単元名を隠すと手が止まる問題には、解法を選び分ける練習が役立ちます。学習済みの問題を少量ずつ混ぜ、条件と方針の結びつきを記録すると、迷いの原因を探れます。

分野を混ぜた演習が本番に効く—単元別の演習との違い
章の名前がなくなると、手が止まる
よくあるのは、冬の自転車置き場で手袋をはめる前に、今日の演習で解法を選べなかった問題を思い返すという場面です。単元ごとの練習には丸が並んでいます。ところが、いくつかの分野が混ざった演習では、最初の式を書けなかった問題が残っています。解説を開けば知っている解き方なのに、自分では選べなかった。その違いに戸惑う高校生は、復習の仕方を見直す入口に立っています。
同じ種類の問題が続くと、前の問題と似た方針で取りかかれます。一方、問題が混ざると、何を手がかりにどの方法を使うのかを、毎回判断する必要があります。解き方を実行する練習と、解き方を選ぶ練習。この両方を用意するのが、共通テスト対策で取り入れたい学び方です。
分野や問題の種類を交ぜる学習は、インターリービングと呼ばれます。ここでは、学習済みの問題を少しずつ混ぜ、迷った理由を残し、次の復習につなげる方法を考えます。最初から全範囲を混ぜる必要はありません。今日のノートの中から、見分ける練習に使える問題を選ぶところから始められます。

解ける手順と、選べる手順は違う
単元別の演習には、学び始めの手順を確かめやすい良さがあります。例題を読んだ後に似た問題を解けば、式の立て方や計算の進め方を続けて試せます。途中でつまずいても、直前の説明に戻りやすく、どの操作がまだできないのかを探せます。新しい内容を身につける段階では、この見通しの良さを活用します。
ただし、章の名前や問題の並びも、解き方を教える手がかりになります。「このページは場合の数だから、数え方を考えればよい」とわかった状態では、方法を選ぶ負担が軽くなります。丸がついたときに確かめられたのは、選ぶところから全部を自分で進める力なのか、方法が見えている状態で手順を進める力なのか。そこを分けて見る必要があります。
混合練習では、前の問題に使った方法を、そのまま次にも使えるとは限りません。求めるもの、条件、使える関係を読み取り、候補となる方法を比べます。たとえば、並べ方を区別するのか、選ぶ組だけを考えるのかによって、同じ「選ぶ」という言葉を含む問題でも方針は変わります。文章中の目立つ言葉だけで決めず、条件に戻って選ぶ練習を入れるわけです。
米国の7年生を対象にした無作為化比較試験では、単元を混ぜた宿題に取り組む条件で、1か月後の試験の成績が61%、比較する条件で38%でした(Rohrerほか・2019)。練習を終えたその場の滑らかさだけでなく、時間がたった後に解けるかを見る点が、家庭での復習にも参考になります。宿題を速く終えたことと、後から自分で方法を選べることは、別々に確かめたい成果です。
また、大学生を対象にした文章題の研究では、問題の型を自分で見抜く必要がある課題でも、混ぜた練習を含む条件が遅延テストで上回りました(Mielickiほか・2022)。これらは米国の7年生や大学生の課題で得られた結果なので、日本の高校生の共通テスト得点に同じ差が生じるとは言えませんが、復習に「型を見抜く場面」を設ける発想を支えています。自分の学習に取り入れる際には、少量で試し、どこで迷いが生じたかを確かめます。
混ぜた途端に時間がかかると、基礎が全部抜けているように感じるかもしれません。しかし、解説を見ずに方法を選ぶ段階で止まったのか、選んだ後の計算で止まったのかでは、必要な手当てが違います。前者には条件と方法の結びつきを比べる練習、後者にはその操作を単元別に確かめる練習を用意できます。迷いをひとまとめに「苦手」と呼ばないことが、混合練習を続ける助けになります。
大切なのは、混ぜれば難しくなるから力がつく、という考え方にしないことです。難しくて何も書けない問題を集めても、選択の練習を始められません。使う方法を一度は学び、説明を受ければ思い出せる問題を材料にします。そのうえで、助けがなくても条件を読み、方法を取り出せるかを確かめます。単元別で手順を整え、混合練習で選択を確かめるという往復を作りましょう。
今日の復習を、選ぶ練習に組み直す
最初の手順は、すでに学んだ範囲から、比べたい種類を決めることです。数学なら、順序を区別して数える問題と、組だけを数える問題のように、取り違える理由を説明できる組み合わせが出発点になります。名称の違う単元を無作為に集めるよりも、「ここでいつも迷う」という境目から選ぶと、解いた後に何を点検するかが明確になります。
組み合わせに迷ったら、以前の誤答を見て、間違えた方針と本来使いたかった方針を拾います。たとえば、選んだ後に役割を割り当てる問題で、組を選ぶところだけで止めていたなら、「選ぶだけの問題」と「選んでから役割を決める問題」を対にします。似ている点と違う点が見える組み合わせなら、正答した後にも、どの条件で方針を分けたかを確かめられます。別々の章から集めること自体を目的にせず、見分けたい判断に合わせて材料を選びましょう。
次に、手元の問題集や授業のプリントから、それぞれの種類の問題を取り出します。教材を買い足す前に、一度解いた標準的な問題を使ってください。最初は問題文が短く、条件を読み直せるものが扱いやすいでしょう。細かな計算ばかりが重い問題と、方針を選ぶ問題を同時に詰め込むと、何を練習したのかが曖昧になります。計算量と方法の選択を分けて準備します。
教材の使い方として、単元名を紙で隠す方法があります。別の紙に問題番号だけを書き、指定した順にページを開く方法も使えます。手元のプリントを問題ごとに整理できるなら、裏面に出典と番号を控え、表には問題だけが見えるようにします。どの方法でも、条件文や図まで隠さないように気をつけましょう。取り除きたいのは解法を先に知らせる見出しであって、問題を解くための情報ではありません。
見出しを隠す作業は、手元の教材で選択を練習するための工夫です。実際の問題に含まれる誘導や、使ってよい関係式まで取り除く必要はありません。問題文が方針を示している場合は、その情報を適切に使うことも読解の一部です。「自力で選ぶ」にこだわって与えられた手がかりを無視すると、別の練習になってしまいます。隠すのは教材の章名などにとどめ、解答に必要な条件や設問同士のつながりは残してください。
並べ方にも工夫が要ります。必ず「並べ方、組み合わせ、並べ方、組み合わせ」と交互に置くと、次の種類を順番から予想できてしまいます。同じ種類が続く箇所も含め、見た順だけでは方針を決められない並びにします。解答をすぐ下に置かず、問題を読んで方針を書き終えるまでは閉じておきます。自分で準備した順番を覚えていても、条件を言葉にしてから進む習慣は作れます。
時間の区切りは、準備、演習、点検に分けます。たとえば、準備に5分、演習に15分、点検に10分を置いて試してください。問題文が長い日は問題数を減らし、点検の時間を残します。最初のうちは演習の枠を速さの競争にせず、区切りが来たら途中でも止めて、どこまで判断できたかを見直す合図にします。
準備の時間には、混ぜる範囲と、今日確かめる違いをノートの上に書きます。「順序を区別する条件を読めるか」のように、問いを具体的にするとよいでしょう。「数学を頑張る」では、終わった後に達成を判定できません。準備だけで時間が過ぎるなら、問題の候補に付箋を貼るところまでを前日に済ませ、当日は選んだ問題を開くところから始めます。
演習の時間には、計算を始める前に短い方針を書きます。「役割が違うので、選ぶ順番を区別する」「順番を変えても同じ組なので、重なりを除く」といった形です。方法の名前だけでなく、そう判断した問題文の条件を入れてください。説明を美しく整える必要はありません。後から見返した自分が、どの条件に反応して選んだのかをたどれることを目指します。
方針が決まらないときは、求めるものに印をつけ、条件を箇条書きにします。それでも進まなければ、候補にした方法を残して止めます。「何もわからなかった」と書くより、「並べる問題か、組を選ぶ問題かで迷った」と書いた方が、解説を読む目的がはっきりします。混合練習では、迷いを消して答案をきれいにするより、選択の途中を残す方が点検しやすくなります。
点検の時間には、まず答えだけを照合し、その後で最初の方針を確かめます。正答していても、書いた理由が問題の条件と合っていなければ、選び方に印を残します。反対に、方針が合っていて計算だけを誤ったなら、その計算箇所を囲みます。「正解」「不正解」の隣に、「選択」「手順」「計算」のどこを直すかを短く添えると、次の復習を決めやすくなります。
自分で確かめる方法の1つ目は、別の方法を使わなかった理由を言えるかどうかです。「こちらの公式でも解けそう」と感じたら、条件のどこで適用が分かれるのかを探します。両方の方法が使える問題なら、片方を無理に誤りと扱わず、なぜ両方で進められるのかを確かめてください。混合練習は、解き方を1つに固定するためではなく、条件に合う方法を選ぶための練習です。
2つ目は、ノートと解説を閉じ、条件から最初の一手を説明し直すことです。答えの数字を覚えていても、判断の理由まで説明できるかを見ます。解説の言い回しをそのまま唱える形になったら、問題文のどこを使ったかに指を置いて言い直します。説明が長くなりすぎるときは、「何が違うので、何を使う」の形に収めてみましょう。
3つ目は、次の学習日に、順番を変えて同じ範囲を解くことです。直後には言えた理由が、翌日には取り出せないこともあります。前回の記録を先に読まずに解き始め、終わってから照合してください。さらに別の日には、同じ条件の見分けを必要とする未着手の問題を入れます。答えの記憶、問題の並び、実際の条件のどれを頼りにしたかを、自分で点検できるようにします。
結果を見たら、次の組み合わせを決めます。方法を選べても実行できなかった種類は、単元別に戻って例題と基本問題を確かめます。単元別では進むのに混ぜると選べない種類は、対比する問題を並べ、条件の違いを書きます。選択と実行の両方ができた種類は、少し間を置いて混合練習に戻します。すべてを毎回同じ量だけ解き直す必要はありません。
再確認の結果を比べるときは、前回と今回で助けの量が変わっていないかも見ます。前回は解説を閉じて解き、今回は公式の一覧を見ながら解いたなら、丸の増加だけでは選び方の変化を判断しにくくなります。一覧を使う練習をした日には、そのことを記録に添えます。次には一覧を閉じて方針だけを立てるなど、確かめる条件を揃えてください。
記録は、日付、問題番号、選んだ理由、直す箇所、次に試す問題で十分です。「今日は不正解が多かった」で終えず、「順序の条件を見落とした問題を、次回もう一度混ぜる」と行動まで残します。印を色分けするなら、意味を増やしすぎないようにしてください。ノートを作り込む負担が大きい日は、問題番号の横に理由を一言足すだけでも、次に戻る場所を残せます。

個別指導では、混ぜ方と戻り先を調整する
武蔵野個別指導塾の個別指導で扱いたいのは、正答数だけでは見えにくい、方法を選ぶまでの過程です。生徒本人が「わからない」と言ったとき、すぐに公式を教えると、選ぶ練習が終わってしまいます。まず、何を求める問題だと読んだか、どの条件を使おうとしたかを聞きます。そこで出てきた言葉をもとに、説明すべき内容と、本人が判断し直せる内容を分けます。
塾が持つ役割は、問題を混ぜる範囲の調整です。単元名を知っているだけの内容と、自力で手順を進められる内容を同じ扱いにしません。混合練習に入れる前に、基本問題でどこまで進むかを見て、候補を絞ります。混ぜた後に止まる問題が続いたら、範囲を狭めるのか、基本に戻るのか、問題文の読み方を確かめるのかを、答案から判断します。
同時に、塾は「戻る場所」を具体的に示します。「基礎を復習してきてください」だけでは、本人はどのページをどこまでやればよいか迷います。見直す例題、確かめる条件、混合練習に戻す問題をつなげて示せば、宿題の意味がわかりやすくなります。単元別に戻ることを後退と受け止めず、次に自分で選べるように手順を整える時間として扱います。
講師が答えを見せる前の問いかけもそろえたいところです。「どの公式ですか」だけでは、名前を当てるやり取りになりがちです。「順番を入れ替えたときに同じものとして数えますか」「どの条件がその判断を支えますか」と、判断の根拠を尋ねます。本人が条件を読み直して修正できた場合と、説明を聞いて初めて修正できた場合を区別しておくと、次回の助け方を調整できます。
授業の最後には、本人に次回の問題を選んでもらう時間も設けられます。「この問題と混ぜるなら、どれが紛らわしいか」を尋ね、その理由を聞きます。問題の見た目が似ているだけなのか、判断する条件が近いのかを言葉にできれば、自宅での選び方につながります。選びにくい段階では講師が候補を絞り、そこから本人が決める形にします。宿題を受け取るだけで終えず、自分が何を見分けるために解くのかまで共有します。
進み具合は、同じ種類の問題に対する記録を時系列で比べます。前回は単元名が必要だったのか、今回は条件を尋ねると選べたのか、次には助けなしで選べたのか。点数の増減だけでなく、必要だった助けが変わったかを見ます。教材や難しさを毎回大きく変えると、この変化が見えにくくなるため、比べるための問題と、新しく試す問題を分けて用意します。
混ぜた演習の様子は、週末の短いメモで保護者へ返します。その週に本人が迷った問題の組を挙げ、違いを説明した言葉を残します。順序を区別する条件には気づき、重なりを除く理由には図が必要だったなら、その図も添えます。保護者の方は、丸の数とともに、この方法を選んだ言葉を見てください。翌週に本人が図を描いて判断できたかを余白へ追記すると、選び方の変化が伝わります。混ぜた日の正答数が少ない場合も、どの選択で止まったかを共有でき、迷いが続けば塾が問題の組み合わせを見直せます。
家庭が持つ役割は、落ち着いて取り組める時間と、短く報告できる機会を支えることです。保護者が毎問の方法を教えたり、正答率を毎日問い詰めたりする必要はありません。「今日はどの違いを見分けたの」と聞き、お子さまがノートの一言を示せれば、そこで区切れます。説明したがらない日には、終えた範囲と次に質問する箇所だけ共有する形でも構いません。
本人が持つ役割は、迷った痕跡を残して持ってくることです。解説を書き写してすべて正解に直したノートだけでは、どこで選べなくなったかが見えません。消しゴムで最初の方針を消さず、修正した理由を隣に書いてください。保護者には、その途中の記録も授業に必要な材料だと伝えます。丸の数を見せるための宿題から、次の指導を決めるための宿題へと位置づけを整えます。
部活動や学校の課題が重なる週は、混合練習の量を調整します。全種類を入れるために点検を省くと、選び間違いを次に持ち越します。その週に扱う境目を絞り、残した問題の点検まで終える予定に変えます。塾、本人、家庭が同じ記録を見ながら、何を減らし、何を残したかを共有できれば、予定変更のたびに学習の目的を見失わずに済みます。
混ぜる練習についての3つの疑問
Q1. 基礎が固まるまで、混ぜない方がよいですか
全範囲が完璧になるまで待つ必要はありません。ただし、まだ習っていない方法や、例題を見ても手順が追えない内容は、先に学ぶ時間が必要です。学習済みの範囲の中に、基本問題なら取りかかれる種類があれば、そこから少量を混ぜます。「全部できるか」よりも、「今回混ぜる方法を一度は使えたか」を入口にしてください。混ぜた結果、操作が曖昧だとわかった部分は、その単元に戻って整えます。単元別と混合を学年や時期だけで分けず、実際の答案で行き来を決めましょう。
Q2. 問題が混ざると正答数が減り、不安です
まず、減った理由を分けます。条件の見落としで方法を選び間違えたのか、方法は合っていたのに計算で誤ったのかを見てください。選択の誤りが表に出たなら、次に練習する内容が具体的になったと受け止められます。ただし、苦しい状態を続けること自体を目標にしません。説明を読んでも理由がつかめない問題が続く場合は、種類を減らすか、基本問題へ戻します。正答数に加えて、選んだ理由を言えた問題も記録すると、現在の位置を捉えやすくなります。
Q3. 数学と英語を交互に勉強すれば、同じ練習になりますか
教科を切り替える予定を作ることと、問題の条件から方法を選び分けることは、分けて考えます。数学の時間に同じ解法の問題だけを解き、その後に英語へ移っても、数学の方法を選ぶ場面は増えません。この記事で提案しているのは、学習済みの問題を混ぜ、問題ごとに方針を判断する練習です。他の教科で試す場合も、何を区別する練習かを先に決めます。単にページや教科を入れ替えるだけで済ませず、終わった後に選択の理由を確かめられる形にしましょう。
次の問題で、選んだ理由を残す
今日の復習では、単元別なら解ける問題を取り出し、取り違えやすい種類と混ぜてみてください。最初の方針を一言書き、答え合わせでは条件と方法の結びつきを見ます。止まったら、混ぜる範囲を狭めるか、基本に戻ってからもう一度試します。その記録があれば、次に何を練習するかを自分でも決めやすくなります。
次に開く問題では、章の名前を隠し、方法を決める条件に線を引いてから、最初の方針を余白へ書き込みます。解き終えたら、その条件と選んだ方法が対応していたかを自分の言葉で確かめてください。
参考文献
- Rohrerほか(2019). Journal of Educational Psychology. https://consensus.app/papers/details/9981c1c7ff815a94907701539d2d89cc/
- Mielickiほか(2022). Learning and Instruction. https://consensus.app/papers/details/19acbe6ef72650e99d7821ce5df272f2/





