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共通テストの得点調整とは—何点の差で行い、何点上がるのか、過去に行われた年|武蔵野個別指導塾

物理と化学の平均点が大きく離れた年、点は足されるのか。20点と15点の二つの条件、元の点を下げない足し方、令和3年度と令和5年度の実施、令和9年度は1月22日予定の発表まで、換算表の読み方と一緒に押さえられます。
共通テストの得点調整は、地理歴史・公民・理科の決まった科目どうしで平均点が20点以上離れたとき、または15点以上離れて段階表示の区分点の差も20点以上開いたときに検討されます。その開きが問題の難しさの違いから来ていると認められれば、調整が行われます。点を下げることはせず、低い側の科目に点を足す方式で、何点足されるかは科目と素点ごとに換算表で決まるため、「全員一律に何点」という答えはありません。過去に行われたのは令和3年度の第1日程と令和5年度の2回で、いまの高3が受ける令和9年度の試験で行うかどうかは、2027年1月22日(金)に発表される予定です。
令和9年度の決まりを、載っている文書と一緒に並べると次のようになります。
| 何を見るか | 令和9年度の決まり | 載っている所 |
|---|---|---|
| 対象の組 | 地理歴史3科目の間、公民2科目の間、理科の物理・化学・生物・地学の間。その年の受験者が1万人に届かない科目は外れる | 令和9年度 実施要項 12(1) |
| 行う条件 | 平均点差20点以上か、15点以上で区分点差も20点以上。どちらも難易差によると認められた場合 | 実施要項 12(2) |
| 足し方 | 分位点差縮小法。元の点は下げず、平均点の並び順は変えず、区分点差は最大15点まで残す | 実施要項 12(3)・受験案内 F2 |
| 発表 | 有無は2027年1月22日(金)の予定。行うときは科目ごとの換算表も出る | 受験案内 F2(1) |
| 過去 | 令和3年度の第1日程と令和5年度に実施。令和4・6・7・8年度は行わず | センター 各年度の試験の頁 |
よくあるのは、物理を選んだ高3が、本試験から数日たった夜、物理と化学の平均点の差を伝えるニュースを見て手が止まる場面です。自己採点の物理の点は、ノートの端に書いたままです。調整で何点か足されるなら、出願の考えも変わるのか。検索すると「かなり上がるらしい」「今年は無いらしい」と言い切る書き込みが並びます。けれど、足すかどうかを決める条件も、足す点の決め方も、受験案内の61〜62ページに載っています。読む順番がわかれば、その夜のうちに気持ちを落ち着けられます。
得点調整とは、同じ組の科目どうしの難しさの差を縮める決まり
得点調整は、大学入試センターが本試験の後に行う点数の手当てです。同じ教科の中でも、選んだ科目によって問題の難しさが違い、平均点が大きく離れてしまうことがあります。そのとき、低い側の科目を受けた人の点を足して、開きを縮めます。令和7年度の試験に向けて決まりを見直したときの、センターの得点調整検討部会の報告は、科目の間の平均点差から生まれる不公平感や混乱をやわらげるために続けてきた仕組みだ、と説明しています。
令和9年度の実施要項が対象に挙げる組は3つです。地理歴史の『地理総合,地理探究』『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』の間、公民の『公共,倫理』『公共,政治・経済』の間、理科の『物理』『化学』『生物』『地学』の間です。比べるのは組の中だけで、物理と日本史探究のように組をまたいで比べることはありません。『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』と『地理総合/歴史総合/公共』は、どの組にも入っていません。さらに、組の中の科目でも、その年の受験者が1万人に届かなければ外されます。
行う条件は2つあり、どちらか一方に当てはまれば検討に入ります。1つ目は、平均点の差が20点以上になったとき。2つ目は、平均点の差が15点以上で、しかも段階表示の区分点の差が20点以上になったときです。段階表示は、受験者を点の順に9つの群に分け、低い方を1、高い方を9とする表示で、段の境目は上から4%、11%、23%、40%、60%、77%、89%、96%の位置に置かれています。その境目の位置にいる人の点を科目どうしで比べた差が、区分点差です。平均点は15点しか離れていなくても、どこかの段の境目で20点以上開いていれば2つ目の条件に入る、という作りです。
どちらの条件でも、開きが問題の難易差によると認められることが前提になります。令和3年度と令和5年度の試験の頁には、得点調整判定委員会で審議したうえで実施を決めた、と書かれています。数字が条件を超えたら自動で足す、という仕組みではありません。図1のように、平均点差を2段構えで見て、最後に難易差の判断を通ったときだけ調整に進みます。

足し方は「分位点差縮小法」と呼ばれる方式です。同じ順位の割合、たとえば上から40%の位置にいる人の点を科目どうしで比べ、その差を一定の比率で縮めます。守る決まりは3つあります。元の点を下げないこと。科目の間の平均点の並び順を入れ替えないこと。そして区分点差を全部は埋めず、いちばん大きい所が15点になったところで止めることです。最後の1つについて、受験案内は「得点が加算される科目の受験者と加算されない科目の受験者間での公平性の観点から」と理由を添えています。15点まで縮めると平均点の並び順が入れ替わってしまう場合は、入れ替わらない所で止めるので、15点より大きい差が残ることもあります。
令和9年度の試験で調整するかどうかは、2027年1月22日(金)に発表される予定で、行う場合は対象の科目の換算表がセンターのサイトに出ます。同じ日には、毎年出る段階表示の換算表も発表される予定です。名前が似ているので、得点調整の換算表は「調整を行う年だけ出る表」と覚えておくと取り違えません。
過去に得点調整が行われた年
共通テストが始まってからの6年間で、得点調整が行われたのは2回です。令和3年度は、2021年1月16日・17日の第1日程で、公民と理科②の調整が行われました。このとき公民の『倫理,政治・経済』は対象の科目ではなく、理科②の地学は受験者が1万人未満で外れています。同じ年度の第2日程は、対象の科目の受験者がどれも1万人未満で、調整はありませんでした。令和5年度は理科②で行われ、このときも地学は外れました。令和4年度、令和6年度、令和7年度、令和8年度は行われていません。
気をつけたいのは、令和3年度と令和5年度が、いまとは別の決まりで行われたことです。当時の条件は「20点以上の平均点差」の1つだけで、調整後の平均点差が15点になるよう縮める方式でした。令和7年度の試験から、区分点差を見る2つ目の条件が加わり、縮める目安も「区分点差の最大を15点」に改められています。新しい決まりになってからの令和7年度・令和8年度は、どちらも調整なしでした。
何点上がるかは、自分の科目の列と素点の行で決まる
最初に確かめるのは、自分が当日解く科目が対象の組に入っているかどうかです。地理歴史・公民と理科で出願のときに登録したのは科目の数で、どの科目を解くかは試験当日に選びます。2026年12月4日(金)から取れる令和9年度の受験票で登録した科目数を確かめ、そのうえで当日の科目を決めておきます。『物理』『化学』『生物』『地学』、『地理総合,地理探究』『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』、『公共,倫理』『公共,政治・経済』のどれかを解くなら、その人は対象の組の中にいます。『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』や『地理総合/歴史総合/公共』で受けるなら、調整の話はその科目には関係しません。
組の中でも、受験者が1万人に届くかどうかはその年の人数で決まります。令和8年度の実施結果の概要では、本試験の地学の受験者は2,701人で、この年は対象に入らない人数でした。地学を選ぶ人は、平均点が離れても人数の決まりで調整の外になることがある、と先に知っておくと、1月に慌てずに済みます。
次に要るのは、自分の素点です。正解と配点は、各日の試験が終わった後にセンターのサイトに出ます。自己採点の点は、地歴公民と理科を合計せず、科目ごとに分けて書き留めてください。調整が行われた年に出る換算表は、科目ごとの列と、0点から100点までの素点の行でできています。令和5年度の理科②の換算表には、素点の行と科目の列が交わるマスの数字がその科目の調整後の得点になる、と読み方が添えられていました。何点上がるのかの答えは、そのマスの数字から自分の素点を引いた数です。
同じ科目でも、上がり方は素点によって違います。令和5年度の表では、物理の列はどの行も素点のままで、足されたのは化学と生物でした。足された点は真ん中あたりの素点ほど大きく、化学で最大7点、生物で最大12点です。素点が10点以下の行と100点の行は、3科目とも変わっていません。ただし、これは改められる前の決まりで計算された表です。令和9年度に行われた場合の幅は、その年の換算表を開くまで決まりません。
志望校の募集要項で読むのは、得点調整の欄ではありません。理科や地歴公民で、どの科目をいくつ使えるかの指定です。大学が組み合わせを絞っていることもあり、指定に合わない科目は点が高くても使えないことがあります。科目を選ぶ順番は、大学の指定が先で、調整の見込みは後です。
いまの高2が受ける令和10年度の試験(2028年1月15日・16日)については、得点調整の条件が載る実施要項がまだ出ていません。公表されているのは試験の日付と、出題方法・問題作成方針だけです。令和9年度の決まりは「いま読める決まり」として頭に入れ、令和10年度の実施要項が出たら、得点の調整の項を見比べてください。
1月20日の中間発表から1月22日の発表までの動き方
令和9年度の試験の1月は、得点調整にかかわる日付が1週間に詰まっています。図2のように、本試験の後に平均点の中間発表があり、その2日後に調整の有無が発表され、国公立大学の出願はその後に始まります。順番どおりに動けば、調整の有無を知ってから出願先を考えられます。

- 受験票が取れたら(2026年12月4日以降):登録した科目数を確かめ、当日解く科目と、その科目が入る組を1行ずつ紙に書きます。たとえば「理科は物理と化学、組は理科」「地歴公民は『歴史総合,日本史探究』、組は地理歴史」のように書きます。過去の問題を解いたときの点も、調整を想像して足したりせず、素点のまま記録を続けます。
- 本試験2日目の夜(2027年1月17日):センターが出す正解と配点で、科目ごとの素点を出します。この段階で書くのは素点だけです。うわさで聞いた「何点上がる」を足した数字は、記録の表に書かないでください。
- 1月20日(水)の中間発表(予定):自分の組の中で、受験者が1万人に届かない科目を除いたうえで、平均点が最も高い科目と最も低い科目を見つけ、引き算します。たとえば、最も高い科目が61.8点、最も低い科目が44.6点なら、差は17.2点です。20点には届かず15点は超えているので、区分点差が20点以上かどうかで決まります。区分点差は平均点の引き算からは出せないので、ここでは結論を出さずに22日を待ちます。差が15点未満なら、どちらの条件にも届いていません。なお、令和7年度と令和8年度の有無の発表に載った平均点差は、中間発表より後の「中間集計その2」の数字でした。20日の引き算は、22日までの心づもりとして扱ってください。
- 1月22日(金)の有無の発表(予定):センターのサイトで有無を確かめます。行わないと決まれば、素点がそのまま得点です。行うと決まれば換算表を開き、自分の科目の列で素点の行を探して、マスの数字を素点の横に書き足します。物理の素点が58点の人なら、58の行と物理の列が交わる1マスを読みます。令和5年度の物理のように、足される側でない科目の列には、素点と同じ数字が並びます。
- 2027年1月25日(月)から2月3日(水)の国公立大学の出願:調整の有無がわかった後なので、足された点も含めて出願先を考えられます。2027年2月4日(木)には平均点の最終発表が予定されていますが、調整するかどうかは22日の発表で示されます。
保護者の方は、お子さまが「調整で何点か上がるはず」と口にしたら、どの組の、どの科目と比べた話なのかを一緒に確かめてください。22日の発表より前に、想像で足した点を使って出願先を話し合うと、発表の後で考え直しになります。1月20日と22日の2つの日付を、家族の予定表に書き込んでおくだけでも、夜のニュースに振り回されにくくなります。
「全員同じだけ上がる」「難しい科目を選べば取り返せる」という思い込み
1つ目の思い込みは「調整が入れば、その科目を受けた人は全員同じ点だけ上がる」です。そうはなりません。足す点は、科目の中で自分がどの位置にいるかで変わります。図3は、令和5年度の理科②の換算表から、素点ごとに足された点を線にしたものです。生物と化学は真ん中の素点ほど大きく足され、両端に近づくほど小さくなり、物理はどの素点でも0点でした。

2つ目は「平均点の差が、調整でそのまま埋まる」という思い込みです。これも違います。いまの決まりは、区分点差のいちばん大きい所を15点まで縮めたところで止めます。考え方を数でなぞってみます。たとえば、2つの科目の区分点差のうち最も大きい所が24点だったとすると、15 ÷ 24 = 0.625 で、どの位置の差も0.625倍に縮める、という考え方になります。24点離れていた位置では低い側に9点、16点離れていた位置では6点、8点離れていた位置では3点が足される計算で、差は15点、10点、5点に縮みます。ゼロにはなりません。実際の足し方は換算表で素点ごとに示されるので、この数はあくまで仕組みをつかむための例です。
3つ目は「難しくなりそうな科目を選んでおけば、調整で取り返せる」という思い込みです。調整があるかどうかは試験の後にしか決まらず、どちらの科目が低い側になるかも年で入れ替わります。令和7年度の中間集計では物理が化学を13.63点上回り、令和8年度の中間集計では逆に化学が物理を11.30点上回りました。どちらの年も、差は条件に届かず、調整は行われていません。調整を当てにして科目を選ぶのは、外れたときに取り返す手段のない賭けです。
得点調整は不公平か
足されなかった側の受験生からは「不公平だ」という声が出ます。ここで、センターが何を公平と考えているかを確かめておきます。令和7年度の決まりの見直しに添えられた報告は、平均点の差だけでなく、受験者の中で同じような位置にいる人どうしの間で、科目によって点が大きく違わないことも大事だ、と書いています。区分点差という物差しが加わったのは、この考えからです。
そのうえで、元の点は下げず、平均点の並び順も変えず、開きの全部は埋めずに15点を残します。足される人と足されない人の両方に目を配った決まりで、足される側だけに寄せた作りではありません。1万人未満の科目を外すのは、平均点の差が問題の難しさから来ているかを見分けるには、一定の人数が要るからだと説明されています。同じ報告は、人数の基準で外される科目の受験生の心情にも触れ、この基準が妥当かは今後も検討が必要だと書いています。不公平かどうかの議論は残っていますが、少なくとも決まりは公開されていて、誰の点がどう動くかは換算表で確かめられます。
確かめる先と聞き方
得点調整の答えは、試験の前に読める決まりの文書と、1月22日の発表と、自分の素点の記録の3か所にあります。次の順に当たると、うわさを挟まずにたどり着けます。
- 令和9年度の受験案内の61〜62ページ(得点の調整):対象の3つの組、2つの条件、足し方の3つの決まりを読む。
- 令和9年度の実施要項の12:同じ決まりと、有無の発表が1月22日(金)の予定であることを確かめる。
- センターのサイトの過去の試験情報の頁:令和3年度と令和5年度の換算表を開き、列と行の形を本番の前に見ておく。
- 1月22日(予定)のセンターのサイト:有無の発表と、行う場合の換算表を読む。段階表示の換算表と取り違えない。
- 志望校の募集要項:理科・地歴公民で使える科目と数の指定を読む。調整の欄を探すのではなく、科目の指定を見る。
- 高校の先生:「私が登録した地歴公民と理科の科目数はいくつですか」「当日解く予定の科目は、得点調整の対象の組に入っていますか」と聞く。
- 大学入試センターの志願者向けの問い合わせ先(受験案内の裏表紙):換算表のどの列を読めばよいかなど、文書を読んでも自分で決められないことだけを聞く。
個別指導で確かめること
塾では、過去の問題を時間を計って解いたときの科目ごとの素点の記録と、本番の自己採点の素点を同じ表に並べて見ます。1月22日に換算表が出た年は、その表の自分の科目の列と素点の行を一緒にたどり、足された点を素点の横に書き込みます。平均点の差のうわさで、科目の選び方や出願の考えが揺れていないかも、その表の数字で確かめます。地学のように、受験者の人数で対象から外れた年のある科目を選ぶ人とは、調整が無い前提の点の見方も先に話しておきます。
まとめ
得点調整は、運よく配られるおまけではなく、同じ位置にいる受験生どうしの点の開きを、公開された手順で縮める作業です。令和9年度に行われるかどうかは2027年1月22日(予定)の発表でわかり、行われたときに動くのは、自分の科目の列と素点の行が交わる1マスです。うわさの「何点」は、そのマスの数字の代わりにはなりません。
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