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【地学基礎】太陽放射と地球放射を図解で総まとめ—太陽定数・温室効果・放射収支|武蔵野個別指導塾

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太陽から 100 入るのに地表から 114 出ていくのはなぜか。矢印の収支図と太陽定数を 4 で割る計算の例題を手がかりに、温室効果の正体まで順に追っていきましょう。

よくあるのは、放課後の校庭のベンチでノートを開き、放射収支の矢印の図を見直していて手が止まるという場面です。太陽から入る矢印には 100 と書いてあるのに、地表から出ていく矢印には 114 とあります。入ったより多く出ていくはずがない、写し間違えたのだろうかと数字をなぞったところで、グラウンドの掛け声に気を取られてノートを閉じてしまいます。

この 114 は写し間違いではなく、地球が暖かい理由そのものです。この単元を終えると、太陽放射と地球放射を波長で見分けられ、太陽定数から地球全体の平均の受熱量を計算できるようになります。矢印の図の数字を自分で足し引きして確かめ、温室効果のしくみを自分の言葉で説明することもできます。

この単元で押さえること

前の単元で学んだ潜熱はこの収支の矢印の 1 本として現れ、ここで土台を作った受熱の考え方は、次の単元で緯度ごとの過不足と大気の大循環へ広がっていきます。

基本の考え方

太陽放射と地球放射は波長で見分ける

物体は、その温度に応じて電磁波を出しています。電磁波としてエネルギーを出すことを放射とよびます。温度が高い物体ほど放射は強く、最も強く出る波長は短くなります。鉄を熱していくと、はじめは赤く、さらに高温になると白っぽく光るのはこのためです。逆に、校庭の地面や私たちの体のように温度の低いものも放射を出していて、その電磁波は赤外線なので目に見えません。

太陽の表面である光球は約 5800 K です。太陽が出す電磁波を太陽放射といい、最も強い波長は約 0.5 μm で、可視光線(約 0.38〜0.77 μm)の範囲に入ります。1 μm は 0.001 mm です。エネルギーのおよそ半分が可視光線で、残りの大部分は赤外線、わずかに紫外線も含みます。一方、地表の平均気温は約 15℃(約 288 K)で、太陽よりはるかに低温です。地表や大気が出す電磁波を地球放射といい、最も強い波長は約 10 μm の赤外線です。

図1 太陽放射と地球放射の波長の分布を比べたグラフ

図1のように、2 つの山は波長の軸の上でほとんど重なりません。この図は読み方に注意が 2 つあります。横軸は目盛りが 1 つ進むごとに波長が 10 倍になっていること、縦軸は山の位置を比べるためにそれぞれの最大を同じ高さにそろえていることです。同じ面積あたりの放射の強さは、実際には太陽のほうがけた違いに大きいのです。山が離れていることは、後で出てくる温室効果の出発点になります。大気は可視光線を比較的よく通し、赤外線をよく吸収するので、入ってくる放射と出ていく放射を大気はまったく別のものとして扱うことになるからです。

太陽定数と、4 で割る理由

大気の上端で、太陽光に垂直な面 1 m² が 1 秒間に受けるエネルギーを太陽定数とよびます。太陽と地球が平均の距離にあるときの値で、約 1.37 kW/m² です。1 kW は 1 秒あたり 1000 J なので、1 m² に毎秒約 1370 J が届く計算です。

ただし、この値がそのまま地球のどこにでも届くわけではありません。昼の校庭で板を太陽にまっすぐ向けて持つと光を正面から受けますが、同じ板を地面に寝かせると光は斜めに当たり、1 m² あたりの量は小さくなります。地球は球なので、ほとんどの場所がこの寝かせた板の状態にあり、夜の側は何も受けません。

地球全体で受ける量は、太陽から見た地球の影の大きさ、つまり半径 R の円の面積 πR² で決まります。これを球の表面積 4πR² にならすので、面積の比は 4 分の 1 です。したがって、地球全体で平均した大気の上端 1 m² あたりの太陽放射は 1.37 ÷ 4 で約 0.34 kW/m²(約 340 W/m²)です。

このうち約 30% は、雲や大気、地表で反射されて宇宙へ戻ります。太陽放射のうち反射される割合を反射率(アルベド)とよびます。雪の積もった校庭がまぶしいように、雪や氷、雲は反射率が大きく、海面や森林は小さい性質があります。反射された分は地球を温めないので、地球が実際に吸収するのは残りの約 70%、1 m² あたり約 0.24 kW/m² です。

温室効果と放射収支

地球は太陽からエネルギーを受け続けているのに、どこまでも熱くなることはありません。吸収したのと同じ量を、地球放射として宇宙へ出しているからです。入る量と出る量の差し引きを放射収支といい、地球全体で釣り合っている状態を放射平衡とよびます。

大気の温室効果がないと考えて、吸収する約 0.24 kW/m² と釣り合う放射を出す温度を計算すると、地表は約マイナス18℃ になります。ところが実際の地表の平均気温は約 15℃ で、約 33℃ も高くなっています。この差を生むのが温室効果です。

しくみは次の順に進みます。反射されなかった太陽放射の多くは大気を通り抜けて地表で吸収され、地表は暖まって赤外線を出します。その赤外線を、大気中の水蒸気、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスが吸収します。温まった大気は自分でも赤外線を上下に放射し、下向きの分が地表をさらに暖めます。大気の約 78% を占める窒素と約 21% を占める酸素は赤外線をほとんど吸収しません。約 0.04% の二酸化炭素のような少ない気体が大きく効くのは、この吸収の性質の違いによるものです。

見落としやすいのは、温室効果があっても宇宙との出入りは釣り合ったままだという点です。増えるのは地表と大気のあいだを行き来する赤外線で、その分だけ地表の受け取りが増えて温度が高く保たれます。冒頭で手を止めた 114 は、この行き来の大きさを示す数字です。例題の節で図に数字を入れて確かめます。

例題で解き方を確かめる

例題1 太陽放射と地球放射を見分ける

次のア〜エを、太陽放射の説明と地球放射の説明に分けなさい。

  1. 出している物体の温度を思い出します。波長は物体の温度で決まるので、ここが判断の出発点になるからです。太陽は約 5800 K、地表は約 288 K です。
  2. 波長の数字で 1 つ決めます。数字は迷わず分けられる手がかりだからです。約 0.5 μm は可視光線の範囲なので、アは太陽放射です。
  3. 昼と夜の条件を考えます。夜の地面も温度を持っていて放射を止めないので、イは地球放射です。
  4. 大気との関係で残りを分けます。大気は可視光線を通しやすく赤外線を吸収しやすいので、ウは地球放射、エは太陽放射です。

答え: 太陽放射はアとエ、地球放射はイとウ。

例題2 太陽定数から平均の受熱量を求める

太陽定数を 1.37 kW/m²、地球の反射率を 30% とします。(1) 地球全体で平均した大気の上端 1 m² あたりの太陽放射、(2) そのうち地球が吸収する分を、それぞれ小数第 2 位まで求めなさい。

図2 太陽光を受ける断面積と地球の表面積の関係

図2のように、平行に届く太陽光をさえぎるのは地球の断面の円で、その後ろにできる影の円と同じ大きさです。一方、受けた熱がならされる先は球の表面全体です。

  1. 受け取る総量を面積で表します。総量は光をさえぎる面積で決まるからです。地球の半径を R とすると、総量は 1.37 × πR² kW です。
  2. 全表面でならします。平均とは総量を全体の面積で割ることだからです。1.37 × πR² ÷ 4πR² = 1.37 ÷ 4 = 0.3425 で、約 0.34 kW/m² です。πR² が消えるので、地球の大きさを知らなくても求められます。
  3. 反射の分を除きます。反射された分は地球に吸収されないからです。吸収の割合は 1 − 0.30 = 0.70 なので、0.3425 × 0.70 = 0.23975 で、約 0.24 kW/m² です。

答え: (1) 約 0.34 kW/m²、(2) 約 0.24 kW/m²。

例題3 収支の図で隠れた数字を求める

図3 は、大気の上端に入る太陽放射を 100 として、地球全体のエネルギーの流れを表したものです。矢印の太さは量に比例させています。ここでの 100 は約 0.34 kW/m² に当たります。数字は資料によって 1〜3 ほど違うことがありますが、釣り合いが成り立つ点はどの資料でも同じです。

図3 太陽放射を100としたときの地球全体の放射収支

図3 の「大気放射95」の数字が隠れているとして、これを x とおき、地表の出入りから求めなさい。さらに、宇宙との出入りが釣り合っていることを確かめなさい。

  1. 見る場所を 1 つに決めます。釣り合いの式は場所ごとに立てるものだからです。ここでは地表だけを枠で囲んで考えます。
  2. 地表に入る矢印と出る矢印を分けます。矢じりの向きだけで機械的に分けられるからです。入るのは太陽放射 50 と大気からの放射 x、出るのは地表の放射 114、潜熱 24、伝導と対流 7 です。
  3. 入る量と出る量を等しいとおきます。地表の平均の温度は変わらないと考えているからです。50 + x = 114 + 24 + 7 = 145 なので、x = 95 です。
  4. 別の場所で検算します。同じ図なら、どの場所でも釣り合うはずだからです。宇宙へ入るのは 100、宇宙へ出るのは反射 30、地表から直接抜ける 12、大気から出る 58 で、合計 100 です。

答え: x = 95 で、宇宙との出入りは 100 と 100 で釣り合う。

例題4 114 が 100 を超える理由を説明する

地表から出る赤外線が 114 と、大気の上端に入る太陽放射の 100 より大きくなる理由を、「温室効果ガス」「赤外線」の 2 語を使って説明しなさい。

  1. 地表が受け取るものを数え直します。出す量の多さは受け取る量の多さで説明できるからです。図3 では太陽から 50、大気から 95 で、合計 145 を受け取っています。
  2. 大気からの 95 の出どころを書きます。ここが問いの核心だからです。温室効果ガスが地表からの赤外線を吸収し、温まった大気が地表に向けて赤外線を放射しています。
  3. エネルギーが増えたわけではないことを確かめます。答案に矛盾を残さないためです。宇宙との出入りは 100 で釣り合っていて、地表と大気のあいだで赤外線が行き来している量が大きいだけです。

答え: 温室効果ガスが地表からの赤外線を吸収して地表へ放射し返すので、地表は太陽放射に加えて大気からの赤外線も受け取るから。

まちがえやすいところと直し方

誤り1 半分が夜だから 2 で割る

誤った書き方は「地球の半分は夜なので、平均の受熱量は 1.37 ÷ 2 で約 0.69 kW/m² である」というものです。

どこが違うかというと、昼の半球に 1.37 kW/m² が一様に当たるわけではない点です。真昼の地点から離れるほど光は斜めに当たり、1 m² あたりの量は減っていきます。総量 1.37 × πR² を昼の半球の面積 2πR² で割れば確かに 2 で割ることになりますが、それは昼の側だけの平均です。夜の側も含めた全表面の平均は、その半分になります。

正しい書き方は「太陽放射は断面積 πR² で受け、全表面 4πR² で平均するので、1.37 ÷ 4 で約 0.34 kW/m² である」です。

誤り2 地球放射を太陽光の反射と混同する

誤った書き方は「地球放射とは、地球が太陽の光を反射したものである」というものです。

どこが違うかというと、反射は受けた光が波長を変えずにはね返るだけで、地球を温めません。地球放射は、太陽の光を吸収して温まった地表や大気が、自分の温度に応じて新しく出す赤外線です。夜に太陽光が届かなくても止まらないことが、反射ではない証拠です。図3 でも灰色の反射 30 と赤の放射は別の矢印で、宇宙へ出る分の内訳は反射 30、地球放射 70(12 と 58 の合計)に分かれています。

正しい書き方は「反射は太陽放射がそのまま戻る分で約 30% であり、地球放射は地表や大気が温度に応じて出す赤外線で、昼も夜も出ている」です。

誤り3 温室効果を「太陽の光を閉じ込めること」と書く

誤った書き方は「温室効果とは、大気が太陽の光を吸収して熱を閉じ込めることである」というものです。

どこが違うかというと、温室効果ガスが主に吸収するのは太陽光ではなく地表からの赤外線です。また、閉じ込めるという語は放射が止まる印象を与えますが、大気は吸収した分を赤外線として出し続けています。図4 は、反射率を同じとして、温室効果がない場合とある場合を模式的に比べたものです。

図4 温室効果がない場合とある場合の地表の温度を比較

図4のように、左では地表が受けた太陽放射と同じ量の赤外線を宇宙へ出して、約マイナス18℃ で釣り合います。右では地表が太陽放射に加えて大気からの赤外線も受けるので、その分だけ多くの赤外線を出せる温度、約 15℃ で釣り合います。宇宙へ出る矢印の太さは左右で同じで、違うのは地表の温度です。なお、オゾン層の破壊は主に紫外線に関わる別の現象で、温室効果の説明に混ぜないようにします。

正しい書き方は「温室効果ガスが地表からの赤外線を吸収し、地表に向けて放射し返すので、地表の温度は大気がない場合より高く保たれる」です。

用語のまとめ

用語 意味
放射 物体が電磁波としてエネルギーを出すこと。高温ほど強く、最も強い波長は短い
太陽放射 太陽が出す電磁波。最も強い波長は約 0.5 μm で可視光線の範囲
地球放射 地表や大気が出す電磁波。最も強い波長は約 10 μm の赤外線で、昼も夜も出る
太陽定数 大気の上端で太陽光に垂直な面 1 m² が 1 秒間に受けるエネルギー。約 1.37 kW/m²
平均の受熱量 太陽定数の 4 分の 1 で約 0.34 kW/m²。吸収分は約 0.24 kW/m²
反射率(アルベド) 太陽放射のうち反射される割合。地球全体で約 30%
温室効果ガス 赤外線を吸収する気体。水蒸気、二酸化炭素、メタンなど
温室効果 大気が赤外線を吸収し、地表へ放射し返して地表の温度を高く保つはたらき。ないときの地表は約マイナス18℃、実際は約 15℃
放射収支 入る放射と出る放射の差し引き
放射平衡 入る放射と出る放射が釣り合っている状態
潜熱 水の状態変化にともなって運ばれる熱。地表で蒸発するときに奪い、大気中で雲ができるときに放出する
伝導と対流(顕熱) 地表から空気へ直接伝わり、空気の動きで運ばれる熱

太陽放射を 100 としたとき、入口の数字は反射 30、大気の吸収 20、地表の吸収 50 です。その先は地表の放射 114、大気から地表への放射 95、潜熱 24、伝導と対流 7、宇宙へ直接抜ける分 12、大気から宇宙へ 58 と続きます。丸ごと覚えるより、宇宙で 100 と 100、地表で 145 と 145、大気で 153 と 153 という 3 組の釣り合いで覚えておくと、図を自分で書き直せます。

練習問題

練習1 雪や氷が減って地球の反射率が 20% に下がったと仮に考えます。太陽定数を 1.37 kW/m² として、地球全体で平均した吸収量は 1 m² あたりいくらになりますか。小数第 2 位まで求めなさい。

練習2 地球の半径を 6400 km、円周率を 3.14、太陽定数を 1.37 kW/m² として、地球全体が受ける太陽放射の総量を、kW の単位で有効数字 2 けたで求めなさい。

練習3 図3 の数字を使って、大気が受け取る量の合計と、大気が出す量の合計を求め、釣り合っていることを確かめなさい。

練習4 同じ季節でも、雲の多い夜は晴れた夜より冷え込みにくくなります。この理由を、「赤外線」の語を使って説明しなさい。

答えと解説

練習1の答えは約 0.27 kW/m² です。1.37 ÷ 4 = 0.3425 に吸収の割合 1 − 0.20 = 0.80 をかけて 0.274 となります。反射率が下がると吸収が増えるので、地球を暖める向きにはたらきます。

練習2の答えは約 1.8 × 10¹⁴ kW です。受ける面積は表面積ではなく断面積なので、3.14 × (6.4 × 10⁶)² で約 1.29 × 10¹⁴ m² となり、これに 1.37 をかけます。km を m に直すのを忘れないようにします。

練習3の答えは、受け取る量も出す量も 153 です。受け取るのは太陽放射 20、地表からの赤外線のうち直接抜ける 12 を除いた 114 − 12 = 102、潜熱 24、伝導と対流 7 の 4 つです。出すのは地表へ 95 と宇宙へ 58 で、足すとやはり 153 になります。

練習4の答えは「雲が地表からの赤外線を吸収し、地表に向けて赤外線を放射するから」です。晴れた夜は地表からの赤外線が宇宙へ抜けやすく、地表の温度が下がりやすくなります。これを放射冷却とよびます。

次の単元へのつながりと確かめ方

地球全体では釣り合う収支も、緯度ごとに見ると釣り合いません。太陽放射を多く受ける低緯度では吸収が放射を上回り、高緯度では放射が吸収を上回ります。この過不足を大気と海が運んで埋めるしくみが、次の単元の大気の大循環です。二酸化炭素の増加と温暖化を学ぶときも、図3 の矢印の上で考えることになります。

家で 5 分あればできる確かめ方を 2 つ挙げます。

保護者の方が横にいるなら、お子さまに「なぜ 4 で割るの」と一言たずねてみてください。個別指導では、4 で割るところで止まる生徒には円の面積と球の表面積の公式まで、潜熱の矢印で止まる生徒には水の状態変化まで戻り、説明がどこで途切れるかを確かめます。

まとめ

ベンチで止まった 114 は写し間違いではなく、頭の上の空が地面を照らし返している証拠でした。太陽が地表に直接届ける量が 50 なのに対して、空から降りてくる量は 95 もあります。図を一度足し算してみなければ、この差には気づけません。日が沈んだ校庭にも、目に見えない赤外線は空から降り続けています。その下向きの 95 こそが、地表を約マイナス18℃ の世界にしないでいる正体です。

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