読書意欲への働きかけは、意欲と理解を支えた研究があります。自由選書を含む活動でも、読む量の増加と意欲の変化は一致しません。家では選んだ理由と、読んだあとの理解を別々に聞きます。
自分で選んだ本なのに、机に置いたままです。親が選んだ本なら読まない理由を親のせいにできるが、本人が選んだ本では言葉が出にくくなります。自由に選べば続く、という期待は、何をもって「続いた」とするかまで考えておきます。
今回の研究は、読書意欲と読む力の関連、意欲に働きかける介入、自分で選ぶ時間を含む読書活動を扱います。読書量、意欲、理解の違いを見ながら、選んだあとの関わり方を考えます。
1. 論文を役割で並べる
関係の方向を示す論文として、Jessica R. Tosteほか(2020)は、読書意欲と読む力に正の関連があり、時間を追った分析では互いに関係していたと報告しています。とくに、前の時点の読む力から後の意欲への予測は、意欲から後の読む力への予測より強いと報告されています。測る意欲の種類で関連の強さが違い、読む力と意欲の両方向の関係が示されています [1]。
介入を整理する論文として、Lisa Sandeほか(2023)は、理論に基づく学校の読書意欲への介入で、肯定的な意欲や読解に正の効果があったと報告しています。とくに興味を引き起こす介入は、肯定的な意欲と理解に正の効果を示しました。読解への効果は、小学生で中高生より大きく、通常の読み手で読みに苦労する読み手より大きい結果でした。対象の違いに沿って効果を読みます [2]。
読書量と意欲を分ける論文として、Montserrat Cubillosほか(2024)は、チリの男子校の活動で、読書量は有意に増えたが意欲は有意に増えなかったと報告しています。地方の学校で、関心の高い本へのアクセス、自分で選んで読む時間、読書をめぐる仲間との交流を組み合わせました。活動後の意欲や読書のための時間は読んだページ数と関連したが、自由選書だけの独立した効果は取り出されていません [3]。
2. 自分で選んだなら意欲も上がる?
自由に選ぶ要素を含んだ活動で読書量が増えても、意欲の増加は有意ではありませんでした。選択、時間、本へのアクセス、仲間との交流をまとめた活動として評価しています。「選ばせたから好きになった」と家で判断するには、意欲そのものの確認が要ります [3]。
家庭で確かめるのは、選んだ直後だけでなく読んだあとにも理由を聞くことです。「なぜ選んだ?」と「今はどこが気になる?」を別の問いにします。ページを進めたことを、好きになった証拠の代わりにしません。選ぶ自由は入口として扱い、その先で何が起きているかを本人の言葉で確かめます。
意欲と読みの達成の関連はr = .22でした。意欲のどの側面を測ったかによって、関連の強さが変わっています。一方、読解領域、標本の種類、学年に関する他の調整効果や交互作用は有意ではありませんでした。関連があるという結果を読むときは、興味や参加などを一括して意欲と呼ばず、研究が使った尺度を確認します。縦断分析では早い時点の読みが後の意欲を予測する方向のほうが強く、読む力を支える働きかけも視野に入ります [1]。
家で本を選ぶときは、手に取った理由を短く聞きます。読んだあとには、気になった場面や続きへの関心を尋ねます。選ぶときの期待と読後の反応をそれぞれ聞くと、どこまで読んだかという量の確認に、本人の言葉を添えられます。
3. 読書が苦手な子には、意欲を先に育てる?
読む力と意欲は相互に結びつくが、前の読む力のほうが後の意欲を強く予測しました。これは、意欲の不足だけを読まない原因にしてはいけない理由になります。
家では、選んだ本の中でどこまで内容を説明できるかを聞いて確認します。わからなかった語や、話のつながりを見失った場面を一緒に確かめます。「やる気があれば読める」と先に決めません。読む力を確認することと、読みたい本を聞くことを両方置きます。本人の理解を聞いて、次に開く箇所を決めます。
学校での読書意欲への介入は、読解にd = 0.27の正の効果を示しました。読解の効果は、研究者が実施した介入で教師が実施した介入より大きく、小学生で中高生より大きい結果でした。読むことが苦手な読み手より、典型的な読み手で効果が大きかった点も、教材を渡すだけで同じ成果を期待する前に見ます。意欲については実施期間や参加者の構成も関わっています。好きな本を選べるかだけでなく、誰がどんな支援を行ったかを照合する結果です [2]。
読みが止まった箇所を開き、意味がわからない語なのか、出来事のつながりなのかを聞きます。本人が説明できたところも確かめてから、次に読む部分へ進みます。読みたいという気持ちと、現在の理解を、同じ本を使って受け取ります。
4. 中高生にも小学生と同じ選書支援でよい?
意欲への介入をまとめた研究では、読解への効果に小学生と中高生の違いがありました。読みに苦労する生徒と通常の読み手にも違いがあります。興味を引く働きかけの結果を、学年と読み手の違いに沿って捉えます [2]。
日本の家庭では、本人が読みたい題材と、内容を理解できるかを並べて見ます。本の種類を親が勝手に格付けする代わりに、今どこで読みが止まっているかを確認します。チリの活動の結果を日本の家庭に同じ量で当てはめたり、指定図書をなくす根拠にしたりはしません。興味と理解をそれぞれ確認します。
チリの活動には、興味に合う紙の本へのアクセス、授業中に自分で選んで読む時間、読書をめぐる仲間との交流が含まれます。本を選ぶ機会だけを単独で操作した設計として受け取らず、活動全体の構成を見ます。開始前の意欲、達成、読む量を統計的に考慮した分析では、終了後の意欲と自立して読むための時間が読んだページ数に関連していました。読む量の変化を確認する問いと、気持ちの変化を聞く問いを別に用意する手がかりです [3]。
家庭では、本の題材への関心を聞いたあと、読めた箇所を具体的に示してもらいます。続きに進むか、今の場面を読み直すかを、その説明を聞いて決めます。好きな題材を入口にしつつ、本人が理解した中身を確かめる時間をつくります。
【反証】この回が言えないこと
今回の自由選書を含む活動には、本へのアクセス、時間、仲間との交流が組み合わされていました。自由に選ぶことだけの因果効果を示した研究ではありません。意欲のメタ分析も、自由選書のみを扱うものではありません。指定図書に対する優劣や、家でどれだけ長く読み続けるかは、この研究だけでは決められません [1][2][3]。
読書量が増えたことを、意欲も理解もすべて伸びたと表現しません。逆に、意欲の増加が有意でなかったことを、活動に何の成果もなかったと書きません。量、意欲、理解を別に見ることで、家庭の小さな変化を誤った成功や失敗に分類せずに済みます。
自由選書だけと指定図書だけを同じ条件で比較した結論ではありません。読めない箇所や意味のつかめない部分を残したまま、楽しく選ぶ活動だけを増やすという処方は、研究の報告からは導けません [1]。
実務——家でできる 3 つの確認
本を選ぶ日は、選んだ理由を聞き、読み終えた日は今気になることを聞きます。進んだページと、本人の反応を並べて振り返ります。止まった箇所があれば、そこを開いて内容を確認してください。
- 本を選んだ理由を本人に聞きます。親が期待した理由に合わせて直さず、読んでみたい部分がどこかを具体的にします。
- 読んだあと本を閉じ、出来事や説明を思い出して話します。読み進めた量と、内容を説明できることを別に確認します。
- 別の機会に、続きが気になるかと前の内容を覚えているかを聞きます。選んだ時点の意欲だけで、読書が続いたと判断しません。
武蔵野個別指導塾は完全1対1で、選んだ本のどこまで理解したかを確かめます。アクティブリコールでは、本を閉じて出来事を説明します。間隔反復として次の機会に話のつながりを思い出し、読んだ量と説明できた内容をそれぞれ振り返ります。
武蔵境の中学受験対策では、選書の好みと、内容の説明が難しかった箇所を一緒に相談します。続きを読みたい気持ちと、今の理解から、次の課題を考えます。
よくある質問
Q. 指定図書はなくしたほうがよいですか?
指定図書をなくすべきかは研究で調べていません。指定図書を読む日にも、内容を説明できた箇所を確かめます。
Q. 読んだページが増えれば成功ですか?
ページの増加は読む量の成果で、意欲や理解は別に確かめます。チリの活動では量は有意に増え、意欲の増加は有意ではありませんでした。反応や理解も聞いてください。
Q. 苦手な子には好きな本だけ渡せばよいですか?
好きな本だけを渡してよいかは研究で調べていません。本人が説明できたところから、次に読む箇所を考えます。
出典
- A Meta-Analytic Review of the Relations Between Motivation and Reading Achievement for K–12 Students(Jessica R. Tosteほか、2020、Review of Educational Research)
- Effectiveness of Interventions that Foster Reading Motivation: a Meta-analysis(Lisa Sandeほか、2023、Educational Psychology Review)
- High‐interest books, choice, and independent reading: Piloting a reading program with male adolescents in Chile(Montserrat Cubillosほか、2024、Journal of Adolescent & Adult Literacy)



