は区切りませんが、書き始めた時刻と書き終えた時刻は、答案の右上に小さく書いておきます。
- 問題・構成メモ・答案・かかった時間をそろえて渡す。添削を頼む相手が学校の先生でも、塾の講師でも、保護者の方でも、渡す物は同じです。答案を1枚で渡すと、赤字は答案の表面にしか入りません。
| 渡す物 | 添削する人に見えること |
|---|---|
| 問題文(注意書きを含む) | 問いに答えているか、指示された長さと形に合っているか |
| 構成メモ | 論が崩れたのがメモの段階か、書いている途中か |
| かかった時間 | 反論が薄いのは時間の不足か、答え方の問題か |
| 自分で迷った所を1つ | どの赤字から先に返すとよいか |
- 赤字を「論」と「表記」に仕分ける。返ってきた日は、消しゴムを出さずに、赤とは違う色のペンで赤字の横に「論」か「表」を書き込みます。10分ほどで終わる作業です。どちらか迷った赤字は「論」に入れてください。論に入れて読み直しても損はありませんが、表記に入れると読み飛ばしてしまうからです。
| 赤字の例 | 仕分け | 直すときに戻る所 |
|---|---|---|
| 結局どちらの立場? | 論 | 構成メモの主張の行 |
| これは理由になっている? | 論 | 構成メモの理由の行 |
| 反対する人の言い分が弱すぎる | 論 | 構成メモの反論の行 |
| 誤字の丸 | 表記 | 丸の付いた字 |
| 読点を動かす印 | 表記 | 印の付いた文 |
| 「けど」は書き言葉に | 表記 | その文の終わり |
- 論の赤から、構成メモに戻って直し、書き直す範囲を決める。答案の上で直し始めず、まず構成メモの該当する行を書き換えます。主張の行に「結局どちらの立場?」が付いたなら、反対か賛成かを1語で書き、その理由を1行で書き直します。メモが直ったら、論の赤が入った位置で、書き直す範囲を下の表のとおりに決めます。
| 論の赤が入った所 | 書き直す範囲 | そうする理由 |
|---|---|---|
| 問題提起か主張 | 全文 | 反論も再反論も、主張に向けて組んであるから |
| 反論か再反論 | 反論の段から後ろ | 再反論は、反論の書き方に合わせて組まれているから |
| 論の赤が無い(表記の赤のみ) | 印の付いた箇所 | 文の並びが変わらないから |
- 同じ問いを白紙から、時間を計って書く。1本目を書いた日から数日あけ、前の答案も前のメモも見ないで、構成メモから作り直します。時間は、たとえば600字なら40分を上限にするのが、塾で練習に使う目安です。志望する大学の試験時間が問題の注意書きや募集要項でわかっているなら、それに合わせて縮めてください。書き終えたら、1本目の赤字を横に置いて、同じ段に同じ論の赤が入りそうな所がないかを読みます。
- 表記の赤を「癖の一覧」にため、次の問いへ移る。表記の赤はノートの1頁にまとめて書き写し、次の答案を書き終えた後の最後の見直しで1回読みます。次の問いは、志望する大学が公表している過去のテーマから選ぶと、本番と同じ向きの問いで練習できます。文部科学省の令和9年度の実施要項は、教科の試験問題を原則として公表するよう大学に求めたうえで、小論文のテーマについても進んで公表するのが望ましいとしています。大学のサイトや大学案内、募集要項に過去のテーマが載っていないか、まず探してみてください。
1週間で回すなら、たとえば次のような組み方になります。塾で練習に使う目安で、添削が返ってくる日が遅ければ、4日目から後ろをずらします。
| 日 | やること | 手順 | かける時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 構成メモを作り、時間を区切らずに1本目を書く | 1 | 区切らない(かかった時間を書き留める) |
| 2日目 | 問題・メモ・答案・かかった時間をそろえて渡す | 2 | 10分 |
| 3日目 | 公表された過去のテーマから、次の問いの候補を探す | 6の準備 | 20分 |
| 4日目 | 赤字を論と表記に仕分け、論の赤を構成メモで直す | 3・4 | 30分 |
| 5日目 | 書き直す範囲を決めて書き直す | 4 | 30分 |
| 6日目 | 同じ問いを白紙から、時間を計って書く | 5 | 50分(書く40分・見比べ10分) |
| 7日目 | 表記の癖の一覧を書き足し、次の問いを決める | 6 | 15分 |
この表は、何本書けば受かるかを示すものではありません。1週間で白紙から書く答案は2本で、2本とも同じ問いです。本数を増やすより、同じ問いで赤字が減るところまで見届けるほうが、次の問いで同じ崩れ方をしにくくなります。
主張の段と反論の段を、直す前と直した後で比べる
場面の答案から、論の赤が入った2つの段を取り出します。主張に論の赤があったので、手順4の表のとおり全文を書き直しました。下の「直した後」は、書き直した全文のうちの、その段の部分です。
直す前(主張の段)
ボランティアを授業にすることには反対である。ボランティアは本来、自分の意思で行うものだからだ。とはいえ、授業になれば参加する生徒は確実に増え、地域にとっても助けになる。授業にするかどうかは、学校ごとによく話し合って決めるべきだ。
赤字は「結局どちらの立場?」でした。弱いのは3文目と4文目です。反対の理由を1つ述べた直後に、賛成の側の利点を自分の段に置き、それに答えないまま、最後の文で「話し合って決める」へ立場を移しています。賛成の利点を書いたこと自体は誤りではありません。置き場所が主張の段だったために、読み手には反対と賛成が同じ段に並んで見えます。
直した後(主張の段)
ボランティアを授業にすることに反対である。授業になれば成績がつき、地域の活動への参加が、自分で選ぶ行いから、評価のためにこなす課題に変わるからだ。参加する生徒の数は増えても、そのうち何人が自分から手を挙げたのかは、外から見分けられなくなる。
直した後では、賛成の側の利点を消していません。反論の段へ移し、そこで答える形にしました。主張の段は、反対の立場と、その理由を一歩深めた文で閉じています。
直す前(反論の段)
たしかに、ボランティアを授業にすべきだと言う人もいる。しかし、それは生徒に無理やり奉仕をさせ、学校の行事の人手を集めたい人の考えであり、生徒のためを思った意見ではない。生徒の気持ちを考えれば、授業にする理由はどこにもない。
赤字は「反対する人の言い分が弱すぎる」でした。相手の言い分を、自分が崩しやすい形に縮めて書いているので、続く「しかし」が何も崩していません。読み手には、反論の段があるのに、反対の意見と向き合っていない答案と読めます。最後の文も、理由を示さない言い返しに見えます。
直した後(反論と再反論の段)
たしかに、授業にすべきだという意見の根には、家の事情や部活動の忙しさで地域に出る機会のない生徒にも、同じ経験を届けたいという考えがある。この考えは軽く扱えない。しかし、経験を届けたいのなら、授業の中で地域の活動を調べ、活動している人の話を聞く時間を設ければ足りる。参加までを成績の対象にすると、自分から手を挙げた生徒と、評価のために並んだ生徒の区別がつかなくなる。
直した後では、主張の段から移した「生徒に機会が届く」という利点を、賛成の側のいちばん強い形で書き、それでも反対が成り立つ理由を再反論に置きました。主張の段の「外から見分けられなくなる」と、再反論の最後の文が同じ点を指しているので、全文を通して立場が1つにそろいます。
赤字が次の1本に残らない3つのつまずき
1つ目は、誤字の丸から消しゴムで直してしまうことです。表記の赤を先に片づけると、答案が早くきれいになったように見えますが、論の赤で段を組み直したときに、直した字ごと消えます。こう変えてください。赤字が返ってきた日は消しゴムを出さず、色の違うペンで「論」「表」を書き込むところまでで止めます。
2つ目は、赤字の入った1文を消して、そこに書き足してしまうことです。「結局どちらの立場?」に対して主張の段の最後の1文を「だから反対である」と書き換えても、3文目の「とはいえ、授業になれば参加する生徒は確実に増え」が残っていれば、答案の中に立場が2つ並んだままです。図3のように、論の赤が入った位置で書き直す範囲を決めます。

図3の丸は赤字の入った位置、赤く塗った段は書き直す段です。問題提起か主張に論の赤が入れば全文、反論か再反論なら反論の段から後ろ、表記の赤のみの段は印の付いた箇所です。迷ったら広いほうを選んでください。広めに書き直して失うのは時間ですが、狭く直すと、直した文と直さなかった文が食い違います。
3つ目は、毎回新しい問いに移ってしまうことです。新しい問いの答案では、前の論の赤が直ったのかどうかを確かめられません。問いが変われば、立場の作り方も反論の中身も変わるからです。こう変えてください。1つの問いを白紙から2回書き、2回目の答案を1回目の赤字の紙と並べて、同じ段に同じ赤字が入っていないかを見てから、次の問いへ移ります。
よくある質問
添削してくれる人がいないとき、一人で練習するならどこを見直せばいいですか
書いた日ではなく次の日に、3つの点にしぼって読み直してください。1文目の立場と最後の文の立場が同じか、理由の文が「なぜその立場か」に答えているか、反論を書いた段にそれへの答えがあるか、の3つです。同じ「ボランティアを授業にすべきか」を、あえて賛成の立場でも1本書いてみると、反対の答案で書いた反論の段が、賛成の側のいちばん強い言い分になっていたかが見えてきます。根拠に使った話が、出どころのわからないネットの書き込みになっていないかも、このときに確かめます。
何本書けば本番に間に合いますか
何本で足りるという決まりはなく、本数で合否は言えません。数えるなら、書いた本数より、同じ問いを2回書いて赤字の減り方を確かめた組の数です。いまの高3で、学校推薦型選抜の小論文をこの冬に控えているなら、残りの日は、2回目を本番と同じ時間で書く回に多く割いてください。いまの高2が受けるのは令和10年度の入試で、その年の要項はまだ出ていないので、試験時間や問いの形は、要項と志望する大学の募集要項が出てから合わせれば足ります。
初めてで何も書けないので、例文を写すところから始めてもいいですか
1回写すのはかまいませんが、写した答案は添削に出さないでください。写すと段の並びはつかめても、自分で立場を選び、理由を組み立てる練習にはならず、赤字も他人の考えに入るからです。型は論を通すための手段で、型どおりに並べることが目的ではありません。写した次の日に、例文を伏せて同じ問いを自分の立場で書き、それを1本目として扱ってください。生成AIに書かせた答案も同じで、赤字が自分の考えに届かないので練習になりません。
個別指導で確かめること
構成メモと答案を横に並べ、論の赤が入った所が、メモの段階で崩れていたのか、メモは通っていたのに書く途中で崩れたのかを、最初に一緒に見ます。崩れた場所で戻る先が変わるからです。メモで崩れていればメモの1行から、書く途中なら崩れた段から後ろを、本人の手で書き直してもらいます。
2回目の答案が届いたら、1回目の赤字の紙を横に置いて、同じ段に同じ論の赤が戻っていないかを確かめます。表記の癖の一覧も、そのときに1行ずつ読み合わせます。
まとめ
場面の答案で最初に消された2行目の誤字は、論の赤が主張に入った答案では、全文を書き直すときに段ごと消える字でした。赤字を受け取った日は、消しゴムより先に色の違うペンを持ってください。練習の手応えは赤字の数では測れず、「ボランティアを授業にすべきか」の2回目の答案に、1回目と同じ論の赤が戻ってこないことに表れます。
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