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中学生の勉強に親も一緒に座るか—隣で自分は何をして、いつ席を立つか|武蔵野個別指導塾

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隣に座るなら、手元に置くのはお子さまのノートではなく自分の本か仕事の資料です。教えない約束の言い方、質問を付箋で預かる返し方、始めの10分だけ座る段を経て椅子を空けるまでの順を、食卓の一場面に沿って書き出しています。

中学生の家庭学習に、親が一緒に座るのはかまいません。ただし座るのは先生の席ではなく、自分の勉強をする人の席です。手元に置くのは自分の本か仕事の資料で、お子さまのノートには目も手も出さず、答えも言わない。それを座る前に約束します。

声をかけなくてもお子さまが自分で始められるようになったら、隣にいる時間を段で削り、最後は椅子を空けます。今夜の最初の一手は、読みかけの本を1冊持って食卓の向かいに座り、「今日は私も30分、これを読むね」と先に言うことです。

よくあるのは、食卓の向かいで親が仕事の資料を広げた夜という場面です。中2のお子さまが数学のワークを開き、親は明日の打ち合わせの資料に赤ペンを入れ始めます。最初の数分は、二本のペンの音しかしません。やがて「これ、どうやるの」と声がかかり、親は赤ペンを置いて身を乗り出します。気づけば20分、話しているのは親ばかりで、ワークは2問しか進まず、資料の赤字も3枚目で止まっている。座ったことは間違いではありません。ずれたのは、座ったあとの役のほうです。

隣に親がいるとき、子供の側で起きていること

同じ「隣に座る」でも、子供が受け取るものは、親の目と手がどこへ向いているかで変わります。図1のように、目がお子さまのノートを追えば見張りになり、手がノートに伸びれば授業になり、目も手も自分の紙に向いているときにだけ、二人が並んで勉強する形になります。親が隣にいる間、中学生の側で起きていることは、次の四つに分けて見ると整理がつきます。

図1 親の目と手がどこへ向くかで変わる、隣に座る三つの形

一つ目は、始めるまでの壁が低くなることです。一人の部屋には、机に向かう前に手が伸びる物がいくらでもあります。スマホ、ベッド、読みかけの漫画。向かいで誰かが黙ってペンを動かしていると、その一歩がふっと軽くなります。親が見張っているから始めるのではなく、部屋に「いまは書く時間」という空気ができるから始められる。隣に座ることのいちばんの効き目はここにあります。

二つ目は、見られている感じです。中学生は、自分のノートをのぞかれることにとても敏感です。親がちらりと目をやっただけで、間違いを探されたと受け取ることがあります。そうなると、わからない問題を飛ばして空欄を隠したり、自信のない答えを消して何も書かなかったりする。隣にいるのに、勉強の中身がかえって見えなくなります。

三つ目は、すぐに聞ける相手ができることです。頼れる大人が手の届く所にいると、考える前に聞く癖がつきやすくなります。一問ずつ聞いて答えをもらう勉強は、その場では進んでいるように見えます。けれど定期テストの教室に、親は座っていません。

四つ目は、大人が面倒な作業に向かう姿を見ることです。子供は、大人が机で何かを学ぶ姿を案外見ていません。仕事は職場で、資格の勉強は通勤の電車で済ませることが多いからです。食卓の向かいで親が細かい字の書類を読み、ため息をつきながら付箋を貼る。その姿は、「大人も机の上で面倒なことをしている」という、言葉にしない手本になります。

四つのどれが強く出るかは、お子さまの性格や時期によって違います。残したいのは一つ目と四つ目、入らせたくないのは二つ目と三つ目です。そのための形を、次の手順で組み立てます。

家でできる手順—座る前から席を立つまで

  1. 座る前に、自分の手元に置く物を一つ決めます。読みかけの本、仕事の資料、家計の書類、資格の問題集、語学の単語帳。条件は二つで、目と手が自分の紙に向くこと、30分黙って続けられることです。スマホで動画やSNSを見るのは、お子さまの目には「親は遊んでいる」と映るので、この席では使いません。スマホは別の部屋に置くか、画面を下にして手の届かない棚へ。お子さまにもスマホを離してもらうなら、親が先に離すのが筋です。

  2. 座る位置は、真横ではなく向かいか斜め向かいにします。真横に座るとノートが自然に目に入り、口が出やすくなります。向かいならノートは逆さまで読みにくく、のぞき込む動きは体ごと前に出るのですぐにわかる。それが親自身へのブレーキになります。食卓なら、親の資料とお子さまの教材の間に、手のひら一枚ぶんの何も置かない空きを作っておきます。

  3. 始める前に、約束を短い言葉で言います。親の約束は三つです。「私は自分のこれをやる」「答えは言わない」「聞かれたことは付箋に預けてもらい、教科書を一緒に探すのはタイマーが鳴ってから」。紙に書いて食卓の端に置いておくと、親が破りそうになったときの歯止めにもなります。お子さまには一つだけ約束してもらいます。「わからない問題は印をつけて、次へ進む」。

  4. 時間を区切ります。最初は30分を1回から始めます。長すぎて途中で崩れるなら20分に縮め、慣れてきたら休みを5分挟んでもう1回足します。タイマーは台所の物でかまいませんが、押すのはお子さまの役です。親が時間を決めてしまわず、「今日は20分と30分、どっちにする」と聞いて選んでもらう。始める時刻と長さの決定をお子さまの手に残しておくと、あとで一人で始めるときの練習を、この段階から積んでいけます。

  5. 聞かれたときの返し方を、一つに決めておきます。「付箋に書いて、次の問題へ」。付箋には問題の番号と、どこで止まったかを一言だけ書いてもらいます。「式は作れたけど答えが合わない」「この単語の意味がわからない」くらいの短さで十分です。親はその場で解き方を話さず、自分の資料に目を戻します。止まった場所の一言は、あとで学校の先生に聞くときにもそのまま使えます。1回の30分で付箋が5枚を超えるようなら、その単元は家の30分では埋まらないという合図です。付箋はまとめて取っておき、学校の先生に相談するときの材料にします。

  6. 終わりは二人同時にします。タイマーが鳴ったら親も自分の資料を閉じ、「私は資料を3枚読めた」と自分の進み具合を先に言います。お子さまには「どこまでいった」と一度だけ聞き、返事が「まあまあ」でもそこで終えます。付箋が残っていれば、教科書の例題やワークの解答で確かめるか、翌日、教科の先生に持っていく。家で全部を片づけようとしないことが、答えを言わない約束を守る支えになります。

  7. 席を立つ時期は、合図で決めます。目安にする合図は三つです。声をかけられなくても決めた時刻に机に着く。タイマーを自分で押して始める。付箋に書いた問題のいくつかを、自分で教科書をめくって片づけている。この三つがそろう日が1週間ほど続いたら、図2のように一段進めます。30分ずっと隣にいる形から、始めの10分だけ座って席を立つ形へ。次は、お子さまが「始めるね」と言ってタイマーを押すのを見届けるだけの形へ。最後は別の部屋から「終わったら声をかけて」と言うだけにします。

図2 隣にいる時間を、始めの10分、始めの合図だけと減らして席を立つ順

段を進めたあとで崩れる日はあります。定期テストの前、新しい単元に入った週、部活の大会が続いた時期。机に着く時刻がずれ始めたら、ためらわず一段戻ります。戻ることは失敗ではなく、段の幅を合わせ直しているだけです。戻すときも「今週はまた最初の10分だけ座るね」と先に言っておくと、お子さまは見張りが復活したとは受け取りません。

言葉と場面の例

隣に座る夜に口から出やすい言葉と、その言い換えを五つ並べます。どれも、親が先生の役に戻りかけた瞬間に出てくる言葉です。

「ちょっと見せて」と言いかけたら、「私はこの資料、あと3枚」と自分の進み具合を言います。見せてと言った瞬間に、隣の席は検査の席に変わります。自分の残りを口にすれば、同じ机で別々の物に取り組んでいることが伝わり、お子さまの頭にも「自分はあと何問」という数が浮かびます。

答えの間違いに気づいて「それ、違うよ」と言いたくなったら、口には出さず、タイマーが鳴ってから「印をつけた所はあった」と聞きます。解いている途中で間違いを指されると、組み立てていた考えがそこで切れます。自分で丸をつけて見つけた間違いは、人に言われたものとは残り方が違います。丸をつけるのは、タイマーが鳴ったあと、お子さま自身の赤ペンで。親の赤ペンは、自分の資料のためだけに使います。

「座ってあげてるんだから、ちゃんとやって」は、「私も自分の分を片づけたいから、この時間に一緒にやらせて」に変えます。恩を着せると、隣に座ることが取引になります。親にも片づけたい用事があって座っている、と言えば、二人は対等な机の仲間になります。

お子さまに「そっちだってスマホ見てたじゃん」と言われたら、「そうだね、置いてくる」と言って、本当に置きに行きます。言い訳を始めると、約束全体が親の都合で曲がるものに見えてしまいます。たった一言で引けば、次にお子さまへスマホを離すよう頼むとき、その言葉に重みが残ります。

「もう一人でできるでしょ」は、「来週は最初の10分だけ座ってみる。様子を見て、また二人で決めよう」に変えます。前のほうの言い方は、突き放しとして届きやすい言葉です。減らす予告と、見直す日をつけて伝えると、同じ中身が卒業の相談として届きます。

親がやりがちな三つのずれ

一つ目は、自分の本を開いたまま、目はお子さまのノートに行っていることです。本は開いているのに頁がめくられない。お子さまはそれを、見張られている合図として正確に読み取ります。直し方は、座る前に自分の今日の量を決めることです。本なら10頁、書類なら5枚。終わりに自分の量を口にする約束があると、目は自然に自分の紙へ戻ります。

二つ目は、聞かれて説明を始めたら止まらなくなることです。最初は「ここだけ」のつもりが、解き方をひと通り話し、最後は答えまで言ってしまう。親の資料は止まり、お子さまは「聞けば答えが出てくる」ことを覚えます。直し方は、聞かれたときに返す順を先に決めておくことです。図3のように、聞かれたら付箋に書いてもらい、次の問題へ進み、終わってから教科書と解答で確かめ、それでも残った問題は学校の先生へ持っていく。親の口から出るのは、この順の案内だけにします。

図3 聞かれたら付箋に預けて次へ進み、終わってから確かめる順

三つ目は、やめ方が急なことです。親の残業やきょうだいの用事で、座る日と座らない日がばらばらになり、ある晩いきなり「今日から一人でやって」と言ってしまう。お子さまには、隣の席を取り上げられたように映ります。直し方は、座る曜日を先に決めておき、座れない日は前の晩に伝えることです。減らすときは図2の段に沿って一段ずつ、減らす前の週に予告します。

よくある質問

中学生になっても親が一緒に勉強するのは、過保護ではありませんか

過保護かどうかは、座ることではなく、座って何をしているかで決まります。親が自分の紙に向かい、答えを言わず、いずれ席を立つ予定まで決めてあるなら、それは手出しではなく、始めるための足場です。中1の春や、部活が始まって帰宅の時刻が変わった時期のように、生活の形が揺れるときに期間を区切って使うのが向いています。

中学の勉強を親が教えられない科目でも、隣にいる意味はありますか

あります。この形はもともと教えないので、親の得意不得意は関係ありません。教えられない科目のほうが、答えを言わない約束はかえって守りやすいくらいです。親にできるのは、付箋の問題に似た例題が教科書のどの頁にあるかを、目次や巻末の索引で一緒に探すところまで。探す手つきを見せること自体が、一人で調べる練習の手本になります。

一緒に座ろうとすると嫌がります

無理に座らなくてかまいません。嫌がる理由が「見られたくない」なら、同じ机をやめて、同じ部屋のソファで親が本を読む形から始めます。それも嫌がるなら、いまのお子さまには隣に座る形が合っていません。始める時刻だけを本人と決め、その時刻に親は別の部屋で自分の本を開く。離れた部屋どうしで同じ時刻に頁を開くだけでも、家の中の始まりの合図はそろいます。

学校と相談先で確かめること

家での形を決める前後に、学校でそのまま聞ける質問を挙げておきます。

隣に座っても机に向かえない日が何週も続く、夜に眠れない、朝起きられない日が重なる。そうした様子は、座り方の工夫で解く話ではありません。学校生活のことはまず担任へ、心の様子が気になるときはスクールカウンセラーへ。スクールカウンセラーは決まった曜日に学校へ来るので、その曜日を担任に聞いておくと話が早く進みます。武蔵野市に住んでいるなら市の教育支援センターが、都内なら東京都教育相談センターが、保護者からの相談も受けています。三鷹市や小金井市など武蔵野市の外から通う家庭は、住んでいる市の教育委員会の教育相談の窓口へ。体の不調が続くときは、医療機関に相談してください。

個別指導で確かめること

1対1の授業では、家で付箋に残った問題を持ってきてもらい、どこで止まったのかを本人の言葉でたどります。式を立てるところか、計算か、問題文の読み取りか。止まった場所によって戻る単元が違うので、前の学年の教科書まで戻ることもあります。

もう一つ、授業の最初の数分で、教材を開く、タイマーを押す、わからない所に印をつけて進む、という始め方を本人と一度やってみます。家で親が席を立ったあと、同じ手順を一人で踏めるかどうかを、教室の机の上で確かめておくためです。

まとめ

隣に座るかどうかは、身構えるほどの決断ではありません。決めておくのは、何を持って座り、何を言わずにおき、いつ立つかの三つで、どれも今夜の食卓の上で決められます。向かいで資料をめくる音は、いつか聞こえなくなってかまいません。そのころ、タイマーを押す指と付箋に書く一言は、もうお子さま自身のものになっています。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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