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杵築大社—武蔵境の鎮守と季節の行事|武蔵野個別指導塾

武蔵境駅南口から歩いて数分の杵築大社には、明治14年に築かれた富士塚と、主幹5本の千本イチョウがあります。節分から例大祭までの一年の行事と、七五三で訪ねる前に家族で決めておきたいことまで、順に追えます。
| 場所の名前 | 位置 | 駅からの道順 | うれしい場面 |
|---|---|---|---|
| 杵築大社の拝殿と境内社 | 武蔵野市境南町2丁目 | 武蔵境駅南口から徒歩約5分(武蔵野市観光機構の案内) | 七五三や合格祈願、年の節目のお参り |
| 境富士(富士浅間神社の富士塚) | 武蔵野市境南町2丁目(杵築大社の境内) | 杵築大社の境内 | 社会や理科で信仰と地形を考えるとき |
| 杵築大社の千本イチョウ | 武蔵野市境南町2丁目(杵築大社の境内) | 杵築大社の境内 | 秋の写真、木の育ち方を観察するとき |
確かめた月: 2026年11月
よくあるのは、11月の晴れた土曜、着物を着た5歳の男の子と、髪を結った3歳の妹を連れた家族が、南口を出たところで足を止める場面です。写真館の予約は午後、その前にお参りを済ませたい。けれど、草履の子どもを連れて人の多い駅前を歩くのは思った以上に骨が折れます。どの道を通れば近いのか、境内のどこで写真を撮れば子どもが疲れないのか。駅から数分の神社でも、段取りを決めずに出ると、着いた時には子どもの機嫌が半分になっています。
境内で見ておきたい3つの場所
杵築大社は、武蔵境駅の南側、境南町2丁目にある神社です。東京都神社庁の神社の案内では、祭神は大國主大神(だいこくさま)と事代主大神(えびすさま)で、「開運、縁結びの神社」として地元から崇敬を集めているとしています。駅の南口から歩いて行ける距離に、鎮守の森と富士塚と古いイチョウがまとまっている。武蔵境で暮らす家族にとって、これほど使い道の多い場所は多くありません。
図1のように、境内には性格の違う見どころが3つあります。お参りの場である拝殿、明治の人たちが土を盛って築いた富士塚、そして一度枯れてから根元の芽で生き返ったイチョウです。同じ敷地にありながら、見るべき点はまったく違います。

杵築大社の拝殿と境内社
武蔵野市観光機構の案内と東京都神社庁の由緒によると、この神社は、出雲の松江藩の初代藩主・松平直政がこの地を鷹狩りのための御用屋敷とし、その屋敷の中に杵築大社(今の出雲大社)と稲荷社を建てたことに始まります。松平直政は三代将軍家光のいとこにあたる人物です。観光機構の案内では、戦後に商売の神であるえびす様を出雲の美保神社から合わせてまつり、だいこく様と並ぶ「二福神」の神社として信仰されているとしています。
建物は、本殿・幣殿・拝殿が並び、道路をはさんだ向かいに参集殿があります。境内には八坂神社、富士浅間神社、金比羅様、弁天様もまつられています。拝殿だけを見て帰ると、この小さな社の集まりを見落とします。子どもと一緒なら、境内社を一つずつ数えながら歩くだけで、神さまにもそれぞれ役目があるという話の入り口になります。
七五三で訪ねる家族にとっての使いどころは、はっきりしています。駅から近く、移動で子どもを疲れさせない。鳥居、拝殿、イチョウ、富士塚の朱の鳥居と、背景になる場所がいくつもある。中学生や高校生にとっては、受験の前に一人で手を合わせに来られる距離にあることが大きい。塾の帰りに寄れる神社は、合格祈願のために電車に乗って遠くへ行くのとは違う重さを持ちます。毎日通る道の先にある、というのは心の置き場所として悪くありません。
行く前に知っておきたいのは、ここが地域の氏神であり、観光地として整えられた場所ではないということです。境内では近所の人が毎朝お参りをし、行事の準備をする人が働いています。七五三の写真を撮るときは、拝殿の正面に長く立ち止まらず、お参りを先に済ませてから撮る。この順番を家族で決めておくと、子どもにも「ここは写真の舞台ではなく、神さまの家だ」という感覚が伝わります。御祈祷を受けたい場合は、受付の有無と時期を前もって社務所に問い合わせておきます。
境富士(富士浅間神社の富士塚)
境内の富士浅間神社には、土を盛って富士山をかたどった富士塚があります。武蔵野市の文化財の冊子では「杵築大社の富士山」という名で、昭和47年に市の史跡に指定されています。市の説明によると、この富士山は明治14年5月、境村をはじめ、今の所沢市にあたる埼玉県の安松村まで含む近くの22の町村の富士講の人たちが力を合わせて築いたものです。三多摩では清瀬市中里の富士山に次ぐ大きさとされています。
富士講とは、富士山そのものを神として拝み、仲間で富士登山をした人たちの集まりです。市の冊子は、講の人たちが富士山へ参拝に出かける前にこの山に祈り、ここを出発の起点にしていたこと、境の地区では毎月17日に集まって祈っていたことを記しています。観光機構の案内も、登り口に朱の鳥居があり、かなり険しい傾斜がついていると書いています。
中高生にとって、この富士塚は教科書の外にある教材です。歴史の授業で江戸の庶民の信仰を習っても、多くは文字の上の話で終わります。ここでは、22もの町村の人が土を運んで山を作った、という事実が目の前に立っています。なぜ本物の富士山に行けない人のために山を作ったのか。なぜ境に作ったのか。その問いを持ったまま帰れば、自由研究や総合の探究の題になります。
行く前に知っておきたいのは、傾斜が急だということです。小さな子どもや着物の子どもを連れているときは、下から眺めるだけにとどめるのが安全です。登ってよいかどうかや、通れる道は、その日の境内の掲示と神社の案内に従ってください。雨のあとは土が滑りやすくなります。
杵築大社の千本イチョウ
もう一つの見どころが、境内に立つ千本イチョウです。武蔵野市の文化財の冊子では、昭和47年に市の天然記念物に指定されています。雌の木で、主幹が5本、それを取り巻くように40数本の若い幹が立ち並んでいます。
この木の面白さは、育ち方にあります。市の説明では、もともとかなりの樹齢のイチョウがあったものの、落雷などの何かの原因で地上の部分が枯れ、根元から出た芽(ひこばえ)が育って今の主幹になったと考えられています。多くの天然記念物は一本の太い老木ですが、このように株立ちになったイチョウはあまり例がない、と市は書いています。
小学生の理科の観察には、この「一度倒れて、根から立ち直った木」という話がそのまま使えます。幹が何本あるか数えてみる。太い幹と細い幹の違いを見る。雌の木ということは、秋に何が落ちているか。足元を見れば答えがあります。秋が深まると葉が色づき、七五三の写真の背景にもなります。
行く前に知っておきたいのは、天然記念物は見て学ぶ物であって、登ったり枝を折ったりする物ではないということです。子どもが幹のまわりで遊び始めたら、根を踏み固めない場所まで少し離れて見るように声をかけてください。
歩き方・回り方
杵築大社は駅の南側にあります。武蔵野市観光機構の案内では武蔵境駅南口から徒歩約5分、東京都神社庁の案内では南口から徒歩3分としています。どちらにしても、改札を出てから10分はかかりません。ただし、着物の子どもや草履の子どもの足では、大人の倍はかかると考えて段取りを組んでおくのが確かです。
図2は、お参りと写真の両方を済ませたい日の回る順の例です。最初に手水で手と口を清め、拝殿でお参りをする。次に境富士を下から見て、最後に千本イチョウの近くで写真を撮る。写真を最後に回すのには理由があります。子どもはお参りの前に写真を撮られると、そこで気が済んで、拝殿の前で落ち着かなくなるからです。お参りを先に済ませれば、子どもにとっての「今日の大事なこと」が終わり、あとは気持ちよくカメラの前に立てます。

時間の配分の目安は、駅から境内まで10分、お参りに10分、境富士とイチョウを見ながらの写真に20分ほど。合わせて40分から1時間あれば、子どもが疲れる前に駅へ戻れます。写真館の予約や食事の予定があるなら、その時刻から逆算して、家を出る時刻を決めておきます。
中高生が一人で合格祈願に寄るなら、もっと短くてかまいません。塾や学校の帰りに南口を出て、拝殿で手を合わせて、来た道を戻るだけで15分ほどです。冬の夕方は暗くなるのが早いので、明るいうちに寄るか、家族と一緒に行く日を決めておくと安心です。
雨の日は、境富士の土の道とイチョウの根元がぬかるみます。雨の日のお参りは拝殿だけにして、写真は別の日に改めるか、駅に近い屋根のある場所で済ませるほうが、着物も子どもの機嫌も守れます。七五三の日取りを決めるときは、晴れの日の予備を1日取っておくと、天気に振り回されずに済みます。
季節と時間帯で変わること
杵築大社の一年には、いくつかの節目があります。武蔵野市観光機構の案内では、年間の行事として、2月3日の節分祭(厄除開運祈願)、6月30日の夏越大赦祭、10月第1土日の例大祭を挙げています。夏越大赦祭の儀式では茅の輪が使われるとしています。
いちばんにぎわうのは秋の例大祭です。観光機構の催しの案内によると、2026年は10月3日(土)と4日(日)に開かれ、3日の午後には子ども神輿、夜には宵宮祭、4日の午後には例大祭の神事、夕方からはむさしの囃子と神輿の宮入りがありました。子ども神輿は当日に担ぎ手を受け付けていて、境、境南、桜堤などの地区ごとに集合場所が決められていました。境南の秋まつりとも呼ばれ、両日とも昼ごろから露店が出ます。引っ越してきたばかりの家族にとって、近所の子どもたちと同じ神輿を担ぐのは、町内に知り合いをつくるいちばん早い方法かもしれません。
例大祭の日は、境内も周りの道も人が多くなります。静かにお参りや七五三の写真を撮りたいなら、この2日間は避けて日を決めます。逆に、祭りの空気を子どもに見せたいなら、この日を選んで、写真ではなく神輿や囃子を見せる日にする。同じ神社でも、行く日で目的を切り替えると失敗がありません。
11月は七五三の季節です。七五三は、数え年で3歳の男の子と女の子、5歳の男の子、7歳の女の子が、11月15日やその前後に家族で神社にお参りする習わしです。週末に合わせて前後にずらす家族も多いので、日取りに迷ったら、混み合いそうな15日に近い週末を外す考え方もあります。この季節は千本イチョウの葉が色づくころとも重なります。色づきの早さは年によって違うので、写真の背景にしたいときは、数日前に家族の誰かが通りがかりに木を見ておくと確かです。
時間帯で言えば、朝の境内は静かです。近所の人が出勤の前に手を合わせていく時間で、子どもを連れて行くと、お参りのしかたを人の姿から学べます。夕方は西日が差し、写真の色がやわらかくなります。ただし冬至に近づくほど暗くなるのが早くなるので、11月や12月の夕方に写真を撮るなら、午後の早い時間に済ませるほうが無難です。
行く前に確かめること
図3は、出かける前に家族で確かめておきたい4つのことをまとめたものです。神社は毎日そこにありますが、行事や受付の都合で、行った日に思いどおりにならないことがあります。

- 行事の日かどうか。例大祭や節分祭の日は人が多くなります。武蔵野市観光機構の催しの案内と、境内や町内の掲示板のポスターで、その年の日程を見ておきます。
- 御祈祷の受付。七五三や厄除けの御祈祷を受けたいときは、受付の有無、時期、申し込みのしかたを、前もって社務所に問い合わせます。人の多い季節は特に、当日に行けば受けられると思い込まないことです。
- 写真の撮り方。境内で撮るときの決まりは、神社の掲示や社務所の案内に従います。お参りをしている人の正面に立たない、行事の最中は撮影を控える、といった気配りは、決まりの有無にかかわらず家族で約束しておきます。
- 足元と服装。境富士とイチョウのまわりは土の地面です。着物の子どもには、写真を撮る時以外は履き慣れた靴を用意し、草履は袋に入れて持って行くと、歩く距離が短くても子どもが疲れずに済みます。
お参りの作法について、東京都神社庁の参拝の作法の案内は、厳格なきまりは無く、神社や地域によって特色があると前置きしたうえで、一般的な形をまとめています。鳥居をくぐる前に会釈をし、手水で手と口を清め、参道を進み、神前では二拝二拍手一拝で拝礼する、という流れです。境内を出るときも社殿の方へ向き直って一礼するとよい、とも書いています。子どもには、家を出る前に一度だけ練習しておくと、本番で戸惑わずに済みます。完璧である必要はありません。頭を下げる意味を、子どもなりにわかっていれば十分です。
由緒や文化財のことをもっと詳しく知りたいときは、東京都神社庁の神社の案内、武蔵野市観光機構のまち歩きの案内、武蔵野市が出している文化財の冊子を読むと、境内の掲示とあわせて全体がつかめます。
教室の窓から
武蔵境駅から徒歩30秒の教室から見ると、杵築大社は線路の向こう側の、歩いてすぐの場所にあります。受験の季節になると、模試の帰りや授業の前に、ふらりと手を合わせに行く中学生や高校生の話を耳にすることがあります。神さまに成績を上げてもらえるわけではありません。それでも、遠くへ行かず、毎日の道の途中で「今日もやる」と自分に言い聞かせる場所があるのは、続ける力の支えになります。
小学生なら、千本イチョウの幹を数えて帰ってくるだけで、理科のノートが1ページ埋まります。一度枯れた木が根から立ち直った話は、テストで思うように点が取れなかった日の子どもに、そっと聞かせたい話でもあります。
まとめ
駅から数分の境南町に、松江藩の屋敷の名残と、22の町村が築いた富士山と、枯れても根から立ち直ったイチョウが並んでいます。七五三の写真を撮る日も、受験の前に手を合わせる日も、この神社は同じ顔で待っていて、変わるのは訪ねる側の背丈だけです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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