【中3理科】酸・アルカリと中和を図解で総まとめ—pH・指示薬・中和と塩|武蔵野個別指導塾

中和したのに酸性が残る理由を、イオンの粒子図からたどります。指示薬の色、pH、中和に必要な体積の計算とグラフを結びつけて、混ぜた後の水溶液を自分で判断する力を育てましょう。

よくあるのは、理科室の実験台で、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えたのにBTB溶液が黄色のままで、「中和は起きなかった」とノートに書いてしまう場面です。混ぜれば必ず中性になると思っていると、観察した色と習った言葉が食い違って見えます。

実は、「中和という反応が起こること」と「混ぜた後の水溶液が中性になること」は別です。反応して減るイオンと、その後にも残るイオンを分けて考えると、黄色のままである理由を説明できます。指示薬の色を覚えるだけでは解けなかった問題も、粒子の数を追えば筋道が見えてきます。

多くの教科書では中3で学ぶこの単元は、水溶液とイオンの知識を、実験結果の説明に使う学習です。色、イオンのモデル、加えた体積のグラフを行き来して、「何が反応したか」と「何が残ったか」を自分の言葉で結びつけていきましょう。

この単元で身につけること

  • 酸性・中性・アルカリ性を区別します。見た目が同じ透明な液体でも、指示薬に対する反応は異なります。
  • pHと指示薬を読み取ります。数値が示す液性と、BTB溶液やリトマス紙の色を対応させます。
  • 酸とアルカリの性質をイオンで説明します。酸性には水素イオンH⁺、アルカリ性には水酸化物イオンOH⁻が関わります。
  • 中和と塩の生成を説明します。水ができる反応と、酸・アルカリに由来する残りのイオンの関係を分けます。
  • 中和に必要な体積とグラフを考えます。同じ濃度の水溶液を使う条件を確かめ、反応前後のイオンの数を追います。

前の単元で学ぶ電離とイオン式が、この単元の出発点です。Na⁺の「⁺」を個数と読み違えると粒子図も崩れるので、電荷の符号と、粒子を何個描いたかは区別しましょう。到達点は、覚えた色を答えることだけでなく、その色になる理由を残ったイオンから説明できることです。

基本の考え方

液性を調べる指示薬とpH

酸性の水溶液には塩酸や酢の水溶液、アルカリ性の水溶液には水酸化ナトリウム水溶液や石灰水などがあります。食酢は身近な例ですが、実験用の水溶液を味や手触りで調べてはいけません。性質を安全に調べるには、少量の試料に指示薬を使います。

BTB溶液は酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色を示します。青色リトマス紙は酸性で赤色になり、赤色リトマス紙はアルカリ性で青色になります。中性ではどちらも変わりません。酸性の液を赤色リトマス紙につけても赤色のままなので、「変化しないから中性」とは判断できません。

フェノールフタレイン溶液は酸性と中性では無色、アルカリ性のある範囲で赤色を示します。無色という結果だけでは酸性と中性を区別できない点に注意します。指示薬には色が変化する範囲があるため、色だけからpHの細かな値まで決めることはできません。

pHは水溶液の酸性・アルカリ性の程度を表す数値です。中学校で扱う通常の条件では、pHが7なら中性、7より小さければ酸性、7より大きければアルカリ性です。値が小さいほど酸性の程度が大きく、値が大きいほどアルカリ性の程度が大きくなります。図1のように、7を境に両側へ読むと整理できます。図の黄色に相当する部分は橙色で示してあり、帯の色は指示薬の実際の色見本ではありません。

図1 pHの数値と酸性・中性・アルカリ性の位置関係

pHが3と5の水溶液なら、酸性の程度が大きいのはpHが3の方です。ただし、この数値を長さのように扱い、「酸性が2だけ強い」とは表しません。また、2つの水溶液を混ぜた後のpHを、混ぜる前のpHの平均で求めることもできません。

酸とアルカリをイオンから見る

水に溶けて電離し、H⁺を生じる物質を酸、OH⁻を生じる物質をアルカリといいます。例えば、塩酸では塩化水素がHCl → H⁺ + Cl⁻のように電離しています。水酸化ナトリウムはNaOH → Na⁺ + OH⁻のように電離します。塩酸の酸性を示すもとはH⁺であり、Cl⁻ではありません。

薄い塩酸にマグネシウムなどの金属を入れると、水素が発生します。ただし、すべての金属が同じように反応するわけではありません。酸性・アルカリ性の水溶液には電流を通すものが多く、これは動けるイオンが含まれるためです。酸性やアルカリ性であることと、電流が流れることは、関連はあっても同じ判定ではありません。

中和で水ができ、塩が生じる

酸とアルカリを混ぜると、互いの性質を打ち消し合う反応が起こります。これが中和です。中心になる変化はH⁺ + OH⁻ → H₂Oで、H⁺とOH⁻が1個ずつ反応して水ができます。H⁺とOH⁻が同じ数だけ反応する点が、粒子図や計算の土台です。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液では、全体の化学反応式はHCl + NaOH → NaCl + H₂Oです。酸の陰イオンとアルカリの陽イオンからできる物質を塩といい、この場合の塩は塩化ナトリウムです。「塩」は「えん」と読み、食塩だけを指す言葉ではありません。

塩化ナトリウムは水に溶けやすいので、水溶液中ではNa⁺とCl⁻に分かれています。中性になってもイオンが全部なくなるわけではありません。一方、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和では、水に溶けにくい塩である硫酸バリウムが白い沈殿として生じます。塩によって溶け方が異なるため、中和を「必ず透明なままの反応」と覚えるのも不十分です。

例題で解き方を確かめる

例題1 色から液性を判断する

ある水溶液にBTB溶液を加えると青色になりました。この水溶液の液性、pHと7の大小関係、赤色リトマス紙の変化を答えましょう。

  1. まずBTB溶液の青色をアルカリ性と対応させます。色の名前だけでなく、どの指示薬を使ったかが判断の出発点です。
  2. 次にアルカリ性をpHに直すと、pHは7より大きいといえます。青色だけではpHが9なのか11なのかまでは決まりません。
  3. 同じ液性をリトマス紙の性質に当てはめると、赤色リトマス紙は青色になります。指示薬が変わっても液性そのものは同じです。

答えは「アルカリ性、pHは7より大きい、赤色から青色に変わる」です。BTB溶液の青色と青色リトマス紙を混同しないよう、解答には指示薬の名前も添えて整理すると確実です。

例題2 反応後に残るイオンを数える

塩酸のH⁺とCl⁻をそれぞれ4個分とするモデルに、Na⁺とOH⁻をそれぞれ2個分加えます。反応後のH⁺、OH⁻、Na⁺、Cl⁻の数と液性を答えましょう。図2はこの混合を表した模式図です。丸1個は同じ数の粒子の集まりを表し、もともとの水は省いています。

図2 塩酸にアルカリを加えたときの反応前後のイオン
  1. 反応するH⁺とOH⁻だけを先に取り出します。4個分と2個分なので、1対1の組は2組できます。
  2. それぞれから2個分を引きます。H⁺は4 – 2 = 2個分、OH⁻は2 – 2 = 0個分となり、水が2個分できます。
  3. Na⁺とCl⁻はこの反応で減らないので、Na⁺は2個分、Cl⁻は4個分です。残ったH⁺によって、液全体は酸性を示します。

答えは順に「2個分、0個分、2個分、4個分、酸性」です。図2の右側でも、正の電荷はH⁺の2個分とNa⁺の2個分、負の電荷はCl⁻の4個分でつり合っています。粒子を数えた後に電荷のつり合いも確かめると、消してはいけないイオンを消した間違いに気づけます。

例題3 ちょうど中和する体積を求める

ある塩酸20 mLをちょうど中性にするのに、ある濃度の水酸化ナトリウム水溶液が10 mL必要でした。同じ濃度の塩酸50 mLでは、同じ水酸化ナトリウム水溶液が何mL必要ですか。

  1. 塩酸の濃度が同じであることを確かめます。同じ濃度なら、塩酸の体積に比例して含まれるH⁺の数が増えるからです。
  2. 塩酸の体積の倍率を求めます。50 mL ÷ 20 mL = 2.5で、H⁺の数も2.5倍になります。
  3. アルカリの濃度も同じなので、必要な体積も2.5倍です。10 mL × 2.5 = 25 mLと計算できます。

答えは25 mLです。「塩酸とアルカリだから同じ体積」とは考えず、実験でわかった20 mL対10 mLの関係を使います。濃度が変わる問題ではこの比例関係をそのまま移せないため、「同じ濃度」という条件に印を付けましょう。

例題4 中和後も電流が流れる理由

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液をちょうど中性になるまで混ぜました。この液に電流が流れる理由を、イオンの名前を使って説明しましょう。

  1. 中和で反応したイオンを確認します。H⁺とOH⁻は水になるので、これらが反応前と同じだけ残るとは考えません。
  2. 残りのイオンを確認します。水に溶けた塩化ナトリウムに由来するNa⁺とCl⁻があり、水溶液中を動けます。

答えは「ナトリウムイオンと塩化物イオンが水溶液中に存在し、電荷を運ぶから」です。中性は液性の分類であり、イオンがないという意味ではありません。「塩ができた」という説明を、水中の粒子の状態まで言い換えることがポイントです。

つまずきやすいところと直し方

中和したら必ず中性になると思う

「酸とアルカリを混ぜたから中性」という考えでは、加えた量を見落としています。H⁺とOH⁻の反応が起きても、どちらかが余ればその性質が残ります。反応の有無は組ができたか、最終的な液性は何が余ったか、という順に判断します。

図3は、例題3の塩酸20 mLにアルカリを加える場合です。縦軸は反応後のイオンの数を相対値で表し、最初のH⁺を4としています。水の電離によるごく少量のイオンは省いた中学校のモデルです。赤線はH⁺、紺線はOH⁻で、10 mLのところで両方が0になります。

図3 加えたアルカリの体積と反応後のイオン数の変化

5 mLではH⁺が2だけ残り、15 mLではOH⁻が2だけ残ります。横軸の10 mLは加えたアルカリの体積であり、混合液全体の体積ではありません。また、この折れ線はpHのグラフではないので、縦軸の2をpHが2と読まないようにします。

塩ができると必ず中性だと思う

「塩があるなら中性」という判断も誤りです。例題2ではすでに中和が起きて塩が生じていますが、H⁺が余るので酸性です。塩の有無と液性を別々に確認し、塩酸と水酸化ナトリウムの組合せではH⁺とOH⁻がちょうど反応しきる量で中性になる、と考えます。どんな塩の水溶液も中性だと一般化することはできません。

イオンの数と濃度を同じものとして読む

「Cl⁻は反応しないから濃度も変わらない」と考えると、加えた水溶液の分を見落とします。Cl⁻の総数は変わらなくても、液全体の体積が増えれば単位体積あたりの数は減ります。グラフでは、縦軸がイオンの数なのか濃度なのかを先に読みましょう。図3も数のグラフだからこそ、加えた量に対して直線で追えます。

練習問題

練習1 pHが3、7、11の水溶液を、それぞれ酸性・中性・アルカリ性に分類し、BTB溶液の色を答えましょう。

練習2 H⁺が3個分、Cl⁻が3個分あるモデルに、Na⁺とOH⁻を各5個分加えました。余るOH⁻の数と液性を答えましょう。

練習3 塩酸15 mLを中性にするのに、アルカリが12 mL必要でした。それぞれ同じ濃度を使うとき、塩酸25 mLに必要なアルカリの体積を求めましょう。

練習4 図3でアルカリを15 mL加えたときの、H⁺とOH⁻の相対値を読み取りましょう。

答えと解説

練習1 順に酸性・黄色、中性・緑色、アルカリ性・青色です。pHの7を基準に分類してから、BTB溶液の色へ置き換えます。

練習2 OH⁻が2個分余り、アルカリ性です。3組が水になるので、5 – 3 = 2個分です。Na⁺の5個分とCl⁻の3個分も残ります。

練習3 20 mLです。12 mL × (25 mL ÷ 15 mL) = 20 mLとなり、単位は体積のmLです。

練習4 H⁺は0、OH⁻は2です。中性になる10 mLを過ぎると、加えたOH⁻が余り始めます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

中和でイオンの増減を追う力は、電池や電気分解で、どの粒子が変化したかを説明するときにも使えます。反応前後で原子や電荷を確かめる習慣は、化学反応式の見直しにも役立ちます。

家庭では5分で、紙にH⁺を4個、OH⁻を6個書き、1対1で線を結んで余りを数えてみましょう。もう1つは、pHが3・7・11と書いたカードの裏に液性とBTB溶液の色を書き、表から説明する練習です。どちらも薬品や火を使わずに確かめられます。

学校の実験では保護眼鏡を着用し、先生の指示で少量ずつ加えて混ぜます。中和では熱が出ることがあるため、家庭の洗剤などを混ぜて再現してはいけません。個別指導では、色の暗記で止まっているのか、電離式に戻る必要があるのかを、残ったイオンの説明から確かめます。

まとめ

実験台で黄色のままだった液を見たとき、反応の失敗と決める前に、H⁺とOH⁻の組がいくつできたかを考えてみましょう。残ったH⁺を示せれば、目で見た色と、目に見えない粒子の変化がつながります。答えの「酸性」に理由を添えられることが、この単元の理解の確かな手がかりです。

中和を見抜く決め手は、混ぜたという事実ではなく、反応して水になった組と、その後に残ったイオンです。


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