火山の形とマグマのねばり、岩石の粒と冷え方を3枚の図で結びつけます。斑状組織の読み取りや6種類の火成岩を選ぶ例題を通して、観察した事実から理由を説明する練習ができます。
よくあるのは、図書館の机で岩石の写真を見比べ、「白っぽいから深成岩」と答えたあと、白っぽい火山岩も見つかって手が止まるという場面です。色も粒の大きさも手がかりですが、両方を同じ意味で使うと、岩石の名前を覚えるほど迷ってしまいます。
火山と火成岩では、見えている特徴を、その特徴ができた原因とつなぎます。山の形ならマグマの流れやすさ、岩石の粒なら冷え方、全体の色なら含まれる鉱物に注目します。「何を見て、何を判断しているのか」を分ければ、写真や模式図が変わっても説明を組み立てられます。
多くの教科書では中1で学びますが、知らない岩石の名前をいきなり当てる必要はありません。まず噴火で出てくるものを整理し、次に岩石のつくりを読み、最後に名前を選ぶ順で進めましょう。
この単元で身につけること
- マグマのねばりと火山の形を結びつけます。流れやすい溶岩は広がりやすく、流れにくい溶岩は火口の近くに盛り上がりやすいという関係を説明します。
- 火山噴出物を区別します。溶岩、火山灰、軽石、火山弾、火山ガスを、固体・液体・気体という見方も使って整理します。
- 岩石をつくる鉱物を見分けます。無色鉱物と有色鉱物の違いを知り、色だけでなく形や割れ方にも目を向けます。
- 火山岩と深成岩をつくりから判断します。斑晶と石基、斑状組織と等粒状組織を、結晶が育つ時間と対応させます。
- 火山の恵みと災害を同じ仕組みから考えます。地下の熱が役立つ面と、噴出物が暮らしに影響する面を区別します。
小学校で学んだ土地をつくる石や砂の観察が出発点です。見た目を記録する学習から一歩進み、そのつくりが生まれた過程を考えます。
基本の考え方
マグマのねばりが山の形に表れる
地下にある、岩石が高温でとけた物質をマグマといいます。マグマが地表へ出たものが溶岩です。地下と地表で呼び名が変わるので、「溶岩が地下にたまっている」と書くより、「マグマが地下にたまっている」と書くのが適切です。火山は、マグマに関係する物質が地表へ噴き出す活動によってできます。
マグマにはねばりけの違いがあります。ねばりけが弱いと溶岩は流れやすく、遠くまで広がって傾斜の緩やかな山をつくりやすくなります。ねばりけが強いと流れにくく、火口付近に盛り上がった形になりやすくなります。中程度では、溶岩や火山灰などが重なり、円すい形の山ができる場合があります。

図1のように、横への広がりと高さを比べると違いが見えます。ただし、図は代表的な傾向を示した模式図です。実際の山の形は噴火の重なり方や、雨などによる侵食でも変わるので、形だけで噴火の様子を決めつけることはできません。
マグマには気体になる成分も含まれています。ねばりけが強いマグマでは気体が抜けにくく、爆発的な噴火を起こしやすい傾向があります。ねばりけが弱い場合は比較的穏やかに溶岩が流れることがありますが、「必ず穏やか」とは限りません。ねばりけは噴火を考える重要な条件の1つです。
噴き出したものと鉱物を観察する
火山噴出物には、溶岩のほかに火山灰、軽石、火山弾、火山ガスなどがあります。火山灰は物が燃えたあとの灰ではなく、細かく砕けた岩石や鉱物、ガラス質の粒です。粒の直径が2 mm未満のものを火山灰と呼びます。軽石には、マグマから気体が抜けてできた穴が多くあります。火山弾は、噴き出したマグマが空中を飛ぶ間に特徴的な形をとったものです。
火山ガスは主に水蒸気で、二酸化炭素なども含みます。白く見える噴煙のすべてが火山灰とは限りません。水蒸気そのものは見えず、冷えてできた細かな水滴などが白く見える場合もあります。色や写真の印象だけで物質を決めないことが大切です。
岩石をつくる粒に目を向けると、鉱物が見つかります。鉱物は、一定の化学組成と規則的な内部のつくりをもつ天然の物質です。中学校では、形・色・割れ方などを使って見分けます。無色鉱物の石英は無色や白色で不規則に割れ、長石は白色などで決まった方向に割れやすい特徴があります。有色鉱物には、黒雲母、角閃石、輝石、カンラン石などがあります。
黒雲母は黒っぽく薄くはがれ、角閃石は細長い柱状、輝石は短い柱状に見えることがあります。カンラン石は黄緑色を示すものがあります。「有色」は黒だけを意味しません。また、粒の向きや光の当たり方で見え方が変わるため、1つの特徴だけで断定しないようにします。
冷え方が岩石の粒を変える
マグマが冷えて固まった岩石が火成岩です。地表や地表近くで急に冷えて固まったものを火山岩、地下深くでゆっくり冷えて固まったものを深成岩といいます。結晶は時間をかけて成長するので、冷え方が岩石のつくりに表れます。
火山岩には、大きな結晶である斑晶が、細かい結晶やガラス質からなる石基の中に散らばった斑状組織がよく見られます。斑晶は地下で先に育ち、その周囲に残ったマグマが地表付近で急に冷えて石基になります。一方、深成岩には、十分に育った鉱物の結晶が組み合わさった等粒状組織が見られます。「等粒」は全粒が同じ大きさという意味ではなく、大きさが比較的そろった結晶からなるという意味です。
例題で解き方を確かめる
例題1 火山の形を理由とともに選ぶ
ねばりけが弱いマグマから溶岩が流れ出しました。図1の左と右のうち、できやすい山の形を選び、理由を説明しましょう。山の高さの印象ではなく、溶岩がどの方向へ動きやすいかを考える問題です。
- 「ねばりけが弱い」を「流れやすい」と言い換えます。ねばりけと山の名前を直接暗記するより、間の仕組みを考えるためです。
- 流れやすい溶岩は火口から遠くへ広がると考えます。同じ場所に積み上がるよりも横へ広がりやすいからです。
- 横に広がり、傾斜が緩やかな左の山を選びます。答えは「左。溶岩が流れやすく、広い範囲に広がるため」です。
「ねばりけが弱いから」だけでは、問題文を繰り返した答えになってしまいます。「流れやすい」「広がる」という途中のつながりまで書くと、形が生まれる理由を説明できます。
例題2 岩石のつくりから冷え方を読む
図2のAとBについて、組織名と、火山岩・深成岩のどちらかを答えましょう。Aの大きな粒と、その周囲の部分の名称も答えてください。図中の色は粒を区別するためのもので、実物の鉱物の色を表してはいません。

- Aでは、大きな粒が細かな部分の中に散らばっていることを確かめます。粒があるかどうかだけでは、Bにも粒があるので区別できないためです。
- 大きな粒を斑晶、周囲を石基と読み取ります。この組み合わせが斑状組織の手がかりになるので、Aは斑状組織をもつ火山岩です。
- Bでは、育った結晶が互いに接して全体をつくっていることを確かめます。地下深くでゆっくり冷えたと考えられるので、Bは等粒状組織をもつ深成岩です。
Aに大きな粒があることは、「急に冷えた」という説明と矛盾しません。斑晶が成長した段階と、石基ができた段階を分けます。逆に、石基を「小さな鉱物1個の名前」と考えるのは誤りです。石基は、大きな結晶の間を埋めている細かな部分全体を指します。
例題3 観察表から火成岩の名前を決める
ある岩石は等粒状組織をもち、全体に白っぽく見えました。下の表を使い、候補となる岩石名を答えましょう。この表は中学校で学ぶ代表的な6種類を、つくりと色の傾向で整理したものです。
| 分類 | 白っぽい傾向 | 中間の色の傾向 | 黒っぽい傾向 |
|---|---|---|---|
| 火山岩 | 流紋岩 | 安山岩 | 玄武岩 |
| 深成岩 | 花こう岩 | 閃緑岩 | 斑れい岩 |
- まず等粒状組織から、深成岩の行を選びます。組織は冷え方を判断する手がかりであり、色とは別の情報だからです。
- 次に白っぽい傾向の列を選びます。この段階で全体の色を使うと、行と列を混同せずに絞れます。
- 行と列の交点から、答えを花こう岩とします。「等粒状組織をもち、白っぽい深成岩だから」と理由を添えます。
白っぽい火成岩は無色鉱物の割合が多く、黒っぽい火成岩は有色鉱物の割合が多い傾向があります。表で同じ列に並ぶ火山岩と深成岩は、全体の化学組成が似ている組です。ただし、実物には色の幅があり、表の色だけで岩石名を確定できるとは限りません。問題文に組織や鉱物の情報があれば、必ず合わせて使います。
例題4 火山灰の境界を読み取る
噴出した固体の粒Pの直径は1.5 mm、Qは2.0 mmです。粒の大きさの条件だけで、火山灰に入るのはどちらでしょう。「未満」という言葉を正確に読む問題です。
- 条件を「直径 < 2 mm」と書きます。境界の値そのものを含むかどうかをはっきりさせるためです。
- 1.5 < 2、2.0 = 2を比べます。両方ともmmなので、単位を変えずに比較できます。
- 答えはPだけです。Qは小さく見えても2 mm未満ではありません。なお、2 mm以上という情報だけで火山弾と決まるわけではありません。
つまずきやすいところと直し方
白い岩石なら深成岩だと考える
「白いから深成岩」という判断では、色と冷え方を混同しています。白っぽさは主に含まれる鉱物の割合に関係し、火山岩か深成岩かは主に組織から考えます。流紋岩と花こう岩はどちらも白っぽい傾向がありますが、同じ分類ではありません。

図3のように、縦に組織、横に色を並べると、別々の判断だと見えてきます。直すときは、まず粒のつくりで上段か下段かを選び、そのあと色で列を選びます。名前だけの暗記で迷ったら、2つの観察結果を別々に書き出しましょう。
急に冷えたなら大きな結晶はないと考える
「火山岩は急に冷えるのだから、斑晶はできない」と考えると、冷えた過程を最後の1段階だけで見ています。地下で結晶が先に成長し、残りが地表付近で急に冷える場合があるため、大きな結晶と細かな石基が共存します。
直すときは、紙に「地下で斑晶が育つ → 地表付近で残りが急に冷える」と書きます。図2のAで、その2段階がどこに残っているかを指してください。ただし、火山岩のすべてに、はっきりした斑晶が見えるとは限りません。ガラス質のものもあり、斑状組織は代表的なつくりです。
火山灰なら軽くて危険が小さいと考える
「灰だからすぐ消えるし、害も小さい」という考え方では、燃えかすの灰と火山灰を取り違えています。火山灰は細かな固体で、目や呼吸器、交通などに影響します。高温の火山灰や岩片が火山ガスとともに斜面を流れ下る火砕流や、降り積もった灰などが雨で流れる土石流も災害を起こします。
一方、火山の熱は温泉や地熱発電に利用され、火山がつくった景観も暮らしに関わります。恵みがあることと危険がないことは別です。火口や噴気に近づいて確かめようとせず、地域のハザードマップや自治体などの情報で危険のある場所を知る姿勢につなげましょう。
練習問題
練習1
ねばりけが強いマグマから出た溶岩が、火口付近に盛り上がりやすい理由を、「流れる」という言葉を使って説明しましょう。
練習2
大きな結晶が石基の中に散らばる組織名と、大きな結晶の名称を答えましょう。また、大きな結晶は主にどの段階で育ったのでしょうか。
練習3
黒っぽい傾向があり、等粒状組織をもつ岩石を表から選びましょう。同じ列にある火山岩の名前も答えてください。
練習4
火山から噴き出した固体の粒の直径が0.8 mm、2.0 mm、3.0 mmでした。大きさの条件から火山灰に入る粒をすべて選びましょう。
答えと解説
練習1:ねばりけが強く、溶岩が遠くまで流れにくいためです。流れにくさと、火口付近にたまることをつなぎます。
練習2:斑状組織、斑晶です。斑晶は、地表付近で急に冷える前に、地下でゆっくり成長しました。石基とはできた段階が異なります。
練習3:斑れい岩と玄武岩です。等粒状組織から深成岩の行を選び、黒っぽい列と交わる所を読みます。
練習4:0.8 mmの粒だけです。火山灰の直径は2 mm未満なので、境界に等しい2.0 mmの粒は含みません。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
火山灰が降り積もると、地層の材料になります。火山灰などが積もって固まった凝灰岩は堆積岩であり、マグマが冷え固まった火成岩とはでき方が違います。この区別は、地層を調べて大地の過去を読み取る学習につながります。
家庭では、5分で次の2つを試せます。まず図2を紙で半分隠し、見える方について「粒の特徴 → 組織名 → 冷え方」を声に出します。次に6種類の岩石名を小さな紙に書き、組織と色を軸にして2行3列に並べます。写真があれば、色の印象だけで並べていないかも確かめましょう。
個別指導では、岩石名の間違いからすぐ暗記に戻らず、斑晶と石基を指し分けられるかまで戻って確かめます。お子さまが「この粒のつくりだから」と理由を話せるかが、理解を見る手がかりになります。
まとめ
岩石の写真で迷ったときは、見えた特徴を1つ選び、その特徴から言えることを短く書いてみましょう。「白っぽい」から冷え方までは決められませんが、「育った結晶が組み合っている」なら、地下でゆっくり冷えた過程を考えられます。説明できる範囲を見極めることも、観察の力です。
火成岩の粒は、目の前にない冷却の過程をたどる手がかりです。





