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作文の目標の立て方—「何を伝えるか」から書き始める|武蔵野個別指導塾

原稿用紙を埋めることに追われるときは、読み手に伝えたい内容を先に決めましょう。目標に対応する文を指し示す習慣を、家庭の作文練習に加える提案です。

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作文の目標の立て方—「何を伝えるか」から書き始める

原稿用紙を埋めても、伝えたいことが残らないとき

よくあるのは、家の玄関で出かける支度をしながら、お子さまが書きかけの原稿を持ってきて、「あと何行書けば終わるの」と尋ねるという場面です。折れた用紙を開くと、体験したことを順番に並べた文の後ろに、「楽しかったです」がもう一度続いています。思い出がないわけではありません。書いたものを何で確かめればよいかが、残りの空欄しか見えていないのです。

保護者の方も、「もっと詳しく」「自分の気持ちを入れて」と声をかけたくなるでしょう。ただ、お子さまには、どの出来事を詳しくすればよいのか、どんな気持ちなら書き足す意味があるのかがつかめないことがあります。頑張る方向を示すつもりの言葉が、次の一文につながらないのです。

そこで、書く前の目標を少し変えます。「たくさん書く」から、「読んだ人に、手伝う前と後で考えが変わった理由を伝える」へ。文章に何を残すかが決まると、材料を選ぶ基準も生まれます。作文でも小論文でも記述でも、まず取り組みたいのは、書き終えた本文に戻って確かめられる目標を持つことです。

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目標は意気込みではなく、文章を選び直す基準です

「よい作文を書く」「前より頑張る」は、取り組む気持ちとして自然な言葉です。しかし、下書きの途中で筆が止まったとき、その言葉だけでは何を足し、何を削るかを決めにくくなります。「よい」の中には、内容の深さ、言葉の正確さ、段落のつながりなど、いくつもの観点が含まれているからです。全部を同時に追いかけると、書き手は判断のたびに立ち止まってしまいます。

原稿用紙の空欄は、目で見てすぐに確かめられます。そのため、内容の目標が曖昧なときには、空欄を減らすことが作業の中心になりがちです。すでに伝えた感想を言い換えたり、話の中心とは関係の薄い出来事を足したりすれば、用紙は埋まります。それでも、読んだ人には「結局、何を伝えたかったのだろう」という疑問が残ります。必要なのは、量を確かめる前に内容を選ぶ物差しです。

作文指導の研究でも、完成する文章に具体的な目標を置くことが検討されています。GrahamとPerinによるメタ分析では、成果物の目標設定について、文章の質に対する効果量0.70が報告されています(Graham & Perin・2007)。4〜12年生を扱う123文書の統合で、英語圏の作文研究が多いため、日本語の課題で何を達成目標とするかは、設問と書き手の現状に合わせて選ぶ必要があります。研究を手がかりにするなら、「目標を掲げたか」だけでなく、「どんな文章にするかを具体的に決めたか」に目を向けたいところです。

たとえば、「体験を詳しく書く」を、「自分が困ったことと、そのときに取った行動が読み手に伝わるように書く」に変えます。すると、天気や服装の説明を増やすべきか、それとも行動を選んだ理由を補うべきかを考えられます。目標は文を増やす命令ではありません。材料の中から、読み手が理解するために必要なものを選ぶ基準になります。

ここでは、文章の目標と作業の目標を分けておくと扱いやすくなります。文章の目標は「何が伝わる状態にするか」、作業の目標は「そこへ向かって何をするか」です。「理由が伝わる文章にする」に対して、「理由に当たる文へ線を引く」という作業を組み合わせます。線を引くことだけを終えても、理由が読み手にわかるかは別に確かめます。この区別があると、作業を済ませた満足と文章の改善を混同せずに済みます。

目標が広すぎるかどうかは、読み直したときに迷う範囲で判断できます。「わかりやすくする」では全体を眺めるしかありませんが、「この行動を選んだ理由が伝わるようにする」なら、行動の前後に注目できます。反対に、「接続語を必ず入れる」と手段だけを決めると、不要な場所にも言葉を足しかねません。読み手にどんな理解を届けたいかを先に置き、そのために必要な手段を選ぶ順序を保ちます。

さらに、課題の条件と練習の重点も分けます。設問に答えることや指定された形式を守ることは、最初に押さえる条件です。その上で、今回とくに練習する内容を選びます。記述問題なら、説明を求められているのに感想を中心にするわけにはいきません。「何を伝えたいか」は自由に話題を変える合図ではなく、問われたことにどう答えるかをはっきりさせる問いです。

目標ができたら、最後の確認までつなげます。「理由を伝える」と書いた横に、「主張と理由の関係を自分の言葉で説明できる」と添えておくのです。終わりに使う問いが先にあると、書きながら戻る場所ができます。目標を立てること、書くこと、読み直すことを、別々の宿題にしない工夫です。

読み手に残したいことを、今日の手順に変える

練習には、手元の課題文、自分の以前の下書き、授業で使った文章を用意してください。新しい教材を増やすより、目標を決めてから文章がどう変わるかを見比べられる組み合わせを使います。以下の時間の区切りは、家庭で始める際の目安です。途中で止まったら、その場所に印を付け、次に扱う課題として残します。

1. 最初の3分で、課題の求めることを言い直す

課題文を読み、「何について」「何をするように求められているか」を余白に書きます。意見を述べるのか、理由を説明するのか、体験から考えたことを書くのかを区別してください。「について」だけを拾うと話題は合っていても答え方がずれるため、「説明する」「述べる」といった指示まで確認します。

たとえば、体験から学んだことを書く課題なら、「手伝いをした日の紹介」で終えず、「その体験で自分の考えがどう変わったかを書く」と言い直します。教材の使い方は、課題文を読み捨てず、書いている間も見える場所に置くことです。自分で確かめるときは、余白の言い直しと課題文を交互に読み、勝手に話題を広げていないかを見ます。

2. 次の3分で、読み手と伝えたい内容を決める

ノートに「この出来事を知らない人に、何が伝わればよいか」と書き、その下を1文で埋めます。体験作文なら「手伝いを面倒だと思っていた私が、相手の負担を知って考えを変えたことを伝える」とできます。ここでは文章をきれいに整える必要はありません。書く方向が見える言葉を、自分で選びます。

読み手は、まずその体験や考えをまだ知らない人として想定します。「先生ならわかる」と省略していた事情も、説明が要るかを考えやすくなります。確認する問いは、「読んだ人が何を知ったと言えそうか」です。「頑張ったこと」だけなら、何をどう頑張ったのかを加えます。目標の文だけを読んで話の中心が想像できれば、材料を選ぶ段階へ進めます。

3. 5分間で、使う材料と保留する材料を分ける

体験や課題文から思いついた材料を、短い言葉で書き出します。手伝いの体験なら、「最初は早く帰りたかった」「同じ作業が何度も続いた」「一人で続けていたと知った」「次は自分から声をかけた」などです。それぞれの横に、目標を伝えるために使うか、今回は保留するかを記します。材料を捨てるのが惜しければ、消さずに欄外へ移してください。

ここで使うのは、体験メモや課題の資料です。資料のある文章なら、自分の考えと資料に書かれている内容を別の欄に置きます。自分での確認は、「これがないと、読み手は何に困るか」と尋ねる方法です。考えが変わったきっかけを示す材料なら残す理由があります。昼食の紹介が目標につながらなければ、今回は保留できます。

4. 8分間を区切りに、中心となる部分を書く

書き出しを何度も作り直す前に、目標に直結する部分を書いてみます。「最初の考え」「それを動かした出来事」「後の考え」を短い文でつなぎます。いきなり全文を仕上げようとせず、読み手が変化を追える部分を先に作ります。途中で言葉が浮かばなければ、「ここに、負担を知った場面を入れる」とメモを残して進めてください。

この段階では、自分の以前の下書きも教材になります。同じ出来事を書いているなら、今回の目標に合う文に印を付け、必要なところだけ使います。古い文を全部残そうとすると、前の順番に引っ張られることがあります。確認は、書いた部分を声に出して読み、「考えが変わったのは何があったからか」に答えられるかどうかです。答えが本文の外にしかなければ、その事情を補います。

5. 4分間で、目標を満たす文を指し示す

最初の目標へ戻り、本文中の対応する文に線を引きます。「考えが変わった理由を伝える」なら、前の考え、きっかけ、後の考えがどこにあるかを確かめます。全部に線を引くのではなく、読み手の理解を支えている部分を選びます。見つからない項目は、次の修正点です。

書いてあることと伝わることを分ける確認も必要です。「大変だとわかった」だけでは、何を見てそう思ったのかが読み手に届かない場合があります。「一度で終わると思っていた作業を、何度も続けていた」と補えば、考えの変化を追いやすくなります。修正後は、足した文が前後につながるかまで読みます。詳しい文を置くだけで、話の筋が通るとは限らないからです。

削る練習も、この確認に含めてください。「楽しかった」「うれしかった」「よい経験だった」と似た感想が続くなら、残したい感想を選び、空いたところに理由を置けるか考えます。判断に迷う文は、いったん紙で隠して前後を読みます。隠すと考えの変化がわからなくなるなら必要な文です。隠しても同じ内容が伝わるなら、重なっている可能性があります。消す前に試せるので、大きく書き直すことへの抵抗があるときにも使えます。

6. 最後の3分で、次に残す目標を決める

ノートには「今日の目標」「確かめた文」「次に直すこと」を残します。感想だけで終えず、実際の文を短く写してください。「理由が書けた」だけより、「一度で終わると思っていた、という予想を加えた」と書くほうが、次回も同じ確認を使えます。目標を達成できなかった場合も、「きっかけの場面が思い出せなかった」と具体的に残します。

授業で使った文章を読み返すときは、今回の観点だけに注目します。たとえば、書き手の考えとそれを支える説明がどのようにつながるかを見て、自分の文と比べます。内容を借りるのではなく、読み手に必要な情報の置き方を学びます。次の練習では別の題材で同じ目標を使い、前の文を写さずに確かめられるか試してください。

小論文では、この流れの「考えの変化」を「主張を支える理由」に置き換えられます。「便利だから賛成」と書いたなら、誰にとって、何をする際の便利さなのかを補います。記述では、「問われた理由と本文の根拠を結びつける」を目標にします。同じ手順でも、文章の種類に応じて確認する内容を変えることが必要です。

見直す際は、目標の文を伏せて本文だけから中心を言い直す方法も試せます。最初の目標と違う内容が出てきたら、どちらを伝えたいか選び直してください。頭の中ではつながっていても、紙の上では説明が抜けている場所を探す手がかりになります。

短い時間しか取れない日は、課題を言い直すところと、目標の1文を作るところまででも構いません。その際は「作文をやった」で閉じず、「材料を選ぶところから再開する」と書き添えます。次回の入り口を残しておけば、最初から考え直す負担を減らせます。時間内に全文を完成させることだけを、毎回の成功条件にしないでください。

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個別指導では、目標と本文のずれを一緒に確かめます

お子さまが自分で目標を決めるといっても、初めから適切な目標が言葉になるとは限りません。「全部よくしたい」「何を直せばよいかわからない」という段階では、目標を選ぶための手がかりが必要です。個別指導で塾が担うのは、課題と下書きを読み、いま手を入れると伝わり方が変わる箇所を絞ることです。

まず確かめたいのは、止まっている場所です。材料がないのか、材料は話せるのに文にならないのか、文はあるのに読み手が関係を追えないのかで、選ぶ目標は変わります。「もっと具体的に」という指摘だけを渡しても、材料を探す段階のお子さまには次の動作が見えません。話せる内容をメモにするところから始める必要があるかもしれません。

たとえば、口頭では「祖母が一人で何度も運んでいたから」と説明できるのに、本文には「大変でした」としか書いていない場合です。ここでの重点は、立派な言葉への置き換えではなく、口頭で説明した事情を読み手にも渡すことです。「大変だと感じた場面を1つ選ぶ」「その場面と自分の考えをつなぐ」と、取り組める大きさへ分けます。

目標は、講師が決めて渡すだけにしません。下書きの中で読み手が迷うところを示し、「場面を補う」「理由のつながりを直す」のどちらから取り組むか、お子さまが選べるようにします。選択の根拠も尋ねます。「ここなら思い出せる」「言いたかったのはこの部分」という言葉が出れば、それを目標に反映できます。自分の文章をどうするかに、お子さま自身が参加するためです。

塾側が持つべきものは、修正前の文、本人が選んだ目標、修正後の文、確認に使った問いです。完成稿だけを保存すると、どんな助けがあって書けたのかが見えなくなります。講師が質問して書けた文と、自分で読み直して補えた文も分けて記録します。同じ仕上がりでも、次に必要な支援は異なるからです。

進み具合は、文章の長さだけで判断しません。「目標を自分の言葉で言える」「目標に対応する文を探せる」「足りない説明を選べる」「別の題材でも同じ確認を使える」といった行動で捉えます。これらを全部同時に求める必要はありません。今の課題でどこまで一人で進められたかが見えると、次の授業で講師がどこから手を添えるかも決めやすくなります。

家庭への連絡は、目標を軸に短くまとめます。たとえば、「今回の目標は、考えが変わった理由を伝えることでした。下書きに、相手が作業を繰り返していた場面を加えました。次回は、その場面と結びの文の関係を自分で確かめます」という形です。評価の言葉を並べるより、何を扱い、何が変わり、何が残ったかを共有します。

家庭にお願いしたいのは、講師と同じ添削をすることではありません。練習する時間と場所を確保し、お子さまが決めた目標を尋ね、書いた後に本人がどう確かめたかを聞く役割です。「今日の目標はどこに書けた」と聞き、お子さまが指さした文を読んでみてください。すぐに別の欠点を探すと、本人が取り組んだ観点が埋もれてしまいます。

内容が読み取りにくければ、「この『それ』は何のこと」と読み手として疑問を伝えます。直す文を保護者が言い切る前に、本人の説明を聞いてください。説明できたら、「今の話のどこを文章に入れたい」と返せます。家庭で答えを決めきれない部分は印を付けて塾に戻し、書き直しの方法を授業で扱います。

目標に届かなかった日の連絡にも、次の足場を残します。「理由を書けませんでした」だけで終えず、「理由は口頭で説明できましたが、本文のどこに入れるかで止まりました。次回は入れる位置を比べます」と伝えます。家庭でさらに同じ課題を最初から書かせる前に、残った課題を共有するためです。できた部分と助けが必要な部分を分ければ、お子さまも作文全体を失敗と捉えずに、次に取り組む場所を選べます。

目標の見直しも必要です。毎回「具体例を入れる」と決めているのに、例と主張が結びつかないなら、次は「例が主張を支える理由を書く」に移ります。一方、題材が変わると材料を選べなくなるなら、同じ目標を続けてもよいでしょう。目標の名前を新しくすることより、お子さまがどの判断を自分でできたかに合わせて難しさを調整します。

作文の相談には、書けなかった用紙や、途中で止まったメモも役立ちます。整った文章だけでは、目標を見失った場所が見えないことがあるからです。武蔵境で作文の個別指導を検討する際には、直近の課題と書きかけの文を並べ、どんな目標なら次の一文に進めるかを相談してみてください。

目標を立てるときによく出る3つの疑問

Q1. まず決められた分量を書けることが先ではありませんか

課題の条件を満たすことは必要です。ただ、内容が尽きるたびに同じ感想を足す練習では、長くする方法だけが残ってしまいます。先に「読み手に何を伝えるか」を決め、説明が足りない場所を探してください。体験作文なら、行動の前の考え、選んだ理由、その後の変化などを検討できます。すべてを足すのではなく、中心を理解するのに必要なものを選びます。伝える内容を整えた後で分量を確かめ、多ければ重なりを削り、少なければ読み手に必要な説明を補う、という順番です。

Q2. 目標を細かく決めると、自由な発想がなくなりませんか

目標で決めるのは、書く内容のすべてではありません。「読み手に考えの変化が伝わる」という到着点を持っても、どの出来事を選ぶか、どんな言葉を使うかには余地があります。書き始めてから、もっと伝えたいことが見つかる場合もあります。そのときは課題から外れていないかを確かめ、目標を書き換えて構いません。ただし、書き換えた後は本文全体を読み直します。最初の段落は前の目標、結びは新しい目標という状態を避け、読み手が中心を追えるように整えます。

Q3. 同じ目標を何度も使っていてもよいのでしょうか

同じ目標でも、題材や支援の量が変われば練習する意味があります。最初は講師に聞かれて見つけた理由を、次は自分で探せるようにする、という進め方です。一方、目標の文を毎回写しているだけなら、確認方法を変えます。「できた」と丸を付ける前に、本文のどの文で確かめたかを示してください。新しい題材でも自分で不足を見つけて直せるようになったら、次の観点を加えます。目標を続けるか変えるかは、回数だけで決めず、本文と取り組み方を見て判断します。

次の一文を選べる目標から始めましょう

今日の練習では、書く前に「読み手に何が伝わればよいか」を1文だけ置いてみてください。書いた後は、その内容を支える文を指し示します。見つからなければ、どんな説明が足りないかを考えます。この往復が、目標を飾りの言葉から、書き直しに使える道具へ変えていきます。

保護者の方は、完成した用紙だけでなく、お子さまが選んだ目標と、そこへ向けて直した文にも目を向けてください。「ここを伝えたくて、この説明を加えた」と話せることは、自分の文章を扱う手がかりになります。書いた意図を本文の一文と結んで語れた手応えこそ、次の原稿で何を目指すかを決める確かな指針です。

参考文献

本気になった日が、入塾の日。

お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。

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