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誰かと一緒に勉強する動画や配信で集中できるか—画面の向こうの机を借りる使い方とやめどき|武蔵野個別指導塾

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知らない誰かと同じ時刻に始める勉強は、始める合図と区切りの時計だけを借りれば崩れにくくなります。開く前に紙へページ数を書き、画面は伏せて休憩中も触らない。やめどきは寝る前の2行の記録で決めましょう。

誰かと一緒に勉強する動画や配信で集中できるかどうかは、画面を「見る物」にするか「置いておく物」にするかで分かれます。借りてよいのは、始める合図と区切りの時計の2つだけです。開く前に今日やるページを紙に書き、画面は伏せるか音だけにして、そのページが済んだら動画の途中でも閉じてください。動画を使った日に進むページ数が、使わない日を下回るようになったら、それがやめどきです。

よくあるのは、日曜の朝8時、画面の中の知らない大学生が小さく会釈してペンを握り、その同じ時刻に、こちらも数学の問題集を開くという場面です。最初の20分は驚くほど進みます。相手の部屋には鉢植えがあり、窓の外が明るい。ふと気づくと、相手が使っているノートの行の幅を目で測っていて、手元の問題は4問目のまま止まっています。休憩の合図で画面を手に取ったら、隣に並んだ別の動画の題名が目に飛び込んできました。

なぜそうなるのか

一人きりの机と、誰かが映っている机とでは、始まり方がまるで違います。教室で家庭学習の相談を受けていると、この種の動画で「やっと始められるようになった」と話す人と、「気づいたら見ていた」と話す人が、同じ熱量で語ります。どちらも本当です。理由は、画面がしてくれることと、画面がしてしまうことの両方にあります。図1のように、画面から借りられる物は2つ、目を連れていかれる先は3つあります。

図1 一緒に勉強する画面が貸してくれるものと、目を連れていく先

始める合図を借りられる

一人で机に向かうと、何時から始めるかを自分で決めなければなりません。9時にしようか、9時15分にしようかと迷っているうちに、決めること自体に力を使ってしまいます。画面の向こうで誰かがペンを取ると、その迷いが消えます。相手が始めた時刻が、そのまま自分の始める時刻になるからです。洗濯機の音やテレビの声が混じる日曜の朝でも、机に向かう人が1人映っているだけで、部屋の中に「今は勉強の時間」という線が引かれます。

区切りの時計を借りられる

この種の動画には、画面の隅に残り時間が出ているものや、50分ごとに休憩が入ると決まっているものがあります。自分でタイマーを合わせなくても、終わりの時刻が先に見えています。終わりが見えていると、目の前の1問に戻りやすいものです。休憩がいつ来るかがわかっていれば、途中で立ち上がって冷蔵庫を開ける理由も減ります。

画面は、見られるように作られている

ここからが落とし穴です。勉強する人を映す動画は、見る人が飽きないように作られています。窓の光、机の上の小物、ページをめくる指先。どれも目を引くように置かれています。とくに相手の手元が映っていると、どの色のペンを使い、何ページ進んだのかが気になってきます。自分より速く見えれば焦り、遅く見えれば安心して手が緩む。どちらに転んでも、目は自分の問題集から離れています。

出口が、すぐ横に並んでいる

もう1つの落とし穴は、勉強の外への出口が、画面の中に並んでいることです。動画が終わったとき、休憩に入ったとき、画面には次のおすすめが並びます。ライブ配信ならコメント欄が流れ続け、知らない誰かの「今日は英語やります」という一言にさえ、目は吸い寄せられます。出口が見えていると、ひと息のつもりの休憩が、そのまま朝の終わりになる日も出てきます。さらに厄介なのは、2時間画面の前にいたことが、2時間勉強した気分にすり替わることです。進んだページ数を数えてみると、ふだんの1時間分しかなかった、ということが起きます。

今夜からの手順

使うと決めたなら、画面に頼る部分を合図と時計の2つに絞り、それ以外は自分で持ちます。ここでは日曜の朝、2時間を勉強に使う日を例にします。平日の夜なら、時間を半分にして同じ順で進めてください。図2のように、段は6つあり、動画を開く前の1段目と、寝る前の6段目がいちばん大事です。

図2 動画を開く前から寝る前の記録までの6つの段の流れ

1. 紙に「今日の持ち場」を書いてから開く

動画を開く前に、メモ用紙かノートの端に、今日やる中身を書きます。「数学の問題集 34〜37ページの基本問題」「英単語 101〜150 を隠して書く」「理科のワーク 2ページの解き直し」のように、教科とページ数で書くのがこつです。「2時間がんばる」と時間で書くと、動画が2時間流れた時点で達成したことになってしまいます。動画がくれるのは時間であって、中身はくれません。中身は紙の側に書いておきます。2時間の朝なら、持ち場は3つまでにしてください。4つ以上書くと最後の1つが毎回残り、「今日もできなかった」で終わる朝が続きます。

2. 動画は1本だけ、選ぶのは3分まで

次に動画を選びます。選ぶ基準は、映っている人の雰囲気ではなく長さです。持ち場が2時間分なら2時間前後のもの、1時間なら1時間のもの。選ぶ時間は3分までと決めます。気に入った1本が見つかったら、次の日曜も同じ1本を使ってください。毎回選び直すと選ぶこと自体が楽しくなり、勉強が始まる前に10分、15分と過ぎていきます。同じ動画を使い続けると、始まりの音を聞いただけで手が問題集に向かうようになります。ライブ配信を使う場合は、始まる時刻と終わる時刻が先に告げられているものに限ります。終わりの決まっていない配信は、自分の終わりを相手に預けることになるからです。

3. 画面を伏せるか、音だけにする

始まったら、画面を自分の視界から外します。スマホなら画面を下にして、問題集の向こう側の、手を伸ばさないと届かない所へ。タブレットやパソコンなら、明るさを一番下まで落とすか、画面を閉じて音だけを流します。ページをめくる音、鉛筆が紙をこする音、休憩を告げるアラームの音。それだけで合図としては十分に働きます。コメント欄やチャットの表示は、始める前に閉じておき、その時間だけは通知も切ります。画面を見るのは、始めと終わりの2回だけです。画面を伏せるのは相手を見ないためというより、自分の問題集を見続けるためです。

4. 区切りの合図でページ数を書く

動画の休憩の合図が来たら、まず手元の紙に、今どこまで進んだかを書きます。「34ページの5番まで」のように、ページと問題の番号で書いてから休みます。休憩の間は画面を手に取らずに立ち上がり、水を飲む、窓の外を見る、肩を回す。この間に画面を見ると、次のおすすめと出会ってしまいます。区切りの長さは動画に任せてかまいませんが、自分の集中が25分前後で切れるとわかっているなら、動画の休憩とは別に、問題の切れ目で一度だけ顔を上げると決めておくのも手です。区切りごとのページ数が紙に並ぶと、どの時間帯に手が速く、どこで落ちたのかが、あとから目で見えるようになります。

5. 持ち場が済んだら、動画の途中でも閉じる

終わりは、動画の終わりではなく持ち場の終わりで決めます。3つの持ち場が1時間40分で済んだら、残り20分の動画を待たずに閉じてください。逆に動画が先に終わったら、次の動画を探さずに、台所のタイマーで残りを計って続けるか、その日はそこで止めます。動画が終わった瞬間は、画面の出口がいちばん多くなる瞬間です。持ち場が終わりかけたら、最後の1問を解く前に自分の手で動画を閉じてしまう、という順番にしておくと、終わりの画面を見ずに済みます。

6. 寝る前に2行だけ記録する

その日の夜、手帳かノートの最後のページに2行だけ書きます。1行目は「使った動画の長さと、進んだページ数」、2行目は「画面を見てしまった回数」です。回数は、勉強中に画面へ目が行くたびに、紙の隅へ線を1本引いておけば数えられます。たとえば「2時間で問題集4ページ、見た回数7」。この2行は、うまくいった日もいかなかった日も、動画を使わなかった日も同じ形で書きます。2週間分たまると、動画を使った日と使わなかった日で、進み方がどう違うのかが並んで見えます。やめどきを決めるのは気分ではなく、この2行です。

学年と時期で変わるところ

中学1年生は、家で何から手をつけるかの順番がまだ固まっていないことが多い学年です。動画で始める合図は借りられても、紙に書く持ち場が決められず、結局は動画だけが流れている、ということになりがちです。この学年では、持ち場を書く1段目を、家の人や塾の講師と一緒に作るところから始めてください。端末を使ってよい時間や場所は、家の決まりに合わせます。

中学2年生は、部活の大会や練習試合で休日の予定が埋まりやすく、平日の夜は疲れて勉強の時間が短くなります。動画を使うなら、平日の夜は30〜50分の1本だけ、休日は朝の始まりの1本だけと、使う場面を絞ってください。場面が決まっていれば、つけっぱなしの時間は伸びていきません。

高校1年生と2年生は、自分で端末を管理する人が増え、夜遅くの配信にも手が届きます。夜のライブ配信には終わりの時刻が決まっていないものも多く、寝る時刻まで相手に預けてしまいかねません。夜に使うなら録画の動画にして、閉じる時刻を先に紙へ書いておきます。

中学3年生と高校3年生は、勉強時間そのものが長くなる時期で、数時間続く配信をつけっぱなしにして、時間の長さで安心してしまう落とし穴が深くなります。都立高校の一般入試(第一次募集)の学力検査は2027年2月21日、大学入学共通テストの本試験は2027年1月16日と17日に行われます。本番の会場では、始める時刻も休憩の長さも試験の決まりで動き、画面の向こうの誰かに合わせることはできません。過去問を時間を計って解く練習は、動画のタイマーではなく自分の時計を使い、画面の無い机で行ってください。秋から冬にかけて、動画なしで始められる日を少しずつ増やしていくのが、受験生の使い方です。

時期で見ると、ふだんの週は始める合図として使うのがいちばん合います。テスト前の2週間は範囲表があるので持ち場を書きやすく、動画と相性のよい時期です。ただしテストの前日と前々日は、画面の無い机で、本番と同じように一人で解く時間を作ります。夏休みや冬休みのような長い休みは、時間がある分、朝から夕方まで画面をつけたままにしがちです。休みの間は午前の1本だけと決め、午後は動画なしで進めると、1日の後半に自分だけの始め方が残ります。

よくある失敗と直し方

失敗1 相手の手元を見て、自分のノートを作り直してしまう

相手のノートがきれいに見えて、自分も同じように色を分けたくなり、ノートの作り直しに1時間使ってしまう失敗です。手元を映す動画では、相手のノートや問題集が画面のいちばん目立つ所に置かれています。きれいな物を見たあとは、自分のノートの雑さばかりが目につくものです。直し方は、画面を伏せたまま始めることです。相手のやり方を取り入れたいなら、勉強の時間とは別の日に、やり方を見るための時間として10分だけ取ってください。勉強中に眺める画面と、やり方を学ぶ画面を混ぜないことが肝心です。

失敗2 10分の休憩が、次の動画で30分になる

休憩の合図で画面を手に取り、そのまま別の動画やコメント欄のやり取りを読み続けてしまう失敗です。休憩の間の画面は勉強中より明るく、次のおすすめが並び、指はすでに画面の上にあります。戻るきっかけがどこにもありません。直し方は、休憩の間は画面に触らないと決め、休憩の終わりを動画とは別の物で知らせることです。台所のタイマーを10分に合わせ、鳴ったら席に戻る。休憩に入る前に、次に解く問題の番号を紙に書いておくと、戻ったときに画面ではなく紙を見る理由ができます。

失敗3 動画が無いと始められなくなる

最初は合図として借りていたのに、いつの間にか動画が流れないと、座っても手が動かなくなる失敗です。始める合図を毎回外から借りていると、自分で始める合図が育たないからです。定期テストの教室にも、入試の会場にも、合図をくれる画面はありません。直し方は、週に1〜2回、動画なしで始める日を作ることです。そのとき、問題集を開いたら最初にページの端へ日付を書く、のように自分だけの始まりの動作を決めておくと、その動作が動画の代わりを務めるようになります。

この3つの失敗を、どこで見分けるか。答えは寝る前の2行の記録にあります。図3のように、記録に出る印ごとに打つ手が違います。画面を何度も見る日が続くなら、音だけにする。選ぶのが長い日が続くなら、同じ1本に決める。なしで始められない日が出てきたら、なしの日を作る。そして、動画を使った日のページ数が使わなかった日より減ってきたら、それがやめどきです。合図を借りる時期は終わり、自分の手で始められるところまで来た、という知らせでもあります。

図3 2行の記録に出た印と、そのときに打つ手の対応

よくある質問

解説の動画を見ている時間も、勉強時間に入れてよいですか

入れてかまいませんが、見る時間と手を動かす時間は分けて記録してください。教えてくれる解説の動画は、一緒に勉強する動画と違い、画面を見ることそのものが目的です。見ている間はわかった気がしても、問題集を開くと手が止まることがあります。解説を1本見たら、同じ単元の問題を、見た時間と同じくらい自分で解く。この組み合わせで1回と数えると、見ただけで終わる日が減ります。動画サイトで解説を探していると勉強と関係のない動画まで並ぶので、見る単元を紙に書いてから開く点は、一緒に勉強する動画と変わりません。

ライブ配信と録画の動画では、どちらが集中しやすいですか

ライブ配信は、同じ時刻にどこかで誰かが本当に机に向かっているので、始める力を強く借りられます。その代わりコメントが流れ続け、予定より終わりが延びることもあります。録画の動画は長さが決まっていて、止めることも巻き戻すこともできます。中学生や、使い始めたばかりの人には録画の方が扱いやすいでしょう。高校生で、コメント欄を閉じたまま時刻どおりに抜けられる人なら、ライブの張りつめた空気を借りる使い方もあります。迷ったら録画から始め、2行の記録で見た回数が少なかった方を選んでください。

動画サイトを開くと、つい別の動画を見てしまいます。画面を使わずに誰かと一緒に勉強する方法はありますか

あります。いちばん手近なのは、家の人に、同じテーブルで同じ時刻に何かを始めてもらうことです。家の人が本や書類を開き、自分は問題集を開く。会話はしなくてかまいません。友だちと決めるなら、始める時刻だけを前の晩に送り合い、終わったら進んだページ数だけを送る形にして、途中のやり取りはしません。図書館の学習席のように、知らない人が黙って勉強している場所も、画面の向こうの机と同じ合図をくれます。画面より出口が少ない分、こちらの方が合う人もいます。

保護者が手を貸すなら

お子さまがこの種の動画を流していると、遊んでいるように見えることがあります。けれど頭ごなしに止めると、始める合図まで取り上げることになりかねません。声をかけるなら、画面ではなく紙の方に向けてください。始める前に「今日の持ち場はどこまで」、終わったあとに「何ページまで行った」。この2つで十分です。画面を後ろからのぞいたり、見た回数を問い詰めたりすると、記録そのものが書かれなくなります。端末を使ってよい時間帯はお子さまと一緒に決めて紙に書き、2週間に1度、2行の記録を一緒に眺める日を作ってください。家の人が同じテーブルで本を開くことも、お子さまにとっては立派な「一緒に勉強する相手」です。

個別指導で確かめること

画面を伏せても持ち場が終わらない日が続くなら、つまずいているのは集中ではなく、持ち場に書いた問題そのものかもしれません。教室では、止まった問題集のページから1つ前の単元まで戻り、一人で解ける所と手が止まる所の境目を一緒に探します。数学の方程式の文章題で止まっているなら、式を立てる前の、文字を使って数量を表す所まで戻って確かめます。寝る前の2行の記録を持ってきてもらえば、どの教科の何ページで手が止まったかから話を始められ、紙に書く持ち場の大きさも変わってきます。

まとめ

日曜の朝に会釈した画面の中の大学生は、始める時刻を貸してくれますが、問題集の4問目を代わりに解いてはくれません。画面の向こうの机は借りた分だけ返し、伏せた画面の手前に残ったページ数を、その朝の自分の手柄として数えてください。来週の日曜、紙の上のその数字が今朝より1つでも増えていれば、画面は合図の役目を果たしています。

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