柱状図を標高でそろえる計算、化石から環境や年代を読む例題、しゅう曲と断層の図を通して、地層に残る大地の歴史を順序立ててたどれます。
よくあるのは、博物館から帰った日の机で地層の問題を開き、2本の柱状図の同じ深さにある砂の層を線で結んでしまうという場面です。どちらにも「地下5 m」とあれば、同じ地層に見えるのは自然です。しかし、地面そのものの高さが違えば、地下5 mの位置も違います。地層の問題では、見た目が似ていることと、同じ時期にできたことを分けて考える必要があります。
この単元で読むのは、地面の下に残された過去の記録です。粒の大きさは水の流れを、化石は生物が生きた環境や時代を、地層の曲がりやずれは大地が受けた力を考える手がかりになります。用語をばらばらに覚える前に、岩石がくずれ、運ばれ、積もり、その後に変形するという順番をつかみましょう。多くの教科書では中1で学びますが、小学校で学んだ流水のはたらきが出発点になります。
この単元で身につけること
- 風化・侵食・運搬・堆積を区別します。岩石がその場でもろくなることと、水などに削られて運び去られることを分けて説明します。
- 堆積岩を材料から見分けます。れき・砂・泥の粒の大きさに加え、生物の遺骸や火山灰からできる岩石も整理します。
- 示相化石と示準化石を使い分けます。過去の環境を知りたいのか、地層ができた時代を知りたいのかで、注目する特徴が変わります。
- 柱状図を共通の基準で比べます。地表からの深さを標高に直し、特徴のある層や重なる順番を手がかりに対比します。
- 地層ができた後の変化を読み取ります。しゅう曲・断層・隆起・沈降を、形の変化と土地の上下の動きに分けます。
流水のはたらきに、火山の学習で扱った火山灰を結びつけると、異なる場所の地層を比べる理由まで見えてきます。答えには用語だけでなく、「図のどの部分からそう考えたか」を添える練習をします。
基本の考え方
岩石がくずれて地層になるまで
地表の岩石が気温の変化や水などの作用でくずれたり、もろくなったりすることを風化といいます。風化した岩石などが流水や風などに削り取られることが侵食、削られた物質が運ばれることが運搬、運ぶ力が弱まった場所に積もることが堆積です。「風化」は風に吹き飛ばされることだけを指す言葉ではありません。
川が海や湖へ流れ込むと、流れが弱まり、運ばれてきた粒が沈みます。同じような材質なら大きい粒ほど沈みやすく、細かい泥は遠くまで運ばれやすいため、河口近くにはれきや砂、沖には泥が堆積しやすくなります。ただし、海底の地形や流れにも左右されます。粒の大きさだけで、岸からの距離を正確に決めることはできません。

図1のように、できた層の上へ次の堆積物が積もると、しま模様の地層になります。逆転などの大きな変形を受けていない一続きの地層では、下の層ほど古く、上の層ほど新しいと考えます。水中ではおおむね水平に積もることが多いものの、斜面に沿って積もる場合もあります。地層が地表に現れ、直接観察できる場所を露頭といいます。
堆積岩は材料と粒の大きさで整理する
堆積物が長い時間のうちに押し固められたり、粒の間が物質で結びつけられたりしてできる岩石が堆積岩です。れき岩・砂岩・泥岩は、主な粒の大きさで区別します。れきは直径2 mm以上、砂は1/16 mm以上2 mm未満、泥は1/16 mm未満です。1/16 mmは0.0625 mmなので、肉眼で粒を見分けにくいほど細かい範囲です。
れき岩には比較的大きな粒、砂岩には砂粒、泥岩には細かい粒が多く含まれます。流水で運ばれた粒は、ぶつかり合って角が丸くなることがありますが、すべての粒が丸いとは限りません。岩石名を答えるときは、色だけに頼らず、主な粒の大きさを確かめます。
石灰岩はサンゴや貝などの遺骸を材料としてできることがあり、主成分は炭酸カルシウムです。チャートは放散虫などの小さな生物の遺骸を材料としてできることがあり、主成分は二酸化ケイ素です。学校の実験でうすい塩酸を加えると、石灰岩は二酸化炭素を発生し、チャートは通常その反応を示しません。薬品による確認は先生の指示と保護眼鏡などの安全対策のもとで行い、家庭では試しません。
凝灰岩は、主に火山灰などが堆積して固まった岩石です。火山に関係する材料でも、マグマが冷えて固まる火成岩とは、でき方による分類が違います。広い範囲に短期間で積もった火山灰の層は、離れた場所の地層を対応させる目印になります。
化石から環境と時代を読む
地層に残った生物の遺骸や生活の跡を化石といいます。骨や殻だけでなく、足跡なども含みます。示相化石は、生息できる環境に特徴がある生物の化石で、地層ができた当時の環境を推定する手がかりです。造礁サンゴの化石なら暖かく浅い海、シジミの化石なら河口や湖などの環境を考えます。
示準化石は、地層ができた地質時代を知る手がかりです。広い範囲に分布し、生存していた期間が比較的短い生物の化石が適しています。代表例は、古生代の三葉虫やフズリナ、中生代のアンモナイト、新生代のビカリアです。地質時代は古生代、中生代、新生代の順です。化石1個から堆積した年まで決まるわけではなく、種類に応じた時代の幅を読み取ります。
例題で解き方を確かめる
例題1 粒の大きさから岩石名を決める
ある堆積岩をつくる粒の多くが直径0.5 mmでした。この岩石は、れき岩・砂岩・泥岩のどれですか。また、同じ材質の砂と泥なら、穏やかな水中で一般にどちらが先に沈みやすいですか。
- 境界の値をそろえます。砂の範囲は0.0625 mm以上2 mm未満なので、小数で比べると判断しやすくなります。
- 0.0625 ≤ 0.5 < 2を確かめます。主な粒が砂の範囲に入るため、答えは砂岩です。
- 砂と泥の大きさを比べます。同じような材質なら大きい粒が沈みやすいため、一般に砂が先に沈みやすいと答えます。
「0.5 mmは小さいから泥」と感覚で決めないことがポイントです。分類では日常の大きい・小さいではなく、決められた境界を使います。
例題2 化石が示すことを文章にする
地層Pから造礁サンゴの化石が、地層Qからアンモナイトの化石が見つかりました。Pの堆積環境と、Qができた代表的な地質時代を答えましょう。
- 問われているものを分けます。Pは環境、Qは時代を問うため、答えに必要な情報が違います。
- Pでは造礁サンゴの生息環境を使います。「暖かく浅い海で堆積したと考えられる」が答えです。
- Qではアンモナイトを示準化石として使います。中学校で扱う代表的な対応では「中生代」が答えです。
「サンゴだから古生代」と、環境を示す根拠から時代を決めることはできません。また、海の化石が今の山地から見つかっても、現在そこが海だという意味ではありません。化石が記録するのは、その生物が生きていた当時の環境です。
例題3 地表からの深さを標高に直す
図2のA地点の地表は標高40 m、B地点の地表は標高34 mです。同じ噴火による火山灰層と確認された層の上面が、Aでは地表から12 m、Bでは地表から6 mの深さにあります。両地点で上面の標高を求めましょう。

- 比べる面を決めます。ここでは火山灰層の「上面」同士を比べ、片方の下面と取り違えないようにします。
- 標高 = 地表の標高 – 地表からの深さを使います。地面から下へ進むほど標高が低くなるため、深さを引きます。
- Aは40 – 12 = 28 m、Bは34 – 6 = 28 mと計算します。深さは違っても、火山灰層の上面の標高は同じです。
図2は縦軸を標高で統一した柱状図です。AとBの地表の位置はずれていますが、火山灰層の上面を結ぶ線は水平になります。ただし、2地点で高さが一致しただけで、その間や周囲のすべてが水平だと断定はできません。問題の条件の範囲で「両地点では同じ高さ」と読みます。
例題4 離れた地層を対応させる
地点Cでは下から砂岩・凝灰岩・泥岩、地点Dでは下かられき岩・凝灰岩・砂岩が重なっています。両地点の凝灰岩は、含まれる鉱物などの特徴から同じ噴火に由来すると確認されています。対比の目印になる層を答え、砂岩同士をすぐ結べない理由を説明しましょう。
- 同じ時期と判断できる根拠を探します。同じ噴火に由来するという条件があるため、凝灰岩を目印にします。
- 目印の上下を比べます。Cの砂岩は凝灰岩より下、Dの砂岩は凝灰岩より上にあります。
- 逆転がない条件なら、Cの砂岩は噴火前、Dの砂岩は噴火後にできたと読みます。したがって、岩石名が同じでも、同じ時期の層とはいえません。
同じ時期でも、岸に近い場所には砂、沖には泥が積もることがあります。対比では岩石名だけでなく、目印の層、化石、重なる順番を組み合わせます。
つまずきやすいところと直し方
「下の層は、どんな図でも必ず古い」
誤った考え方は、図の下に描かれているという理由だけで古いと決めることです。違うのは、地層ができた後の変形を無視している点です。横から押す力などで地層が波のように曲がることをしゅう曲、割れ目に沿って両側の地層がずれることを断層といいます。激しい変形では地層の上下が逆転することもあります。
正しくは、まず逆転などがないかという条件を確かめ、それから上下を読みます。図3のしゅう曲は上下が逆転していない模式図なので、同じ色の層をたどれます。断層では割れ目を挟んだ同じ層のずれを見ます。単に割れているだけで、ずれがなければ断層とはいいません。

「海の化石が山にあるので、海水が山を登った」
この考え方では、堆積したときと現在の土地の位置を同じに扱っています。土地が上がることを隆起、下がることを沈降といい、海でできた地層が後に隆起して陸上へ現れることがあります。正しくは、「海で堆積した後、大地の変動などによって現在の位置に来た」と、出来事を時間順に分けます。
海面の高さの変化によっても海岸線は移動します。そのため、海と陸の分布が変わったという事実だけで、土地が動いた量を決めることはできません。化石は過去の環境の証拠であり、移動の原因をすべて教える証拠ではないのです。
「凝灰岩は火山の岩なので火成岩」
誤りの原因は、材料の出どころと岩石のでき方を混ぜていることです。火成岩の分類では、マグマが冷えて固まったことが基準です。凝灰岩は火山灰などがいったん堆積して固まるため、堆積岩に分類します。
直すときは、「何から」と「どのように」の2欄をノートに作ります。凝灰岩なら「火山灰などから」「堆積して固まる」と書き、れき岩なら「れきなどから」「堆積して固まる」と並べます。同じでき方でも材料が違うことを、自分の言葉で確かめられます。
練習問題
練習1
岩石がその場でもろくなるはたらきと、流水が削った粒を運ぶはたらきを、それぞれ何といいますか。
練習2
主な粒の直径が0.03 mmの堆積岩は、れき岩・砂岩・泥岩のどれですか。判断に使う境界も答えましょう。
練習3
地表の標高が52 mの地点で、火山灰層の上面は地下17 mにあります。標高45 mの別の地点で同じ層の上面が同じ標高にあるとき、地表からの深さは何mですか。
練習4
逆転のない地層が下かられき岩・砂岩・泥岩の順に重なっています。最も古い層を答えましょう。また、砂岩からビカリアの化石が見つかったとき、代表的な地質時代を答えましょう。
答えと解説
練習1:風化、運搬です。削り取る侵食と、削られた物質を移動させる運搬を区別します。
練習2:泥岩です。0.03 mmは、砂と泥の境界である1/16 mm、つまり0.0625 mmより小さい値です。
練習3:10 mです。上面の標高は52 – 17 = 35 mなので、別の地点の深さは45 – 35 = 10 mです。
練習4:れき岩、新生代です。最も下の層が古いという条件と、示準化石による時代の判断を別々に使います。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
地層から過去の環境を推定する考え方は、生物の進化や自然環境の変化を学ぶときにも役立ちます。今見えている形を観察し、過去に起きた出来事を根拠とともに説明するという共通点があります。
家庭では、5分でできる確認を2つ試せます。1つ目は、3色の紙を順に重ね、下から積もったと考えて古い順を説明する方法です。紙を緩く曲げ、層が連続したまま変形する様子も確かめます。2つ目は、紙に高さの違う地表線を2本描き、同じ標高の横線までの差を測る方法です。地表からの深さが違っても、横線の高さはそろいます。
個別指導では柱状図の計算を急ぐ前に、地表から測る深さと、海面を基準にした標高を指で示せるところまで戻って確かめます。計算の誤りなのか、基準の取り違えなのかで、見直す場所が変わります。
まとめ
地層の問題で答えが止まったら、「材料」「積もった順番」「後から受けた変化」のどこを聞かれているか確かめましょう。同じ色の層を結ぶ前に、同じ時期だといえる根拠を探すことが読み取りの第一歩です。
知識を使えたかどうかは、用語の数ではなく、図の一部分を指して理由を説明できるかで確かめられます。柱状図の1本の境界線にも、そこに物質が積もり、その後の変化を経た時間があります。地層の読み取りは、目の前の形から過去の出来事の順番を組み立てる作業です。





