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【生物】遺伝子の発現調節を図解で総まとめ—オペロン・転写因子・エピジェネティクス・細胞の分化|武蔵野個別指導塾

ラクトースオペロンの図と条件判定の例題を通して、転写因子やクロマチンによる調節を整理します。同じ遺伝情報から異なる細胞が生じる理由と、だ腺染色体のパフから読み取れることを確かめましょう。
よくあるのは、祖父母の家の客間で生物のノートを開き、「筋肉の細胞も神経の細胞も同じ遺伝情報を持つ」と読んだところで、なぜ形もはたらきも違うのか説明できなくなる場面です。DNAにタンパク質の情報が書かれていることは知っていても、その情報がどの細胞でも同じように使われると思うと、細胞の違いが不思議に見えます。
ここで必要なのは、情報を「持っていること」と「使っていること」を分ける見方です。細胞は、持っている遺伝子をすべて同時に同じ量だけ使うわけではありません。外から得られる栄養分や体内での役割に応じて、どの遺伝子からRNAをつくるか、そのRNAからどの程度タンパク質をつくるかを調節しています。
この単元を学ぶと、オペロンの図を条件から読み解き、細胞の分化を遺伝子の発現の違いとして説明できます。さらに、染色体に見える変化が何を示すのかを、DNAの配列の変化と混同せずに考えられるようになります。
この単元で身につけること
- 遺伝子の発現と発現調節を区別します。遺伝情報に基づいてRNAやタンパク質がつくられることと、その時期や量を変えることを分けて説明します。
- ラクトースオペロンを因果関係で読みます。ラクトースの有無、リプレッサーの結合、転写の状態という順に追い、図の矢印を文章に直します。
- 真核生物の調節領域と転写因子を整理します。DNA上の場所と、その場所に結合してはたらくタンパク質を取り違えないことが目標です。
- クロマチンと修飾の関係を押さえます。DNAの塩基配列を変えなくても、遺伝子の使われやすさが変化するしくみを説明します。
- 細胞の分化とだ腺染色体のパフを結びつけます。細胞ごとの発現の違いと、転写が活発な領域を示す観察結果を読み取ります。
生物基礎で学んだ「遺伝子はDNAの一部である」という理解と、前の単元で扱った転写・翻訳の流れが出発点です。転写と翻訳の違いがあいまいなときは、まずDNA、RNA、タンパク質の順に矢印を書き、それぞれの矢印に過程の名前を付けておきます。
基本の考え方
発現を調節するとは、使う情報と量を変えることです
遺伝子の発現とは、遺伝子の情報に基づいてRNAやタンパク質がつくられ、その情報がはたらきとして現れることです。タンパク質をつくる遺伝子では、DNAの情報をRNAに写し取る転写と、mRNAの情報に基づいてタンパク質を合成する翻訳が中心になります。一方、RNA自体がはたらく遺伝子もあるため、発現を必ずタンパク質の合成だけと同じ意味にするのは正確ではありません。
発現調節とは、必要に応じて発現する遺伝子の種類、時期、場所、量を変えることです。料理の手順が書かれた本を持っていても、毎回すべての料理をつくるわけではないのと似ています。ただし、細胞が意識して情報を選ぶのではありません。DNAとタンパク質の結合や、物質によるタンパク質の状態変化によって、結果として発現の程度が変わります。
調節は転写だけでなく、RNAの加工、mRNAの分解、翻訳などの段階でも行われます。また、できたタンパク質の量は分解の速さにも左右されます。この単元ではまず転写の調節を中心に考えますが、測定したタンパク質量の変化だけから、必ず転写が変わったと決めつけないことが大切です。
ラクトースオペロンは、抑制が外れるしくみから読みます
大腸菌は、環境中の栄養分に応じて、物質の利用に必要な酵素などの合成量を変えます。ラクトースは乳糖とも呼ばれる糖で、その利用には、細胞内へ取り込むためのタンパク質や分解に関わる酵素などが必要です。これらをつくる複数の構造遺伝子が、ひとまとまりに転写調節を受けるしくみがラクトースオペロンです。オペロンは、共通の調節のもとで転写される遺伝子群と、その調節に関わるDNA領域からなる単位として捉えます。
プロモーターは、RNAポリメラーゼが結合して転写を開始するためのDNA領域です。RNAポリメラーゼはRNAを合成する酵素です。オペレーターは、リプレッサーという抑制にはたらくタンパク質が結合するDNA領域です。構造遺伝子は、ここではラクトースの利用に関わるタンパク質の情報を持つ部分を指します。プロモーターやオペレーターはDNA上の場所であり、酵素やリプレッサーそのものではありません。
ラクトースがないとき、リプレッサーがオペレーターに結合し、構造遺伝子群の転写を強く抑えます。ラクトースがあると、その一部から生じるアロラクトースがリプレッサーに結合して状態を変え、リプレッサーはオペレーターに結合しにくくなります。その結果、抑制が解除され、転写が起こりやすくなります。教科書では、この流れを「ラクトースによってリプレッサーが不活性化する」と簡略化して説明することがあります。
図1のように、ラクトースの有無によって変わるのは、構造遺伝子が存在するかどうかではなく、リプレッサーによる抑制の状態です。赤い図形はリプレッサーを、緑の矢印は転写が進む方向を示します。図は配置を整理した模式図であり、各領域の実際の長さや分子の大きさを表してはいません。

リプレッサーをつくる調節遺伝子は、図1の構造遺伝子群とは別に考えます。ラクトースがリプレッサーを分解して消してしまうのでも、構造遺伝子のDNAを新しくつくるのでもありません。すでにあるタンパク質の結合状態が変わることで、DNAの読み取られ方が変わります。
もう1つの条件はグルコースです。ラクトースがあっても、グルコースが多いとラクトースオペロンの強い転写は起こりにくくなります。グルコースが少ないと転写を促進するしくみがはたらくため、強い発現には「ラクトースによる抑制の解除」と「グルコースが少ない条件」を合わせて考えます。以下でリプレッサーだけを扱う問題では、グルコースが十分少なく、転写を促す条件が満たされているものとします。実際には、抑制された状態でも少量の発現があり、ラクトースの取り込みなどにつながるため、「抑制」を完全なゼロと同一視しないようにします。
真核生物では、転写因子とクロマチンの状態が関わります
真核生物の転写因子は、転写の開始や程度の調節にはたらくタンパク質です。DNA上の調節領域に結合するものなどがあり、複数の因子の組合せによって転写が促進されたり抑制されたりします。調節領域は、転写を調節するタンパク質などが作用するDNA上の領域です。プロモーターの近くにあるものも、離れた位置にあるものもあります。
促進にはたらく調節領域の一種をエンハンサーといいます。離れたエンハンサーに結合した転写因子も、DNAが曲がることで転写開始に関わる装置に作用できます。したがって、遺伝子のすぐ隣にないから調節に無関係とはいえません。また、エンハンサーはDNAの領域であり、転写因子はタンパク質なので、両者を入れ替えて書かないことが重要です。
核内のDNAは、ヒストンというタンパク質に巻き付き、さらに折りたたまれています。DNAとタンパク質などからなるこの構造をクロマチンといいます。DNAが比較的ほどけた領域では、転写因子などがDNAに接近しやすくなります。一方、密に凝縮した領域では接近しにくく、一般に転写が起こりにくくなります。ほどけていることは使いやすさに関わる条件ですが、それだけで必ず転写されるとは限りません。必要な転写因子などもそろう必要があります。
DNAやヒストンに化学的な目印が付くことを修飾といいます。例えば、ヒストンのアセチル化は一般にクロマチンが緩むことや転写の促進と関係します。DNAのメチル化は、遺伝子のプロモーター付近などで起こると、転写の抑制と関係することがあります。ただし、修飾の種類や付く場所によって作用が異なるので、「修飾はすべて転写を止める」と一括りにはできません。
エピジェネティクスは、DNAの塩基配列の変化を伴わず、細胞分裂後にも維持されうる遺伝子の発現状態の調節などを扱う考え方です。DNAのメチル化やヒストンの修飾は、そのしくみに関わります。塩基配列そのものが変わる突然変異とは区別します。また、発現状態が細胞分裂を通して保たれることと、個体の経験が必ず子や孫へ伝わることは別の話です。高校生物では、まず細胞が発現状態を保つしくみとして理解します。
例題で解き方を確かめる
例題1 ラクトースを加えたときの変化
正常な大腸菌を、グルコースが十分少ない条件に置きます。初めはラクトースがなく、途中でラクトースを加えました。オペレーターへのリプレッサーの結合と、構造遺伝子群の転写がどのように変わるかを説明しましょう。他の転写に必要な条件は満たされているものとします。
- 初めの状態を確かめます。ラクトースがないのでリプレッサーによる抑制がはたらくと考えます。最初の状態を決めることで、加えた後との比較ができます。
- 加えた物質が何に作用するかを追います。ラクトースから生じた誘導物質がリプレッサーの状態を変えるため、リプレッサーはオペレーターに結合しにくくなります。ラクトースが直接RNAをつくるとは考えません。
- 抑制の変化を転写へつなげます。リプレッサーによる抑制が解除されるので、構造遺伝子群の転写が増えます。グルコースが少ないという条件があるため、強い転写を妨げる条件を別に考える必要はありません。
答え:リプレッサーがオペレーターに結合しにくくなり、構造遺伝子群の転写が増えます。
この問題では、転写が増えるまでを答えています。タンパク質量を問われたら、続いて翻訳による合成が増えることを考えますが、ラクトースを加えた瞬間にタンパク質量まで同時に増えるとは書きません。過程の順序と測定時刻を区別することで、時間変化を示す問題にも対応できます。
例題2 リプレッサーの性質が異なる場合
同じ条件で、正常な株A、リプレッサーがオペレーターに結合できない株B、誘導物質があってもオペレーターに結合し続ける株Cを比べます。グルコースは十分少なく、ほかのしくみは正常です。ラクトースがない場合とある場合について、構造遺伝子群の転写が強く抑制されるか、抑制が解除されるかを答えましょう。
- 判定する場所をオペレーターにそろえます。異なる株を比べるときは、「ラクトースがあるか」だけでなく、「リプレッサーがそこに結合するか」を直接確かめる必要があるからです。
- 株Aは正常な関係を使います。ラクトースがないと結合して抑制し、あると結合しにくくなって抑制が解除されます。
- 株Bと株Cは、問題で与えられた性質を優先します。株Bはラクトースの有無にかかわらず結合できず、株Cはどちらでも結合し続けるため、正常な株の結果をそのまま当てはめられません。
| 株 | ラクトースなし | ラクトースあり |
|---|---|---|
| A | 強く抑制 | 抑制解除 |
| B | 抑制解除 | 抑制解除 |
| C | 強く抑制 | 強く抑制 |
答え:Aは「強く抑制・抑制解除」、Bは「抑制解除・抑制解除」、Cは「強く抑制・強く抑制」です。
この判定は、リプレッサーによる抑制についてのものです。株Bを「どんな環境でも最大量のタンパク質をつくる」と言い換えるのは行き過ぎです。転写に必要な条件や翻訳の状態も量に影響するため、与えられた条件の範囲で結論を述べます。
例題3 転写因子の組合せを読む
ある真核生物の遺伝子Xは、調節領域に転写因子AとBが両方結合したときだけ転写されるものとします。どの細胞でも遺伝子Xとその調節領域が存在し、クロマチンは接近可能な状態です。細胞PにはAとB、細胞QにはAだけ、細胞RにはBだけがあります。ほかの必要条件はすべて満たされています。遺伝子Xが転写される細胞を選びましょう。
図2のように、同じDNAを持つ細胞でも、はたらく転写因子の組合せが違えば転写の状態は変わります。図中のXは遺伝子、AとBはタンパク質であり、図に描かれた個数は実際の分子数を意味しません。この例の「両方が必要」という条件は問題上の設定で、すべての遺伝子が必ず2種類の因子で調節されるという法則ではありません。

- 必要条件を短く書きます。「AとBの両方」という条件なので、片方だけでは不十分です。「AまたはB」と読み替えないようにします。
- 各細胞で条件がそろうかを調べます。Pは両方、QとRは片方だけなので、Pだけが条件を満たします。
- DNAの有無と発現の有無を分けます。QとRにも遺伝子Xは存在すると与えられているため、転写されない理由を「遺伝子がないから」と説明することはできません。
答え:遺伝子Xが転写されるのは細胞Pだけです。
この読み方は、分化の説明にも使えます。細胞の分化とは、細胞が形やはたらきの異なる細胞になることです。同じ個体に由来する多くの体細胞は基本的に同じ遺伝情報を持ちますが、発現する遺伝子の組合せや発現量が異なるため、つくられるタンパク質が異なります。その結果として、筋細胞や神経細胞などの特徴が生じます。
ただし、細胞の違いを「使う遺伝子がすべて違う」と表すのも不正確です。生命活動の維持に必要で、多くの細胞に共通して発現する遺伝子もあります。共通する発現と、細胞の役割に応じた発現の両方があると考えます。
例題4 だ腺染色体のパフから判断する
ある昆虫の幼虫のだ腺染色体を、同じ領域が対応するように時期を変えて観察しました。領域aは早い時期にパフがあり、遅い時期には見えませんでした。領域bは早い時期にパフがなく、遅い時期にはありました。この結果からいえることを、「転写」と「DNAの消失」を使って説明しましょう。
- パフの意味を確かめます。パフは染色体の一部がほどけて膨らんだ部分で、そこで転写が活発に行われています。目に見える膨らみを、その領域の活動の目印として読みます。
- 同じ領域を時期の間で比べます。aでは早い時期、bでは遅い時期に転写が活発なことが示されるので、時期に応じて活発に転写される領域が変わったと判断できます。
- 観察していないことを除きます。パフが見えなくなっても、その領域のDNAが消失したとはいえません。ほどけ方の変化と、DNA自体の有無は異なるからです。
答え:時期に応じて転写の活発な領域が変わったといえますが、パフの消失からDNAの消失は判断できません。
パフが大きいほど、必ず同じ比率でタンパク質量が多いと結論することもできません。パフは転写活動に関わる観察であり、翻訳やタンパク質の分解まで直接測った結果ではないためです。「何を観察したか」を答案の根拠にすると、結論を広げ過ぎずに説明できます。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 発現しない遺伝子は、細胞からなくなります
誤った書き方は「筋細胞には筋肉に必要な遺伝子だけが残り、ほかは失われます」です。どこが違うかというと、遺伝子の存在と利用の状態を一緒にしている点です。通常の細胞分化では、遺伝子を次々と捨てることによって細胞の種類が決まるのではありません。
正しい書き方は「多くの体細胞は基本的に同じ遺伝情報を持ちますが、発現する遺伝子の組合せや量が異なります」です。「基本的に」とするのは、成熟した哺乳類の赤血球のように核を失う細胞など、例外があるためです。まず分化の一般的な説明を押さえ、例外を一般原理と取り違えないようにします。
誤り2 クロマチンが緩むと、DNAの塩基配列が変わります
誤った書き方は「クロマチンが緩むとDNAの並び方が変わって、新しい遺伝子になります」です。どこが違うかというと、DNAの折りたたまれ方と、塩基が並ぶ順序を混同しています。糸の巻き方を変えても糸自体のつながり方は変わらないのと同じように、収納の状態の変化だけで塩基配列が別のものになるわけではありません。
正しい書き方は「クロマチンが緩むと、転写に関わるタンパク質がDNAに接近しやすくなります」です。修飾によって発現状態が変わる場合にも、直ちに突然変異が起きたと判断しません。逆に、塩基配列が同じという事実だけから、発現量まで同じと決めることもできません。
誤り3 パフは、タンパク質を合成しているリボソームです
誤った書き方は「だ腺染色体のパフでは、リボソームによる翻訳が活発です」です。どこが違うかというと、染色体のDNAからRNAをつくる転写と、リボソームでタンパク質をつくる翻訳を入れ替えています。パフは染色体の一部の構造変化なので、まずDNAが使われる段階と結びつけます。
正しい書き方は「だ腺染色体のパフでは、染色体の一部がほどけ、転写が活発に行われています」です。ユスリカなどの幼虫のだ腺細胞では、細胞分裂を伴わずにDNAの複製が繰り返され、多数の染色分体が並んだ巨大な染色体が見られます。これがだ腺染色体で、横しまの模様が領域を対応させる手掛かりになります。
図3のように、同じ位置を比べると、ある時期にはa、別の時期にはbにパフが現れています。模式図の幅は転写量の数値を表しておらず、パフの位置の変化を読むための表現です。観察対象はだ腺染色体であり、すべての真核細胞で同じような巨大染色体やパフが見えるわけではありません。

練習問題
練習1
正常な大腸菌を、グルコースが十分少なく、転写に必要な条件が満たされた環境に置きました。ラクトースがある状態から、十分な時間が経過してラクトースとその誘導物質がなくなった状態になると、リプレッサーのオペレーターへの結合と構造遺伝子群の転写はどうなりますか。物質の消失から転写の変化までを順につないで答えましょう。
練習2
遺伝子Yの転写には、転写因子CとDが両方必要です。細胞SはCとD、細胞TはCだけ、細胞UはDだけ、細胞Vはどちらも持ちません。すべての細胞に遺伝子Yと調節領域があり、クロマチンの状態を含め、ほかの条件は満たされています。転写する細胞を選び、転写しない細胞にも遺伝子Yがあるかを答えましょう。
練習3
同じ塩基配列を持つ2群の細胞で遺伝子Zを調べました。群Mではプロモーター付近のDNAのメチル化が多く、mRNA量が少ないことがわかりました。群Nではメチル化が少なく、mRNA量が多いことがわかりました。この結果は塩基配列の突然変異を示しますか。また、この比較だけでメチル化がmRNA量の違いの唯一の原因だと断定できますか。
練習4
だ腺染色体の領域cでは、時期1にパフがなく、時期2にパフが観察されました。「時期2にはcで転写が活発である」「時期2にcのDNAが新しく出現した」「時期1にはcの転写が完全にゼロだった」のうち、観察結果から支持される記述を選び、ほかを選べない理由も説明しましょう。
答えと解説
練習1の答え:リプレッサーがオペレーターに結合しやすくなり、構造遺伝子群の転写が強く抑制されます。誘導物質がなくなって抑制が再びはたらく流れです。すでにつくられたタンパク質が、その瞬間にすべて消えるという意味ではありません。
練習2の答え:転写するのは細胞Sだけで、T、U、Vにも遺伝子Yはあります。「両方必要」という条件を満たすかを調べます。発現の有無を、遺伝子を持つ細胞と持たない細胞の区別に置き換えないことが要点です。
練習3の答え:塩基配列の突然変異は示しておらず、メチル化が唯一の原因だとも断定できません。結果はメチル化の多さとmRNA量の少なさの対応を示しますが、転写因子の状態やmRNAの分解など、ほかの要因を排除した比較ではありません。修飾と発現の関係を考える手掛かりにはなります。
練習4の答え:支持されるのは「時期2にはcで転写が活発である」です。パフの出現はDNAが新しくできた証拠ではありません。また、パフが見えないことだけでは、観察で捉えにくい低い転写まで否定できず、完全なゼロとは断定できません。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
発現調節の理解は、発生の過程で異なる細胞が生まれ、器官が形づくられるしくみにつながります。また、遺伝子を細胞へ導入するバイオテクノロジーでも、その遺伝子が入ったかどうかと、目的のRNAやタンパク質がつくられたかどうかは別に確かめる必要があります。遺伝情報の存在と利用を分ける見方が、次の単元の実験考察を支えます。
家庭での確認は、5分で行える次の2つが役立ちます。1つ目は、紙に「ラクトースなし」「ラクトースあり」と書き、その下にリプレッサーの結合と転写の状態を矢印でつなぐ方法です。グルコースが少ない条件も添えると、前提を落とさずに説明できます。
2つ目は、「同じDNAを持つ2種類の細胞」を描き、それぞれに異なる転写因子を書き込む方法です。家族に説明するときは、DNAの有無を変えずに発現の違いを示せるかを確かめます。個別指導でこの説明が止まる場合は、転写因子の名前を増やす前に、DNA、RNA、タンパク質の区別と転写の位置まで戻って確認します。
まとめ
図を見て「転写される」と答えられたら、もう一歩進んで、その判断に使った条件を言葉にしてみましょう。ラクトースの有無なのか、転写因子の組合せなのか、パフの出現なのかによって、説明の根拠は異なります。根拠を示せれば、条件が変わった問題でも、覚えた答えを探すだけでなく、結果を順に導けます。
遺伝子の有無だけでは、細胞の姿は説明しきれません。同じ遺伝情報から異なる細胞のはたらきが生まれる鍵は、どの遺伝子が、いつ、どれだけ発現するかにあります。
本気になった日が、入塾の日。
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