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昆虫の自由研究—観察と記録、生き物を傷つけないために|武蔵野個別指導塾

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セミの抜け殻を木の高さ別に数える例を軸に、昆虫の観察の型と記録の表、飼うときの決まり、採った場所へ逃がすところまでを、傷つけない順に一続きで追えます。

昆虫の自由研究は、採って飼うより、採らずに数える方が確かな結果になります。先に、家の近くでできて、終わったら元に戻せるテーマを 5 つ並べます。

テーマ 場所 日数の目安 生き物を傷つけない工夫
セミの抜け殻を木の高さ別に数える 公園の木 3 日 空の殻だけを拾う。成虫は採らない
アリの行列の通り道と、運ぶ物 家の前の道や庭 2 日 砂糖水は紙の上に置く。巣を掘らない
ダンゴムシは昆虫か、脚の数を数える 植木鉢や石の下 1 日 数えたら同じ石の下へ戻す
バッタの幼虫を 1 週間だけ飼って脱皮を見る 河原や草むら 7 日 採った草むらへ、採った時間帯に逃がす
夜のベランダで白い布に集まる虫を数える ベランダや庭 2 日 触らずに数えて、終わったら灯りを消す

よくあるのは、8 月の朝の公園で、サクラの幹に茶色い抜け殻が点々と付いているのに気づいて立ち止まる、という場面です。手を伸ばして届く高さには少なく、見上げた枝のあたりに多い気がする。本当にそうなのかは、数えればはっきりします。数えるだけなら、セミは 1 匹も傷つきません。この「数えるだけ」を、どう研究の形にするかを順に書きます。

テーマの選び方

昆虫のテーマは、次の 3 つの条件で選ぶと、途中で行き詰まりません。1 つ目は、家から歩いて行ける場所で、毎日同じ時刻に見られること。遠くの山で 1 回だけ観察しても、比べる相手がなく、考察が書けません。2 つ目は、数えられる物があること。「元気そうだった」は記録になりませんが、「抜け殻が 14 個」「行列の幅が 3 cm」は記録になります。3 つ目は、終わったら元に戻せること。採った虫は採った場所へ返す、殻や落ち葉を動かしたら元の木の根元に置く、というところまで含めて 1 つのテーマです。

研究の最初に、見つけた生き物が昆虫かどうかを確かめる作業を入れると、低学年でもそれだけで 1 つの結果になります。図1のように、昆虫の体は頭・胸・腹の 3 つの部分でできていて、脚は 6 本で、すべて胸から生えています。はねは多くの昆虫で 4 枚です。クモは脚が 8 本、ダンゴムシは脚が 14 本で、どちらも昆虫ではありません。公園で見つけた小さな生き物を 10 種類ほど観察し、脚の数で昆虫とそれ以外に分けるだけで、表が 1 枚できます。

図1 昆虫の体のつくりと、昆虫でない生き物の脚の数

学年の目安も書いておきます。小学校の低学年なら、抜け殻を拾って並べる、アリの行列を追いかける、といった「見つけて数える」テーマが向いています。高学年なら、木の種類や高さのように条件を 1 つ変えて比べるところまで進めます。中学生は、数える前に「抜け殻は地面から 1 m から 1.5 m の高さにいちばん多い」のように仮説を文にして、合っていたかどうかを結果で判断します。高校生なら、同じ公園で 3 年続けて同じ木を調べるような、年をまたぐ比べ方もあります。

避けた方がよいテーマもあります。スズメバチやアシナガバチの巣の観察、毛虫の採集、ムカデの飼育、夜の水辺の観察は、刺されたりかぶれたりするので選びません。チャドクガの幼虫は毛に触れるだけで皮膚が赤く腫れます。ツバキやサザンカの葉の裏に毛虫がついていたら、近づかずに場所を変えます。夜にセミの羽化を見に行くときは、必ず大人と一緒に行き、懐中電灯の光を羽化の途中のセミに当て続けないようにします。

進め方

用意する物は、記録カード、鉛筆、温度計、巻き尺、虫めがね、写真を撮る物、それに帽子と水筒です。8 月の公園は日なたで 35 度を超えることがあるので、観察は朝の 7 時から 9 時と、夕方の 17 時以降に限り、昼は外に出ません。長袖と長ズボンにして、足首まで隠れる靴をはきます。虫よけは、観察する虫に直接かからないよう、家を出る前につけておきます。

記録は図2のカードの形にそろえます。項目は、日付、時刻、天気、気温、場所、種類、数、していたこと、スケッチの 9 つです。種類がはっきりしなければ「不明・茶色・約 2 cm」のように、見たままを書けば十分です。「セミ」とだけ書くより「アブラゼミらしい、はねが茶色」と書く方が、あとで図鑑と照らし合わせるときに役立ちます。1 回の観察に 1 枚、カードを使い切るつもりで書きます。

図2 観察カードの 9 つの項目と書く順

セミの抜け殻を例に、手順を具体的に書きます。まず公園で木を 3 本決め、幹に触れずに、サクラ、ケヤキ、マツのように名前をつけます。次に巻き尺で地面から 50 cm ごとの高さを測り、幹に結んだひもや、地面に置いた小石で目印にします。手が届くのは 2 m までなので、それより上は「200 cm 以上」として、見上げて数えます。見回りは朝と夕方の 1 回ずつを 3 日続け、合計 6 回です。数えた殻はそのまま木に残しておくと次の回に二重に数えてしまうので、数えたら高さごとに分けた袋に入れて持ち帰ります。殻は空なので、持ち帰っても生き物は傷つきませんが、採集を禁じている公園では殻も採りません。

3 日分をまとめると、次のような表になります。この数は書き方の例で、公園が違えば数も変わります。

木 0〜50 cm 50〜100 cm 100〜150 cm 150〜200 cm 200 cm 以上 合計
サクラ 1 5 8 3 1 18
ケヤキ 2 3 5 3 1 14
マツ 0 1 1 0 0 2
合計 3 9 14 6 2 34

表ができたら、木ごとの合計と高さごとの合計を、どちらも足し算で確かめます。サクラが 18、ケヤキが 14、マツが 2 で 34。高さごとに足しても 3、9、14、6、2 で 34。両方が同じ数になれば、写し間違いがありません。合計が合わなければ、カードに戻って数え直します。この確かめを「方法」の欄に書いておくと、読む人は結果を信用します。

飼うときの注意

飼って観察するなら、期間を先に決めます。バッタやカマキリの幼虫なら 1 週間、チョウの幼虫なら羽化までと決め、それを過ぎたら返します。セミの成虫は飼いません。ケースに入れると数日で弱ることが多く、観察にも向きません。木にとまっているところを、離れて見る方が多くのことがわかります。

飼育ケースは風通しのよい物を選び、直射日光の当たらない北側の部屋か、玄関に置きます。閉め切った車の中や、西日の当たる窓際には置きません。エサは、見つけた場所に生えていた草や葉を、その日のうちに与えます。モンシロチョウの幼虫はキャベツなどのアブラナ科、アゲハの幼虫はミカンやサンショウの葉を食べます。何を食べているかがはっきりしない虫は、採りません。水は霧吹きでケースの壁を軽くぬらす程度にし、水を入れた容器は置きません。おぼれることがあるからです。毎朝、エサの残りとふんを取り除き、ケースの底をきれいにします。

飼っている途中で虫が死んでしまったら、その日付と、前日の様子と、気温を書きます。これは失敗ではなく結果です。「暑い日が続いた 3 日目に動かなくなった」と書けば、考察で温度のことに触れられます。

逃がすとき

逃がす場所は、採った場所と同じ所にします。別の公園や川原に放すと、そこにいなかった虫が増えて、もともといた虫の居場所をうばうことがあります。採った時間帯に合わせて返すと、虫は自分で隠れ場所を探せます。朝に採ったバッタは朝に、夕方に見つけたカマキリは夕方に返します。店で買った虫や、外国から来た虫は、外に放してはいけません。法律で放すことを禁じている生き物もあります。

公園の決まりも確かめます。採集を禁じている公園、植え込みに入れない公園、夜間に閉まる公園があります。入口の看板や、管理事務所の掲示を見て、書いてあることに従います。私有地の庭や畑には入りません。木の皮をはがす、アリの巣を掘り返す、石を動かしたまま戻さない、といったことは、虫を直接つかまなくても生き物を傷つけます。石は持ち上げた向きのまま、同じ場所に戻します。

まとめ方

模造紙でもレポートでも、並びは動機、予想、方法、結果、考察、感想の 6 つです。動機は「公園のサクラに抜け殻が多かったので、高さに決まりがあるのか知りたかった」のように、見た場面から書きます。予想は「手の届かない高い所に多い」と、数える前に決めた文をそのまま書きます。外れていてもかまいません。外れた予想と、合っていた結果が並ぶと、考察が書きやすくなります。

結果の中心はグラフです。高さごとの合計を棒グラフにすると、図3のようになります。横に高さの区分を 5 つ並べ、縦は個数です。縦の目盛りはいちばん多い 14 が入るように 0、5、10、15 と打ちます。棒の上に数を書いておくと、読む人は目盛りを読まずに済みます。木ごとの違いも見せたいなら、サクラ、ケヤキ、マツの 3 本の棒を高さの区分ごとに並べます。

図3 抜け殻の高さ別の数の例を棒グラフにした形

結果と考察は分けて書きます。結果は「100〜150 cm が 14 個でいちばん多く、34 個のうちの約 4 割だった」のように、表とグラフから読める事実だけを書きます。考察は「幼虫は地面から出て幹を登り、ある高さで登るのをやめて羽化すると考えられる。なぜその高さで止まるかは、今回の数え方だけでは決められない。次に調べるなら、幹の太さと枝の有無を一緒に記録したい」のように、事実から考えたことと、まだわからないことを分けて書きます。予想が外れていたら、「予想では高い所に多いと思ったが、200 cm 以上は 2 個しかなかった」と、外れたことそのものを書きます。

スケッチは、小さく描かずに、紙の半分を使って大きく描きます。色よりも形が大事です。脚が 6 本であること、脚が胸から生えていること、はねの付け根の位置を、虫めがねで見ながら描きます。写真も撮っておき、スケッチの横に貼ります。写真だけでは、どこを見たのかが伝わりません。スケッチと写真を並べると、どこに注目したかが読む人にわかります。

方法の欄には、傷つけないためにしたことも書きます。「空の殻だけを拾った」「成虫は採らなかった」「拾った殻は研究が終わったら元の木の根元に置いた」「飼ったバッタは 7 日目の朝に同じ草むらに返した」。こう書いてある研究は、読む人が安心して最後まで読みます。

うまくいかないとき

雨の日に数えられなかったら、その日の欄に「雨・中止」と書きます。空欄にしないことが大事です。あとで 3 日のうち 1 日が抜けていても、「雨で中止した」と書いてあれば、読む人は抜けた理由を理解します。日程に余裕があるなら、1 日延ばして数え直します。

抜け殻がほとんど見つからないときは、木の種類と時期を見直します。抜け殻は 7 月の後半から 8 月にかけて多く、幹のざらざらした木や、根元に草の多い木で見つかることが多いです。同じ公園でも、木を変えると数が大きく変わります。それ自体が結果なので、「サクラでは 18 個、マツでは 2 個しかなかった」と書けば、木による違いが考察の材料になります。

種類がどうしても決まらない虫は、「不明」のままにして、大きさ、色、はねの枚数、見つけた場所を書きます。無理に名前をつけると、間違った名前が残ります。わからなかったことを「わからなかった」と書くのは、研究として正しい態度です。

飼育ケースにカビが生えたら、エサと床材をその日のうちに替えます。虫が弱ってきたら、予定より早くても採った場所へ返します。研究の予定より、虫の命を優先します。返したあとは「5 日目に動きが鈍くなったので返した」と記録し、そこまでの観察で結果を書きます。

よくある質問

抜け殻は持ち帰ってもよいですか

空の殻なので、多くの公園では問題ありません。ただし、動植物の採集を禁じている公園や自然公園では、殻も採りません。入口の看板や管理事務所の掲示で確かめて、禁じられていれば、その場で数えて写真を撮るだけにします。持ち帰った殻は、研究が終わったら元の木の根元に戻すと、きれいに終わります。

写真を撮るだけでも研究になりますか

なります。写真に、日付、時刻、場所、数を添えれば、立派な記録です。同じ木を毎日同じ時刻に同じ位置から撮ると、変化が並べて見えます。写真だけでは数が伝わりにくいので、カードに数を書く作業は省きません。

虫が苦手でもできますか

できます。抜け殻を数える、アリの行列を 1 m 離れて見る、ベランダの白い布に来る虫を触らずに数える、という方法なら、虫に触れずに終わります。苦手なことを無理に克服する必要はなく、触らない方法を選んだこと自体を方法の欄に書けば、それで十分です。

親の関わり方と個別指導で確かめること

保護者の方にお願いしたいのは、夜の観察と、巻き尺で高さを測るときに一緒にいることです。数える作業と、表に書く作業は、お子さまが自分でやります。合計が合わないときに「もう一度数えてごらん」と声をかけるだけで、確かめる習慣が身につきます。個別指導では、予想と結果が食い違ったときの考察の書き方を一緒に見ます。外れた予想をどう文にするかは、理科の記述問題の練習にそのままつながります。

まとめ

採らずに数え、飼ったら返す。この 2 つを守った研究は、虫を 1 匹も傷つけずに、34 個の抜け殻から高さの決まりを引き出せます。公園の木に残った茶色い殻は、数えた人にだけ、その木で何が起きたかを教えてくれます。

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