【中1理科】水溶液を図解で総まとめ—溶ける仕組みから濃度・溶解度・再結晶まで|武蔵野個別指導塾

食塩水の濃度計算と溶解度のグラフを、粒子の図や例題で確かめます。冷やすと出てくる結晶の量や、ろ過で分けられるものまで、計算の理由と結びつけると、計算の迷いが減ります。

よくあるのは、夕方の台所のテーブルで宿題を広げ、「食塩10 gを水90 gに溶かした」という問題の10を90で割り、その先で手が止まるという場面です。水の量で割るのか、食塩水の量で割るのか。数字は読めていても、何をひとまとまりとして考えるかが決まらないと、濃度の式は選べません。

水溶液の学習では、目に見える変化と、見えない物質の行方を結びつけます。食塩が見えなくなっても質量はなくならず、水を加えれば全体の量が変わります。また、同じ水の量でも温度によって溶ける限度が変わる物質があり、それを利用すると結晶を取り出せます。

まず物質の名前と量を分けて書き、次に図や式で関係を表してみましょう。濃度、溶解度、再結晶をばらばらの暗記事項にせず、「今、水と溶けている物質はそれぞれ何gあるか」という問いでつなぐと、文章問題の条件を整理できます。

この単元で身につけること

  • 溶質・溶媒・溶液を区別します。 食塩水なら、食塩、水、食塩水がそれぞれどれに当たるかを説明します。
  • 溶ける前後を粒子のモデルで表します。 見えなくなることと、物質がなくなることの違いを確かめます。
  • 質量パーセント濃度を求めます。 溶けた物質の質量が、水溶液全体の質量の何%かを計算します。
  • 溶解度曲線を読み取ります。 温度だけでなく、基準となる水の質量にも注目して溶ける限度を判断します。
  • 再結晶とろ過の役割を説明します。 結晶を生じさせる操作と、生じた結晶を液体から分ける操作を区別します。

小学校で学ぶ物の溶け方や割合、前の単元で扱う質量の測定が土台になります。多くの教科書では中1で学びますが、計算で迷ったときは新しい公式を増やす前に、割合の「全体」に戻ると整理できます。説明問題でも、用語だけで終えず、何がどうなったかまで書くことを目指します。

基本の考え方

溶けても物質は水の中にあります

液体に溶けている物質を溶質、溶かしている液体を溶媒、溶質が溶媒に溶けたものを溶液といいます。溶媒が水の溶液が水溶液です。砂糖水なら砂糖が溶質、水が溶媒です。溶質は固体に限らず、二酸化炭素のような気体の場合もあります。

溶ける様子は、物質が目に見えないほど小さな粒子として水の中に広がるモデルで考えます。図1は、水の粒子を省き、溶質だけを丸で表した模式図です。左ではまとまっている粒子が、右では水全体に広がっています。実際の粒子がこの大きさの丸になって見えるわけではありません。

図1 溶質の粒子が水全体に均一に広がる模式図

図1のように溶けて均一になった水溶液は、ふたをして水の蒸発などを防いでおけば、時間がたっても溶質が底に沈んで分かれることはありません。上の部分も下の部分も、同じ質量を取り出せば含まれる溶質の質量は同じです。砂と水を混ぜたもののように、やがて沈んで分かれる状態とは区別します。

水溶液は透明ですが、無色とは限りません。色があっても向こう側を見通せるものはあります。「色がついているから水溶液ではない」とは判断できません。また、溶けることは、加熱して固体そのものが液体になることとも違います。水溶液では、溶質と溶媒という別の物質に注目します。

こぼれたり蒸発したりしなければ、溶けたあとの全体の質量は、溶かす前の溶質と溶媒の質量の合計です。見た目から食塩が消えたように感じても、10 gの食塩と90 gの水からできる食塩水は100 gです。容器ごと量るときは、容器の質量を引いて比べます。

濃度と溶解度は基準が違います

質量パーセント濃度は、溶液全体の質量に対する溶質の質量の割合です。計算は「質量パーセント濃度 = 溶質の質量 ÷ 溶液の質量 × 100」で、単位は%です。分子も分母もgでそろえます。水の体積がmLで書いてある場合は、質量へ直すための条件を先に確認します。

これに対し、溶解度は、一定の温度で水100 gに溶ける物質の最大の質量をgで表した値です。それ以上その物質が溶けられない水溶液を飽和水溶液といいます。溶け残りを取り除いても、その温度で限度まで溶けていれば飽和水溶液です。底に固体が見えることが定義ではありません。

溶解度曲線は、横軸の温度と縦軸の溶解度の関係を示します。多くの固体では温度が上がると溶解度が大きくなりますが、増え方は物質ごとに違います。硝酸カリウムは温度による変化が大きく、食塩は比較的小さい物質です。気体については一般に、温度が高いほど水に溶けにくくなるので、固体の傾向をすべての物質へ広げないようにします。

結晶を出す操作と分ける操作

いったん物質を水に溶かし、再び結晶として取り出すことを再結晶といいます。熱い水に多く溶け、冷たい水にはあまり溶けない物質なら、水溶液を冷やすと溶けきれなくなった分が結晶になります。温度で溶解度があまり変わらない食塩は、冷やすだけでは多く取り出せず、水を蒸発させる方法が適しています。

ろ過は、ろ紙を使い、液体とそれに溶けていない固体を分ける操作です。ろ紙を通った液体をろ液といいます。溶けている食塩は水とともにろ紙を通るため、食塩水をろ過するだけで水と食塩に分けることはできません。再結晶で生じた固体なら、ろ紙に残して集められます。

学校の実験では、折ったろ紙をろうとに入れ、水でぬらして密着させます。液はガラス棒を伝わせて静かに注ぎ、液面がろ紙の上端を超えないようにします。ろうとの足の先は受ける容器の内壁につけます。加熱や薬品を使う操作は先生の指示のもと、保護眼鏡など必要な保護具を用いて行い、加熱中の液をのぞき込んだり、熱い器具を素手で持ったりしません。

例題で解き方を確かめる

例題1 濃度の分母を決める

食塩12 gを水88 gにすべて溶かしました。質量パーセント濃度を求めましょう。こぼれや蒸発はないものとします。

  1. 溶質は食塩12 g、溶媒は水88 gと書き分けます。どちらの質量なのかを確定するためです。
  2. 溶液の質量を12 + 88 = 100 gと求めます。濃度の基準は、水だけでなく食塩水全体だからです。
  3. 12 ÷ 100 × 100 = 12%と計算します。全体100 gのうち溶質が12 gという割合を百分率で表します。

答えは12%です。12 ÷ 88としない理由を「分母が溶液全体ではなく水だけになるから」と説明できれば、数字が変わっても同じ手順を使えます。

例題2 水を加えたあとを考える

例題1の食塩水100 gに水50 gを加え、均一に混ぜました。新しい濃度を求めましょう。食塩水は途中で取り出していません。

  1. 食塩は12 gのままと確認します。加えたのは水だけなので、食塩の質量は増減しないからです。
  2. 水溶液全体は100 + 50 = 150 gと求めます。もとの食塩水に加えた水の質量を足します。
  3. 12 ÷ 150 × 100 = 8%と計算します。同じ12 gの食塩が、より多い全体に含まれるので薄くなります。

答えは8%です。水を加える前後の表を作るなら、食塩の欄は12 g、12 g、水の欄は88 g、138 gと書けます。食塩水を一部取り出す場合には食塩も一緒に減るので、「水を加える」と「水溶液を取り出す」は別の操作として読みます。

例題3 溶解度曲線から結晶の量を求める

物質Aについて、問題用に与えられた溶解度が次の表の値であるとします。図2はそのデータを点で示し、点の間を線で結んだものです。40 ℃で水50 gにAを限度まで溶かし、20 ℃まで冷やしたとき、十分に結晶が出たあとの結晶の質量を求めましょう。水の蒸発はないものとします。

温度 0 ℃ 20 ℃ 40 ℃ 60 ℃
水100 gに溶けるAの最大質量 10 g 20 g 40 g 70 g
図2 物質Aの温度ごとの溶解度と冷却前後の差

図2では、20 ℃と40 ℃の点の高さの差が20 gです。ただし縦軸の値は水100 g当たりなので、その差をそのまま答えにはできません。

  1. 40 ℃で溶けている量を40 × 50 ÷ 100 = 20 gと求めます。実際の水は基準の半分なので、溶ける量も半分です。
  2. 20 ℃で溶けていられる量を20 × 50 ÷ 100 = 10 gと求めます。同じ水50 gに対する冷却後の限度を出すためです。
  3. 20 – 10 = 10 gと引きます。最初に溶けていた分のうち、冷却後も溶けている分を除くと結晶の量になります。

答えは10 gです。冷却後は水50 g、溶けているAが10 gで、水溶液は60 gです。結晶10 gも合わせれば70 gとなり、冷やす前の50 + 20 = 70 gと一致します。結晶が出たあとに濃度を問われたら、取り出した結晶を水溶液の質量に含めない点にも注意します。

例題4 ろ過で何を取り除けるか

食塩と砂の混合物に十分な水を加え、食塩をすべて溶かしてからろ過しました。ろ紙に残る物質と、ろ液に含まれる物質を答えましょう。

  1. 水に溶けたものを食塩、溶けないものを砂と分けます。ろ過は溶けているかどうかで結果が変わるからです。
  2. ろ紙に残るのは砂、ろ液に含まれるのは水と食塩と答えます。食塩は目に見えなくても、水と一緒にろ紙を通っています。

ろ液から食塩を取り出すには、さらに水を蒸発させる操作が必要です。「ろ過したから純粋な水になった」とは言えません。ここでは、ろ過の前に食塩をすべて溶かしたという条件が答えを支えています。

つまずきやすいところと直し方

水100 gと水溶液100 gを同じにする

「溶解度が20 gなら、飽和水溶液の濃度は20%」という考え方は、基準を取り違えています。水100 gに溶質20 gが溶けているので、水溶液は120 gです。濃度は20 ÷ 120 × 100で約16.7%になります。

図3のように、水と溶質の箱を合わせて全体を囲むと、どこを分母にするかが見えます。溶解度なら水の質量、濃度なら水溶液全体という違いを、数字の横に名詞を書いて確かめましょう。

図3 水と溶質を合わせた質量が濃度の分母になる図

冷やせば必ず結晶が出ると考える

「40 ℃から20 ℃に冷やしたので、溶解度の差だけ結晶が出る」という考え方では、最初に実際に溶けていた量が抜けています。例題3の差を使えたのは、40 ℃で飽和していたからです。初めから少ししか溶かしていなければ、冷却後の限度を超えないこともあります。

たとえば物質Aが水50 gに8 gだけ溶けていたなら、20 ℃での限度10 gより少ないため、冷やしても結晶は出ません。まず実際の溶質の質量と冷却後の限度を比べ、前者が大きいときだけ差を求めます。計算結果が負になるなら、結晶の質量を負の値にせず、結晶は出ないと判断します。

かき混ぜれば限度なく溶けると思う

「底に残った固体も、もっと長くかき混ぜれば全部溶ける」という考え方は、溶ける速さと溶ける限度を混同しています。かき混ぜると早く溶けやすくなりますが、水の量と温度が同じなら、十分時間がたったときの限度を増やす操作にはなりません。

まだ飽和していない途中なら、かき混ぜて溶けることがあります。一方、すでに飽和しているなら、水を加えるなど条件を変える必要があります。問題文の「十分にかき混ぜた」「温度を一定にした」という条件は、単なる飾りではなく、溶け残りの理由を判断する手がかりです。

練習問題

練習1 砂糖15 gを水135 gにすべて溶かしました。溶質と溶媒を答え、質量パーセント濃度を求めましょう。

練習2 練習1の砂糖水を全量使い、水100 gを加えました。新しい濃度を求めましょう。蒸発やこぼれはありません。

練習3 例題3の物質Aを、40 ℃の水200 gに飽和するまで溶かし、20 ℃まで冷やしました。蒸発はなく、十分に結晶が出たとき、結晶は何gですか。

練習4 練習3の混合物を20 ℃のままろ過しました。ろ紙に残るものと、ろ液が飽和水溶液かどうかを答えましょう。

答えと解説

練習1 溶質は砂糖、溶媒は水、濃度は10%です。全体は15 + 135 = 150 gなので、15 ÷ 150 × 100 = 10%です。

練習2 6%です。砂糖15 gは変わらず、全体が150 + 100 = 250 gになるので、15 ÷ 250 × 100 = 6%です。

練習3 40 gです。40 ℃では40 × 2 = 80 g、20 ℃では20 × 2 = 40 gが溶けるため、80 – 40 = 40 gが結晶になります。

練習4 Aの結晶が残り、ろ液は20 ℃での飽和水溶液です。結晶を除いても、水に溶けているAの量はその温度での限度に達しています。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

水溶液で物質の行方を追う考え方は、状態変化や、水溶液とイオンの学習にもつながります。「見えないから存在しない」と判断せず、質量や性質を手がかりにする姿勢が共通します。

家庭での5分の確かめ方は2つあります。1つ目は、常温の水を入れた透明なコップに少量の食塩を入れ、スプーンで混ぜて見た目の変化を観察することです。観察用として飲まず、目に見えなくなった食塩の行方を言葉にします。2つ目は、紙に「水90 g」「食塩10 g」の枠を描き、さらに「水50 g」を書き足すことです。分母が100 gから150 gに変わる理由を指で示してみましょう。

個別指導では、式が違ったときに、溶質と溶媒の区別へ戻るのか、割合の全体へ戻るのかを答案から確かめます。お子さまがどの量を分母と考えたかを説明できると、次に確認する点も絞れます。

まとめ

問題を読み終えたら、水の質量、溶けている物質の質量、溶けていない固体の質量を別々に書いてみましょう。水を加える、冷やす、ろ過するという操作のあとで、その欄のどれが変わるかを追えば、式を選ぶ根拠が残ります。

答えの数字が合っていても、「水100 g当たりなのか、水溶液全体に対する割合なのか」を言葉にするところまで確かめたいものです。透明な水溶液の中身は、見た目ではなく、物質ごとの質量を追うことで説明できます。


Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/musasinokobetu.com/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

PAGE TOP
お電話 チャットで質問チャット