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テスト本番で頭が真っ白になる子へ—不安が考える力を奪う仕組みと試験前の 10 分|武蔵野個別指導塾
試験前の10分を、心配の書き出しと解き始める準備に分けます。途中で止まったら条件を紙に戻す手順を、普段の練習から本番へ持ち込めるよう備えます。

テスト本番で頭が真っ白になる子へ—不安が考える力を奪う仕組みと試験前の 10 分
答案を開く前から、難しい問題を解いているような朝
よくあるのは、朝のホームルーム前、机の上に筆箱を置いたお子さまが、昨日は解けた計算の手順を確かめようとして、かえって何も思い出せなくなるという場面です。周りでは「昨日の問題、できた?」という会話が聞こえます。ノートを開いても目が滑り、チャイムが鳴るころには、問題を見る前から失敗したような気持ちになっています。
帰宅して「頭が真っ白になった」と聞くと、保護者は「家ではできたのに」と驚くかもしれません。お子さま自身にも、その違いを説明する言葉がないことがあります。「もっと勉強しておけば」と考える前に、どの場面で、何が止まったのかを分けてみましょう。
ここで目指すのは、試験への不安を完全になくすことではありません。気になる考えがあっても、問題文から条件を拾い、最初の式を書くところへ戻れるようにすることです。前日までの練習と試験前の10分をつなぎ、本番で使える小さな手順を用意していきます。

心配が入り込むと、途中の考えを置く場所が狭くなる
数学では、答えを覚えているだけでなく、途中の情報を保ちながら考える場面があります。文章題なら、何を求めるのかを覚え、数量の関係を整理し、選んだ計算が合うかを確かめます。このように、必要な情報を一時的に保ち、使う働きを作業記憶と呼びます。頭の中の小さな作業台を思い浮かべると、理解しやすいでしょう。
その作業台に「また間違えたらどうしよう」「残り時間が足りない」という考えが何度も入ると、計算の途中や、さっき読んだ条件を保ちにくくなります。問題文を最後まで読んだのに、最初の条件をもう一度読む。式を立てかけたのに、どの数を使うつもりだったか見失う。本人には、知っていることまで消えたように感じられることがあります。
大学生80人を対象にした研究では、静かに待つ群で見られた数学不安の高い学生の成績の低さが、試験への考えや気持ちを書いた群では大きく縮まりました。心配が課題に必要な作業記憶を使ってしまう、という説明が示されています(Parkほか・2014)。ここでいう数学不安は、数学を扱うときの不安や恐れを表す言葉として用います。お子さまの性格や能力を決める呼び名にする必要はありません。
高校生と大学生を対象とした実験室実験2つと無作為化現場実験2つでも、大事な試験の直前に心配を短く書くことで試験の点が上がり、ふだん試験への不安が強い生徒ほど効果が大きいという結果が出ています(Ramirez・Beilock・2011)。心配の内容を紙に置く方法は、取り組み方を考える手がかりになります。「前向きになろう」と何度も自分に言い聞かせるほかにも、試せることがあるのです。
一方、168人と505人が参加した2つのオンライン実験では、書き出しも数学の自己概念を高める働きかけも、事後の数学の成績で対照群を上回らず、課題中の数学不安は5時点で大きく揺れ動きました(Scheibeほか・2025)。ここまでの研究には大学生や高校生の実験、オンライン実験という対象・場面の違いがあり、同じ書き方でどのお子さまにも得点の改善が起こるとは言えません。書いた後に問題へ戻りやすいかを、普段の練習で確かめながら取り入れましょう。
また、頭が真っ白になったという感覚だけでは、つまずきの場所は決まりません。問題の読み取りが難しかったのか、計算の手順がまだ曖昧だったのか、時計が気になって手が止まったのかで、次の練習は変わります。不安への準備と、数学そのものの理解の点検を並べて考える必要があります。
たとえば、時間を区切らず解いても同じ式変形で止まるなら、その部分を学び直す課題が見えてきます。時間を区切ると途中式を省き、符号を間違えるなら、書く手順を保ったまま取り組む練習が候補になります。「緊張に強くなる」という大きな目標を、「止まった場所からどう戻るか」という扱える課題へ変えていきます。
前日までの練習を、試験前の10分につなぐ
まず、練習用の問題と戻る場所を決める
用意するのは、すでに取り組んだ教科書や問題集、解いたノート、心配を書ける紙です。試験直前のために新しい教材を増やす必要はありません。教材には、解き方を確認する役割と、自分で解けるか確かめる役割を持たせます。同じページでも、その役割を意識して使い分けます。
最初に、解いたことのある基本問題を選び、解答を隠して取り組みます。すぐに解けなくても、答えを見る前に「何を求める問題か」を言葉にしてください。それを言えないなら問題文へ、言えても式が出ないなら例題の立式へ戻ります。戻る場所を決めておくと、最初から全部読み直す以外の選択ができます。
次に、例題を読むときは、完成した答えより最初の式を見ます。その式が問題文のどの言葉に対応するかを指でたどり、解答を閉じて自分でも書きます。最後に答えを照合し、違っていたら最初に違いが出た行を探してください。正解を写して終えるより、次に何を思い出せばよいかが具体的になります。
さらに、ノートの余白に「止まったらすること」を短く残します。「求めるものに線を引く」「条件を図に書く」「わかる式だけ置く」など、自分が実際に動ける言葉にします。試験当日にそのノートを持ち込むためではなく、練習中に手順を使い、見なくても動けるかを確かめるためです。
小さな時間制限で、止まり方を確かめる
いきなり長い模擬試験をする前に、基本問題を少量選び、5分だけ取り組んでみましょう。目的は速さを競うことではなく、時計があると何が変わるかを知ることです。時間が来たら、まだ解けていない問題にも、どこまで考えたかわかる印を残して区切ります。
その後の3分は、解き直す前の点検に使います。問題を読む前に焦ったのか、計算の途中で止まったのか、見直しで迷ったのかを選びます。「全部だめだった」では次の手が決まりません。「式は書けたが、その次の計算で時計を見た」と、行動で記録すると、練習の焦点が定まります。
別の日には時間を区切らず、同じ種類の別の問題を解きます。前と同じ場所で止まるか、途中式を書けば続けられるか、解答を見ずに理由を説明できるかを確かめてください。比較は点数だけでなく、始められた場所と戻れた場所で行います。短い練習でも、何を比べたかが明確なら、次に使う材料になります。
試験前の10分も、まずは家庭学習の前に試します。書くことで気持ちがまとまるのか、書く話題を広げすぎると問題に戻りにくいのかを見ます。試験の朝に初めて行うより、終わり方まで練習しておくほうが、当日の手順として使いやすくなります。
最初の4分は、試験への心配を紙に置く
10分のうち最初の4分を、試験について気になっていることを書く時間にします。「最初の問題で間違えそう」「計算の途中で時間がなくなりそう」など、短い言葉で十分です。文章を上手にまとめたり、よい結論をつけたりする必要はありません。頭に浮かんでいることを、そのまま書ける範囲で置いていきます。
この時間配分は、普段の練習で調整するための案です。心配の量を競わず、書く内容を無理に増やさず、区切りが来たら終えます。保護者に見せるための作文にも、講師に提出する反省文にもしません。見せるかどうかを自分で選べるようにしておきましょう。
書き始めに迷ったら、「今日の試験で気になるのは」と続けてみます。そこから書くことがなければ、紙を埋めようとしなくて構いません。書いた内容を読んで解決策を次々と考えると、準備の時間が長くなります。今は心配の結論を出す時間ではなく、区切って問題へ向かう練習と位置づけます。
次の3分は、最初の行動を1つ選ぶ
次の3分では、心配とは別に、自分が試験中にできることを選びます。「失敗しない」は結果なので、そのままでは動きにくい目標です。「問題文の求めるものに線を引く」「計算を1行ずつ書く」のように、鉛筆で実行できる行動へ言い換えます。
選ぶ行動は、普段の教材で使ったものにします。文章題が気になるなら、何を求めるのかを確かめてから数量を整理する。計算で焦るなら、暗算で飛ばしがちな途中式を書く。難しい問題に留まり続けるなら、途中までの考えを残して次へ進む。心配の内容と、実際の手順を結びつけてください。
続いて、最初の行動がうまくいかなかったときの戻り先も確かめます。線を引いても式が出なければ、図や表に条件を置く。それでも進まなければ、解けそうな問題を探す。答えが出るまで同じ場所を見つめ続けるほかにも選べる手がある、と自分で言える状態にします。
最後の3分は、準備を終えて待つ
残りの3分では書いた紙をしまい、筆記用具などを整えて、始まるのを待ちます。難しい問題を新しく解き始めると、途中のまま試験を迎えることがあります。普段から使っている短い確認事項を見たら、そこまでで区切りましょう。「まだ不安だから準備をやり直す」を繰り返すと、終わりがなくなります。
試験会場では、紙を使える時間や机の上に置ける物の指示に従ってください。10分を確保できない日は、許された準備の時間に、普段の手順のうち何を使えるかを考えます。入室後に無理に全部を済ませようとせず、家庭や待機できる場所で終える段取りも、前日までに決めておきます。
試験が始まったら、まず指示を読み、取り組む問題を見ます。準備がうまくできたかを採点する時間は、ここで終わりです。心配がまだ残っていても、問題文の条件を書き出せれば、学習の行動は始まっています。落ち着いた気分になるまで解き始めるのを待つ必要はありません。
途中で真っ白になったら、答案の外側から戻る
本番で手が止まったときは、頭の中だけで解き方を探し続けず、問題文と自分の途中式を見直します。まず何を求めるのかを確かめ、次に使えそうな条件を紙に置き、最後に直前までの式が何を表していたかを読みます。情報を答案に残しておくことが、この戻り方を支えます。
たとえば文章題なら、数量と単位を並べるだけでも構いません。図形の問題なら、問題文に示された長さや角度を図へ書き込みます。計算なら、直前の行から次の行へ何をしたかをたどります。すべての解法を一度に思い出そうとせず、今扱っている条件を見える形にします。
それでも続けられなければ、後で戻る目印をつけて次の問題へ進みます。戻ったときに「何も残っていない」状態を避けるため、求めるものや途中の式は消さずに残します。見直しでは、符号、単位、聞かれたものへの答えになっているかを順に点検すると、同じ計算を何度も繰り返すだけになりにくくなります。
試験後は、次に変えることを絞る
答案が返ったら、まず手が止まった問題を1つ選び、時間を区切らずに取り組み直します。答えを覚えている場合も、最初の式を選んだ理由を書いてみてください。理由が出てこなければ例題へ戻り、理由が言えるなら途中の計算を確かめます。すべての間違いを一度に直そうとするより、止まり方と戻り方の組み合わせをはっきりさせます。
次に、試験前の準備で実際に使えたものを残します。心配は書いたけれど終えるのに時間がかかったなら、次の練習では終了の合図を決める。最初の行動を選んだのに忘れたなら、普段の問題でその動作から始める。こうして変える点を絞れば、次回に何を確かめればよいかも決まります。
最後に、正解した問題にも目を向けます。不安があったのに条件を書けた問題や、後で戻って解けた問題は、再開の手がかりになります。「たまたまできた」で片づけず、何を見て、どの行から動けたのかを短く残してください。同じ行動を別の問題でも使えるか、次の学習で試してみます。

個別指導では、空欄になるまでの過程を一緒に見る
個別指導を相談する際は、「本番に弱いので鍛えてほしい」だけでなく、実際の答案と普段のノートを並べて、どこから違うのかを見てもらいましょう。同じ問題が家で解けたとしても、直前に解答を見たのか、自分で方法を選べたのかによって意味は変わります。講師に期待したいのは、その違いを問題の内容と結びつけて整理することです。
たとえば、試験では文章題が空欄だったとします。講師がすぐ解法を説明する前に、お子さまに問題を読んでもらい、求めるもの、使えそうな数、最初に考えた方法を確かめます。読み取りで止まっているなら、条件を図に置く練習が候補です。立式の後の計算で止まるなら、必要な計算へ戻ります。空欄という同じ見た目でも、必要な支援は異なります。
塾に持ってもらいたい課題は、理解の穴を探すこと、適した問題を選ぶこと、手が止まったときの戻り方を練習することです。「次は気をつけよう」だけでは、お子さまが家で何をすればよいか決まりません。次の練習で使う問題と、できたと判断する行動まで具体化されるかを、体験授業や面談で確かめてください。
問題の選び方も相談の要点になります。解答を見ればわかる問題と、自力で最初の式を書ける問題を区別してほしいところです。毎回違う難問に挑むより、今の手順を使える問題から始め、その後に条件の少し違う問題へ進む案が考えられます。お子さまが「この数を使う理由」を言えるかまで見ると、正誤だけでは捉えにくい理解が見えてきます。
家庭が持つ役割は、試験前の過ごし方を整え、お子さまの説明を急いで評価しないことです。帰宅直後にすべての失点を聞くより、話せるタイミングで「どの問題から手が動いた?」と尋ねてみます。本人が話したくない日は、答案が返ってから確認することもできます。心配を書いた紙を回収して分析する必要はありません。
保護者が計算の教え直しまで抱えると、何をどこまで教えるかに迷うことがあります。家庭では、選んだ問題に取り組めたか、解答を見る前に最初の式を書けたかなど、見える行動を確かめる形も選べます。説明が必要な箇所には印をつけ、講師へ質問する材料にします。家庭での見守りと数学の指導を、同じ役割にしなくてよいのです。
進み具合を確かめるメモには、「取り組んだ問題」「止まった場所」「再開に使った手順」の3項目を置けます。たとえば「文章題、数量の関係で停止、図に書いたら式が出た」と残します。長い感想より、次の練習で試せる情報になります。これは相談に使える記録の案で、毎日提出することを前提にする必要はありません。
不安の様子も、点数とは別に本人の言葉で残せます。「始まる前は気になったが、計算に入ると続けられた」「後半に時計を見て焦った」といった短い記録です。前半で不安だったから試験全体がだめだった、とまとめずに済みます。前回と比べるときも、不安が消えたかだけでなく、止まってから使えた行動に目を向けてください。
次の試験へ向けた連絡は、「今回の観察」「次に試すこと」「家庭で確認すること」を短く分けると、相談しやすくなります。例として、観察が「計算の途中式が減った」、次に試すことが「短い時間制限でも1行ずつ書く」、家庭の確認が「練習後に飛ばした行を本人が探す」という形です。こうした相談ができるかは、体験授業や面談で確かめてください。
支援の量を決めるときには、お子さまが一人で再開できた部分も残します。講師がすぐ隣で次の式を教え続けると、自分で戻れたのかが見えにくくなります。どこまで待ち、どの言葉を手がかりにするかを相談し、最後は手がかりを見ずに同じ種類の問題へ取り組んでみます。本番へつなぐには、助けがある場面での正解から、一人で使える手順へ進む過程が必要です。
心配が残っていても、準備は役に立ちますか
書き出したのに緊張したら、やり方が間違っていますか
緊張が残ったことだけで、失敗と決める必要はありません。確認したいのは、問題文を読み始められたか、心配に気づいた後に途中式へ戻れたかです。書き出しを「落ち着かなければ合格できない儀式」にすると、新たな心配の種になります。練習で書く前後の取り組みやすさを見て、短くする、別の準備にするなど、自分に合う形を選んでください。
書きながら嫌な場面を次々と思い浮かべ、勉強へ戻りにくくなるなら、その日はそこで区切ります。書き直してよい内容に変えようと頑張るより、使い慣れた問題の条件を読むところへ戻りましょう。書き出しを続けた日数より、問題に向かう手順として使えるかを優先します。
家では解けるので、理解の確認は省いてよいですか
家で解けたときの条件も見てください。例題を見た直後だった、同じ種類の問題が続いていた、保護者が最初の式を教えた、ということはないでしょうか。そうした助けがある状態と、本番で自分で方法を選ぶ状態には違いがあります。解答を閉じて、少し形の違う問題でも理由を説明しながら解けるかを確かめます。
そこで止まる部分が見つかったら、努力不足と評する材料ではなく、次の練習に使います。不安を整える準備と、必要な知識を使えるようにする練習を並行させれば、「落ち着けば全部できるはず」という曖昧な期待から離れ、具体的な課題を選べます。
小学生にも同じ10分の書き出しをさせたほうがよいですか
長い文章を書く負担があるお子さまに、同じ量を求める必要はありません。本人が使いやすければ、気になることを短い言葉で書き、その後にすることを選ぶところから試せます。書く行為自体が難しい場合は、「最初に何を読むか」を普段の問題で練習するなど、実行しやすい準備を選びましょう。
保護者が心配の内容を聞き出して代わりに詳しく書くと、本人の準備から離れることがあります。話したい範囲を尊重し、試験前にすることを増やしすぎないようにします。不安の様子が気になるときは、学校や専門の相談窓口に相談してください。
次の試験には、戻るための一手を持っていく
頭が真っ白になった経験は、お子さまにとって、次の試験の前から思い出されることがあります。その記憶に「今度こそ頑張る」だけを重ねると、何を変えればよいのかが見えません。求めるものに線を引く、条件を図に置く、途中式から再開する。そのうち使えた一手を、次の準備へ持っていきましょう。
試験前の10分は、勉強してきた内容を使い始めるための時間です。心配を書いて区切り、最初の行動を選び、準備を終える。家庭では短く試し、結果は点数と行動の両方から振り返ります。武蔵野個別指導塾への相談では、答案の止まった箇所から練習を組み立てられるかを、体験授業や面談で確かめてください。本番への備えを支えるのは、手が止まった後にも使える、練習済みの動作です。
参考文献
- Ramirez・Beilock(2011) https://doi.org/10.1126/science.1199427
- Parkほか(2014) https://doi.org/10.1037/xap0000013
- Scheibeほか(2025) https://doi.org/10.1037/xge0001804
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