
読み物 家庭と子どもの日々(10-27 本人「読み物として引き込む記事」)
机に向かうまでの三十分—「やる気がない」と言われる子が、本当は始め方を探している夜

宿題を始められない理由はさまざまです。最初の一行がどこにあるのかわからず、立ち止まる子もいます。一行目の場所を、外から一つ決めてあげてください。そこから先は、思っているより早く進みます。

「今からやる」と言ってからの三十分
※以下の場面は、状況を考えるための架空の例です。
夕食のあと、子どもが「今からやる」と言って自分の部屋へ入っていきます。親は台所で洗い物をしながら、少しほっとします。
十分たって、部屋をのぞくと、子どもは机の前に座っています。けれど、教科書はまだ鞄の中です。机の上には、筆箱が一つ。子どもはその中の鉛筆を、長い順に並べ直しています。
二十分たって、もう一度のぞくと、子どもは部屋の中を歩いています。本棚から漫画を一冊取り出し、また戻す。窓の外を見る。スマートフォンを手に取り、画面を見ずに裏返して、机の端に置く。
三十分たって、親はつい声をかけます。「まだ始めてないの」。子どもは「今やろうとしてた」と言います。その声には、少しとげがあります。親は、それ以上言わずに戸を閉めます。閉めながら、この子はやる気がないのだろうか、と思います。
その三十分のあいだ、子どもの中で何が起きていたのかを、少しだけ考えてみたいと思います。
怠けているように見える時間の、中身
鉛筆を並べ直す。本棚の前に立つ。窓の外を見る。外から見ると、これらはすべて勉強から逃げている動きに見えます。
けれど、その時間の中身は、別のものであることがあります。何からやればいいかが、わからないのです。
宿題は、外から見ると一つのかたまりです。数学のプリントが一枚、英語の単語の練習、国語の音読。けれど、そのかたまりの中に、どこから手をつければよいかの印は書かれていません。プリントの一問目が難しそうに見える。単語の練習は終わりが見えない。音読は、家の人に聞かれるのが恥ずかしい。
どれも、最初の一行が見つからないのです。見つからないまま机に向かうと、頭は「どこから始めるか」を探し続けます。探しているあいだ、手は鉛筆を並べ直したり、本棚の前に立ったりします。それは逃げているのではなく、入口を探して、まわりを歩いている姿です。

始める前に、なぜ疲れてしまうのか
入口を探す時間が長くなると、子どもは始める前に疲れてしまいます。
探しているあいだにも、頭は働いています。今日のプリントが難しそうなこと。昨日も英語の単語を覚えられなかったこと。明日は小テストがあること。そうした心配が、入口を探す途中で次々と浮かびます。浮かぶたびに、机の上の宿題は、少しずつ重くなっていきます。
三十分たったころには、宿題は最初よりずっと重いものになっています。そこへ「まだ始めてないの」という声がかかります。子どもは、その重さを親に説明できません。説明できないから、「今やろうとしてた」とだけ言います。
やる気がない子に見えるとき、子どもの中では、やる気と同じくらいの量の「どうしよう」が渦を巻いていることがあります。
この渦は、勉強のできる子にも起きます。むしろ、きちんとやりたい子ほど、入口の前で長く立ち止まることがあります。最初の一行を間違えたくない。どうせやるなら、全部をきれいに終わらせたい。そう思うほど、一行目は重くなります。完璧に始められないなら、まだ始めないほうがいい。頭のどこかで、そういう計算が働いているのです。だから、入口は小さく、少し雑なくらいでちょうどいい。一問だけ、一語だけ、一行だけ。それで十分だと、親のほうから先に言ってあげてください。
最初の一行までの距離を縮める
この三十分を短くするために、親にできる手があります。どれも、子どもに「早くやりなさい」と言うかわりにできることです。
一つ目は、宿題を始める前に、最初の一行を一緒に決めることです。「数学のプリントの、二番から始めよう」。一番ではなく、二番でも構いません。いちばん簡単そうに見える問題を、子どもに選ばせてください。入口が一つ決まるだけで、まわりを歩く時間は短くなります。
二つ目は、最初の一行を、前の日の夜に決めておくことです。寝る前に、「明日はまずこれ」と一つだけ付箋に書いて、教科書にはさんでおく。翌日の机の上には、もう入口が置いてあります。
三つ目は、終わりの時刻ではなく、始まりの時刻を決めることです。「九時までに終わらせなさい」ではなく、「八時になったら、付箋のところを開く」。終わりの時刻は、宿題の重さに合わせて延びていきます。始まりの時刻は、一度決めれば動きません。
四つ目は、始めたあとに、声をかけないことです。部屋をのぞいて、教科書が開いていたら、黙って戸を閉める。始めたばかりの頭に話しかけると、子どもはまた入口から探し直すことになります。

始まる時刻が、外から決まる場所
それでも、家では始まりの時刻を守るのが難しい子もいます。家には、始まりを先へのばす理由がたくさんあるからです。テレビの音。台所のにおい。家族の会話。ベッド。
そういう子には、始まりの時刻が外から決まる場所を、週に一つ持つという手があります。
武蔵野個別指導塾の授業は、講師1名と生徒1名の完全マンツーマンです。1対2で講師が二人のあいだを行き来する巡回型ではありません。1回の授業は90分で、小学生は60分と90分から選べます。対面の時間割は次のとおりです。
- 4限 15:00〜16:30
- 5限 16:40〜18:10
- 6限 18:20〜19:50
- 7限 20:00〜21:30
授業は時間割の決まった時刻に始まります。席に座れば、隣に座るのは講師一人です。入口を一人で探す時間は、隣に誰かがいるだけで短くなります。その日の最初の一行を、講師と一緒に決めてもらうように頼んでください。
授業では、アクティブリコール(何も見ずに思い出す練習)と間隔反復を明示的に採用しています。前の週にやったことを、何も見ずに思い出してみる。思い出せたところと、思い出せなかったところがわかれば、その日の入口は自然に決まります。授業の最初の数分に何をするかは、入塾前カウンセリングで聞いてみてください。
講師陣は次のような人たちです。
- 大学教員・大学の非常勤講師
- 在野の哲学者・元研究者(修士号・博士号取得者)
- 現役の難関国立大学の学生(東京大学・一橋大学・東京外国語大学・東京農工大学など)
- 私立大学医学部の学生
- 東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の修士課程・博士課程の大学院生
- 現役の中学校の非常勤講師講師は専門の科目を担当制で受け持つ業務委託の形で、アルバイト講師はいません。
授業の帰りに、次の入口を持ち帰る
週に一度、決まった時刻に始まる90分があると、家での始め方も少しずつ変わっていきます。
授業の終わりに、次の授業までにやることを一つ決めて帰るように頼んでみてください。それが、家での最初の一行になります。付箋に書いて教科書にはさんでおけば、家の机の上にも入口が置かれます。
家で机に向かえない日があっても、構いません。そういう日は、教室の自習室という手もあります。武蔵野個別指導塾には、塾の許可があれば24時間使える自習室があり、テキストは1500冊以上あります。家とは違う机に座ると、始まりの重さが変わる子もいます。自習室はそのつど許可をもらって使う形です。
オンライン授業(Zoom)は、10:00から24:45までのあいだで組めます。家から出るのが重い日にも、始まる時刻だけは外から決まります。
親が受け取るもの
授業の様子は、LINEでの学習管理と保護者面談で受け取ることができます。親は、子どもに「宿題やったの」と聞くかわりに、教室から様子を受け取ってください。
家では、始めたかどうかではなく、入口が置いてあるかどうかを見てください。教科書に付箋がはさまっていたら、それで十分です。始められなかった夜があっても、次の入口が置いてあれば、明日は始められるかもしれません。
最初の一歩
最初の一歩は、無料の事前診断テストと、無料の入塾前カウンセリングです。事前診断テストを受けたら、どこで手が止まるかも相談してみてください。止まる場所がわかれば、入口の置き方も決まります。
月謝は学年ごとに週1回の月額で決まっていて、入塾金25,000円(税込27,500円)、登録料5,000円(税込5,500円)、諸経費は毎月5,000円(税込5,500円)です。どの月謝の行になるかは、入塾前カウンセリングで確かめてください。毎月の第5週は閉室で、授業はありません。
よくある質問
Q. やる気がないのか、始め方がわからないのか、どう見分ければよいですか。 A. 始める前の時間に、鉛筆を並べ直したり、部屋の中を歩いたりしているなら、入口を探していることがあります。最初の一行を一緒に決めてみて、そこから手が動くかどうかを見てください。
Q. 塾に行けば、家でも宿題を始められるようになりますか。 A. 必ずそうなるとは言えません。ただ、授業の終わりに次の入口を一つ決めて帰ると、家の机の上にも入口が置かれます。そこから変わっていく子もいます。
Q. 小学生でも同じことが起きますか。 A. 起きます。小学生は60分と90分から授業の長さを選べます。どちらが合うかは、入塾前カウンセリングで相談してください。
Q. 家で始められない日は、自習室を使えますか。 A. 自習室は、塾の許可があれば24時間使えます。そのつど許可をもらう形です。使い方は入塾前カウンセリングで確かめてください。
Q. 授業の様子は、親にも伝えてもらえますか。 A. LINEでの学習管理と保護者面談があります。
まとめ 入口を一つ、置いておく
宿題を始められない子の中には、最初の一行の場所を探している子もいます。探しているあいだに、宿題はどんどん重くなります。
親ができるのは、入口を一緒に決めること、前の夜に付箋を置いておくこと、終わりではなく始まりの時刻を決めること、始めたあとは声をかけないことです。家で始まりを守るのが難しければ、始まる時刻が外から決まる90分を、週に一つ持つという手があります。
教室は東京都武蔵野市境2-2-3 渡辺ビル4F、JR中央線・武蔵境駅から徒歩30秒です。電話は0422-27-7828で、365日・24時間受け付けています。メールはmusashinokobetu.daily@gmail.comです。付箋を一枚はさんだ教科書を、持ってきてください。
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