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不登校の勉強の遅れは取り戻せるか—抜けた単元の数え方と、追いつく順番|武蔵野個別指導塾

教科書の目次に○△×を付けて抜けた単元を数え、数学と英語は下の段から、社会と理科は学校の今の単元から埋めていく。欠席中の家庭学習を成績で考えてもらう三つの条件も、担任に聞く前に押さえておけます。
取り戻せるかどうかは、休んだ月の数ではなく、抜けた単元の数と、それをどの順で埋めるかで決まります。「中2の後半がまるごと」と学年や月で数えているうちは、遅れは形のない大きな塊に見えて、どこから手を付けても足りない気がします。教科書の目次で単元ごとに数え直すと、遅れは「数学で5つ、英語で3つ」のように、並べ替えのできる数に変わります。並べる順は、積み上がる数学と英語は下の段から、社会と理科は学校がいま進めている単元から1つずつです。今夜の一手は、数学の教科書の目次の頁に付箋を貼り、鉛筆を1本添えて机に置いておくことです。
よくあるのは、日曜の午後に親子で数学の教科書を開き、目次の単元の横に鉛筆で印を付けていったら、まだ終わっていない単元の印が頁の下まで並んでしまった、という場面です。お子さまは黙って鉛筆を置き、親は頭の中で休んだ月を指折り数え始めます。けれど、その頁にはもう、遅れの量を測る材料がそろっています。並んだ印は、数え方を変えるだけで、追いつく順番を書いた表の下書きになります。
遅れを単元で数え直すと、見えてくること
まず、休んだ期間と抜けた量は同じではありません。3か月休んでも、その間に授業が進んだ単元の数は教科によって違います。休む前から自信のなかった単元もあれば、休んでいる間に自分で読み進めていた単元もあります。月で数えると、こうした凸凹がすべて「3か月分」という一つの塊に溶けてしまい、どこから手を付ければよいかが決まりません。単元で数えると、塊が粒に分かれ、粒には並べる順番が付けられます。
次に見えてくるのは、教科によって遅れの性質が違うことです。数学と英語は積み上がる科目です。連立方程式は一次方程式の解き方の上に乗っていますし、英語の過去の文は、be動詞の文と一般動詞の文の形がわかっていて初めて組み立てられます。下の段が抜けたまま上の段だけを学び直しても、途中で足が止まります。一方、社会と理科は単元ごとに区切られている所が多く、地理のある地方や理科の天気の単元は、前の単元を知らなくても入っていけます。図1のように、数学と英語は中1の段の上に中2、中3の段が乗る階段で、下が抜けると上に乗りません。社会と理科は地理・歴史・生物・電気のような箱が横に並んだ棚で、どの箱からも入れます。

ただし、境目はきっちりとは分かれていません。理科でも、電流と電圧の計算や、化学変化での質量の計算は、数学の比例や割合の考え方を使います。こうした単元は理科の箱ではなく数学の階段の側に置いて考えたほうが、つまずく場所を見誤りません。国語は二つの性質を持っていて、漢字や文法は積み上がり、文章を読む力は今の教科書の文章でそのまま育てられます。
もう一つ見えてくるのは、遅れに三つの種類があることです。授業のあった時期に休んでいて「習っていない」単元、授業は受けたのに「残っていない」単元、そして休むより前、前の学年のうちから「抜けていた」単元です。三つ目は、休んだこととは別に、数え直したときに初めて見つかることがあります。種類によって埋め方が変わります。習っていない単元は教科書の説明を読むところから、残っていない単元は例題の解き直しから、前から抜けていた単元はその下の段まで戻るところから始めます。
最後に、「手遅れ」という言葉の正体も見えてきます。この言葉は、学年の終わりや進路を決める時期といった期日への不安と結びついて出てきます。間に合うかどうかは、期日までの週の数と、埋める単元の数がそろって初めて考えられる問いです。単元を数える前に「もう手遅れ」と口にするのは、量のわからないまま答えだけを先に出している状態です。
家でできる手順—目次に印を付けて、数えて、並べる
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急ぎの用のない休日の午後に、30分だけ時間を取ります。机に置くのは、数学の教科書と鉛筆、A4の紙を1枚だけです。5冊を一度に広げると、印の数そのものに気持ちが押されて、数える前に手が止まります。英語は次の週末、社会と理科と国語はその次から、1冊ずつ足していきます。
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印はお子さまが付けます。親は目次の単元の名前を一つずつ読み上げる役に回ります。印は三つで、「習って、今もできる」は○、「習ったけれど自信がない」は△、「習っていない」は×です。迷ったら△にしておけば足ります。印をペンではなく鉛筆で付けるのは、2週間後に付け直すとき、消して書き換えられるようにするためです。親が「これはできるでしょう」と口を挟むと、お子さまは本当の印を付けにくくなります。読み上げる声は、テストの問題を読むときの声ではなく、夕飯の献立を確かめるくらいの軽さにします。
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学校がどこまで進んだかを担任に聞きます。「休んでいる間に、数学はどの単元まで進みましたか」と聞けば、そのまま答えが返ってくる問いです。返ってきた単元の下に、目次の上で赤い線を引きます。線より上の×と△が、取り戻す分です。線より下の単元はまだ学校でも習っていないので、遅れではありません。ここを分けておかないと、クラスの誰もまだ習っていない単元まで遅れの数に入り、量が実際より膨らみます。
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紙に数を書きます。図2のように、線より上の×と△を数え、「数学 ×が2つ、△が1つ」と科目ごとに一行で書きます。図2の例では、式の計算が○、連立方程式が△、一次関数と平行と合同が×で、確率は線の下なので数えません。数は遅れを責める材料ではなく、並べる順番を決める材料です。紙の上の題も「遅れの表」ではなく「順番の表」にしておくと、後で見返すときの気持ちが違います。

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数学と英語は、×と△の単元の下の段をたどります。数学なら、その単元の最初の例題を見て、使っている計算がどの単元で習ったものかを親子で探します。一次関数が×なら、中1の教科書の目次も開いて比例と反比例の印を見ます。そこが△なら、一次関数より先に比例へ戻ります。英語なら、教科書の本文を声に出して読み、止まってしまう文の形を探します。疑問文で止まるのか、過去の文で止まるのかで、戻る先の単元が決まります。戻る先の単元から今の×の単元へ向けて、紙に矢印を引きます。
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順番の表を2列にします。左の列は「戻る線」で、数学と英語の矢印のいちばん下の単元から順に並べます。右の列は「今の線」で、学校がいま進めている単元と、学校から届くプリントを書きます。社会と理科は学校の今の単元から入れるので右の列から始め、抜けた単元はテストの前や長い休みに1つずつ左の列の下へ足していきます。見込みは、数学と英語それぞれ2週間で1単元から置き、2回続けてずれたら、お子さまではなく見込みのほうを直します。
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期日から逆に数えます。学年の終わりや、進路の相談が始まる時期までの週の数を数え、表の単元の数と並べます。たとえば学年の終わりまで16週あり、数学の列に8単元が並んでいれば、2週間で1単元の見込みでちょうど埋まる計算です。単元のほうが多いときは、全部を元の順に埋めようとせず、次の学年の単元の土台になる単元を上に、そうでない単元を下に回します。どれが土台になるかは、担任や教科の先生に「この単元は、次の学年のどこで使いますか」と聞けば見当がつきます。
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2週間ごとに、同じ目次に印を付け直します。△が○に、×が△に変わった数を紙の端に書きます。親が口にするのは、増えた○の数だけにします。残っている×の数は表を見れば本人にもわかるので、声に出して数える必要はありません。
欠席中に家でした勉強は、成績で考えてもらえるか
令和6年8月29日に、学校教育法施行規則を改める省令(令和6年文部科学省令第24号)と、欠席中の学習の成果を成績に反映できる場合を定めた告示(令和6年文部科学省告示第127号)が公布され、同じ日に施行されました。これで、学校の判断により、不登校の子供が欠席中に行った学習の成果を成績の評価で考慮できることが、法令の上ではっきりしました。それまでの文部科学省の通知でもできるとされていたことを、改めて法令に書き込んだ形です。
学校が考慮するには、告示の三つの条件がすべてそろう必要があります。一つ目は、学習の計画と中身が、在籍している学校の教育課程に照らして適切だと学校が確かめられること。二つ目は、学校と保護者など(家庭のほか、教育支援センターなどで学習を見ている職員を含む)がしっかり連絡を取り合い、学校が学習の様子を定期的に、途切れずにつかんでいること。三つ目は、学校が家への訪問やオンラインで、本人と直接の関わりを続けていることです。図3のように、学習の計画が合う、学校が様子をつかむ、本人と直接の関わりがある、の三つがそろったうえで学校が判断します。

判断の結果は、観点別評価・評定として書かれることもあれば、所見欄に文章で学習の様子が書かれることもあります。通知は、すべての教科と観点で評価や評定を記すことまでは求めておらず、条件に合わない教科の例として、在籍する学年より下の学年の内容を学んでいる場合を挙げています。ここが、さきほどの2列の表とつながります。左の「戻る線」で前の学年の単元をやり直している教科は、評定がつかないこともあります。だからこそ、右の「今の線」で学校のプリントや課題に取り組んだ分は、学校に届けられる形で残しておく意味があります。通知には、学校から届いたプリントや教材を使って家で学んだ成果を成績に反映した取組の例も載っています。
学校が学習の様子をつかむ回数は学校が決めますが、少なくとも成績を知らせる区切り(たとえば学期ごと)に合わせて把握する必要がある、と通知は書いています。同時に、それは関わりが学期に一度でよいという意味ではない、とも念を押しています。また、教室に入れなくても、学校の中の別の部屋で先生から指導を受けている場合は、この省令によらずに、その子の事情を踏まえて登校しているものとして成績を評価できるとされています。
対象になるのは小学校と中学校など義務教育の段階で、高校生は対象外です(高校の場合は、下のよくある質問で触れます)。心や体、人間関係などの事情によるものではなく、保護者の教育についての考えから正当な理由なく登校していない場合も、この仕組みの対象になりません。なお、成績の評価と出欠の扱いは別々の決まりで動いていて、出席として扱うかどうかの判断は在籍校の校長に任されています。
言葉と場面の例
数え終わった直後や、印を付け直す日の夕方に、口から出やすい言葉があります。どれも親の焦りから出る言葉で、間違った気持ちではありません。ただ、言い方を少し変えるだけで、お子さまが次に目次を開く気持ちが変わります。
「こんなに遅れて、もう手遅れなんじゃないの」と言いそうになったら、「英語は4つだった。4つなら、順番が付けられるね」と言い換えます。手遅れという言葉は、量を測る前に出した結論です。数を口にすると、話が不安から並べ方へ移ります。
「クラスのみんなは、もう理科の天気の単元に入ったんだって」と比べたくなったら、「理科は、クラスと同じ天気の単元から入れるよ。前の単元は後から足せばいい」と言い換えます。比べる言葉は差だけを見せますが、同じ知らせを入口として渡すと、その差が「どこから入るか」の答えに変わります。
前の学年の単元に×が見つかったとき、「なんでこんなところを放っておいたの」と言いそうになったら、「これは休む前からの穴だね。見つけたから、ここから戻れる」と言い換えます。前の穴を責めると、次に印を付けるとき、お子さまは△を○に書き換えるようになります。穴は見つけた手柄として扱うほうが、印が正直なまま残ります。
「家でやった分は成績に入るんだから、頑張ろう」と励ましたくなったら、「家でやった分を成績で考えてもらえるかは学校が決める。どう届ければいいか、先生に聞いてみるね」と言い換えます。入ると約束してしまうと、考慮されなかったときに、やった努力まで無駄だったように感じさせます。決めるのは学校だと正直に言い、聞く役は親が引き受けます。
「あと何か月で追いつくの」と聞きたくなったら、「次に印を付け直すのは再来週の日曜。そのとき△がいくつ○になったか見よう」と言い換えます。追いつく日を先に言わせると、ずれたときに本人が自分を責めます。見る日を決めるほうが、親子どちらにとっても守れる約束です。
やりがちな三つのずれ
一つ目は、教科書の最初の頁から順に全部やり直させることです。○の単元を何週間もなぞるうちに疲れてしまい、本当の穴である△と×に届く前に止まります。しかも、○の所を解いている間は進んでいるように見えるので、親も子も止まっていることに気づきにくい。直し方は、印の△と×だけを拾い、○の単元はまとめの頁を眺める程度にして先へ進むことです。
二つ目は、休んだ月の数のぶん、毎日の勉強の時間を延ばして取り返そうとすることです。時間は「やった」という感覚を残しますが、どの単元が埋まったかは残しません。長い時間に体と気持ちが付いてこない日が続くと、勉強そのものを避けるようになります。直し方は、量を時間ではなく印の変化で測ることです。1日の長さは体調と相談して短く区切り、通っている医療機関や相談先の見立てがあれば、そちらを先にします。
三つ目は、家でやったプリントや課題を、家の棚に積んだままにすることです。学校は家での学習の様子をつかめず、成績で考慮するかどうかを判断する材料も届きません。お子さまのほうも、やった分が誰の目にも触れないまま積み上がります。直し方は、届け方を担任と決めておくことです。渡す日、写真で送るか束で届けるか、受け取るのは誰か。図3の二つ目の条件にあたる部分を、家の側から支える準備になります。
よくある質問
中3の秋に気づいた不登校の勉強の遅れは、手遅れですか
卒業までの週は少なくなっていますが、手遅れかどうかを決めるのは学年ではなく、残りの週の数と埋める単元の数です。中3のこの時期は、全部を元の順で取り戻すことより、進路に向けて使う単元を選ぶことが先になります。どの単元を優先するか、高校の選び方や欠席が進路にどう関わるかは、志望する学校と中学の先生に確かめてください。進路の不安で親子の気持ちが落ち着かないときは、学校生活の相談として、スクールカウンセラーや市の教育支援センターに話すこともできます。
高校生の不登校でも、家での勉強は成績で考えてもらえますか
令和6年の省令と告示は義務教育の段階が対象で、高校は含まれていません。高校には、学校が教育上有益と認めたときに、家などで通信教育を受けて単位を取る別の仕組みがあります。ただ、使えるかどうか、どの科目かを決めるのは在籍する高校です。単位や評定の決まりも学校ごとに違うので、担任か学年の先生に「家で学んだ分を、単位や評定のうえでどう扱えますか」とそのまま聞くのが近道です。
前の学年の教科書が手元にないときは、どうしますか
まず学校に、前の学年の教科書や、そのころ配られたプリントを借りられるかを聞きます。きょうだいや知り合いの教科書を使うこともできますが、学校によって使う教科書が違ったり、改訂で単元の順が変わっていたりすることがあります。目次の単元の名前が、今の教科書の土台の段と合っているかを確かめてから使います。印を付けるのは目次の頁なので、本文がそろうのを待たずに始められます。
学校と相談先で確かめること
学校には、次のように聞くと話が具体的になります。
- 「休んでいる間に、各教科はどの単元まで進みましたか」
- 「家で取り組んだ学校のプリントや課題を、成績の評価で考えてもらう余地はありますか。そのためには何を、いつ、誰に届ければよいですか」
- 「先生と本人が直接話せる機会は、家への訪問やオンラインでつくれますか」
- 「前の学年の内容をやり直している教科は、通知表や評価にどう書かれますか」
- 「進路の相談は、いつ、どなたとできますか」
学校の中なら、担任と教科の先生に加えて、スクールカウンセラーにも話せます。スクールカウンセラーは決まった曜日に学校へ来ていることがあるので、何曜日かを担任に聞いておきます。武蔵野市にお住まいなら、子育てや学校生活の相談を予約制で受けている市の教育支援センターがあり、不登校の子の家庭を訪ねて市の窓口や関係機関へつなぐスクールソーシャルワーカーもいます。市のチャレンジルームやむさしのクレスコーレを見学したい、使ってみたいという相談も、このスクールソーシャルワーカーが受けています。都の窓口では、東京都教育相談センターが不登校や学校生活の相談に応じています。お住まいが三鷹市や小金井市、西東京市など武蔵野市の外なら、その市の教育委員会が設けている教育相談の窓口が入口です。
個別指導で確かめること
1対1の授業で最初に確かめるのは、目次の△の単元です。△は「習ったけれど自信がない」という幅の広い印なので、例題を1問ずつ解く様子を隣で見て、手が止まる所が計算なのか、問題文の読み取りなのか、前の単元の決まりなのかを分けます。止まった所が前の段にあればその段まで戻り、戻った単元が通ったら、すぐに今の×の単元へ橋を架けます。学校のプリントを持ってきてもらえれば、「戻る線」と「今の線」を同じ時間の中で行き来させながら、どちらの線が止まりかけているかを毎回確かめます。
まとめ
遅れを取り戻すというのは、休んだ月の分を埋め合わせることではなく、印の付いた単元を下の段から1つずつ○に変えていくことです。数学と英語は階段の下から、社会と理科は学校の今の単元から。家での学習を成績で考えてもらえるかは学校が決めるので、届け方だけは早めに担任と話しておきます。赤い線より上の×と△を、戻る線と今の線に一つずつ振り分け終えた日曜の夜、来週の最初に開く頁は一つに決まります。
「落ち着いている」は、「学んでいる」ではない。
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