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【中学公民】民主政治と国会・内閣・裁判所を図解で総まとめ—選挙と三権分立|武蔵野個別指導塾

国会・内閣・裁判所の役割を3枚の図で整理し、得票から議席を考える例題や不信任決議の読み取りを通して、民主政治を支える制度のつながりをたどれます。
よくあるのは、図書館の新聞閲覧席で「内閣が法律案を提出」という見出しを読み、「法律をつくるのは国会ではなかったのか」と手が止まる場面です。ノートには国会・内閣・裁判所を別々に書けても、実際の政治では同じ出来事に複数の機関が登場します。これは役割分担が崩れているからではなく、それぞれがつながりながら働くしくみだからです。
理解の手がかりは、「案を出す」「決める」「実行する」「適法か判断する」という動詞を分けることです。さらに、その働きを誰が選び、誰が確かめるのかを追うと、選挙から三権分立までがつながります。政治の用語は、機関名だけを覚えると似て見えます。ここでは、ある機関から別の機関へ向かう矢印を、短い文に直せるようにしていきます。
この単元で身につけること
- 民主主義と多数決の関係を説明します。多数決の前の話し合いと、少数意見や人権を尊重する必要性を押さえます。
- 選挙制度の違いを読み取ります。小選挙区制と比例代表制では、同じ票でも議席への結びつき方が異なることを確かめます。
- 国会と内閣の仕事を区別します。法律や予算について、作成・議決・実行を担当する機関を動詞と組み合わせます。
- 裁判所の役割を説明します。民事裁判と刑事裁判、三審制、裁判員制度を、何のための制度かまで整理します。
- 三権分立の関係をたどります。権力を分け、互いに抑制するしくみが、国民の権利を守ることにつながると理解します。
前の単元で学ぶ日本国憲法の国民主権と基本的人権の尊重は、誰のために政治を行い、権力をどのように制限するかを考える土台です。
基本の考え方
意見を政治につなげるしくみ
民主主義とは、人々が政治のあり方を決める考え方です。国の政治では、国民が選挙で代表者を選び、その代表者が議会で話し合う間接民主制が中心です。多数決は意見をまとめる方法ですが、数の多い側が何をしてもよいわけではありません。十分に議論し、少数意見も聞いたうえで決め、人権を尊重する必要があります。
例えば、集会の会場を選ぶとき、多数が便利な場所でも、段差のため参加できない人がいれば、その問題を検討します。「賛成が多い」という理由と、「誰もが参加できる」という条件は別に確かめる必要があります。議論を通じて案を修正することも、民主的な決め方の一部です。
日本では、満18歳以上の日本国民に選挙権が認められています。普通選挙は財産などで選挙権を制限しないこと、平等選挙は選挙権を平等に扱うこと、秘密選挙は投票内容を秘密にすること、直接選挙は有権者が代表者を直接選ぶことです。1票の価値に大きな差が生じる「一票の格差」は、投票の平等に関わる問題です。
政党は、政治について共通する考えや政策をもつ人々がつくる団体です。政権を担う政党を与党、それ以外を野党と呼び、複数の政党が協力する連立政権もあります。世論は社会の問題について人々の間に形成される意見です。報道やインターネットから情報を得る際は、事実と意見を分け、発信元や異なる説明も確かめます。選挙後にも、政治の動きに関心をもち、意見を伝えることができます。
国会が決め、内閣が実行する
国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。全国民の代表者が集まり、法律の制定、予算の議決、条約の締結の承認、内閣総理大臣の指名などを行います。各議院には国政調査権があり、政治の実情を調べます。衆議院と参議院による二院制は、異なる構成の議院で慎重に審議するためのしくみです。
法律案は議員だけでなく内閣も提出します。通常は委員会で詳しく審査し、本会議で議決します。原則として両議院で可決されると法律になります。「内閣が案を出した」と「内閣が法律を成立させた」は、同じ意味ではありません。
衆議院の任期は4年で解散があり、参議院の任期は6年で解散がなく、3年ごとに半数が改選されます。衆議院は国民の意思をより直接に反映しやすいとされ、一定の場合に衆議院の優越が認められます。予算は衆議院から先に審議し、予算の議決、条約の承認、首相の指名では、両院協議会でも一致しない場合などに衆議院の議決が国会の議決になります。
内閣は行政権を担い、法律や予算に基づいて政治を実行します。予算案の作成、条約の締結なども仕事です。内閣総理大臣とその他の国務大臣で構成され、首相は国会が国会議員の中から指名し、天皇が任命します。首相が国務大臣を任命し、その過半数は国会議員でなければなりません。内閣が国会の信任に基づいて成り立ち、国会に対して連帯して責任を負うしくみを議院内閣制といいます。
裁判所が権利を守る
裁判所は司法権を担い、具体的な争いや事件について、法に基づいて判断します。個人や企業などの争いを扱うのが民事裁判、犯罪について検察官が起訴した被告人の有罪・無罪や刑罰を判断するのが刑事裁判です。裁判官は良心に従い独立して職権を行い、憲法と法律にのみ拘束されます。政治の都合で判決を命じることはできません。
図1のように、国会・内閣・裁判所は役割を分け、互いに抑制し合います。これを三権分立といいます。図の矢印は、内閣の行政や国会の法律について、裁判所が憲法に反しないか審査する向きを示しています。違憲審査権は下級裁判所ももち、最高裁判所が最終的に判断します。

例題で解き方を確かめる
例題1 仕事を動詞で分ける
「予算案を作成する」「予算を議決する」「法律に基づく争いを裁判する」を担当する機関を、それぞれ答えましょう。同じ予算についての仕事でも、動詞が変わる点に注目します。
- まず仕事の中心となる動詞を探します。「作成」と「議決」を分けると、案と決定の違いが見えるからです。
- 作成は内閣、議決は国会と対応させます。内閣は行政に必要な予算を提案しますが、国会の審議と議決を経る必要があるからです。
- 裁判は裁判所と答えます。法律を実行する行政と、争いについて法的に判断する司法を区別するためです。
答えは順に「内閣、国会、裁判所」です。「国のお金だから内閣」と対象だけで決めず、どの段階の仕事なのかを読むと安定します。
例題2 票が議席になるしくみを読む
ある小選挙区で、A党の候補が50票、B党の候補が30票、C党の候補が20票を得たとします。候補者はこの3人だけです。当選者を答えましょう。また、比例代表の考え方を確かめるため、各党の得票が同じ割合で、10議席をその割合どおりに分ける例では、何議席ずつになるでしょうか。
- 小選挙区の定数を確認します。1つの選挙区から1人を選ぶ制度なので、最も多く得票したA党の候補が当選します。
- 比例代表の例では、総得票を求めます。50+30+20=100票なので、各党の割合を同じ基準で比べられます。
- 10議席に各党の割合をかけます。A党は10×50÷100=5議席、B党は3議席、C党は2議席です。合計が10議席になるかも確かめます。
図2は、比例代表の例を1マス1議席として表したものです。実際の比例代表選挙には議席を整数で配分する手順がありますが、この例では割合がちょうど整数の議席になります。小選挙区の結果と比例代表の結果は、別々の条件で比べています。

小選挙区制では当選者を選びやすい一方、落選者への票が議席に結びつかない死票になりやすい面があります。比例代表制は少数意見も議席に反映されやすい一方、多くの政党に議席が分かれることがあります。衆議院議員の選挙は小選挙区比例代表並立制で、2つの制度を組み合わせています。衆議院では小選挙区に候補者名、比例代表に政党名を書きます。参議院では選挙区選挙と比例代表選挙を行い、比例代表には候補者名または政党名を書けます。
例題3 衆議院の優越を判断する
衆議院が可決した法律案を参議院が否決しました。衆議院の再議決に300人が出席した場合、法律にするために必要な賛成は最低何人でしょうか。全員が議決に参加するものとします。
- 対象が法律案か予算かを読みます。衆議院の優越でも、対象によって手続きが違うからです。
- 法律案の再議決には、衆議院の出席議員の3分の2以上の賛成が必要だと確認します。最初の可決だけでは成立しないからです。
- 300×2÷3=200と計算します。「以上」は200を含むため、答えは最低200人です。
199人では条件を満たしません。「衆議院の決定はいつもそのまま通る」と覚えると、この違いを見落とします。予算などの手続きを法律案に当てはめないようにします。
例題4 権力を分ける理由を説明する
「選挙で選ばれた国会がつくった法律を、裁判所が審査するのはなぜですか」と問われたら、どう答えるでしょうか。国会の地位と、憲法による制限をつなげて考えます。
- 民主政治でも権力の行使が人権を侵害する可能性を考えます。多数の支持があることだけでは、憲法に適合する保証にならないからです。
- 裁判所の違憲審査権を使って説明します。国会の判断を別の機関が確かめる関係を示せるからです。
答えは「権力の濫用を防ぎ、憲法に基づいて国民の権利や自由を守るため」です。国会が最高機関であることは、裁判所に特定の判決を命じられるという意味ではありません。
つまずきやすいところと直し方
三権分立なら、国会と内閣は無関係だと思う
誤った覚え方は「分立しているので、互いに関わらない」です。役割を分けることと、接点がないことは違います。国会が首相を指名し、衆議院が内閣不信任を決議できる点が、議院内閣制の重要なつながりです。
図3のように、内閣不信任決議案が可決された場合、10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職しなければなりません。解散の場合は総選挙が行われ、その後初めて国会が召集されたときに内閣は総辞職し、首相の指名へ進みます。参議院は解散されません。解散は内閣が決定し、天皇が内閣の助言と承認により国事行為として行います。

内閣は最高裁判所長官を指名し、その他の最高裁判所裁判官を任命します。国会は裁判官の罷免を審理する弾劾裁判所を設けます。国民には最高裁判所裁判官の国民審査という関わり方もあります。ただし、これらは個々の判決に政治が口出しするしくみではありません。
三審制を、全事件で必ず3回裁判することだと思う
誤った覚え方は「裁判は必ず3回」です。三審制は、判決に不服がある場合、原則として上級の裁判所に訴え、3段階の審理を受けられる制度です。自動的に3回進むのではなく、誤りを正して慎重な判断をする機会を設けています。
第1審から第2審への不服申立てを控訴、第2審から第3審へを上告といいます。地方裁判所から高等裁判所、最高裁判所へ進むのが代表的な経路です。ほかに家庭裁判所や簡易裁判所もあり、事件の種類によって出発点や経路は異なります。
裁判員が、すべての裁判を担当すると思う
誤った覚え方は「国民が裁判官の代わりになる」です。裁判員制度は、一定の重大な刑事事件の第1審で、選ばれた国民が裁判官と一緒に有罪・無罪や刑の内容を判断する制度です。民事裁判や、すべての刑事裁判が対象ではありません。
原則として裁判員6人と裁判官3人が参加します。裁判員だけで自由に判断するのではなく、法廷で示された証拠に基づいて話し合います。一般の人の感覚を裁判に反映させることと、法に従って判断することを両立させるしくみです。
練習問題
練習1
多数決で決める前に必要なことを、少数意見という語を使って説明しましょう。賛成者の人数だけでは十分でない理由も考えます。
練習2
比例代表の考え方を確かめる例です。得票がA党60票、B党40票で、10議席を得票の割合どおりに分けると、各党は何議席ですか。
練習3
国会と内閣が予算について行う仕事を1つずつ答えましょう。また、内閣が国会に対して連帯して責任を負うしくみを何といいますか。
練習4
「裁判員制度は民事裁判にも必ず用いられ、裁判員だけで判決を決める」という文の誤りを2点直しましょう。
答えと解説
練習1:少数意見も尊重し、十分に話し合うことです。多数の賛成だけでは、少数の人の権利が守られるとは限りません。
練習2:A党6議席、B党4議席です。総得票100票に対する割合を10にかけ、合計10議席も確認します。
練習3:国会は予算の議決、内閣は予算案の作成を行います。しくみは議院内閣制です。内閣の提案と国会の決定を分けて答えます。
練習4:対象は一定の重大な刑事事件の第1審です。また、裁判員は裁判官と一緒に判断します。対象と参加者の2点を直します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
次に地方自治を学ぶと、議会と首長がそれぞれ住民の選挙で選ばれるしくみが登場します。国の首相は国会が指名するので、「誰が誰を選ぶか」に注目すると違いが見えます。財政を学ぶときにも、内閣が予算案を作成し、国会が議決する関係が土台になります。
家庭では5分で、まず白紙に国会・内閣・裁判所を書き、仕事を1つずつ添えてみます。次に新聞の短い見出しを1つ選び、「誰が何をしたか」に線を引き、3つの機関と結びつけます。保護者の方は、お子さまが機関名だけでなく動詞まで説明できるかを聞くと、理解を確かめやすくなります。
個別指導では、矢印の向きに迷う場合、「案を出す」と「議決する」の区別まで戻って確認します。その区別がついたら、権限の名前と、それが必要な理由をつなげます。
まとめ
政治のニュースでは、「決めた」という短い言葉の中に、提案・審議・議決・実行の違いが隠れています。機関名を探すだけでなく、動詞と相手を確かめると、どこで議論し、どこで判断を見直せるのかが見えてきます。選挙で代表を選ぶことも、裁判を通じて権利を守ることも、そのつながりの中に位置づけられます。
民主政治を読む力は、決定した人の名前より、その決定を確かめる手続きを問うところに表れます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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