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【高校古典文法】識別問題を図解で総まとめ—なむ・に・ぬ・ね・る・れ・し・なり・の の見分け手順|武蔵野個別指導塾

「花咲かなむ」と「花咲きなむ」の違いから、9語の識別を接続と文脈で確かめます。見分け表と3枚の手順図、例題と練習問題を使い、品詞・意味・活用形を根拠つきで答える力を養いましょう。
よくあるのは、祖父母の家の客間で古文の課題を開き、「なむ」の横に「強調」と書いたものの、答えには「願望」とあり、どこを見直せばよいのか止まってしまうという場面です。覚えた意味が間違っているとは限りません。同じ文字で書かれた別の語を、まだ区別できていないのです。
識別とは、見た目が同じ語や語の一部分について、品詞・意味・活用形などを文の中で判定することです。「ぬ」を見てすぐに「ない」と訳すと、出来事が終わった文を、出来事が起こらない文へ変えてしまうこともあります。小さな1字の判断が、文章全体の読みを動かします。
ここで扱うのは「なむ・に・ぬ・ね・る・れ・し・なり・の」です。意味の一覧だけでなく、候補を絞る順序を身につけましょう。正答を選んだ後に「上が何形だから」「下に何が続くから」と説明できれば、初めて読む文章でも同じ手順を使えます。以下の短い古文は、文法の違いを確かめるための自作例文です。
この単元で身につけること
- 傍線の範囲と語の切れ目を区別します。2字の「なむ」が、助詞1語の場合も、助動詞2語の場合もあると見抜きます。
- 上の語を終止形へ戻し、活用の種類と活用形を確かめます。語尾が同じでも、未然形と連用形を取り違えないための作業です。
- 下の語と文末を根拠にします。助動詞の接続、名詞を修飾する形、係り結びを組み合わせて候補を減らします。
- 形で決まらない場合は文脈を使います。願いなのか予想なのか、断定なのか聞いた情報なのかを、話し手や情報の得方から判断します。
- 設問に合わせて答えの詳しさを変えます。「品詞を答える」と「文法的に説明する」と「現代語訳する」では、必要な答えの範囲が異なります。
中学で学んだ品詞の区別を土台に、古典の動詞・形容詞・形容動詞の活用、助動詞の接続、係り結びを一緒に使う単元です。識別が苦手なときは、9語全部を覚え直す前に、自分が語の区切りと活用形のどちらで止まっているかを見つけます。
基本の考え方
最初に区切り、前後から候補を絞ります
接続とは、その語がどのような語や活用形の後につくかという決まりです。たとえば打消の助動詞「ず」は未然形につき、完了の助動詞「ぬ」は連用形につきます。活用形とは文の中で使われている形の名称であり、「ぬ」という音だけに決まった名称が貼りついているわけではありません。
確認の順序は図1のようになります。まず傍線を含む語を区切り、次に直前の語を調べます。その後、直後の語と文末までを見て、最後に文全体を訳します。形と意味が合わなければ、途中の判断へ戻ります。「とりあえず自然な日本語にしてから品詞を決める」という方法では、予想に合わせて文法を曲げやすくなります。

図1の「下と文末」は、すぐ隣の1語だけを指しません。係助詞「なむ」なら、離れた文末が連体形になっているかも確認します。ただし結びの省略や、途中で別の節につながる場合もあるため、文末の形だけで機械的に決めないことが必要です。
また、同じ形に複数の活用形が重なる動詞があります。下二段動詞「受く」の未然形と連用形は、どちらも「受け」です。これに対し、四段動詞「咲く」なら未然形は「咲か」、連用形は「咲き」です。前の形を調べる方法が有効かどうかは、その動詞の活用によって変わります。形で区別できない場面で文脈を使うのは、手順の失敗ではありません。
9語の見分け表で、候補の取り落としを防ぎます
次の表は、高校の識別問題でまず照合したい候補をまとめたものです。「語の一部」とある場合は、傍線の文字だけを独立した助詞や助動詞として扱いません。表で候補を挙げた後、実際の文の接続によって残す候補を選びます。
| 文字 | 主な候補 | 判断に使う手掛かり |
|---|---|---|
| なむ | 係助詞/願望の終助詞/「ぬ」の未然形「な」+「む」/ナ変動詞の活用語尾「な」+「む」 | 係り結び、未然形接続と連用形接続の違い、動詞全体の区切り |
| に | 格助詞/接続助詞/断定「なり」の連用形/完了「ぬ」の連用形/形容動詞などの一部 | 体言や連体形につくか、連用形につくか、述語を作るか |
| ぬ | 打消「ず」の連体形/完了「ぬ」の終止形/動詞の一部・動詞そのもの | 未然形と連用形の違い、後ろの体言、終止形への復元 |
| ね | 打消「ず」の已然形/完了「ぬ」の命令形/動詞の一部・動詞そのものの活用形 | 「ば・ど」や「こそ」との関係、命令の意味、語全体の活用 |
| る | 受身・尊敬・自発・可能「る」の終止形/完了・存続「り」の連体形/動詞の活用語尾 | 未然形接続か、サ変未然形・四段已然形への接続か |
| れ | 「る」の未然形・連用形/「り」の已然形・命令形/動詞の活用語尾 | 後ろの「ず・けり・ば」などと、前の動詞の活用形 |
| し | 過去「き」の連体形/形容詞の活用語尾/サ変動詞の連用形/強意の副助詞 | 前の連用形、語全体の終止形、取り立てる働き |
| なり | 断定の助動詞/伝聞・推定の助動詞/ナリ活用形容動詞の活用語尾/動詞の連用形 | 体言・連体形接続と終止形接続、語全体の意味 |
| の | 格助詞の主格・連体修飾格・同格・準体法などの用法 | 後ろの述語の主語か、名詞を修飾するか、同じものを示すか |
「なむ」の係助詞は強意を表し、原則として結びを連体形にします。終助詞は未然形について、他者や事態に対する願望を表します。「花咲かなむ。」は「花が咲いてほしい。」です。これに対し「花咲きなむ。」は「きっと花が咲くだろう。」で、「咲き」が連用形なので、強意の「ぬ」の未然形「な」と推量の「む」に分けます。「ぬ」は完了の助動詞として学びますが、この組み合わせでは実現を強める働きを読み取ります。
さらに「死なむ。」は「死ぬだろう。」で、ナ変動詞「死ぬ」の未然形「死な」に「む」がついた形です。「な」だけを完了の助動詞に切り分けることはできません。「なむ」を見つけたら、前の動詞がどこまで続いているかを確認する理由がここにあります。
「に」は候補が多いので、意味の違いも整理します。「庭に立つ。」は「庭に立つ。」で、場所を示す格助詞です。「門を出づるに、雨降り始む。」は「門を出ると、雨が降り始める。」で、連体形「出づる」を受けて節をつなぐ接続助詞です。「この人は師にあらず。」は「この人は先生ではない。」で、「に」は断定「なり」の連用形です。一方、「花咲きにけり。」は「花が咲いたのだなあ。」で、「に」は完了「ぬ」の連用形になります。
「庭は静かにて、人も来ず。」は「庭は静かで、人も来ない。」です。この「に」は形容動詞「静かなり」の連用形「静かに」の一部分です。「に」の前が名詞のように見えるという理由だけで断定にしないよう、語全体で性質や状態を表す形容動詞になっていないかを調べます。また「死にけり。」は「死んだ。」で、「死に」全体がナ変動詞の連用形です。
活用表を必要なところだけ取り出します
「ぬ・ね」で特に役立つのは、打消「ず」の本活用「ず・ず・ず・ぬ・ね・なし」と、完了「ぬ」の活用「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」の対照です。順番は未然・連用・終止・連体・已然・命令です。打消「ず」には「ざら・ざり・ざる・ざれ」などの補助活用もありますが、「ぬ・ね」の判定ではまず本活用を取り出します。
「咲かぬ花」は「咲かない花」で、未然形「咲か」につく打消の連体形です。「花咲きぬ。」は「花が咲いた。」で、連用形「咲き」につく完了の終止形です。「花咲かねば、待つ。」は「花が咲かないので、待つ。」で、「ね」は打消の已然形です。「早く帰りね。」は「早く帰ってしまいなさい。」で、連用形「帰り」につく完了の命令形です。なお「ぬ」はナ変動詞「死ぬ・往ぬ」の一部にも、下二段動詞「寝(ぬ)」そのものにもなります。「ね」も「死ね」の語尾や「寝(ぬ)」の未然形・連用形に現れるので、1字だけでは決められません。
「る・れ」では、受身などの「る」が四段・ナ変・ラ変の未然形につくことと、完了・存続「り」がサ変の未然形・四段の已然形につくことを区別します。「人に笑はる。」は「人に笑われる。」で、四段動詞「笑ふ」の未然形「笑は」に受身の「る」がつきます。「咲ける花」は「咲いている花」で、四段已然形「咲け」に存続「り」の連体形「る」がつきます。
受身などの「る」の連体形は「るる」です。「る」自体が連体形になる存続「り」と、活用表を混ぜないようにします。後ろも有力な根拠です。「人に笑はれけり。」は「人に笑われた。」で、過去「けり」が連用形を求めるため、「れ」は受身「る」の連用形です。「花咲ければ、庭明るし。」は「花が咲いているので、庭が明るい。」で、「れ」は存続「り」の已然形です。ただし「川流る。」は「川が流れる。」で、下二段動詞「流る」の終止形です。「る」を切り離して助動詞にすると、前に残る部分が動詞の活用形になりません。「らる」の末尾にある「る・れ」も、助動詞「らる」全体の一部として扱います。
「し」は、「読みし文」のように連用形の後で名詞を修飾するなら、過去「き」の連体形が候補です。訳は「読んだ手紙」です。「空青し。」なら「空が青い。」で、形容詞「青し」の活用語尾です。「旅をしけり。」は「旅をした。」で、「し」はサ変動詞「す」の連用形です。「君し来ば、語らむ。」は「あなたが来るなら、話そう。」で、「し」は「君」を強める副助詞です。この「し」には、係助詞「ぞ・なむ」のような係り結びを求めません。
「なり」の断定は体言または連体形に、伝聞・推定は原則として終止形に接続します。ただしラ変型の活用語には連体形に接続します。「これは文なり。」は「これは手紙である。」で断定です。「鐘の音すなり。」は「鐘の音がするようだ。」で、サ変「す」の終止形を受ける推定です。「静かなり」の「なり」は形容動詞の活用語尾で、「春になりぬ。」の「なり」は動詞「なる」の連用形です。後者は「春になった。」と訳します。
四段動詞のように終止形と連体形が同じ場合や、ラ変型の場合は、接続だけでは断定と伝聞・推定を決められません。聞いた話を述べているか、音を根拠に推測しているか、それとも「〜である」と説明しているかを調べます。「なり」はいつでも「である」と訳せる、という覚え方はここで行き詰まります。
「の」では品詞だけでなく用法を問われます。「鳥の声を聞く。」の「の」は連体修飾格で、「鳥の声を聞く。」と訳します。「鳥の鳴く声を聞く。」では「鳥」が「鳴く」の主語なので主格です。訳は「鳥が鳴く声を聞く。」となります。同じ「鳥の」でも、その後に名詞があるか、述語との主述関係があるかを確かめます。
同格は「花の白きを摘む。」のように、「花」と「白き」が同じものを指す関係です。「花で白いものを摘む。」と訳し、単純な所有とは区別します。準体法の「の」は「我が文は失せぬ。君のを見む。」の後半で確認できます。全体の訳は「私の手紙はなくなってしまった。あなたの手紙を見よう。」です。「君の」が「君の手紙」という体言相当のまとまりになります。準体法の整理の仕方には文法書による違いがあるため、答案の名称は授業で用いる体系に合わせます。
例題で解き方を確かめる
例題1 「なむ」を切り分けます
次の3文の「なむ」を文法的に説明しましょう。A「友なむ来たる。」、B「友来なむ。」、C「友来なむ。」です。Bは友の到着を願う発言、Cは使者から友が近くまで来ていると聞き、到着を確信した発言とします。BとCの「来」には、まだ読みを付けていません。
- Aは「友」という体言の直後に「なむ」があります。動詞の未然形・連用形を求める候補には合わないので、係助詞を考えます。文末「来たる」はラ行四段動詞「来たる」の連体形で、係り結びと一致します。
- Bは到着を願っているため、願望の終助詞「なむ」を考えます。上が未然形である必要があるので、カ変動詞「来(く)」の未然形「こ」と読みます。意味だけで終わらず、必要な活用形を戻して確かめます。
- Cは到着の確信を述べているため、「な」を強意「ぬ」の未然形、「む」を推量の助動詞と考えます。「ぬ」が連用形を求めるので「来」は「き」です。「な」が未然形であることと、その上の「来」が連用形であることを混同しません。
現代語訳はAが「友が来る。」、Bが「友が来てほしい。」、Cが「友はきっと来るだろう。」です。Aの強調は、日本語として不自然になるほど訳語を足す必要はありません。BとCのように漢字表記が活用の違いを隠すこともあるので、読みを補う設問では識別と活用が一緒に問われます。
答え:Aは強意の係助詞、Bは願望の終助詞で「こなむ」、Cは強意「ぬ」の未然形+推量「む」の終止形で「きなむ」です。
例題2 「にけり」を丸ごと暗記しません
A「花咲きにけり。」、B「この人は師にこそあれ。」の「に」を文法的に説明しましょう。Aの訳は「花が咲いたのだなあ。」、Bの訳は「この人はまさしく先生である。」です。図2では、この2つの「に」を、前後に何があるかで並べています。

- Aの直前は四段動詞「咲く」の連用形「咲き」です。連用形に接続する完了「ぬ」を候補にします。断定「なり」の基本の接続である体言・連体形には当たりません。
- Aの後ろは「けり」です。「けり」は連用形に接続するので、完了「ぬ」の連用形「に」として前後が両方つながります。出来事が実現したという訳も一致します。
- Bでは体言「師」を受け、後ろに係助詞「こそ」とラ変動詞「あり」の已然形「あれ」があります。「師である」と述べているため、「に」は断定「なり」の連用形です。「こそ」は間に入っていますが、断定の関係は変わりません。
図2の上下で違うのは、「に」の直後の見た目だけではなく、上の語と文全体の働きです。「にけり」はよく見かける組み合わせですが、「に」を見るたび完了とする理由にはなりません。先ほどの「死にけり」なら「に」は動詞の一部でした。まとまりを覚えることと、語の境界を確かめることを両立させます。
答え:Aは完了の助動詞「ぬ」の連用形、Bは断定の助動詞「なり」の連用形です。
例題3 「ぬ」と「ね」を前後で確かめます
A「まだ咲かぬ花を待つ。」、B「花はすでに咲きぬ。」、C「花咲かねど、庭に出づ。」、D「早く帰りね。」の「ぬ・ね」を説明しましょう。現代語訳は順に「まだ咲かない花を待つ。」「花はすでに咲いた。」「花は咲かないけれど、庭に出る。」「早く帰ってしまいなさい。」です。
- AとCの前は「咲か」で未然形、Bの前は「咲き」で連用形です。打消「ず」は未然形接続、完了「ぬ」は連用形接続なので、同じ動詞の形を比較すると候補を分けられます。
- Aは後ろの体言「花」を修飾しているため連体形です。Bはそこで文を終えるため終止形です。「ぬ」は常に連体形、または常に終止形と固定しないことが要点です。
- Cの後ろの接続助詞「ど」は已然形に接続します。したがって打消「ず」の已然形「ね」となります。Dは連用形「帰り」の後で、帰ることを促す命令なので、完了「ぬ」の命令形「ね」です。
AとCは同じ打消の助動詞が、後ろとのつながりによって形を変えています。BとDも同じ完了の助動詞の別の活用形です。この関係まで説明できれば、4つの答えを別々に覚える必要はありません。「まだ」「すでに」は意味の確認を助けますが、それだけで品詞を決めず、接続の根拠を先に置きます。
答え:Aは打消「ず」の連体形、Bは完了「ぬ」の終止形、Cは打消「ず」の已然形、Dは完了「ぬ」の命令形です。
例題4 「なり」の接続と文脈を重ねます
A「これは笛なり。」、B「垣の内にて笛を吹く音すなり。」の「なり」を識別しましょう。Aは目の前の品物を説明する文、Bは垣の外にいる人が音を聞いて判断する文です。訳はAが「これは笛である。」、Bが「垣の内側で笛を吹く音がするようだ。」です。
- Aの直前は体言「笛」です。体言に接続して物事を言い切る断定の助動詞「なり」を考えます。「笛なり」という形容動詞や、動詞「なる」の連用形として読む理由はありません。
- Bの直前はサ変動詞「す」です。サ変の終止形は「す」、連体形は「する」なので、ここでは形の違いが手掛かりになります。終止形接続の伝聞・推定「なり」に合います。
- Bの話し手は音を直接聞いて判断しています。この文脈から意味を推定とします。他者から聞いた話を伝える場面なら伝聞を考えます。助動詞の種類の識別と、その文での意味の判定は分けて進めます。
入試では、これと同じ判断を現代語訳の選択肢の中に組み込んだり、同じ用法の語を選ばせたりします。語の名前を直接尋ねていなくても、「である」「ということだ」「ようだ」の選び分けには、接続と情報の得方の確認が必要です。四段動詞を受ける「なり」では終止形と連体形が同形になるため、この例より文脈の役割が大きくなります。
答え:Aは断定の助動詞「なり」の終止形、Bは推定の助動詞「なり」の終止形です。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 傍線の長さを、語の長さだと考えます
誤った書き方は「花咲きなむ」の「なむ」を「願望の終助詞」とする答えです。どこが違うかというと、願望の終助詞なら未然形につくはずなのに、ここでは四段連用形「咲き」を受けている点です。正しい書き方は「強意の助動詞『ぬ』の未然形『な』+推量の助動詞『む』の終止形」です。現代語訳も「きっと花が咲くだろう」となり、願望の「咲いてほしい」とは異なります。
逆に、傍線が1字だから1語だとは限りません。「川流る。」の末尾の「る」は「流る」という動詞の活用語尾です。訳は「川が流れる。」です。切り分けた後に残る形が本当にその動詞の活用形かを確かめると、存在しない語を作る誤りを防げます。
誤り2 「れ」は全部、受身だと考えます
誤った書き方は「花咲ければ」の「れ」を「受身『る』の已然形」とする答えです。どこが違うかというと、受身「る」の已然形は「るれ」であり、「れ」ではない点です。また前の「咲け」は四段已然形なので、未然形接続の受身「る」にも合いません。正しい書き方は「存続の助動詞『り』の已然形」です。訳は「花が咲いているので」となります。
図3のように、同じ「れ」でも属する助動詞によって活用形が違います。後ろの「けり」は連用形を、接続助詞「ば」は未然形または已然形を求めます。前後の条件を合わせることで、活用表のどの欄かを特定します。

図3は「れ」の助動詞としての候補の比較です。動詞の活用語尾まで除外する図ではありません。「流れけり。」は「流れた。」で、「流れ」全体が下二段動詞「流る」の連用形です。まず語を区切るという最初の手順は、ここでも必要です。
誤り3 「の」を、すべて現代語の「の」に置き換えます
誤った書き方は「鳥の鳴く声」の「の」を「連体修飾格」とし、どの語にかかるかを調べず終える答えです。どこが違うかというと、「鳥」は「鳴く」という動作の主体であり、「鳥の」はまず「鳴く」と主述関係を作る点です。正しい書き方は「主格の格助詞」で、訳は「鳥が鳴く声」です。
連体修飾格かどうかは、「の」のすぐ後ろに名詞があるかだけでなく、文全体のまとまりを見て判断します。また「花の白きを摘む。」は「花で白いものを摘む。」という同格の読みを取る例です。「花」と「白いもの」が同じ対象であることを確かめます。日本語として訳せたように感じても、どの語とどの語の関係を示すかを説明できなければ、用法の識別はまだ終わっていません。
練習問題
答えるときは、対象の文字を含む語を区切り、その上の語の形か下の語の接続を1つ添えてみましょう。次の4問では、例題で扱った手順を別の文字へ広げます。訳は解説で照合できるので、最初は古文から自分で判断します。
練習1
A「人に笑はる。」、B「咲ける花を摘む。」の「る」について、助動詞の意味・終止形・活用形を答えましょう。Aは他人が話し手を笑っている場面です。
練習2
A「人に笑はれけり。」、B「川流れけり。」の「れ」は、それぞれ独立した助動詞ですか。それとも動詞の一部分ですか。語全体を示して答えましょう。
練習3
A「昨日読みし文を探す。」、B「空青し。」、C「旅をしけり。」、D「君し来ば、語らむ。」の「し」を識別しましょう。助動詞や動詞なら、終止形と活用形も答えます。
練習4
A「鳥の声を聞く。」、B「鳥の鳴く声を聞く。」の「の」の用法を答えましょう。続いてC「庭は静かなり。」、D「春になりぬ。」の「なり」を含む語の品詞・終止形・活用形を答えます。
答えと解説
練習1の答えは、Aが受身の助動詞「る」の終止形、Bが存続の助動詞「り」の連体形です。Aは未然形「笑は」を受け、Bは四段已然形「咲け」を受けています。訳はAが「人に笑われる。」、Bが「咲いている花を摘む。」です。Bの「る」は動詞を名詞「花」へつなぐ形なので、連体形であることも確認できます。
練習2の答えは、Aが受身の助動詞「る」の連用形「れ」、Bが下二段動詞「流る」の連用形「流れ」の一部分です。訳はAが「人に笑われた。」、Bが「川が流れた。」です。両方とも「けり」が続きますが、それは直前に連用形が必要という条件です。その連用形が助動詞なのか動詞なのかまで、「けり」だけでは決まりません。
練習3の答えは、Aが過去の助動詞「き」の連体形、Bが形容詞「青し」の終止形の活用語尾、Cがサ変動詞「す」の連用形、Dが強意の副助詞です。訳は順に「昨日読んだ手紙を探す。」「空が青い。」「旅をした。」「あなたが来るなら、話そう。」です。Aは連用形「読み」を受けて「文」を修飾し、Cは連用形接続の「けり」へ続きます。Dでは「し」を外しても主述関係が保たれ、「君」を強める働きが読み取れます。
練習4の答えは、Aが連体修飾格、Bが主格です。どちらも品詞は格助詞です。訳はAが「鳥の声を聞く。」、Bが「鳥が鳴く声を聞く。」となります。Cはナリ活用形容動詞「静かなり」の終止形、Dはラ行四段動詞「なる」の連用形「なり」です。訳はCが「庭は静かである。」、Dが「春になった。」です。Cは状態を表す形容動詞全体で捉え、Dは完了「ぬ」の前にある動詞の連用形として確かめます。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
識別は、そのまま古文の読解につながります。打消と完了を分ければ出来事の有無が変わり、願望と推量を分ければ人物の心情が変わります。「の」が主格だとわかれば、誰が動いているのかを補いやすくなります。文法の名前を書くことを終点にせず、その判定によって現代語訳のどこが変わるかまで結びつけましょう。
家で5分使えるなら、1つ目は「咲かぬ・咲きぬ」のような対を1組選び、上の動詞の終止形と活用形を声に出して説明する方法です。次に訳を比べ、接続の違いが意味にどう表れたかを確認します。答えを隠して根拠から言えたら、別の対へ進みます。
2つ目は、解いた問題の傍線部だけを書き写すのではなく、前後の語を含めた短いまとまりを残す方法です。5分の中で1問選び、「切れ目」「上」「下」「意味」のうち決め手になった箇所へ線を引きます。お子さまの確認を手伝う場合も、品詞名を当ててもらうだけでなく、「どの形が根拠なのか」を尋ねると、説明の抜けた場所が見えます。
個別指導で確かめる際は、「なむ」を誤ったから「なむ」の表に戻るとは限りません。「咲か」と「咲き」を区別できなければ動詞の活用へ、「な」と「む」を分けられなければ語の切れ目へ戻ります。誤答の直前にある判断まで戻ると、復習する範囲が具体的になります。
まとめ
初めての文章で答えがすぐ出ないときも、傍線の前後には調べられる手掛かりが残っています。「今は未然形と連用形が同形だから、願いなのか予想なのかを確かめる」と言えるなら、迷いには次の行動がついています。正解の名称を見て納得するだけでなく、自分の答えがどの接続で支えられているかを1か所示してみましょう。
識別の答えは、傍線の中だけではなく、その語を支える前後のつながりにあります。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。


