
武蔵野個別指導塾の特徴
【高校現代文】小説の読み方を図解で総まとめ—人物・場面・心情・情景描写・象徴・視点|武蔵野個別指導塾

行動や会話を根拠に心情を説明し、回想・視点・象徴を読み取る手順を3枚の図と自作の例題で確かめます。理由と表現の効果を書き分ける練習にも取り組めます。
よくあるのは、夕食を待つ台所で小説の問題を開き、登場人物が「平気だよ」と笑う場面に「安心している」と書いたのに、その後の解説では不安な気持ちが説明されていて、どこを読めばよかったのか迷うという場面です。言葉の意味はわかるのに答えが決まらないと、小説は自分と登場人物の性格が合わないと読めないものに思えてしまいます。
けれども、心情の答えは、読者がその人物になりきって自由に作るものではありません。誰に向けた言葉なのか、直前に何があったのか、笑った後で何をしたのかをつなぐと、言葉だけでは見えなかった気持ちが絞られます。小説の読解で必要なのは、感じ取った印象を、本文のどの表現が支えているか確かめることです。
ここでは、場面と人物の関係を整理するところから、心情・理由・表現の効果を答案にするところまで進めます。以下の短い文章はすべて、この読み方を練習するために作ったものです。
この単元で身につけること
- 場面の切れ目を見つけます。時間、場所、登場人物の組み合わせを確かめ、段落が変わったことと場面が変わったことを区別します。
- 心情を根拠から説明します。行動、会話、情景を見比べ、人物が何に対してどのような思いを抱いているかを言葉にします。
- 語り手と視点を区別します。誰が語っているかと、誰の知覚や認識に沿って描かれているかを確かめ、見えていない人物の内心を補いすぎないようにします。
- 時間の順序を整理します。出来事が起きた順と、読者に示された順を分け、回想を挟む意味を考えます。
- 象徴や伏線を文脈から読みます。物や景色の意味を固定せず、繰り返しや後の展開との関係を根拠に説明します。
- 設問に合う形で答えます。心情なら気持ち、理由なら原因、表現の効果なら描き方が読者の理解にどう働くかを中心に据えます。
中学国語で学んだ「叙述を根拠に人物の気持ちを考える」という読み方を、高校では語りの仕組みや時間の構成にも広げていきます。難しい感情語を多く知ることより、根拠と説明の対応をはっきりさせることが先です。
基本の考え方
人物と場面を、動きのある関係として読む
最初に押さえるのは、誰が、いつ、どこで、誰と関わっているかです。ただし、人物を「優しい人」「冷たい人」と一度決めて終えてはいけません。同じ人物でも、友人の前では強気に話し、家族の前では黙ることがあります。性格の評価に進む前に、相手によって態度が違うという事実を拾います。人物関係は、名前を線で結ぶだけでなく、「頼りたいが頼れない」「謝りたいが言い出せない」のような、その場の関係として捉えると役立ちます。
場面の区切りを探すときは、「翌朝」「あの日」「駅を出ると」などの時間や場所の言葉に注目します。登場人物が入れ替わったり、会話の相手が変わったりすることも手がかりです。ただし、段落が変わるたびに場面が変わるわけではありません。同じ部屋で続く会話が複数の段落に分かれることもあり、逆に短い一段落の中で何年もの経過が語られることもあります。
場面ごとに「場所」「時間」「中心人物」「変化のきっかけ」を短くメモすると、心情の前後を比べやすくなります。たとえば、友人を待つ人物が時計を何度も見る場面と、友人が到着しても目を合わせない場面を分けます。待つ間の不安が、到着後の怒りや気まずさへ変わった可能性を考え、その間の出来事を探すのです。変化を説明するには、変化後の一文だけでなく、出発点となる態度も必要です。
心情は、出来事への受け止め方を挟んで考える
「心情」は、その場面で人物が抱く感情や思いです。「悲しい」「うれしい」という名前だけでなく、何を失って悲しいのか、誰に認められてうれしいのかまで考えます。出来事が同じでも、人物の置かれた状況や大切にしているものが違えば、受け止め方は変わるからです。
心情が「悔しかった」と直接書かれている場合は、まずその記述を押さえます。そのうえで、悔しさの対象や原因を周辺から補います。直接の説明がない場合は、言葉、表情、しぐさ、行動の変化を手がかりに推測します。「うつむいた」だけで悲しみと決めることはできません。叱られた後なら恥ずかしさ、礼を言われた後なら照れ、責任を問われた後なら後ろめたさというように、前後の文脈で候補を絞ります。
図1のように、描写からすぐに感情語へ飛ぶのではなく、その出来事を人物がどう受け止めたかを考えると、答えのつながりが見えます。ここでの受け止め方は自由な想像ではなく、会話や行動に照らして説明できる内容です。

たとえば「手紙を読み、机の奥にしまった」という文だけでは、大切に保存したのか、見たくなくなったのかは決まりません。「何度も読み返してから」があれば前者を支える可能性が高まり、「封筒を伏せ、二度と触れなかった」があれば後者を考える材料になります。心情を一つに絞れないときは、根拠の不足を読者の感受性の不足に置き換えないことです。
会話についても、発言内容と本心がいつも一致するとは限りません。相手を安心させるために不安を隠すことも、自分の失敗を認めたくなくて強がることもあります。ただし、「会話は全部本心の反対」と読むのも誤りです。発言と行動の食い違いがあるか、話す相手に配慮する理由があるかを確かめてから判断します。
情景描写は、風景、天候、音、光など、人物の周囲の様子を描く表現です。暗い景色が不安と重なったり、明るい周囲と孤独な人物が対比されたりしますが、「雨なら悲しみ、晴れなら喜び」という決まりはありません。悲しい人物の前で空だけが晴れ渡る描写は、周囲との隔たりを強めることもあります。情景そのもの、誰がそれを見ているか、その前後の心情を一組にして読みます。
語り手・視点・時間・象徴を分けて捉える
語り手とは、物語を語る存在です。作品を書いた作者そのものと同一視しません。「私」が自分の経験を語る一人称の語りでも、その「私」はまず作品内の語り手として扱います。また、「私」が見聞きできることと、他人が心の中だけで考えたことは区別します。語り手が「弟は怒っているに違いない」と語っていても、確実に示されているのは語り手の推測であり、弟の内心がそのまま確定したわけではありません。
視点を確かめる際は、「誰の目や耳を通して示されているか」「誰の内面まで読者に伝えられているか」を問います。三人称の語りでも、一人の人物の知覚に沿う場合と、複数の人物の内面が示される場合があります。人称だけで、語り手が何をどこまで知っているかを決めないようにします。視点は物語の途中で移ることもあるので、段落や場面ごとに確認します。
時間については、出来事が起きた順と、文章に書かれた順を分けます。現在の行動を描いてから過去に戻るのが回想で、現在のためらいの背景が後から明らかになることがあります。反対に、長い年月を一文でまとめると、経過よりもその後の出来事に注意が向きます。時間を長く使って詳しく描く場面と、短くまとめる期間の違いも、作品が何を印象づけているかを考える手がかりです。
象徴は、具体的な物や風景が、その文脈で思いや関係などの抽象的な意味を担うことです。古い鍵が、失われた家への愛着を表す場合もあれば、新たな暮らしへの入口を表す場合もあります。物の一般的なイメージだけで答えず、人物がどう扱い、どの場面で繰り返されるかを見ます。伏線は、前に置かれた描写が後の展開に関わり、その展開を準備する働きです。後の出来事との対応が確かめられない段階では、目立つ小物をすべて伏線と呼ぶことはできません。
例題で解き方を確かめる
例題1 会話と行動から心情を説明する
本文を読み、妹に対する真衣の気持ちを説明しましょう。
発表の順番が近づき、真衣は原稿の端を何度も折り直した。妹が「大丈夫?」と聞くと、真衣は「平気だよ」と笑った。妹が客席へ戻るのを見届けてから、真衣は震える指を片方の手で包んだ。
- 問われている相手を確認します。「妹に対する」とあるので、発表への恐怖だけで答えを終えないためです。
- 会話と前後の行動を対照します。「平気だよ」に対して「何度も折り直した」「震える指」があり、不安や緊張が続いていると読めるためです。
- 行動の順序を確かめます。妹が戻った後に震える指を包んだので、妹の前では不安を見せまいとしたという解釈が支えられるためです。
- 自分の状態と相手への思いをつなぎます。「緊張しているが、妹を心配させたくない」という二つの内容を入れると、笑顔の意味も説明できるためです。
「妹を嫌っているので本音を隠した」とすると、隠す理由を本文にない人物関係で補っています。また、「発表の成功を確信している」とすると、震える指の描写を説明できません。妥当な答えは、複数の描写に同時に合う必要があります。
答え:発表に不安を感じながらも、妹には心配をかけず、安心させたいという気持ち。
例題2 行動の理由を変化から読む
本文を読み、蓮が椅子を引き寄せた理由を説明しましょう。
蓮は、父に進路の話をしても否定されるだけだと思い、立ったまま短く答えていた。父は口を挟まずに聞き、蓮が話し終わると「もう少し、その計画を聞かせてくれ」と言った。蓮は戸口から戻り、父の向かいに椅子を引き寄せた。
- 行動の前の状態を押さえます。「否定されるだけ」という予想と「立ったまま」という態度を結びつけると、話を続けることに消極的だったと読めるためです。
- 変化を起こした出来事を探します。父が遮らずに聞き、さらに説明を求めたことが、蓮の予想と異なるためです。
- 行動が示す方向を言葉にします。戸口から戻って座ろうとする行動は、その場で話を続けようとする意思を示すためです。
- 原因と新たな意思を「ので」「から」でつなぎます。理由の設問には、「椅子に座りたかったから」という動作の言い換え以上の説明が必要なためです。
図2のように、「警戒」から「話す意欲」への間には、父の聞き方というきっかけがあります。この図は気持ちの強さを数値化したものではなく、変化の順序を示したものです。

ここで「父が計画に賛成したから」と書くのは行き過ぎです。父は続きを聞きたいと言ったのであって、計画の実行に賛成したとは書かれていません。「自分の話を聞いてもらえると感じた」と表現すれば、本文の示す範囲に収まります。
答え:父が否定せずに話を聞き、さらに説明を求めたことで、計画を聞いてもらえると感じ、話を続けようと思ったから。
例題3 回想と視点の働きを考える
本文を読み、過去の場面を挟む効果を説明しましょう。また、姉が現在も怒っていると断定できるか考えましょう。
私は姉の部屋の前で、上げかけた手を下ろした。昨日、姉の大切な箱を壊したとき、姉は何も言わず破片を集めていた。その沈黙を思い出すと、今も姉が怒っている気がした。扉の向こうの姉の顔は、私には見えなかった。
- 時間を示す語を拾います。「昨日」と「今も」を分けることで、すべてが同時に起こったように読む誤りを防げるためです。
- 出来事が起きた順に並べます。「箱を壊す」「姉が破片を集める」「現在、部屋の前でためらう」という順を確かめると、過去が現在に与える影響を考えられるためです。
- 文章での提示順と比べます。最初にためらいが描かれ、その後で箱を壊した過去が示されるので、読者はためらいの背景を後から知るためです。
- 確定した事実と推測を分けます。「怒っている気がした」は「私」の判断であり、現在の姉の表情も見えていないので、姉の内心までは確定できないためです。
効果を「話がわかりやすくなる」とだけ書くと、どの部分がどう理解できるかが抜けます。現在の行動である「手を下ろした」に戻り、罪悪感や姉の反応への不安という背景が伝わることまで説明します。ただし、この短い文章だけでは、声をかけて謝ろうとしたのか、別の用件で訪ねたのかは確定しません。
答え:回想によって、箱を壊した罪悪感と姉の反応への不安が現在のためらいの背景にあると伝わり、姉の現在の怒りは「私」の推測にとどまる。
例題4 象徴・伏線・情景の効果を区別する
本文を読み、赤い布の働きと、最後の風景の描写の効果を説明しましょう。
出発の朝、母は古い鞄の持ち手に赤い布を結び、「目印に」とだけ言った。改札を抜けるとき、私はそれを子ども扱いのように感じ、布を握り隠した。旅先で持ち手の縫い目が裂けた。赤い布をほどいて結び直すと、鞄を持ち上げられた。私は母の指が何度も結び目を確かめていたことを思い出し、今度は布を隠さず歩いた。夕日の中で、赤い布だけが鮮やかに見えた。
- 同じ物の登場箇所を追います。「結ぶ」「隠す」「結び直す」「隠さず歩く」を並べると、布への態度が変化していることがわかるためです。
- 後の展開との関係を確認します。初めの布が後で鞄を支えるので、初めに結ぶ描写がその展開を準備していると説明できるためです。
- 物が担う意味を人物関係から考えます。母の手つきを思い出し、布を隠さなくなるので、布が母の気遣いを感じさせるものになったと読めるためです。
- 最後の景色を誰が見ているか確かめます。「鮮やかに見えた」は「私」の見え方であり、母への受け止め方の変化とつながるためです。
布が後で役立つことは本文に明記されていますが、「母は旅先で鞄が壊れることを予知していた」とは言えません。伏線は文章の構成上の働きであり、登場人物が未来の出来事を知っていることを意味しません。また、赤という色だけを取り出して「情熱の象徴」とするより、母の動作と「私」の変化を根拠にする方が、この文章に即しています。
答え:布を結ぶ描写は後で鞄を支える展開への伏線となり、布は母の気遣いを表すものとなって、その鮮やかさが母の気遣いを受け入れた「私」の変化を際立たせている。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 気持ちの名前だけを書いてしまう
誤った書き方は、例題1に対して「不安な気持ち」とだけ答えることです。真衣自身の状態は捉えていますが、「妹に対する」という設問の条件が抜けています。本文を理解していても、設問が求めた関係を答えなければ、説明は足りません。
正しい書き方は、「発表に不安を感じながらも、妹を心配させたくない気持ち」のように、感情の対象や相手への思いを加えることです。反対に、根拠のない感情語をいくつも足す必要はありません。「不安で、悲しくて、悔しくて、寂しい」と並べる前に、それぞれに対応する描写があるかを調べます。
誤り2 人物や語り手の判断を事実に変えてしまう
誤った書き方は、例題3を読んで「姉は今も怒り、私を拒絶している」と断定することです。「怒っている気がした」は「私」の推測であり、「拒絶している」という姉の態度も描かれていません。語り手が感じたことを読むのは必要ですが、それが物語内の事実とどこまで一致するかは別に確かめます。
正しい書き方は、「私は、姉がまだ怒っているのではないかと不安を抱いている」です。図3のように、見聞きした事実と人物の推測を分け、その両方を踏まえて答えの範囲を決めます。「沈黙していた」は確認できても、沈黙の理由を一つに決めるには別の根拠が要ります。

この確認は、選択問題にも使えます。選択肢の前半が正しくても、後半に「すべて許されたと確信した」のような強い断定があれば、その部分に根拠があるかを点検します。もっともらしい説明の全体に流されず、主語と断定の強さを一つずつ照合します。
誤り3 表現の効果を感想だけで終える
誤った書き方は、例題4の最後について「きれいで印象的だから」と答えることです。読者の感想だけになり、赤い布が何を表し、その描き方によって人物のどんな変化が伝わるかが示されていません。「臨場感がある」「読み手を引き込む」も、具体的な説明が続かなければ、多くの作品にそのまま当てはまってしまいます。
正しい書き方は、「布の鮮やかさを強調することで、母の気遣いを受け入れた『私』の変化を際立たせる」です。表現の効果は、まず描き方の特徴を挙げ、次に何が伝わるかを書きます。繰り返しなら何が強調されるのか、対比ならどの違いが際立つのか、回想なら現在の何の背景が示されるのかまで進めます。
なお、象徴と伏線を同じ意味で使わないようにしましょう。象徴を問われたら「何を表すか」、伏線を問われたら「後のどの展開につながるか」に答えます。一つの物が両方の働きを持つことはありますが、答案で説明すべき関係は異なります。
練習問題
練習1 発言と行動の食い違いを読む
優は、転居する友人に「新しい町でも元気で」と明るく言った。友人の姿が角に消えるまで手を振り、見えなくなると、書いてもらった住所の紙を胸の前で握りしめた。
優は友人との別れをどのように受け止めていますか。明るい言葉と、その後の行動の両方を根拠に説明しましょう。「泣いた」とは書かれていないことにも注意します。
練習2 情景を文脈とつなぐ
落選の知らせを読んだあと、私は公園を横切った。広場から笑い声が弾み、噴水は光を散らしていた。そこだけが、自分のいる場所から遠く離れているように見えた。
広場の明るい様子を描くことで、どのような心情が際立っていますか。明るい景色だから「私」も喜んでいる、と機械的に結びつけずに考えましょう。
練習3 出来事の順序と提示の順序を分ける
美緒は駅の伝言板の前で足を止めた。3年前、この板に祖父が迎えの時刻を書いてくれた。半年前に祖父を亡くしてから、美緒がこの駅を訪ねるのは初めてだった。消えかけた白い線を見ながら、美緒はしばらく動かなかった。
出来事を実際に起きた順に並べましょう。また、過去の説明を挟むことで、現在の美緒の行動がどう理解できるか説明しましょう。白い線を祖父の文字だと断定できるかも考えます。
練習4 物の働きを区別する
工房の扉には、開くたびに鈴が鳴った。見習いの航は、その音を聞くと師匠が来たと思い、背筋を伸ばした。やがて独り立ちした航は自分の工房に同じ鈴を掛けた。その音がすると、教わった通りに道具を並べ直した。
航にとって鈴の音は、どのような意味を持つと考えられますか。また、この文章だけから「最後に師匠が訪ねてくる伏線だ」と断定してよいか、理由とともに答えましょう。
答えと解説
練習1の答え:友人を明るく送り出そうとしながらも、別れを寂しく感じ、離れてもつながりを大切にしたいと思っている。
友人が見えなくなるまで手を振る行動と、住所の紙を握りしめる行動をつなぎます。「明るく言った」だけで平気だと判断したり、「握りしめた」だけで怒りを想像したりしないようにします。紙に書かれているのが住所であることは、その後のつながりを考える根拠になります。
練習2の答え:落選して落ち込む自分と、明るく楽しげな周囲との隔たりから生じる孤独感が際立っている。
「自分のいる場所から遠く離れているように」が、気持ちの隔たりを支えます。公園までの実際の距離の説明ではありません。明るい情景が心情と対照をなす場合の読み方を確かめる問題です。
練習3の答え:祖父が迎えの時刻を書く、祖父が亡くなる、美緒が駅を再訪する、の順で、回想から祖父との記憶と喪失感によって足を止めたと読めるが、白い線が祖父の文字だとは断定できない。
3年前、半年前、現在という時間を確かめます。過去の説明があることで、足を止める動作が単なる待ち合わせなどではなく、祖父の記憶に関わるものと理解できます。白い線の書き手は示されていないので、年月がたっても祖父の文字が残っていると補わないことが必要です。
練習4の答え:鈴の音は、師匠の教えと作業に向かう姿勢を思い起こさせるものとなっており、師匠の来訪は描かれていないので、その来訪への伏線とは断定できない。
初めは師匠が来たと思って背筋を伸ばし、後では教わった通りに道具を並べ直しています。二つの場面を比べることで、鈴と師匠の教えの結びつきを説明できます。将来その出来事が起こりそうだという予想と、実際の文章の中で後の展開との対応を確かめることは区別します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
小説で「描写と説明を対応させる」習慣をつけると、随筆の体験と考察を読み分ける際にも役立ちます。記述問題では、本文から拾った材料をそのまま並べるのではなく、問われた心情や理由の形に組み直す力につながります。また、語り手の推測と事実を分ける姿勢は、文章全体の信頼性や複数の立場を考えるときにも必要です。
家庭では、次の二つをそれぞれ5分で試せます。長い作品を一度に整理する必要はなく、授業で扱った短い範囲から始めます。
- 一つの心情の答えに対して、根拠となる表現を二つ探します。その二つが同じ方向を示すのか、言葉と行動の食い違いなのかを一言で説明します。
- 一つの場面を選び、「本文に書かれた事実」と「人物または自分の推測」を分けてメモします。推測には、その根拠を添えられるか確かめます。
保護者の方がお子さまの説明を聞く場合は、感情語をすぐに直すより、「どの言葉からそう考えたの」と根拠を尋ねると、読み方を確かめられます。個別指導では、答えがずれた箇所から、主語、発言の相手、時間を示す語まで戻ります。場面整理ができている場合は、根拠から答案へ言い換える過程を確認します。
まとめ
小説の答案を見直すときは、一つの言葉だけで決めていないか、人物の見えない内心を補っていないか、表現の効果を作品に即して説明したかを点検します。読みが複数考えられる箇所でも、本文にない理由を足した説明と、複数の描写に支えられた説明を区別することはできます。
答えに迷ったら、新しい感情語を探す前に、人物が見たもの、言ったこと、その後の動きに戻りましょう。小説の読解で答えを支えるのは、気持ちを当てる勘ではなく、一つのしぐさを前後の言葉につなぐ根拠です。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




