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指定校推薦の評定基準は学校によって違う—大学が高校ごとに示す条件の読み方|武蔵野個別指導塾

友だちの高校と同じ学部で条件の数字が違っても、出願を決めるのは自分の高校に示された数字です。調査書の評定平均は小数第2位で四捨五入され、合計が1違うだけで3.9と4.0が分かれる例を使い、0.1足りないときの読み直し方を順に示します。
同じ大学の同じ学部でも、指定校推薦の評定の条件は高校によって違うことがあり、あなたに当てはまるのは自分の高校に示された数字です。指定校推薦は学校推薦型選抜の一つの形で、大学から指定を受けた高校の校長が生徒を選んで推し、その推薦をもって出願します。条件の数字を決めて示すのは大学、条件と比べられる評定を作るのは高校で、この二つは別々の手で書かれています。読むときは、全体の評定平均の条件か教科の条件かと、「以上」の前の数字が小数第1位までいくつかを、最初に押さえてください。
| 決まり | 公式の文書に書かれていること |
|---|---|
| 推薦の要件 | 校長の判断で推薦する選抜なので、大学は要件をなるべく具体的に定めて募集要項などに書く(令和9年度大学入学者選抜実施要項 第3の1(3)) |
| 教科の条件 | 大学は重く見る教科・科目を指定し、単位の修得や一定の水準以上の評定を出願の要件にできる(同 第5の2(2)) |
| 全体の評定平均 | 調査書の「全体の学習成績の状況」。全教科・全科目の評定を足してその個数で割り、小数第2位で四捨五入(同 調査書記入上の注意8(4)) |
| 教科ごとの評定平均 | その教科に入る科目の評定を足して個数で割り、同じく小数第2位で四捨五入(同 8(2)) |
| 評定のつけ方 | 5段階。決め方の細目はそれぞれの高校が定める(文部科学省「高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項等」平成31年) |
よくあるのは、部活を終えた夕方、駅の改札の前で中学の同級生と出くわし、同じ大学の同じ学部を考えていると知る場面です。友だちが口にした評定の条件は、自分が進路室の一覧で見た数字より低い。「うちの高校、甘いのかもね」と友だちは笑い、こちらはうまく笑えません。帰りの電車で、通知表の数字と一覧の数字が頭の中を行ったり来たりします。どちらの数字で見られるのか、そもそもなぜ違うのか。答えは、書類が大学から高校へ届く仕組みの中にあります。
条件の数字は大学が書き、評定の物差しは高校が持つ
令和9年度の実施要項は、学校推薦型選抜を、本人が出したいと思うだけでは出願できない選抜として書いています。その大学・学部で学ぶ力や意欲を持った生徒かどうかを、高校の校長が見きわめて推すからです。そのぶん大学の側には、推薦の要件をなるべく具体的な形で定め、募集要項などで公にしておく務めがあります。評定の数字の条件も、この要件の中に大学が書き込むものです。大学の書類にある評定の数字は、高校が励ましのために掲げた目標ではなく、大学が引いた入口の線だと受け取ってください。
要項の調査書の節には、もう一つ大事な決まりがあります。大学が重いと見た教科・科目を名指しし、その単位を取り終えていることや決められた水準以上の評定を、出願の要件にしてよいというものです。全体の評定平均の数字と並んで、英語や数学など特定の教科の数字が条件に入りうるのは、この決まりがあるからです。同じ節は大学に、調査書の学習成績の欄だけでなく、ほかの欄の記載も生かして評価するよう求めています。評定の条件は入口であって、満たしたら残りを見なくてよい、という意味ではありません。
条件と比べられる数字の作り方も、要項が決めています。調査書でいわゆる評定平均にあたるのは「全体の学習成績の状況」で、教科を問わず評定を一つ残らず足し、その個数で割って、小数第2位で四捨五入した値を書きます。単位数の多い科目でも評定は1個として数え、重みはつけません。保健体育のように何年にもわたって学ぶ科目は、学年ごとの評定をそれぞれ1個と数えます。教科ごとの欄も作り方は同じで、その教科に属する科目の評定を合計し、評定の数で割って、小数第2位で四捨五入します。調査書に並ぶのは、どちらも小数第1位までの数字です。
見落としやすいのは、その元になる評定のつけ方です。評定は5から1までの5段階で、5は十分満足できる状況の中でも特に程度が高いもの、1は努力を要する状況の中でも特に程度が低いものとされています。けれども、何をどう測って5や4をつけるかという細目は、それぞれの高校が定めます。調査書の学習成績概評には、A が5.0〜4.3、B が4.2〜3.5 といった区切りを要項が一律に引いていますが、その線の上に置かれる一つひとつの評定は、高校ごとの物差しで測られた数字です。
図1のように、条件の数字を決めて書類で示すのは大学、評定をつけて調査書を作るのは高校です。二つの数字が出会うのは、高校の中で、条件の欄と調査書の数字を照らし合わせるときです。同じ学部の条件が高校によって違っていても、この仕組みの上では何も矛盾していません。大学がそれぞれの高校に条件を示し、それぞれの高校が自分の物差しで評定をつけているからです。

友だちの高校の数字が、あなたの線にならない理由
舞台の夕方に戻ります。友だちの高校とあなたの高校で、同じ学部の評定の条件が違っていた。理由を知りたくなるのは当然ですが、大学がどの高校にどんな条件を示したのか、その理由は公表されないことがあります。そこを推測で埋めると、根拠のない高校の格付けの話になってしまいます。決まりから確実に言えることは、条件を決めて示すのが大学で、出願できるかどうかはあなたの高校に示された条件で決まる、という点です。
数字を横に並べて「どちらが甘いか」を比べること自体にも無理があります。前の節で見たとおり、評定のつけ方の細目は高校ごとに違います。同じ4.0でも、高校が違えば、測った物差しが同じとは限らない。友だちの高校の条件が低く見えても、それは友だちの高校の物差しの上の数字で、あなたの調査書と同じ目盛りに並べられる数字ではありません。比べても、あなたの出願に使える答えは出てきません。
自分の高校の条件を読むとき、違いが出るのは次の場所です。
- 全体の評定平均の条件があるか、あるならその数字
- 特定の教科の評定の条件があるか、あるならどの教科のいくつか
- どの学年のどの時点までの成績を、条件と比べるか
- 評定のほかに書かれた条件(資格や、特定の科目を履修していることなど)があるか
- 一覧に書かれた評定の数字が、大学の示した要件そのものか、校内で別に決めた目安か
三つ目の「どの時点まで」は、とくに読み違えやすいところです。当塾の案内では、指定校推薦で使う評定平均を、高1の1学期から高3の1学期までに全教科で積み上げた数字としています。要項のほうは、高3の成績が学年末まで固まっていない段階なら、いちばん新しい成績をまとめて高校が判定した評定を調査書に載せる、としています。前期と後期で成績を出す高校では線の引き方が変わるので、入る範囲を高校に確かめてください。
自分の場合を知るために見る物は四つです。校内の推薦の要項(申込の手順や校内選考の決まりが書かれた高校の文書)、指定校の一覧の条件の欄、大学から高校に届いた書類、そして進路の先生との面談。一覧が掲示か配布か、いつ示されるかも高校ごとに違います。どれか一つで足りるとは考えず、条件の欄で読んだことを、面談で先生の言葉と突き合わせるところまでをひとまとまりにしてください。
「指定校推薦 MARCH 評定」「早稲田 指定校 評定」と検索すると、数字の書かれた書き込みが見つかることがあります。けれども、その数字がどの高校に示された何年度の条件なのかは、書き込みからは確かめられません。たとえ本当の数字だったとしても、それは別の高校の一覧の数字です。前の年の一覧も同じで、そこにあるのはその年の条件です。今年のあなたの出願を決めるのは、今年、あなたの高校に示された条件です。
条件の言葉の意味がわからないときに、大学へ直接問い合わせたくなるかもしれません。その前に、担任か進路の先生に話を持っていってください。指定校の書類を受け取っているのも、推薦書を出すのも高校です。先生は、大学から届いた書類の文面を見ながら答えることができます。
条件に0.1届かないとき、読み直す六つの手順
一覧を見て、自分で出した評定平均が条件に0.1届かないと気づいた夜に、すぐあきらめるのも、すぐ別の大学を探しはじめるのも早すぎます。その0.1が本物かどうかは、まだ決まっていないからです。読み違いと数え違いを順につぶしてから、先生に確かめに行ってください。図2は、その順番を一枚にしたものです。

1つ目は、条件の欄の言葉をそのまま紙に書き写すことです。全体の評定平均の条件なのか、教科の条件なのか、二つが並んでいるのか。「以上」はその数字を含む言い方なので、たとえば「4.0以上」なら4.0ちょうどで満たし、3.9では満たしません。数字が小数第1位まで書かれていることも、自分の目で確かめておきます。
2つ目は、比べる成績の範囲です。高1の1学期から高3の1学期までなのか、2学期制ならどこまでなのか。自分の計算に、まだ入らない成績を入れていないか、入るはずの学年を落としていないかを見ます。
3つ目は、調査書と同じ数え方で計算し直すことです。通知表から、学年ごと・科目ごとの評定を一つずつ書き出し、全部を足して個数で割ります。ここで確かめたいのが、単位数で重みをつけていないかです。たとえば数学Ⅰが3単位で評定3、数学Aが2単位で評定5だったとします。単位数をかけて平均すると、9と10を足した19を5で割って3.8です。調査書の数え方では評定を1個ずつ数えるので、3と5を足した8を2で割って4.0になります。保健体育を3年分まとめて1個と数えていないかも、ここで見ます。
4つ目は、四捨五入です。たとえば高2の終わりまでの評定が22個で、合計が87だったとします。87を22で割ると3.954…で、小数第2位を四捨五入すると4.0です。電卓に出た3.95という並びを見て、4.0に届かないと思い込んでいなかったでしょうか。合計が86なら3.909…で、こちらは3.9になります。なお、校内で条件と比べるのが調査書に書く小数第1位の数字なのか、どの時点の数字なのかは、高校に確かめる点です。
5つ目は、教科の条件と、評定のほかに書かれた条件の欄です。たとえば条件の欄に、全体の評定平均と英語の評定が、どちらも「4.0以上」として並んでいるとします。英語の科目の評定が3年間で6個あり、4、4、4、3、4、4だったなら、合計23を6で割って3.833…、四捨五入して3.8です。全体の数字が4.0に届いていても、二つとも要件なら英語の側で届きません。逆に、英語に一つある3が4だったなら、合計は24になり、ちょうど4.0です。全体の計算で安心せず、教科の欄も同じ手順で出してください。そのうえで、資格や特定の科目の履修など、評定以外の条件を同じ欄で読み落としていないかを確かめます。
6つ目は、ここまでの書き写しと計算を持って、先生に確かめに行くことです。書き出した評定の表と計算の跡を見せれば、先生も同じ数え方で確かめられます。それでも条件に届かないとわかったら、その数字は大学が決めて示したもので、高校の側で書き換えるものではない、と受け止めるしかありません。そのときは、同じ一覧の別の学部や、公募制の学校推薦型選抜、総合型選抜、一般選抜へと、次の道を早めに並べてください。
保護者の方にお願いしたいのは、お子さまと一緒に通知表を学年の順に並べ、評定を一つずつ読み上げる役です。読み上げる人と書き取る人が分かれると、数え落としに気づきやすくなります。条件の欄の言葉は、お子さま自身が書き写したものを見せてもらってください。
「あの高校は甘い」「高3で取り戻せる」を、決まりに照らす
一つ目の思い込みは、「友だちの高校の条件のほうが低いのだから、自分も同じ数字で出られるはず」というものです。条件は大学がそれぞれの高校に示すもので、出願できるかどうかは自分の高校に示された条件で決まります。友だちの数字を先生に見せて「あちらは低い」と伝えても、あなたの高校の条件は動きません。
二つ目は、「評定平均が少し足りなくても、面接や小論文でがんばれば補える」というものです。評定の数字が出願の要件として書かれているなら、それは試験の点と足し合わせる持ち点ではなく、出願の前に満たしておく条件です。面接や小論文でどう答えたかは、条件を満たしたうえで評価されるものだと読んでください。
三つ目は、「高3の1学期でがんばれば、0.1や0.2はすぐ取り戻せる」というものです。図3の例で確かめます。たとえば高1と高2で評定が21個あり、合計が82だとします。82を21で割ると3.904…で、この時点では3.9です。ここに高3の9科目の評定が加わって30個になるとき、9科目を全部4にしても合計は118で、30で割ると3.933…、四捨五入して3.9のままです。9科目のうち1科目を5にできれば合計は119になり、3.966…から四捨五入して4.0に届きます。

図3が示すのは、二つのことです。0.1の差が、評定一つで決まることがある。そして、2年分の評定が積み上がったあとでは、高3で動かせる幅は思ったより狭い。同じ例で9科目を全部5にしても合計は127で4.2、全部3なら合計109で3.6です。高3の評定を3から5の間に収めるかぎり、この生徒の高3の1学期で動かせるのは3.6から4.2の幅です。高2のうちに自分の数字を出しておけば、高3で何科目をどこまで上げればよいかが、ぼんやりした願いではなく、科目の数として見えてきます。
高校の先生に確かめる質問
面談に持っていく問いを、聞く順に並べました。答えはその場でメモし、条件の欄を書き写した紙の横に並べておいてください。
- 「この学部の評定の条件は、全体の評定平均ですか。教科の評定の条件も付いていますか。」
- 「一覧に書かれている評定の数字は、大学から届いた要件そのものですか。校内で別に決めている目安も入っていますか。」
- 「条件と比べる評定平均は、どの学年のどの時点までの成績で出しますか。後期の成績はどこまで入りますか。」
- 「条件と比べるのは、調査書に書く小数第1位の数字ですか。」
- 「私が通知表から計算したこの表は、調査書と同じ数え方になっていますか。」
- 「評定のほかに、この学部の条件の欄で満たしておくことはありますか。」
- 「この条件に届かない場合、一覧の中で私が出願を考えられる学部はどこですか。」
- 「大学に聞きたいことが出てきたときは、先にどなたに相談すればよいですか。」
3と4は、答えが「高校の決まりによる」になることもあります。そのときは、その決まりがどの文書に書かれているかを聞き、自分の目で読んでおきます。3の後半は、2学期制の高校に通う人だけが聞けば足ります。
個別指導で確かめること
武蔵境の教室では、通知表の評定を学年ごと・科目ごとに書き出した表を一緒に作り、調査書と同じ数え方で全体と教科の評定平均を出して、生徒が書き写してきた条件の言葉と照らします。高3の1学期のテストが残っている人とは、返ってきた答案を見ながら、どの科目のどこを直せば評定の一段に近づくかを確かめます。条件の言葉で読み方に迷うところが残れば、先生に持っていく質問を、その場で紙に書き出します。
まとめ
同じ学部でも、評定の条件は高校ごとに示されます。友だちの数字は友だちの高校の一覧の中で働き、検索で見つけた数字は、どこの一覧のものかさえわかりません。あなたの出願を決める数字は、あなたの高校の条件の欄にあり、それを小数第1位まで正しく読めるのは、自分の評定を一つずつ数え直した人です。
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