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指定校推薦と定期テスト—1回の失敗と、単位を落としたときの評定への響き方|武蔵野個別指導塾

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数学の答案が38点でも、推薦の道がそこで閉じるとは限りません。評定は高校の評価の方法で科目ごとに決まり、単位が認められないと1がついて平均に入ります。答案の分け方と先生に聞く質問を順に並べています。

定期テストを1回しくじっただけで、指定校推薦の道が閉じるわけではありません。高校の評定は科目ごと・学年ごとに5段階でつき、その中で1回のテストがどれだけの重さを持つかは、高校が決めた評価の方法しだいです。話がまるで変わるのは単位が認められなかったときで、その科目には1がつき、修得した単位にも数えられず、評定平均と卒業の両方に跳ね返ります。

確かめた点 決まりの中身 文書
評定のつけ方 5から1までの5段階。どう決めるかの細かいところは各高校に任されている 文部科学省が高校の指導要録について示した決まり(平成31年3月29日通知の別紙3)
単位を認めない科目 5段階のいちばん下、つまり1として記録する 同じ別紙3の修得単位数の項
単位が認められる条件 高校の指導計画に沿って履修し、成果が科目の目標に照らして満足できると認められること 高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則 第4款
卒業に要る単位 卒業までに修得させる単位数は高校が定め、74単位を下回れない 同じ第4款と学校教育法施行規則第96条
評定平均の出し方 評定を全部足して個数で割り、小数第1位までにそろえる。単位の多い科目にも重みはつかない 令和9年度の実施要項の中にある調査書の記入の注意(8の項)

よくあるのは、数学の答案が返ってきた日の、こんな場面です。高2の秋、右上に赤い字で38と書かれた答案を受け取った瞬間、頭に浮かぶのは点数ではなく「推薦」の二文字。まわりで答え合わせをする声が急に遠くなり、答案は半分に折られて鞄のいちばん奥へ沈みます。家に着いても誰にも見せず、布団の中でスマートフォンに「指定校推薦 定期テスト やらかした」と打ちこむ。検索の窓を見つめるその指は、点数よりも、まだ日取りさえ知らない校内選考のほうを怖がっています。

1回の答案は、評定のどこに入るのか

先に言葉をそろえておきます。指定校推薦は、大学から推薦の枠を受けた高校が校内で生徒を選び、選ばれた生徒が校長の推薦書を添えて出願する入試で、入試の区分では学校推薦型選抜の中に入ります。そして調査書の様式には、定期テストの点を書きこむ欄がそもそもありません。書かれるのは科目ごとの評定です。

令和9年度の大学入学者選抜実施要項に載っている調査書の様式を開くと、「各教科・科目等の学習の記録」という欄があります。科目の名前が縦に並び、その右に第1学年から第4学年までの評定の列と、修得単位数の計の列が続きます。1つの科目に、1つの学年で、1つの数字。38という点は、この欄のどこにも直接は書かれません。

では、点はどうやって数字に変わるのか。高校の指導要録の決まり(平成31年3月29日の通知の別紙3)によると、評定は科目の目標に照らして学習の状況を総括的に評価し、5段階でつけるものです。その土台に置かれているのが観点別学習状況という評価で、観点ごとにA・B・Cの3段階でつけます。観点を決めるのは高校です。ただ、文部科学省が参考として同じ通知の別紙5に載せた一覧には、教科ごとに「知識・技能」と「思考・判断・表現」、それに「主体的に学習に取り組む態度」の3つが並んでいます。そのうえで別紙3は、評定の決め方の細目を各学校で定めるとしています。

ここから引き出せる結論は一つです。定期テストは評定を決める材料の一つであり、評定そのものではありません。小テスト、提出物、レポート、授業での発表がどこにどれだけ入るのか、定期テストがどのくらいの比重を持つのかは、その高校の、さらに言えばその科目の評価の計画で決まります。図1のように、答案の点は観点ごとの評価を通って科目の評定になり、その評定が調査書に写されて、最後に評定平均の計算に入ります。途中に高校の決め方という関門が挟まっているので、38点が評定のいくつになるかは、答案だけを見ても決まりません。

図1 定期テストなどの材料が評定と評定平均に届くまで

一方、単位はもう一段重い話で、国の文書がはっきり線を引いています。高校の指導計画に沿って科目を履修し、その成果が科目の目標から見て満足できると認められたときに単位の修得を認める、というのが高等学校学習指導要領(平成30年告示)の総則の決まりです。認められなかった科目について、別紙3は5段階のいちばん下、1として評定するよう求めています。さらに卒業を認められるのは、その高校が定めた数の単位を修得した生徒で、その数は74単位以上でなければなりません。学習指導要領と学校教育法施行規則第96条の両方にある決まりです。

評定平均、調査書の言葉でいえば「全体の学習成績の状況」は、評定を全部足して個数で割り、小数第2位を四捨五入した数です。2単位の科目も4単位の科目も、評定1つは1つとして数えます。2つの学年にまたがって学ぶ科目は、学年ごとの評定を別々に数えます。だから1回の定期テストが直接動かすのは、その科目のその学年(学期で区切る高校なら、その学期)の評定1つで、その1つの重さは評定の総数で割られて薄まります。ただし単位が認められずに1がついたときは、元が4なら3段、5なら4段と下がり幅が一気に大きくなり、そのうえ修得単位数の欄にまで跡が残ります。

同じ38点が、高校によって違う重さになる

38点という同じ数字でも、どの高校の答案かによって、評定への入り方はまるで違います。違いが出る場所は、少なくとも5つあります。

1つ目は評価の方法です。定期テストと小テストと提出物をどう組み合わせるか、観点ごとの評価をどう評定にまとめるかは、高校と科目ごとに決まっています。授業の初めに配られた紙(シラバスや評価の計画)があれば、まずそこを読んでください。紙が無い、あるいは書かれ方がぼんやりしているなら、科目の先生に直接聞くのがいちばん確かです。

2つ目は、いわゆる赤点の線です。「赤点」という言葉は、指導要録の決まりにも、調査書の記入の注意にも、学習指導要領にも出てきません。何点を線にするのか、線を下回ったら追試や補習があるのか、それを受ければ単位が認められるのか、そのときの評定はいくつになるのか。どれも、その高校の決まりです。生徒手帳や学校の規程に「単位の認定」「進級」といった項があれば、そこから読みます。

3つ目は単位を認定する区切りです。学習指導要領は、2つ以上の学年にわたって学ぶ科目は学年ごとに認定するのを原則としつつ、学期の区分ごとに認定してもよいとしています。決まりの上では、学年末にまとめて認定することも、学期で区切ることもできるわけです。自分の高校がどちらを採っているかで、「まだ取り返せる期間」の長さが変わります。

4つ目は校内選考の見方です。評定平均の数字だけで順番をつけるのか、評定1や修得していない単位がある生徒をどう扱うのかは、校内の推薦の要項に書かれていれば読み、書かれていなければ進路の先生に聞くしかありません。ここを想像で埋めると、要らない心配と要る心配を取り違えます。

5つ目は大学が示す条件です。令和9年度の実施要項は、大学が重要と考える教科・科目を指定し、その単位の修得や一定以上の評定を出願の要件にしてよいとしています。高校に届いた指定校の一覧の条件の欄に、全体の評定平均とは別に教科の評定が書かれていれば、数学の1回の失敗は全体の平均よりも、その教科の数字のほうに大きく響きます。条件の読み方で迷ったら、大学へ連絡するより先に、進路の先生と一覧を一緒に読んでください。

塾の指定校推薦の案内は、評定平均に入る範囲を、高1の1学期に始まり高3の1学期で締まる全教科の積み上げだと説明しています。高2の定期テストは、その道のりのちょうど真ん中にあります。学期を前期と後期の2つに分ける高校では、この「1学期」がそのまま当てはまらないので、どこまでの成績が入るかは自分の高校で確かめてください。また、いまの高2が出願するのは令和10年度の選抜で、その年の実施要項はまだ公表されていません。新しい要項が出たら、調査書の欄と評定平均の計算の決まりが変わっていないかを照らし直してください。

答案が返った日から次の定期テストまで、5つの順番

38点の答案を鞄から出したら、次の順番で動きます。図2はその流れを1枚にしたものです。

図2 答案が返ってきた日から次の定期テストまでの5つの順番
  1. その日のうちに、答案を3つに分ける。失った62点を、知らなかった問題、解き方は知っていたのに途中で崩れた問題、時間が足りず手をつけられなかった問題に仕分けます。たとえば数学IIの三角関数の答案なら、加法定理を覚えていなかった失点が30点分、符号の取り違えや計算の崩れが22点分、最後の大問に届かなかった分が10点、という具合です。38に30と22と10を足すと100になるので、仕分けに漏れがないことも確かめられます。3つは直し方がまるで違うので、ここを混ぜたまま「数学が苦手」とまとめると、次の答案も同じ形で崩れます。

  2. その週のうちに、科目の先生に評価の方法を聞く。今回のテストが学期の評定にどのくらい入るのか、提出物や小テストはどう数えるのか、単位の認定で気をつける線にいまいるのか。推薦を考えていると一言添えれば、先生も答えの焦点を合わせやすくなります。聞きたいことは下の「高校の先生に確かめる質問」から選び、紙に書いて持っていくと、職員室の前で言葉に詰まりません。

  3. 響き方を自分で計算しておく。たとえば、高1と高2の評定が合わせて26個あり、合計が104で平均がちょうど4.0の生徒がいるとします。数学の評定の1つが4から3に下がっても、合計は103、26で割ると3.96…で、四捨五入すると4.0のままです。2まで下がれば3.92…で3.9。単位が認められずに1になれば3.88…で、やはり3.9です。ところが数学という教科だけで見ると、4つの評定がそろって4だったところに3が1つ入れば3.8、1が1つ入れば3.3まで落ちます。全体では薄まる1回の失敗が、教科の数字では大きく見える。一覧の条件の欄に教科の評定が書かれているなら、先に計算するのはこちらです。

  4. 提出物と小テストを落とさない。自分の高校の評価にこれらが入っているなら、次の定期テストまでの間に確実に手を入れられるのはここです。毎週日曜の夜に、その週の提出物と小テストの日付を手帳の1ページに書き出し、終わったものから線で消していきます。地味ですが、点数がまだ動かせる場所を一つずつ埋める作業です。

  5. 次のテストで取り返す。1で分けた3つを、それぞれの直し方で片づけます。知らなかった30点分は、範囲表が出る前に教科書の例題へ戻り、公式をノートに書いて自分で導けるところまでやり直します。崩れた22点分は、途中式を省かずに書く練習を毎日2問ずつ。届かなかった10点分は、試験の最初の2分で解く順番を決める練習です。テストの2週間前には、前回の答案を白紙から解き直し、同じ失点がもう出ないことを自分の目で確かめます。

保護者の方へ。お子さまが答案を見せてくれたら、点数より先に、1で仕分けた紙を見てあげてください。責める言葉は、答案を鞄の奥へ戻すだけです。2の質問の紙を一緒に作る、3の計算を一緒にやる。家庭でできるのは、その2つで十分です。

定期テストと単位をめぐる4つの思い込み

1つ目は「1回の定期テストで、指定校推薦はもう終わり」という思い込みです。評定は学期や学年を通した評価をまとめた数字で、定期テストはその材料の一つにすぎません。どれだけ響くかは高校の評価の方法で決まり、評定平均への影響は前の節のように計算できます。終わりかどうかを決めるのは、答案ではなく、まだつけられていない評定です。

2つ目は「ほかの科目が5なら、1つ赤点でも平均で埋まる」です。平均の数字だけを見ればそう見えることもあります。けれど単位が認められなければ、その科目は1として平均に入り、修得した単位にも数えられません。教科の評定が条件に書かれた枠なら、その教科の数字は大きく下がりますし、校内選考で評定1や未修得の単位をどう扱うかは高校ごとです。卒業できなければ、出願の前提である卒業見込みそのものが崩れます。

3つ目は「追試を受ければ、なかったことになる」です。追試や補習があるか、その点がどう入るか、そのあと評定がいくつになるかは、高校が決めています。追試は消しゴムではありません。どこまで戻るのかを、受ける前に先生に聞いておきます。

4つ目は「単位を落としても、調査書には出ない」です。調査書の学習の記録の欄には、学年ごとの評定と修得単位数の計が並びます。単位が認められなかった科目には1の評定が記され、その単位は計に入りません。図3は、点が低かった科目がどちらの道に進むかを分けたものです。

図3 点が低かった科目が単位の認定で分かれる2つの道

図3の左の道なら、評定は高校の決め方で決まり、取り返す余地は次のテストと提出物にあります。右の道に入りそうなら、追試や補習の決まりと、卒業に要る単位数を、すぐに高校で確かめます。

高校の先生に確かめる質問

科目の先生にも進路の先生にも、答案を手に持ったまま聞ける順に並べました。紙に書き写して持っていってください。

個別指導で確かめること

返ってきた答案を持ってきてもらえれば、3つの仕分けを一緒にやり、高1からの評定を表に入れて、全体と教科の平均を計算し直します。途中で崩れた問題は、目の前で解き直してもらい、符号がどの行で入れ替わったのかを一緒に探します。次の範囲表が出たら、解き直しの順番を週の予定に落とし、先生に聞く質問の下書きも一緒に整えます。

まとめ

38点の答案が決めたのは、その日の点数だけです。高2の秋なら、学年の評定はまだつけられておらず、単位の認定もこれからです。評定に何がどれだけ入るのかも、単位の線がどこにあるのかも、先生に聞けば今週のうちに見えてきます。答案を鞄の奥から引っぱり出して3つに分けたその夜に、次の評定の数字はもう動き始めています。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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