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【政治経済】市場機構を図解で総まとめ—需要供給曲線の移動 価格弾力性 市場の失敗 独占禁止法|武蔵野個別指導塾

【政治経済】市場機構を図解で総まとめ—需要供給曲線の移動 価格弾力性 市場の失敗 独占禁止法のアイキャッチ 武蔵野個別指導塾
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需要と供給の曲線が動く理由を3枚の図で整理し、均衡価格と価格弾力性を例題で計算します。外部性・公共財・情報の非対称性から独占禁止政策まで、価格の働きと限界を筋道立てて学べます。

よくあるのは、理科室の実験台の脇で政治・経済のノートを開き、「価格が上がった」と聞いて需要曲線そのものを右へずらしてしまう場面です。理科で条件を1つだけ変えて結果を比べるように、市場の問題でも、何を変えて何を一定にしたかを確かめる必要があります。同じ価格上昇でも、人気が高まった結果なのか、原材料が高くなった結果なのかによって、動く曲線も取引量の変化も違います。

この単元の中心は、曲線の形を覚えることだけではありません。買いたい人と売りたい人の行動を価格で結び、その仕組みが働く条件と、価格だけでは調整できない問題を見分けることです。需要・供給の図を読めるようになると、品不足や売れ残りを説明し、値上がりに対する反応の大きさを計算できます。さらに、環境への影響や品質情報の偏りを考えることで、市場と政府の役割を根拠をもって説明できるようになります。

この単元で身につけること

中学校の公民や「公共」で学んだ家計・企業・政府の関係を、価格と数量の関係に置き換える学習です。経済体制の単元で学ぶ市場経済も、実際にどのような信号で生産や消費を調整するのかまで進めて考えます。

基本の考え方

需要・供給と価格の自動調節

市場とは、財やサービスの売り手と買い手が取引する仕組みです。決まった場所に集まらず、通信を通じて取引する場合も市場に含まれます。需要は購入したいという気持ちだけではなく、購入する意思と支払う能力を伴います。供給も、倉庫に存在する量そのものではなく、その価格で売ろうとする量です。

需要曲線は、他の条件を一定としたとき、価格と需要量の関係を表します。通常は、価格が下がるほど買いやすくなるので右下がりです。供給曲線は、他の条件を一定としたとき、価格と供給量の関係を表し、通常は右上がりです。販売価格が高くなると、費用の高い生産方法を使っても採算が合いやすくなり、生産を増やそうとするためです。すべての商品がいつでもこの形になるという意味ではなく、基本的な競争市場を考えるための出発点です。

縦軸は価格P、横軸は数量Qです。数学では横軸を先に見ることが多いですが、需要・供給の図で「この価格では何個か」を調べるときは、縦軸の価格から横へ進みます。曲線との交点を見つけて下へたどると、その価格に対応する数量を読めます。図1では、一定期間のある商品の需要を P = 100 − Q、供給を P = 20 + Q で表しています。

図1 需要曲線と供給曲線の交点が示す市場均衡

図1のように需要曲線Dと供給曲線Sが交わるEでは、価格が60円、数量が40個です。需要量と供給量が一致するこの価格を均衡価格、その数量を均衡取引量といいます。図の点線はEから両軸へ値を読み取るための補助線で、別の需要曲線や供給曲線ではありません。

価格が80円なら、需要量は20個、供給量は60個となり、40個の超過供給が生じます。売り手は売れ残りを減らすために価格を下げようとします。逆に価格が40円なら、需要量は60個、供給量は20個で、40個の超過需要となり、価格には上昇する圧力がかかります。価格が自由に調整される競争市場では、こうした動きが均衡へ向かう働きを持ちます。これが価格の自動調節機能です。

ここでは、多数の売り手と買い手がいて、個々の参加者が市場価格を左右できない状況を想定しています。同質の商品、取引に必要な情報、自由な参入・退出などがそろった市場は、完全競争市場の基本的な条件を満たします。現実には価格をすぐに変更できないこともあるため、均衡の図は「常に瞬時に一致する」という予言ではありません。

曲線全体が動く原因と価格弾力性

同じ商品の価格が60円から40円へ下がり、需要量が40個から60個に増えた場合、需要曲線は動きません。価格ごとの購入量を結んだ同じ線の上を移動しただけです。これに対して、人気の高まりで、60円でも40円でも以前より多く買われるなら、需要曲線全体が右へ移動します。「どの価格でも以前より多いか」を考えると、2つを区別できます。

需要を変える条件には、好み、買い手の人数、所得、関連する商品の価格などがあります。所得が増えたときに需要が増える財を上級財、需要が減る財を下級財といいます。所得の増加だけで、あらゆる商品の需要が増えるとは決められません。また、代わりに使える代替財の価格が上がれば、こちらの商品への需要は増えやすくなります。一緒に使う補完財の価格が上がれば、こちらへの需要は減りやすくなります。

供給曲線を動かす条件には、生産技術、原材料の価格、売り手の数などがあります。技術の進歩で費用が下がれば、同じ価格でも多く売れるため供給曲線は右へ移動します。原材料費が上がれば、同じ価格では売ろうとする量が減り、左へ移動します。需要だけの増加では、通常、均衡価格も均衡取引量も上がります。供給だけの減少では、均衡価格は上がり、均衡取引量は減ります。価格だけを見ても原因を1つに特定できないのは、このためです。

価格弾力性は、価格の変化に数量がどれほど反応するかを変化率で表す指標です。需要の価格弾力性は、通常、需要量の変化率の絶対値を価格の変化率の絶対値で割って求めます。値が1より大きければ弾力的、1より小さければ非弾力的、1なら単位弾力的です。需要量が減る場合の負の符号は、ここでは絶対値を取って扱います。

代わりの商品が多いほど、少しの価格上昇でも他へ移りやすく、需要は弾力的になりやすいです。生活上欠かせず、すぐには代えられないものの需要は非弾力的になりやすいです。ただし、同じ商品でも、短期間では代替できなくても長期間なら行動を変えられます。供給にも価格弾力性があり、設備を増やせない短期間には小さく、生産体制を変えられる長期間には大きくなりやすいという違いがあります。

市場の失敗と競争を支える制度

市場の失敗とは、市場の仕組みだけでは資源を効率よく配分できないことです。単に店が赤字になったことや、誰かが欲しいものを買えなかったことを指す言葉ではありません。競争的な市場の価格に、社会全体の便益や費用が十分反映されない場合などが問題になります。効率性と所得分配の公平さも別の論点です。効率的な配分が実現しても、所得格差が解消されるとは限りません。

外部性は、取引の当事者以外に及ぶ影響が、市場の価格を通じて十分に調整されないことです。工場の排煙が周辺住民に損害を与え、その損害を企業が負担していなければ、外部不経済です。企業が負担する私的費用より社会全体の費用が大きくなり、生産量は社会的に望ましい水準より過大になりやすくなります。反対に、周囲にも利益が及ぶ外部経済がある活動は、当事者が社会全体の便益を受け取れないため、過少になりやすくなります。

外部不経済には規制や課税、外部経済には補助などで、当事者の判断に社会的な費用・便益を反映させる対応が考えられます。これを外部性の内部化といいます。ただし、損害額を測る難しさや政策を実施する費用もあるので、「政府が関われば必ず最適になる」とは言えません。何が価格に入っていないかを特定してから対応を考える順序が必要です。

公共財は、ある人の利用が他の人の利用可能量を減らしにくい非競合性と、対価を支払わない人を利用から排除しにくい非排除性を持つ財です。典型例として国防が挙げられます。支払わなくても便益を受けられるなら、自分は費用を負担せず他人の負担を待つフリーライダーが生じやすくなります。このため民間の自発的な取引だけでは十分に供給されにくく、政府による供給や費用負担の仕組みが必要になります。

情報の非対称性とは、売り手と買い手などの間で、取引に関する情報に差があることです。中古品の品質を売り手だけがよく知っている場合、買い手は良品を見分けられず、良品にも高い価格を払おうとしなくなります。その結果、良品の売り手が退出し、質の低い品が残りやすくなるのが逆選択です。品質の表示や第三者による検査などは、この情報の差を小さくする手段です。また、契約後の行動を相手が十分に把握できず、注意や努力が弱まる問題はモラルハザードと呼ばれ、契約前の品質の見分けにくさとは区別します。

独占は主に1つの企業、寡占は少数の企業が供給を担う状態です。競争が弱まると、企業が供給量や価格に影響を与える市場支配力を持ちやすくなります。競争的な場合より供給量が少なく、価格が高くなることがあり、本来成立すれば双方に利益のある取引が失われます。少数の企業が互いの価格設定を意識して動くことと、企業同士が合意して競争を制限するカルテルとは、同じではありません。

日本の独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進するための法律で、公正取引委員会が運用を担います。主な規制対象には、他の事業者を排除・支配して競争を実質的に制限する私的独占、価格などを共同で取り決めるカルテルや入札談合といった不当な取引制限、不公正な取引方法があります。競争を実質的に制限する企業結合も規制の対象です。企業が大きいという理由だけで直ちに違反になるわけではなく、競争に与える影響や行為の内容を考えます。

例題で解き方を確かめる

例題1 需要量と取引量を分けて読む

ある商品の1日当たりの需要量と供給量が、次の表で表されます。均衡価格と均衡取引量を求め、価格が80円のときに生じる超過供給の量と、価格が向かう方向を答えなさい。価格は自由に変えられ、競争が働くものとします。

価格 需要量 供給量
40円 60個 20個
60円 40個 40個
80円 20個 60個
  1. 需要量と供給量が同じ行を探します。均衡は数量の一致で決まるため、表の真ん中という位置ではなく、値の一致を根拠にします。
  2. 60円の行から、両方が40個であることを読み取ります。価格と数量を対にして書くと、どちらを問われたかの取り違えを防げます。
  3. 80円では供給量60個から需要量20個を引きます。売ろうとする量のほうが多いので、差の40個は超過供給です。
  4. 売り手の行動を考えます。売れ残りがあると売り手は価格を下げようとするため、価格には下落圧力がかかります。

答え:均衡価格は60円、均衡取引量は40個で、80円では40個の超過供給が生じ、価格は下がる方向へ動きます。

80円のときの60個は、売り手が売ろうとしている量です。買い手が20個しか買おうとしていないので、「60個が実際に売れる」とは読めません。表の見出しにある需要量・供給量という言葉を、実際の販売量に置き換えないことが大切です。

例題2 需要増加後の均衡を計算する

図2では、当初の需要曲線D0が P = 100 − Q、供給曲線Sが P = 20 + Q です。商品の人気が高まり、需要曲線が D1:P = 120 − Q に移りました。供給曲線は変わりません。移動前後の均衡と、もとの価格60円に据え置いた場合の超過需要を求めなさい。

図2 需要曲線の右方移動による価格と数量の変化
  1. 動いたのは需要曲線だけだと確かめます。問題には人気の変化が書かれており、生産費の変化は与えられていないので、Sは固定します。
  2. 当初の需要価格と供給価格を等しくして、100 − Q = 20 + Q を解きます。同じ取引量に対して両者の価格が一致する点が交点なので、2Q = 80 より Q = 40、P = 60 です。
  3. 新しい式で 120 − Q = 20 + Q を解きます。2Q = 100 より Q = 50、P = 70 となり、図2の交点はE0からE1へ移ります。
  4. 価格を60円に固定して別に計算します。D1では Q = 120 − 60 = 60、Sでは Q = 60 − 20 = 40 なので、20個の超過需要です。新しい均衡に達する前の状態を調べているため、新均衡の50個を代入しません。

答え:均衡は60円・40個から70円・50個へ変わり、価格60円では20個の超過需要が生じます。

需要曲線が右へ動いたあと、価格が上がるにつれて供給量も40個から50個へ増えています。ただし、これはS上の移動であり、供給曲線の右方移動ではありません。原因となった条件の変化と、その結果起きる価格への反応を分けて読む練習になります。

例題3 需要の価格弾力性と売上高を求める

ある商品の価格が200円から220円へ上がり、需要量が100個から80個へ減りました。他の条件は一定で、需要量に等しい数量が販売されたものとします。変化前の値を基準として需要の価格弾力性を求め、売上高の変化を調べなさい。

  1. 価格の変化率を計算します。上がった20円をもとの200円で割るので、20 ÷ 200 = 0.1、つまり10%です。新しい220円を分母にしないのは、変化前を基準にする指定があるためです。
  2. 需要量の変化率の絶対値を計算します。減った20個をもとの100個で割るので、20 ÷ 100 = 0.2、つまり20%です。円と個を直接割り合わせるのではなく、それぞれを割合にします。
  3. 数量の変化率を価格の変化率で割ります。0.2 ÷ 0.1 = 2 なので、需要は弾力的です。分子と分母を逆にすると、価格への反応という意味が逆転します。
  4. 売上高を「価格 × 販売量」で確かめます。変化前は200 × 100 = 20,000円、変化後は220 × 80 = 17,600円で、2,400円減っています。値上げしても数量の減少が大きければ、売上高は減ります。

答え:需要の価格弾力性は2で弾力的であり、売上高は20,000円から17,600円へ2,400円減少します。

弾力性には、変化前後の平均を基準にする計算法もあります。与えられた基準に従い、価格と数量で同じ基準を使います。また、売上高は利益ではありません。利益を求めるには費用も必要なので、この資料だけで利益の増減までは断定できません。

例題4 市場の失敗を原因から説明する

ある工場の生産で周辺住民に損害が生じますが、その損害は商品の価格にも企業の負担にも反映されていません。この状態を何と呼ぶか、なぜ生産量が過大になりやすいか、対応の方向とともに説明しなさい。

  1. 影響を受ける人を特定します。住民は商品の売買の当事者ではないので、売り手と買い手だけを見た説明では損害を拾えません。
  2. 企業が判断に使う費用と社会全体の費用を比べます。住民の損害が企業の費用から抜けるため、企業から見ると生産が実際より低い費用でできることになります。
  3. 数量への影響と対応を結びます。生産を抑えるべき費用が反映されないので過大生産になりやすく、課税や規制などで損害を企業の判断に反映させる方向を示します。

答え:外部不経済が生じており、社会的費用の一部を企業が負担しないため生産量が過大になりやすく、課税や規制などによる内部化が考えられます。

つまずきやすいところと直し方

誤り1 値上がりを見て需要曲線を動かす

誤った書き方は「価格が上がったので、需要曲線が左へ移動する」です。どこが違うかというと、その商品の価格はもともと需要曲線の縦軸に含まれている条件であり、価格だけの変化では曲線を描き直さない点です。正しい書き方は「他の条件が一定なら、価格上昇によって同じ需要曲線上で需要量が減る」です。

右へ動くか左へ動くかを決める前に、原因の文を囲みます。人気が下がったなら需要曲線は左へ動きますが、原材料費が上がったなら動くのは供給曲線です。需要増加と供給減少が同時なら、通常、価格は上がりますが、数量は両者の変化の大きさによって増減が分かれます。「価格上昇なら数量増加」という組合せの丸暗記では処理できません。

誤り2 傾きと弾力性を同じものにする

誤った書き方は「直線の需要曲線では、どの点でも弾力性が一定」です。どこが違うかというと、直線の傾きが示すのは価格と数量の変化量の関係ですが、弾力性はそれぞれの基準値に対する変化率を使う点です。正しい書き方は「直線でも、価格と数量の水準が変われば弾力性は変わる」です。

例えば、P = 100 − Q 上で、価格を80円から88円にすると数量は20個から12個へ変わります。変化前基準では価格が10%上昇、数量が40%減少なので弾力性は4です。同じ線でも、価格を20円から22円にすると数量は80個から78個へ変わり、価格が10%上昇、数量が2.5%減少なので弾力性は0.25です。線を寝かせて描けば弾力性が大きくなるわけでもありません。軸の目盛りや単位を確認し、最後は割合で判断します。

誤り3 均衡なら社会全体にも最適だと考える

誤った書き方は「需要と供給が一致すれば、社会の損害もすべて考慮されている」です。どこが違うかというと、通常の供給曲線に第三者の損害が含まれているとは限らない点です。正しい書き方は「外部不経済がある場合、市場均衡と社会的に望ましい生産量は一致しないことがある」です。

図3 外部不経済で生じる市場均衡と望ましい数量の差

図3のように、需要Dを P = 100 − Q、私的な限界費用を表す供給Sを P = 20 + Q とし、生産を1個増やすごとに20円の外部的な損害が追加されると考えます。限界費用とは、生産を1単位増やすのに追加で必要な費用です。社会的な限界費用は P = 40 + Q となり、Sより上に位置します。需要曲線は、消費を1単位増やすことから得られる便益を金額で表す線として読みます。

市場均衡Eは40個・60円ですが、追加の便益と社会的な追加費用が一致するAは30個・70円です。この70円は社会的費用を含めて読んだ縦軸の値であり、規制するだけで実際の市場価格が必ず70円になるという意味ではありません。数量が30個を超えて40個まで増える部分では、追加の便益より社会的費用のほうが大きくなります。例題4の「過大な生産」は、この差を指しています。

この条件で生産1個当たり20円の税を課すなら、企業が負担を判断する線は社会的限界費用の線と一致します。買い手が70円を払い、企業の税引後の受取価格は50円となる30個で需要と供給が一致します。損害が数量に応じて変わる場合には、同じ20円をそのまま当てはめられません。

公共財についても、「政府が提供するものはすべて公共財」という書き方は避けます。名称や提供者ではなく、非競合性と非排除性で分類するためです。混雑する道路は利用者同士が影響し、有料道路は料金を払わない人を排除できます。公共的に役立つという日常語の意味と、経済学でいう公共財の条件を区別します。

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練習問題

練習1 供給減少のあとを読む

需要曲線が P = 100 − Q、供給曲線が P = 20 + Q の市場で、原材料費が上がり、供給曲線が P = 40 + Q に変わりました。新しい均衡価格と均衡取引量を求め、当初と比べてどう変わるか答えなさい。需要曲線は変わらないものとします。

練習2 弾力性を計算する

価格が500円から550円へ上がり、需要量が200個から190個へ減りました。他の条件は一定として、変化前の値を基準に需要の価格弾力性を求めなさい。また、需要量と同じ数量が販売されたとき、売上高は増えるか減るか、金額を添えて答えなさい。

練習3 市場の失敗の種類を説明する

次の2つについて、対応する用語と問題が生じる理由を答えなさい。Aは、ある人が利用しても他の人の利用可能量が減らず、対価を負担しない人も便益を受けられるため、人々が他人の負担を待ち、必要な財が十分に供給されない状態です。Bは、売り手だけが品質を知る中古品市場で、買い手が良品を見分けられず、良品の売り手が退出しやすくなる状態です。Aでは財のどの性質が関わるか、Bでは情報が誰に偏るかまで書きます。

練習4 競争と法律の目的を結びつける

同じ商品を扱う複数の企業が、互いに競争しないよう販売価格を共同で取り決めました。この行為の名称を答え、独占禁止政策が必要な理由を「価格」「競争」の2語を使って説明しなさい。法律の運用を担う機関名も添えます。

答えと解説

練習1の答えは、均衡価格70円、均衡取引量30個です。100 − Q = 40 + Q より、2Q = 60、Q = 30 となり、P = 70 です。当初の60円・40個から、価格は10円上がり、数量は10個減ります。供給が減った場合は、需要が増えた場合と価格の方向は同じでも、数量の方向は反対です。

練習2の答えは、価格弾力性0.5で非弾力的、売上高は4,500円増加です。価格の上昇率は50 ÷ 500 = 0.1、需要量の減少率は10 ÷ 200 = 0.05 なので、0.05 ÷ 0.1 = 0.5 です。売上高は500 × 200 = 100,000円から550 × 190 = 104,500円へ増えます。需要量が少し減っても、価格の上昇によって売上高が増える場合があります。

練習3の答えは、Aがフリーライダーによる公共財の過少供給、Bが情報の非対称性による逆選択です。Aでは非排除性によって支払わなくても便益を得られ、自発的な費用負担が集まりにくくなります。Bでは売り手側に品質情報が偏り、買い手が良品に見合う価格を払えないことが良品の退出につながります。単に「買い手が損をする」では、市場全体の品質構成が変わる仕組みを説明できません。

練習4の答えは、カルテルで、運用を担うのは公正取引委員会です。説明は「企業が共同で価格を決めると競争が制限され、価格の調整機能が十分に働かなくなるため、公正かつ自由な競争を守る必要がある」と書けます。競争の結果たまたま同じ価格になることと、共同の取り決めによって価格をそろえることを区別します。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

市場機構は、企業が生産や価格をどう決めるか、政府がどのように市場を補うかを考える土台です。税を課すときに買い手と売り手のどちらの負担が大きくなるかを考える際にも、需要と供給の価格弾力性が関わります。外国為替市場でも需要と供給を使いますが、何の価格を縦軸に置くかを先に確認する姿勢は共通です。

家での1つ目の確かめ方は、5分で需要と供給の図を1枚描き、「人気が高まる」「材料が高くなる」を別々に試すことです。毎回もとの図へ戻り、動かす曲線を1本に限定して、新しい交点の価格と数量を声に出します。2つ目は、別の5分で「200円が220円、100個が80個」という数字から、2つの変化率と弾力性を計算することです。答えだけでなく、なぜ200と100で割ったかを説明します。

個別指導では、曲線の移動を間違えたとき、まず「横軸は何か」「一定にした条件は何か」まで戻って確かめます。計算が止まる場合は、連立する式の意味と、割合の基準量を読み取るところを分けて確認します。保護者がお子さまの説明を聞く場合も、曲線の名前を当ててもらうだけでなく、「同じ価格でも量が変わったのか」と聞くと考えた道筋を確かめられます。

まとめ

価格の変化を見たら、その前に何が起きたかをたどります。買い手の条件、生産の条件、第三者に及ぶ影響を順に見れば、同じ値上がりから異なる説明が生まれる理由を言葉にできます。図の交点を求める計算は、その説明を数量で確かめる手段です。

市場均衡を求めたあとにも、価格に入っていない費用や便益がないかという問いが残ります。その問いを持つことで、市場の働きを認めることと、制度によって補うことを同じ筋道で考えられます。市場を読める答案は、交点を示すだけでなく、その交点に誰の負担が入っていないかまで説明します。

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