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英検1級の英文要約|要点を選び、90〜110語につなぐ練習|武蔵野個別指導塾
原文の主張・理由・留保を拾い、90〜110語にまとめる手順を学べます。独自の英文課題3題と解答例を使い、情報の抜けや言い換えによる意味のずれを自分で確かめられます。

英検1級の英文要約|要点を選び、90〜110語につなぐ練習
よくあるのは、自習机で英文のほとんどに下線を引いたあと、要約の最初の1文を書けずに止まるという場面です。原文の意味は追えていても、どれも大切に見えてしまいます。ようやく書き始めると、前半の説明だけで語数を使い、後半の反論を短い1文に押し込むことになります。難しい単語を知らないためだけに起こるつまずきではありません。読んだ情報に優先順位を付ける作業と、英語の文に組み直す作業が重なっているのです。
英検1級の英文要約では、原文を短くするだけでなく、何についての文章で、どのような理由や条件が示されているかを残す必要があります。個々の文を順番に訳して縮めると、説明の細部は残っても、文章全体の関係が薄くなりがちです。一方、思い切って削りすぎると、原文では慎重に述べている提案が、確実な効果を持つ政策のように変わってしまいます。
ここで練習するのは、原文を読む段階で情報の役割を分け、残す内容を決めてから英文にする方法です。最初から立派な言い換えを探す必要はありません。まず内容が合っている短い文を作り、重複を減らし、最後に語数と文法を確かめます。保護者の方も、難しい英文をすべて添削しなくても、「その1文は原文のどこに対応するのか」をお子さまと確認することで、学習の進み具合を見られます。
試験の条件と、要約で起こりやすい3つのずれ
日本英語検定協会は、1級の目安を大学上級程度としています。一次試験のライティングには、英文要約が1問、指定された話題について意見を論述する英作文が1問あります。リーディングとライティングを合わせた時間は100分です。要約の指示は90〜110語でまとめることを求めています。要約だけに使える時間として100分があるわけではありませんので、練習では読み取りと執筆を一続きで進める準備が必要です。
ただし、最初から速さだけを追うと、どの段階で時間を使っているのかが見えなくなります。原文の論点を拾うのに時間がかかるのか、情報を減らす判断が難しいのか、英文を作る途中で止まるのかを分けてください。後で示す練習時間は、この区別をしやすくするための学習上の目安です。公式に定められた要約専用の制限時間ではありません。
具体例を主張と同じ重さで残してしまいます
ある制度の利点を説明するために、原文が複数の施設や地域を挙げているとします。施設名をすべて並べても、それだけでは制度の利点は伝わりません。「何を実現する制度か」と「なぜそれが役立つか」を残し、施設名は削れるかを考えます。ただし、固有名詞だから必ず不要とは限りません。特定の地域にだけ当てはまる議論なら、対象範囲を消すことで意味が変わる場合があります。
判断の手がかりは、その情報を消しても、原文の中心的な説明が成り立つかどうかです。似た働きをする事例が3つあるなら、共通する内容にまとめられます。逆に、ある条件を満たす場合に限って効果があるという記述では、条件そのものが要点です。「短くできる情報」と「短くしてはいけない関係」を分けて読みます。
言い換えを急いで、主張を強くしてしまいます
原文に可能性を表す may があるのに、要約で必ず起きる結果として書くと、語数が収まっていても内容が変わります。原文で一部の利用者について述べているのに、すべての利用者に広げる場合も同じです。難しい動詞に置き換えることより、主張の強さ、対象、条件を保つことを先に考えてください。
たとえば、練習用の1文を読んでみます。
Flexible schedules may help some employees avoid crowded trains.
ここでは勤務時間の柔軟さが、一部の従業員に役立つ可能性を述べています。要約のために細かい表現を減らすなら、次のようにできます。
Flexible schedules can ease commuting difficulties for some workers.
可能性と対象の限定は残しています。ただし、原文全体で混雑した電車という交通手段が議論の中心なら、commuting difficulties と広げず、電車の混雑を明示する方が適切です。文単独で自然でも、文章全体に対して適切とは限らない点を意識してください。
内容の修正と文法の修正を一度に済ませようとします
英文に誤りがある場合、訂正を受けて書き直すことには研究上の支えがあります。英作文への訂正フィードバックを扱ったベイズ的メタ分析では、中程度の効果が長期にも持続し、直接訂正、間接的な指摘、説明を付けた方法の差は小さいとまとめられています(Brownほか・2023)。対象は52研究であり、国・年齢・参加人数をそろえた英検1級受験者の調査として読んだり、要約の情報選択への効果まで同じとみなしたりはできません。
別のメタ分析では、書いた英文への訂正は文法の正確さを中程度に高め、直接の訂正の効果がやや大きく、習熟度が効果を左右する最も強い要因とされています(Lim・Renandya・2020)。対象は35研究であり、特定の国・年齢・人数の受験者に一律の伸びを約束する結果でも、英検1級の要約得点の伸びを直接示す結果でもありません。
この2本を踏まえ、ここでは訂正を受けたあとの書き直しを練習に組み込みます。一方、情報の選び方については、原文と要約を自分で照合する手順を別に用意します。文法が整ったことと、要点が残ったことは別々に確認する必要があります。きれいな英文に直したあとで重要な反論の欠落が見つかると、文全体を組み直すことになるため、内容から先に見直します。

原文から解答までを6段階に分けます
1. 話題を短い日本語で置きます
最初の読みでは、「何をめぐる文章か」を短く書いてください。「環境問題」のように広すぎる言葉ではなく、「市が貸し出す道具の共同利用」「研究データを公開する際の条件」のように対象を絞ります。このメモは答案の書き出しを翻訳するためではなく、読み進める途中で論点を見失わないために使います。
練習では2分を取り、全体を読んで話題のメモだけを残します。途中で知らない語が出ても、その語が主体、利点、問題点のどれを示しているかを前後から考えます。主張の向きを左右する語で意味が取れない場合は印を付け、読み終わってから戻ります。辞書を使う練習と使わない練習を分け、調べた時間は記録から区別しておきます。
2. 情報に役割を付けます
次に3分を使い、各段落を「提案」「利点と理由」「問題点」「対応策や条件」などの言葉で表します。この4種類が必ずそろうとは考えないでください。歴史的な変化を説明する文章なら、従来の状況、変化を起こした要因、その後の影響という分け方が合うこともあります。原文の構造に合わせてメモの形を変えます。
ここでの自分への問いは、「この段落を丸ごと消すと、何がわからなくなるか」です。消しても同じ利点が伝わる具体例はまとめられます。消すと筆者がその制度に慎重な理由がわからなくなる段落は、何らかの形で残す必要があります。各段落から同じ量を抜き出す作業ではありません。
3. 因果と対比を短い文にします
残す情報が決まったら、原因と結果、利点と負担を結びます。たとえば、次の2文を見てください。
Equipment is expensive. Small organizations cannot always purchase it.
2つの情報をつなぐなら、次のようにできます。
High equipment costs can prevent small organizations from purchasing it.
ただし、原文が単に2つの事実を並べている場合に、勝手に原因と結果へ変えてはいけません。接続語は文をなめらかにする飾りではなく、情報同士の関係を指定する言葉です。because、however、therefore を入れるたびに、原文にもその関係があるかを確かめます。
4. 文の役割を決めてから書きます
執筆にはまず8分を取り、メモを英文にしてください。1文目には何についての文章か、続く文には主要な説明、最後には原文の重要な留保や帰結を置くとまとめやすい場合があります。ただし、決まった文数に当てはめる必要はありません。段落数や文数を固定するより、欠かせない内容がどこに入るかを先に決めます。
途中で思い出した背景知識は足さないでください。環境に関する話題をよく知っていても、原文にない温室効果ガスや補助金の説明を入れると、原文の要約から離れます。「自分ならどう考えるか」は意見を考える練習に回し、ここでは原文に書かれた情報だけで組み立てます。
5. 対応箇所を確認してから語数を調整します
見直しの3分は、先に内容、後に語数と文法という順で使います。自分の英文の各文に対し、対応する原文の箇所を指で示せるかを確かめてください。根拠を示せない文は、自分の推測や言い過ぎが混ざっている可能性があります。次に、原文の重要な主張から自分の答案へ逆向きにたどり、書き落としを探します。
110語を超えたら、同じ情報の繰り返し、長い導入、細かい列挙から減らします。90語未満なら、形容詞を足す前に、理由や留保を落としていないかを探してください。語数を増やすための感想は必要ありません。普段は少し余裕を持った語数を目指し、修正するたびに数え直します。
6. 直した理由を1つ残します
仕上げの2分で、最も大きく直した箇所について理由を書きます。「文法を修正しました」だけでなく、「公開の利点だけを書いていたので、個人情報への懸念を戻しました」と記録します。次の課題では、その種類の抜けを先に探せます。合計18分という区切りは練習用です。難しい場合は各段階を延ばし、まず必要な判断を最後まで行ってください。
3つの英文課題で情報の選び方を試します
以下は、この練習のために新しく書いた英文です。扱う制度や動きは課題内の設定として読み、現実の自治体や研究機関の実績とは結び付けないでください。各英文を90〜110語で要約し、書き終わるまで解答例を隠します。原文の長さや段落構成を本試験と同一とみなさず、情報を選ぶ手順の練習に使ってください。
課題1: 道具の共同利用と運営の負担
Some cities are considering public lending centers where residents could borrow tools that they need only occasionally. A person might borrow a drill to put up a shelf or a set of gardening tools for a weekend project. Supporters argue that these centers could reduce household spending and the number of products purchased for limited use. They could also make equipment available to residents who have little storage space.
Running the centers, however, would involve more than collecting donated tools. Staff would need to inspect equipment, arrange repairs, and explain how to use unfamiliar items safely. Popular tools might be unavailable when several people wanted them at once. If residents repeatedly failed to obtain what they needed, they might decide to buy their own equipment after all.
Supporters therefore suggest allowing advance reservations and offering basic training. They also propose testing a small collection before expanding the service. Such measures could help cities understand demand and operating costs, although even a small center would require continuing financial support.
書く前に、ドリルや園芸道具が何を説明するために出てくるかを考えてください。中心は、たまにしか使わない物を共同で利用することです。道具の種類を両方残すより、家計と購入量への利点、維持管理と予約の問題、試行という対応を残す方が全体を伝えられます。保管場所の少ない住民への利点も、短くまとめられるか検討します。
解答例1
Public tool lending centers could lower household costs and reduce purchases of rarely used equipment while helping residents with limited storage. However, cities would need to fund inspections, repairs, and safety guidance. Shortages of popular tools could also discourage borrowing and lead residents to purchase their own. Supporters recommend reservations and basic training to address these problems. They also suggest beginning with a small collection to assess demand and operating expenses before expanding. Although these steps could improve the service, cities would still need to provide ongoing financial support for the centers.
この解答では、道具の具体名を rarely used equipment にまとめています。後半の試行を、事業の成功が保証された結論へ変えていない点も確認してください。最後の文は、対応策があっても継続的な財政支援が必要という留保を残しています。自分の答案で費用の話が最初にしか出てこない場合、家庭の支出と市の運営費を混同していないかも見直します。
自分で確かめるときは、家庭にとっての利点を1本線、市にとっての負担を2本線で示してください。両方があるかを見れば、利点だけの紹介文になっていないかを確かめられます。さらに、reservations が何に対応する策かを説明できるかを確認します。
課題2: 研究データの公開と利用条件
Research funders are considering policies that would require researchers to make the data behind published studies available to others. Supporters say that access would allow other teams to check results and investigate new questions without collecting the same information again. Public access could also enable small research groups to work with material that would otherwise be too costly to obtain.
Some researchers point out that releasing data responsibly takes considerable work. Files must be organized, and the conditions under which information was collected need to be explained. Without this context, other users may misunderstand the material. There are also concerns about information gathered from human participants. Simply removing names may not be enough to protect people if different sources of information can be combined.
A proposed approach is to provide funding for data preparation and establish clear rules for access. Material that poses little risk could be released openly, while sensitive information could be shared only with approved researchers. Supporters of this approach argue that access policies should reflect the nature of the data rather than treat every dataset in the same way.
この課題では、公開に賛成か反対かという2択にしてしまうと、最後の提案が抜けます。公開による検証と再利用の利点を残したうえで、準備作業、文脈の説明、参加者の保護を整理してください。最後に示されているのは、すべて同じ方法で公開するのではなく、情報の性質に応じて利用条件を変える考え方です。
解答例2
Making research data available could help other teams verify findings, explore new questions, and avoid duplicating data collection. It could also benefit smaller research groups with limited resources. However, researchers must prepare files and explain their context to prevent misunderstanding. Data concerning human participants can also threaten privacy, even after names are removed. One proposal combines funding for preparation with clear access rules. Data involving little risk would be openly available, whereas sensitive material would be restricted to approved researchers. This approach would adapt access requirements to different kinds of data rather than impose a uniform policy.
この解答では、検証、別の問いへの利用、収集の重複回避を最初の文にまとめています。後半の whereas は、危険の小さい情報と慎重に扱う情報の公開方法を対比しています。研究者が心配しているから公開をすべてやめる、という結論にはしていません。
自分の答案の中で、data が指す範囲を確認してください。機微な情報だけに関する制限を、研究データ全体への制限に変えていないかが点検の中心です。また、名前を消せば必ず安全になると書いていないかも確認します。限定を残す練習では、短さより先に対象の違いを保ちます。
課題3: 電子機器の修理と設計上の課題
Policymakers are debating rules that would require manufacturers of electronic devices to make replacement parts and repair instructions available. Supporters argue that consumers often replace products because a minor fault is difficult or expensive to fix. Easier access to repair could extend the useful life of devices, reduce discarded equipment, and give independent repair businesses more opportunities to compete.
Manufacturers raise several objections. They say that repairs carried out incorrectly may create safety risks and that detailed technical documents may reveal commercially valuable information. They also argue that keeping spare parts available for many years would increase costs, especially when a product has been redesigned and older components are no longer widely used.
Some proposals attempt to address these concerns by requiring safety guidance and protecting specific confidential details while still providing useful repair information. Yet parts and instructions alone may not make repairs practical. If important components are glued together or difficult to reach, taking a device apart can cause further damage. The debate therefore also concerns whether products should be designed from the beginning to allow repairs.
この課題では、最後の段落が前半の単なる言い直しではありません。部品や説明書を用意するだけでは修理しやすくならず、製品の設計にも問題があると話題を進めています。「利点と反対意見を1文ずつ書けば十分」と決めず、最後に加わった論点の役割を見てください。
解答例3
Proposed repair rules would require electronics manufacturers to supply replacement parts and instructions. Supporters believe easier repairs could extend product life, reduce waste, and strengthen competition among repair businesses. Manufacturers, however, warn about unsafe repairs, disclosure of valuable information, and the cost of maintaining supplies of older parts. Some proposals would provide safety guidance and protect confidential details while preserving access to useful instructions. Nevertheless, information and parts may be insufficient if devices are difficult to dismantle. The debate therefore includes whether manufacturers should design products that can be repaired more easily from the outset.
自分で確かめるときは、利点、メーカーの懸念、対応策、設計という4つの役割がどこにあるかを確認してください。安全上の注意だけを追加すれば問題が解決するという結論になっていたら、原文の最後に戻ります。接着された部品の細部は省いても、分解の難しさという論点は残せます。
3題を終えたら、同じ欠落が続いていないかを見ます。留保が毎回抜けるなら、次回は執筆前に「対応策で解消し切れていない点」をメモします。細部が多すぎるなら、英文を書く前に具体例を上位の言葉へまとめます。練習を増やすだけでなく、次に変える操作を1つ決めることが大切です。
ここで手が止まるなら、止まった単元まで一緒に戻ります。学年別個別指導コース/お問い合わせ

個別指導では、完成文に至る判断を確かめます
武蔵境で英検1級の対策を考える方には、添削後の英文の美しさだけでなく、自分で次の要約を書けるようになる過程を見ていただきたいと考えています。個別指導で塾が持つべきなのは、原文と答案の対応を確認する責任と、本人がどこで判断に迷ったかを見つける役割です。答案だけを受け取り、自然な英語に直して返すだけでは、読み取りの誤りと表現の誤りを区別できない場合があります。
そこで、授業で扱う際には完成した要約に加え、段落の役割を書いたメモと、削った情報を残してもらいます。「この例はほかの例と重なるので省きました」と説明できるなら、削除は考えた結果です。反対に、「意味が取れなかったので省きました」という場合には、同じ短い答案でも戻る場所が違います。塾側は、その違いを確かめてから、読解に戻るのか、構成を直すのか、英文の表現を練習するのかを決めます。
文法の訂正も、すべてを同じ重さで並べません。たとえば、主語を変えたことで原文とは別の主体が費用を負担する文になった場合には、内容と文法の両方を確認します。冠詞の選択のように、文意を大きく変えない箇所とは分けて扱います。訂正の優先順位は、誤りの数だけでなく、原文の意味がどれほど変わっているかを見て決めます。
本人には、訂正を眺めて終わらず、自分の文をもう一度書き直す部分を持ってもらいます。書き直した直後には、何を戻し、何を削ったかを短い日本語で説明してください。翌日に同じ原文を使うなら、完成文を暗記して再現するのではなく、原文から要点のメモを作り直します。前回の表現をそのまま使わなくても、必要な情報と関係が残っていれば、別のまとめ方を検討できます。
家庭では、保護者が英語の正誤をすべて判断する必要はありません。お子さまに「今回の文章は何についてでしたか」「前回と比べて、どこを自分で直せましたか」と聞く程度でも、学習内容を言葉にする機会になります。毎回の語数だけを成果とすると、範囲に収まった時点で見直しが止まることがあります。語数とともに、原文にない情報を足さなかったか、主要な条件を落とさなかったかを本人が説明できることも見てください。
進み具合は、練習日、読み取りに使った時間、執筆に使った時間、落とした要点、意味を変えた表現、書き直した理由を簡単な記録にします。細かい点数を独自に付けて合否を予測するためではありません。たとえば、執筆時間は変わらなくても、反論の書き落としが減っているなら、情報の選択は前進しています。逆に、速く書けても自分の意見が混ざるなら、速度より照合の手順を優先します。
塾が本人に代わって要約を完成させることと、本人が要点を選べるように支えることは、成果の見え方が異なります。授業では、講師の修正文だけでなく、本人の初稿と書き直しを並べて変化を確かめます。次に1人で取り組むときに何を見ればよいかまで具体化し、家庭での練習へつなげます。
よくある誤解を確かめます
Q1. 原文と同じ単語が残ると、悪い要約になりますか
同じ単語があることだけで、内容の良し悪しを判断する必要はありません。話題の中心になる制度名や、正確さのために必要な語まで無理に置き換えると、対象が曖昧になることがあります。まず原文の文を長いまま移すのではなく、必要な情報を自分で選び直してください。そのうえで、重なる説明をまとめたり、主語を整理したりすると、文全体を組み直せます。
課題1なら、tools という語を完全に避けることより、道具の種類を列挙せず、共同利用の利点と運営上の問題をつなぐことが大切です。知らない難語を辞書で探して入れるときは、その語が同じ対象と同じ意味の強さを表しているかまで確かめます。自分で使い方を説明できない語に替える前に、すでに使える語で文を短くできないかを考えてください。
Q2. 最後に自分の意見を入れると、論理的に見えますか
要約では、結論らしく見せるための自分の賛否は必要ありません。原文にない「政府は直ちに導入すべきです」といった主張を足すと、原文の立場を変えてしまいます。最後の文には、原文で示された帰結、条件、残された課題などを置きます。課題3では、設計を考える必要性まで議論が及んでいることを残すのであって、すべての修理規制に自分が賛成すると表明する場面ではありません。
見分けにくい場合は、最後の文に対応する箇所を原文から指してください。対応する情報がなく、自分の一般知識や価値判断だけを根拠にしているなら、要約に入れる内容を再検討します。意見を考える力そのものは大切ですが、今取り組んでいる課題の目的に合わせて使い分けます。
Q3. 90〜110語に入っていれば、見直しを終えてよいですか
語数が範囲内であることは確認事項の1つですが、それだけで情報の抜けや意味のずれはわかりません。まず主要な論点が残っているか、次に原文より強く言い切っていないか、最後に文法と語数を確かめます。105語に収まっていても、原文にある個人情報への懸念が消えた課題2の要約は、内容の見直しが必要です。
一方、語数が足りないときに、重要な情報はすべて書けているつもりでも、理由が抜けていることがあります。「問題があります」だけで終わらず、何がどのような問題を生むのかを原文に戻って確認してください。形容詞を増やして長くするより、因果関係を補った方が原文の説明に近づきます。範囲に入ったあとも、削った情報の中に必要な条件が紛れていないかをもう一度見ます。
次の1題では、削る理由を言葉にしてください
英検1級の要約は、難しい英文を小さく写す作業として取り組むと、残す情報の基準が見えにくくなります。まず話題を捉え、提案、理由、懸念、条件などの役割を見分けます。そのあとで、情報同士の関係を保ちながら英文を組み直してください。言い換えは、その過程で必要な部分に使います。
次の練習では、完成した英文だけでなく、削った情報を1つ選び、なぜ省いてもよいと考えたかを書き残してみてください。もし理由が「長くなるから」だけなら、ほかの情報と比べて役割を説明し直します。反対に、省いたために原文の慎重さが消えたと気付いたら、重要な修正点が見つかったことになります。
1回の要約で、情報選択、表現、速度をすべて理想どおりにする必要はありません。初稿と書き直しを比べて、自分の判断で何を改善できたかを確かめます。その判断が次の原文でも使えるかを試すことが、練習の次の目標です。要約で削った1文の理由にも、授業の時間をきちんと使います。
参考文献
- 日本英語検定協会「1級」https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/
- 日本英語検定協会「1級の試験内容」https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/solutions.html
- 日本英語検定協会「2026年度第2回 一次試験 1級問題冊子」https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/kakomon/2026-2-1ji_1kyu.pdf
- Brownほか・2023。Language Teaching Research。英作文への訂正フィードバックを扱ったベイズ的メタ分析、52研究。https://consensus.app/papers/details/eb6b8dc2c02d5671a136fee6971ff1d3/
- Lim・Renandya・2020。書いた英文への訂正と文法の正確さを扱ったメタ分析、35研究。https://consensus.app/papers/details/866c5fde73635e3cae1a001589b62a1d/
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