通う曜日を増やすか迷ったら、授業の間に鉛筆が止まった場所を記録してみてください。追加する授業の目的と家庭で試す時間を並べることが、回数を決める手がかりです。

個別指導は週に何回が効くか—回数と1対1の研究
予定表の空欄を埋める前に
よくあるのは、冬の自転車置き場で、迎えに来た保護者が「来週から、もう1日通ってみる」と尋ねる場面です。お子さまは手袋をはめながら、家で止まった数学の式を思い返します。先週の授業では解けたのに、帰宅後には続きが書けませんでした。通う日を増やせば質問の機会は増えそうです。ただ、その日に予定していた解き直しは、いつ行えばよいでしょうか。移動の予定と自分で試す時間の両方が、回数を決める材料になります。
高校受験を考えると、通う日が多いほど安心できそうに感じます。一方で、授業の予定を増やした結果、習った内容を自分で試す時間が見つからないこともあります。「週に何回が効くか」という問いには、どの教科で、どんな助けを、いつ必要としているかまで含めて答えたいところです。
最初に確かめるのは、授業と次の授業の間に何が起きているかです。一人で進められる部分、質問するまで止まる部分、予定が詰まって手をつけられない部分を分けると、回数の相談は具体的になります。ここでは、研究から読める指導時間と1対1の意味を押さえ、今の暮らしの中で確かめる方法を考えます。

指導時間と週の回数を分けて考える
算数の集中的な指導を扱ったメタ分析では、指導時間が増えるほど効果が上がり、1対1の指導は少人数での指導より効果が大きいという結果が示されています(Miller et al.・2025)。ただ、算数の集中的な指導を扱う24研究から週の通塾回数は決められないので、回数を相談するときには、まず「どの課題に何分の指導が必要か」を聞いてみてください。教える時間と、一人に向けられる指導の形を、実際の時間割に照らして考えられます。
ここで「指導時間が増える」と「週に通う回数が増える」を区別しておきましょう。同じ週2回でも、毎回扱う教科や課題が違えば、一つの苦手に使う時間は変わります。また、授業が長くても、すでにできる問題を繰り返していれば、困っている箇所を扱う時間は限られます。予定表に入った枠の数だけでは、何に指導時間を使ったのかが見えません。
時間を考えるときは、授業の中身を言葉にしてみてください。「数学を習う」よりも、「文章から数量を取り出し、式を立てるところを練習する」の方が、必要な支援がはっきりします。さらに「式は立つが計算の途中で止まる」なら、扱う課題も変わります。苦手教科という大きなくくりを、実際に手が止まる作業まで小さくすることが、回数を選ぶ土台です。
1対1の意味も、隣に講師がいるという形だけで終わらせずに考えたいところです。途中の式を見て、どこで考え違いが起きたかを尋ねる。説明を聞いたあとに、お子さま自身の言葉で理由を言ってもらう。助言を少なくしても同じ手順を使えるかを確かめる。こうした働きかけに時間を使うことで、その生徒に必要な指導の内容が具体的になります。
たとえば、答えが合っていても、直前の説明をなぞっているだけという場合があります。「ここでは何を求めているのですか」と聞くと、自分では説明できない。反対に、答えは違っていても、式の立て方は理解できていて、最後に符号を書き落としただけという場合もあります。同じ正誤の印からでも、次に必要な声かけは異なります。回数を相談する際には、こうした違いを授業でつかめているかも聞いてみましょう。
授業を増やす目的は、具体的に置くことができます。質問を持ったまま待つ期間を短くしたいのか、前提になる内容を教わる時間を確保したいのか、教科ごとの課題を分けて扱いたいのか。目的が違えば、増やした授業で取り組むことも違います。「受験が近いから」という理由だけでは、追加した時間が役立ったかをあとから判断しにくくなります。
逆に、家で問題を解くところまでは進むのに、答え合わせをせずに次へ移っているなら、まず見直しの手順を整える余地があります。教材を開く前に止まっているなら、課題の場所や始め方が曖昧かもしれません。回数の不足、課題の難しさ、手順の曖昧さを一緒に扱わず、どれが今のつまずきかを確かめます。そうすると「とりあえず増やす」以外の相談もしやすくなります。
授業の間を記録して必要な回数を探す
まず、普段の1週間を紙に書き出します。学校、部活動、移動、食事、入浴、寝る準備を先に入れ、そのあとに机へ向かえる時間を置いてください。時間を細かく埋め尽くす必要はありません。「帰宅後に短く取り組める日」「夕食後に少しまとまった時間がある日」「予定が詰まる日」の違いが見えれば十分です。授業を足す候補日にも、移動と準備の時間を含めます。
次に、今使っている教材から、授業で扱った問題を選びます。新しい教材を探す前に、ノート、問題、解答がそろうものを使いましょう。取り組む場所は「数学を復習」ではなく、ページと問題番号まで書きます。その中から、説明を聞いて解けた問題、途中で助言が要った問題、まだ取りかかれない問題を選ぶと、必要な助けの違いを見つけやすくなります。
実施時間の案として、最初の5分で問題と授業中のメモを確かめ、次の10分で自分で解き、最後の5分で答えと途中の考え方を見直す区切りを置いてみます。長く感じる日は、問題を減らして取り組みます。ここでの時間は家庭で試すための目安です。すべての問題を区切りの中で終える競争にはせず、どこまで自分で進めたかを残してください。
自分で解く時間には、解答を伏せます。何も書けなかったら、問題のどの言葉までは意味がわかるかに線を引きます。式が途中まで書けたら、止まった行に小さく印をつけます。「全部わからない」とまとめず、最初の動作ができたか、次の操作を選べたか、最後まで計算できたかに分けると、次の授業に持っていく質問ができます。
教材の解答は、答えを写すためではなく、自分の途中経過と比べるために開きます。最初に違った行を探し、その行で何が変わったかを短く書いてください。「符号を変えなかった」「求めるものを取り違えた」「この式になる理由を説明できない」といった記録で十分です。正しい式を横に書く場合も、自分の式を消さずに残しておくと、講師が経過をたどれます。
見直したあとには、自分で確かめる方法を変えてみます。1つ目は、解答を閉じて、誤った行から最後まで書くことです。2つ目は、同じ単元の別の問題で最初の式を作ることです。3つ目は、「なぜこの計算をするか」を短い文で説明することです。全部を毎回行う必要はありませんが、答えを覚えていたから書けたのか、考え方を使えたのかを区別する材料になります。
英語なら、授業で確認した文の中で、どの語がどの役割を持つかを自分で示してみます。国語なら、答えの根拠にした本文の箇所を指して説明します。教科によって確認する作業は変わりますが、「丸がついたか」に加えて「何を手がかりに答えたか」を残す点は共通です。複数の教科を通塾で扱う場合も、同じ回数にそろえる前に、この記録を教科別に見ます。
質問は、その場で完成した文章に整えなくてもかまいません。問題番号、止まった箇所、自分で試したことを記せば、次の授業で話し始められます。「この問題を教えてください」だけより、「ここで割り算を選んだのですが、解答では掛け算になっています」と伝えた方が、説明を受けたい箇所が伝わります。質問の準備も、生徒が一人でできる学習の作業です。講師に見せる前に、質問の印を自分でも見返しておきましょう。
記録する欄は、日付、課題、助けの有無、止まった場所、次にすることに絞りましょう。「自分で最後まで」「途中で解答を見た」「質問が必要」と言葉で残します。学習時間を書く場合は、解いていた時間と、何をするか迷っていた時間を無理のない範囲で分けます。細かな集計を増やすよりも、次の授業で講師と同じ箇所を見られる記録を目指してください。
週1回を検討する場合は、授業の後に家で取り組む課題と、質問を持っていく機会を結びます。たとえば授業の翌日に短く試し、途中で止まった問題は記録して、できる範囲の別の課題を進めます。次の授業では質問を確かめ、助けが必要だった問題をもう一度扱います。待っている間に進められる課題があるかを確認することが、この組み方の点検になります。
週2回を検討する場合は、それぞれの授業に役割をつけます。初めの授業で考え方を確かめ、その間に家で試し、次の授業でつまずきを扱うという分け方があります。また、数学と英語を別の日に扱う組み方も考えられます。その際には「週2回だから数学も2回見てもらえる」と受け取らず、どの教科をいつ確認するかまで予定表に書いてください。
さらに回数を増やす案が出たら、追加する授業ごとに、そこで解決したい課題を書きます。書けない枠があれば、先に目的を相談しましょう。前提の内容を学び直すために一時的に時間を確保する場合も、どこまでできたら見直すかを決めます。受講する時間だけでなく、家で試す時間がどこに残るかまで見渡すことが必要です。
予定した日に取り組めなかった場合は、記録にそのまま残します。空欄をまとめて埋めようとせず、次に使える時間で、授業につながる課題を優先してください。たとえば計算問題を全部終える余裕がなければ、途中で止まった問題を選び、どの行から助けが要るかを確かめます。未完成のノートでも、困っている箇所が見えれば次の授業で扱えます。遅れた分を抱えたまま新しい課題を積み重ねないようにします。
また、欠席した週は、通常の予定をそのまま当てはめず、すでに説明を受けた範囲と、まだ教わっていない範囲を分けます。前者から自分で取り組める問題を選び、後者はどこから説明が必要かを講師に伝えます。欠席分を取り戻す相談でも、授業の枠だけを合わせるのではなく、次の課題に必要な内容をどの順序で扱うかを確かめてください。
最後に、決めた組み方をいつ振り返るかを相談します。たとえば2週間後に、家庭で取り組めた課題、質問した箇所、その後に自分で解けた箇所を見ます。試験の点だけを待たず、授業の間に進める範囲が変わったかを確認してください。予定どおり進まなければ、回数、課題の量、難しさ、曜日のうち、まず何を直すかを一つ選びます。

塾が見届ける部分と家庭が支える部分
個別指導で塾が担うべきなのは、回数を提示するところから先の設計です。授業で何を扱い、家で何を試し、次に何を確かめるかをつなげます。お子さまが「家ではできなかった」と持ってきたノートを、課題が終わったかどうかの点検だけで閉じないことが重要です。解けなかった場所を見て、前の説明、課題の選び方、助けの出し方を見直します。
授業の始めには、前回の内容を助言なしでどこまで使えるかを見ます。そのあとで、家で止まった問題を一緒にたどります。必要な説明をしたら、講師の言葉を追う時間から、生徒自身が判断する時間へ移します。授業の終わりには、次に一人で取り組む問題と、止まった場合に残す印を確かめます。これが見えると、回数の提案にも理由が伴います。
1対1を検討している家庭なら、「一人で考える時間はどう設けますか」「途中の考え方はどこで確かめますか」と尋ねてみてください。講師がずっと話す授業なのか、生徒が手を動かし、説明し、助けを減らしていく授業なのかを具体的に聞けます。指導の形の名称に加え、お子さまが何をする時間なのかを知ることが、通い方を選ぶ材料になります。
回数を増やす提案には、今の困りごと、追加する時間の使い道、見直す時点が必要です。「文章題で式を作るところを授業内で確かめたい」「家庭では計算部分を試す」「次の振り返りで助言なしに式を作れるかを見る」といった説明なら、家庭も変化を追えます。授業を増やしたこと自体を成果にせず、何が動く予定なのかを先に共有します。
塾からの連絡も、通塾回数に合う型にします。伝える内容は、「授業で扱った箇所」「どんな助けが要ったか」「家で試す範囲」「次回確かめること」です。「よく頑張っていました」にこれらを添えると、保護者が学習の中身を把握しやすくなります。たとえば「式の立て方は口頭のヒントで進みました。家では指定した問題の式までを書き、次回はヒントなしで確認します」と伝えます。
家庭が担う部分は、授業の続きをすべて教えることではありません。予定した時間を使えたか、教材を取り出せたか、質問の印が残っているかを、お子さまと短く確かめます。「今日は何問終わったの」と聞く日があってもよいですが、「講師に見てもらいたい場所はある」と聞く日も設けてください。わからない箇所が記録されたことを、次へ進む材料として受け取れます。
保護者が解き方を説明し始めると、誰の助けでどこまで進んだかが見えにくくなる場合があります。手伝ったときには、そばで問題を読んだのか、式を教えたのかを簡単に添えれば十分です。責任を分けるための記録ではなく、次の授業で必要な支援を判断するための記録です。お子さまが助けを求めた事実も、そのまま講師に渡してください。
進み具合は、課題ごとに「説明を受けた」「助けがあればできた」「自分でできた」「別の問題でも使えた」と整理できます。一度できた印をつけて終わりにせず、次の授業ではどうだったかを並べます。前回と今回で使った問題も残せば、同じ問題を覚えたのか、別の問いでも考えられたのかを話し合えます。難しい表を作らなくても、ノートの余白で始められます。
回数を変えたあとの面談では、増やした時間に扱ったことと、家庭で進めたことを同じ紙に置きます。授業では進んでも家で試せなかったなら、理由を確かめます。課題が難しかったのか、移動で時間がなくなったのか、別の予定と重なったのか。理由に応じて、授業での説明を変える、課題を絞る、曜日を替えるなど、次の修正を選びます。
たとえば週1回から週2回へ変え、授業の間に質問を確かめる機会を設けたとします。その結果、家で止まっていた式の続きを書けるようになったなら、追加した授業が何を支えたかを説明できます。一方、同じ箇所で毎回止まっているなら、さらに回数を足す前に、必要な前提を飛ばしていないか、説明の直後だけ解けていないかを点検します。予定の変更と学習の変化を結びつけて見ることが要点です。
教科を増やす相談では、今の授業時間をどう分けるかも確かめます。数学の途中で英語の質問を扱うと、数学の確認を次へ持ち越す場合があります。そのときは、各教科で優先する課題を絞るのか、別の機会を設けるのかを相談します。お子さまが質問を遠慮して黙ったままにならないよう、授業の始めに持ってきた質問を見渡し、今日扱うものと次に扱うものをはっきりさせます。
回数を減らす相談も、同じ記録から進められます。自分で取りかかれ、誤りを見つけ、質問を整理できる範囲が広がったなら、その部分を家庭学習へ移す案が考えられます。その際も、確認する課題と次の相談日を残します。増やすときにも減らすときにも、判断の中心は、実際に一人でできる作業がどう変わったかです。
お子さまの感想も、学習記録と一緒に聞きます。「授業が増えて安心した」という気持ちも、「家でやる時間が足りない」という訴えも、通い方を整える手がかりです。そのうえで、どの問題に取り組めたか、どこで止まったかを確かめます。気持ちだけで回数を決めず、記録だけで負担を見落とさず、両方を相談の材料にします。
相談の最後には、変更点を短い文で残してください。「次の期間は数学の質問を授業の始めに扱い、家庭では指定した問題の式を作る。振り返りでは助言が必要だった箇所を見る」という形です。保護者、お子さま、講師がそれぞれ違う予定を思い描いたままにならず、次に話し合う内容も揃います。受講回数と同時に、この約束が具体的かどうかを確かめたいところです。
回数を決めるときの3つの疑問
週1回では高校受験に足りませんか
週1回という数字だけで不足とは判断できません。授業の間に自分で進められ、質問する箇所を残せるなら、その通い方を検討できます。一方、家で取り組むたびに前提の内容で止まり、次の授業まで扱える課題がなくなるなら、指導の機会を見直す理由になります。まず、今の授業で扱う範囲と家庭の課題がつながっているかを確認してください。足りないものが説明の時間なのか、質問する機会なのかで、必要な変更は異なります。
1対1なら、家で勉強する量を減らしてもよいですか
授業中に助けを受けて解けることと、一人で解けることは分けて確かめます。宿題の量を一律に増やす必要はありませんが、自分で試す機会を予定に入れましょう。授業でできた問題から始め、解答を見ずに最初の手順を選べるか、理由を説明できるかを見ます。家で試す余裕がないなら、授業内に一人で取り組む時間を確保することも相談できます。どの場で確かめるかまで決めておけば、講師がそばにいるときの理解だけで判断せずに済みます。
点が変わらなければ、すぐに回数を増やすべきですか
先に答案と学習の記録を並べてください。習った範囲のどこで誤ったか、時間内に手をつけたか、家で同じ考え方を使えたかを見ます。教わる必要のある箇所が残っている場合と、学んだ内容を試す機会がなかった場合では、追加する時間の使い道が違います。また、点が変わらなくても、以前は書けなかった式が書けていることがあります。その変化も拾いながら、次に扱う課題を具体化し、回数を変える目的を講師と共有しましょう。
次の授業までに何が進むかを基準に
週に何回通うかは、一度決めたら固定する数字ではありません。今の課題と、家で試せる範囲に合わせて見直せます。まずは授業で扱った問題を一人で開き、進めた箇所と止まった箇所を残してください。その紙があれば、「もっと通った方が安心」という気持ちを、具体的な学習の相談へつなげられます。
保護者は予定表を、お子さまは取り組んだノートを、講師は次に必要な課題を持ち寄ります。増やす場合も続ける場合も、次の授業までに何が進む見込みなのかを言葉にしましょう。追加する授業の欄には、止まった一行を質問する日と、その続きを自分で解く日を対で記入します。回数の相談は、次の確認日が決まったところで一区切りにできます。
参考文献
- Miller et al.(2025), Educational Psychology Review. 算数の集中的な指導に関する24研究のメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/a7cd2d1bc1825155a8e92e56e4950d99/





