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割合と比から指数的な増え方、微分方程式へ|武蔵野個別指導塾
毎回20%増える量と毎回20ずつ増える量を比べ、割合が指数関数や微分方程式につながる道筋をたどります。冷却の例を通して、変化の決まりから時間ごとの値を求める考え方を身につけてください。

割合と比から指数的な増え方、微分方程式へ
同じ割合なのに、増える量が変わるのはなぜでしょう
よくあるのは、塾の窓辺に置いた鉢植えを眺めながら、ノートの「毎日同じ割合で増える」という問題に手が止まる場面です。「同じ」と書かれているのに、計算すると増える量は毎回違います。一定なのは何なのか。その問いを言葉にできると、割合の問題は公式に数字を入れるだけの作業から変わります。
植物の実際の成長は、光や水、気温などにも左右されます。ここではその姿を入り口に、条件を単純にした量の増減を考えます。毎回同じ数を足すことと、そのときある量に同じ割合を掛けて増やすことは、別の規則です。初めのうちは似て見えても、時間がたつと違いが広がります。
中学数学では割合と比例でこの違いを整理できます。高校では指数関数と対数を使い、増え方を式やグラフにします。大学では「いまどれだけ速く変化しているか」から、量そのものを表す関数を求めます。出発点にあるのは、いつでも「何をもとにした割合か」という問いです。

割合は、もとにする量と組にして読む
割合は、比べる量をもとにする量で割ったものです。例えば、もとの量が100で、増えた量が20なら、増加の割合は20÷100=0.2です。百分率では20%と表します。増えたあとの量は120なので、「増えた量」と「増えたあとの量」を区別する必要があります。
増えたあとの量を一度の掛け算で求めるなら、もとの量の100%に、増加分の20%を足します。合わせて120%、小数なら1.2倍です。増加の割合を小数でrと書けば、増えたあとの量は、もとの量の1+r倍になります。割合を掛けただけでは増加分しか求まりません。
ここで、毎回20%ずつ増える量を考えます。最初の量を100とすると、最初の変化のあとには100×1.2=120、次には120×1.2=144となります。さらに次は144×1.2=172.8です。増加分を調べると、20、24、28.8となり、同じ数にはなりません。
2回目の20%は、初めの100に対する20%ではありません。その時点にある120に対する20%です。割合が一定でも、もとにする量が大きくなるため、増加分も大きくなります。問題文の「毎回」は、割合の基準となる量をその都度更新する合図だと読めます。
一方、最初の100に毎回20ずつ足すなら、100、120、140、160と並びます。最初の1回だけを見ると、どちらも120です。しかし2回目には144と140に分かれます。規則を判断するときは、ある時点の値だけでなく、前後の差や比を調べる必要があります。
前の量をx、次の量をyと置けば、20%増える規則はy=1.2xです。xとyは比例し、比例定数は1.2になります。ただし、このxは経過時間ではありません。「前の量と次の量が比例する」ことと、「時間と量が比例する」ことは区別してください。毎回20%増える量は、時間に比例して増えるわけではありません。
減少も同じ考えで扱えます。毎回20%減るなら、残る割合は80%なので、次の量は前の量の0.8倍です。100から始めると80、その次は64になります。減った量は20から16へ小さくなります。減少する割合が一定でも、減少する量まで一定になるとは限りません。
また、20%増やしたあとに20%減らしても、もとには戻りません。100×1.2×0.8=96だからです。増加は100をもとにし、そのあとの減少は120をもとにしています。「増減の百分率が同じだから相殺される」と考える前に、それぞれの基準を確かめましょう。
ノートでは、時点、量、前回との差、前回に対する比を並べると整理できます。差が一定なら足し算の規則、比が一定なら掛け算の規則が候補です。ただし、いくつかの数が一致するだけで、その先も同じ規則だと証明されたわけではありません。文章題では与えられた条件を読み、現実の量なら観察の続きと照らし合わせます。
掛け算の繰り返しを指数関数と対数で見る
高校数学では、同じ数を繰り返し掛ける計算を指数でまとめます。100から始めて1回ごとに1.2倍になる量は、n回後には「100に、1.2のn乗を掛けた量」です。nが0なら初めの100、nが2なら100×1.2²=144です。回数が多くなっても、規則を短く表せます。
ここで新しくなるのは、指数を整数だけでなく実数に広げることです。例えば、1.2の半分乗は√1.2です。半分の時間が2回経過すると、√1.2×√1.2=1.2倍になります。同じ長さの時間には同じ倍率で変化すると考えれば、整数の時点の間にも値を置けます。
このように、正の定数を実数乗して得られる関数を指数関数と呼びます。底と呼ばれる定数が1より大きければ増加し、0より大きく1より小さければ減少します。底が1なら一定です。実数乗を使って時点の間を埋めることは、各回の値だけでなく、途中も同じ増減の仕組みに従うと仮定することでもあります。
微分とのつながりを見やすくするため、自然対数の底eを使います。eは約2.71828の定数で、eを底にした指数関数は微分しても自分自身になる性質を持ちます。ここからは、eのu乗をexp(u)と書きます。また、lnはeを底とする対数で、ln aは「eを何乗すればaになるか」を表します。aは正の数です。
1時間ごとに1.2倍となる量を、時刻tを時間単位で使って表すと、次の式になります。
y(t)=100×exp(t ln 1.2)
exp(ln 1.2)=1.2なので、t=1では120、t=2では144です。指数の中のtが増えるにつれ、同じ倍率を掛ける回数が増えていくと読めます。反対に、1時間ごとに0.8倍なら、ln 1.2をln 0.8に置き換えます。ln 0.8は負なので、時間とともに小さくなる式になります。
対数は「何時間でそこに届くか」を求めるときにも役立ちます。100から200になる時間は、exp(t ln 1.2)=2を満たすtです。両辺の自然対数を取ると、t ln 1.2=ln 2となります。
t=ln 2/ln 1.2
これは約3.80時間です。途中の時刻にも値を持つモデルでは、この時刻に200へ到達します。1時間ごとの観測だけで判断するなら、3時間後は172.8、4時間後は207.36なので、初めて200以上と確認するのは4時間後です。連続した時刻での到達と、観測の回での判定は、答えている問いが違います。
グラフにも対数が働きます。量が正の範囲で、横軸をt、縦軸を量yの自然対数ln yに取り直すと、上の式は次の形になります。
ln y=ln 100+t ln 1.2
これはtの一次関数です。通常のグラフでは上に曲がる増加も、対数を取ると直線になります。縦軸だけを対数目盛にした片対数グラフでも、指数関数的な変化は直線として表せます。対数目盛では等しい目盛間隔が等しい差ではなく等しい比に対応するためです。
普通のグラフで増え方が加速して見えることと、対数のグラフで傾きが一定であることは両立します。前者は量の増加分を、後者は倍率に関わる変化を見ています。ただし、指数関数のグラフらしく見えることだけから、現象の仕組みまで決まるわけではありません。式の前提と値の両方を確かめる姿勢が必要です。

微分方程式では、変わり方から関数を求める
大学数学では、関数とその導関数の間の関係を表す方程式を、微分方程式として扱います。導関数は、各時点での瞬間の変化率を与える関数です。未知のものが1個の数ではなく、時間ごとの値を与える関数になる点が、これまでの方程式からの大きな広がりです。
時間tだけを独立変数として、その時間についての導関数を含むものを常微分方程式と呼びます。例えば、量yの変化率y′が、その時点の量yに比例するという条件は、比例定数をrとして次のように書けます。
y′(t)=r y(t)
この方程式の解とは、考えている時間の区間で微分可能で、各時点において式を満たす関数のことです。ある時点だけで左右が等しくなる値を見つけても、解を得たことにはなりません。関数を微分し、区間全体で条件を満たすか確かめます。
rを一定の実数とすると、Cを定数とする関数y(t)=C×exp(rt)が解になります。実際に微分すると、y′(t)=r C×exp(rt)となり、これはr y(t)です。同じ微分方程式を満たす関数がCの値ごとにありますが、初めの量をy(0)=100と指定すると、exp(0)=1なのでC=100と決まります。このような、ある時点での値を指定する条件を初期条件と呼びます。
この例では、解yにexp(-rt)を掛けた関数を微分すると0になります。積の微分法で生じる2つの項が、y′=r yによって打ち消し合うからです。区間で導関数が0の関数は定数なので、どの解も上の形になります。したがって初期条件を与えると、解はただ1つに決まります。一般の微分方程式で解の存在や一意性を論じるには、別に条件を調べる必要があります。
注意したいのは、式のrと、一定時間後の増加割合の違いです。時間を時間単位で測りr=0.2とすると、1時間後は100×exp(0.2)で、約122.14です。120にはなりません。微分方程式は、途中でも増えた量に応じて変化率が上がり続ける規則だからです。1時間でちょうど20%増えるモデルにするなら、r=ln 1.2を選びます。
人口を連続した量として近似し、移動を考えず、出生と死亡による差し引きの変化率が人口に比例すると置けば、この式が基本形になります。rが正なら増加し、負なら減少します。個人の人数そのものは整数ですが、関数は集団の大きさを連続量で近似して扱います。さらに資源や空間の制約を考えると、比例定数を一定と置く条件から見直すことになります。
放射性崩壊では、非常に多くの原子の集団について、残っている量Nの減少をN′=-λNと表すモデルを使います。λは正の定数です。解はN(t)=N(0)×exp(-λt)となり、半分になる時間はln 2/λです。量が多くても少なくても半分になるまでの時間が同じなのは、減る速さが残量に比例するためです。1個の原子が少しずつ縮むという意味ではありません。
冷却では、温度そのものより周囲との温度差に注目します。周囲の温度を一定の20℃とし、物体の温度TがT′=-k(T-20)を満たすモデルを考えます。kは正の定数です。最初が80℃なら、解はT(t)=20+60×exp(-kt)です。温度差が10分ごとに半分になる設定では、tを分で測ってk=ln 2/10と置き、10分後は50℃、20分後は35℃になります。80℃がそのまま半分になるわけではありません。
こうした冷却の式は、工学で物体の温度変化を見積もる入り口になります。また、解を式で書けない場合には、短い時間ごとの変化を足して近似します。現在の値に「現在の変化率×短い時間」を足す方法をオイラー法と呼びます。連続した変化を細かい足し算に戻して調べるところにも、中学数学との接点があります。
基準を決める問いが、三つの段階を貫く
中学では「前の量をもとに、次の量が何倍になるか」を調べました。高校では、その掛け算を時間の関数にし、対数によって必要な時間や増え方の特徴を調べました。大学では「現在の量をもとに、瞬間の変化率がどれだけあるか」を式にしました。変わり方の基準となる量を探す問いが、一貫して続いています。
ただし、扱う時間の幅は違います。1時間ごとの倍率は、その1時間を経た結果です。微分方程式の係数rは、瞬間の変化率を現在の量で割ったものです。yが正なら、y′/y=rと書けます。一定の時間幅での倍率と、瞬間の割合に相当する値を、同じ数字だと思い込まないことがつながりを理解する要点です。
単位を添えると、この違いが明確になります。量の単位をg、時間を分とすると、y′の単位はg/分です。したがってrの単位は1/分となり、rtには単位が残りません。一方、前後の量の比である倍率には、初めから単位がありません。時間を分から時間へ変えるなら、同じ現象を表すrの数値も変える必要があります。
冷却では、基準が物体の温度から周囲との温度差へ移りました。同じ指数関数でも、何が一定割合で変わるかを誤ると違う予測になります。式の外見を覚えることに加えて、文字が何を表すのか、どこを0と考えるのか、変化の基準は何かを言葉で説明できると、初めて見る式にも足場を作れます。
つながりを使った学び方
最初の手順は、問題文に出てくる量と時間の単位を書くことです。「20%増える」の横に「直前の量をもとにする」と添えます。次に、初めの値から少なくとも数回分を順に計算し、量の差と比をそれぞれ求めます。いきなり一般式を作るよりも、一定なのが差なのか比なのかを確かめる目的で表を使います。
続いて、同じ変化を文章、表、式の順に説明します。例えば「毎回1.2倍」を、まず繰り返しの掛け算にし、高校生なら指数関数に直します。最後に、式から初めの値と次の値を計算し直して、表と一致するか確認します。表から式へ進むだけでなく、式から表へ戻れることが理解の点検になります。
微分まで学んだら、求めた関数を微分する手順を加えます。答えらしい式が得られても、それだけで終わりにはしません。導関数が元の関数の何倍になるかを計算し、初期条件も代入します。「変わり方の条件」と「出発点の条件」を別々に調べると、定数を取り違えた箇所も見つけやすくなります。
塾で担うのは、誤りが起きた場所を見分けて、戻る問題を選ぶことです。120の20%を20としてしまうなら割合の基準へ、1.2倍を毎回の足し算で処理するなら表へ戻ります。微分の計算が合っていて初めの値が違うなら、初期条件を確認します。同じ不正解でも、必要な問い直しは違います。
家庭では、お子さまが途中の説明を口にする時間を持てます。「これは何をもとにした20%なの」と一度尋ね、ノートのどの数を指すか待ってみてください。まだ指数や微分を学んでいなくても、基準の量を指せれば話は進みます。先の公式を覚えさせるより、いま使った掛け算の意味を本人の言葉で確かめる機会になります。
よくある質問
Q. 指数的に増える量は、必ずいつまでも増え続けますか。
正の初期値と正の一定の係数を持つ指数関数は、時間とともに限りなく大きくなります。ただし現実の現象については、同じ割合が保たれる条件が続くかを調べます。場所や資源に制約があるなら、どの期間にその式を使うのかを決める必要があります。
Q. 対数のグラフが直線なら、量も一定の速さで増えていますか。
一定なのは、等しい時間ごとの倍率です。通常の目盛で量を見れば、増加分は大きくなります。対数を取った量の傾きと、元の量の増える速さは別です。グラフを読むときは、縦軸が量そのものなのか、その対数なのかを確かめてください。
Q. 微分方程式は、中学生にはまだ関係がありませんか。
解法を先取りする必要はありませんが、現在の量に応じて次の変化が決まる考え方は、割合の計算に現れています。100から120、120から144へ進む理由を説明することが、その土台です。微分を学んだときには、時間の刻みを小さくして瞬間を見るという新しい意味が加わります。
割合から微分方程式への道は、難しい記号を次々に覚える道だけではありません。「同じ」と書かれているのは量なのか、比なのか、変化率なのかを見分ける道でもあります。窓辺の鉢植えから浮かんだ疑問も、基準となる量を言葉にすれば、次の計算につながります。武蔵野個別指導塾の授業では、答えの120とともに、その120を次の計算の基準に選べる理由まで確かめます。
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