
武蔵野個別指導塾の特徴
書くために読む—論説文の読み方|武蔵野個別指導塾
論説文を読み終えても意見が書けないときは、読む前の問いを変えてみましょう。筆者の主張と自分の判断を分けるメモで、今日の一問に使う材料を選び始められます。

書くために読む—論説文の読み方
読み終わったのに、自分の一文が出てこない
よくあるのは、図書館の返却口の脇で、読み終えた本をかばんから出しながら「内容はわかったけれど、これについて何を書けばいいのだろう」と手が止まるという場面です。印象に残る言葉はあります。筆者の考えにも、うなずいた覚えがあります。それでもノートを開くと、最初の一文が出てきません。
こうしたとき、お子さまに「もっとよく読んで」と声をかけても、同じ文章を最初からたどり直すだけになりがちです。読み落としが原因なら再読は役立ちますが、読んだ内容を何に使うかが定まっていなければ、もう一度読んでも書き出す材料を選べません。
論説文を読んで書く課題には、筆者の説明を受け取る時間と、それを使って自分の答えを作る時間があります。この間をつなぐのが、問いと短いメモです。線をたくさん引くことから少し離れて、「何に答えるために読むのか」「この段落を自分の文章でどう使うのか」を確かめてみましょう。長い文章を書く前にできる、小さな読み方の変更があります。

読む目的が、拾う言葉を変える
論説文を読んで内容を理解することと、その文章を材料に意見を書くことは、重なる部分があっても同じ作業ではありません。内容確認なら、筆者が何を述べているかをたどります。意見を書くなら、さらに、その主張のどこを認めるか、どんな条件なら成り立つか、自分は何を付け加えるかを考えます。
たとえば、公共の場所でのルールを論じる文章を読むとします。「どんなルールが紹介されたか」という目的なら、具体例を集める読み方になります。「ルールを変えるとき何を考えるべきか」という目的なら、具体例同士に共通する問題や、変更の条件に目が向きます。同じ文章でも、書く問いによって必要な材料が変わるのです。
読む目的に注目する手がかりとして、読解方略の指導を調べたメタ分析があります。一斉授業を扱う52研究では、標準テストに対する効果は小さく、方略の使い方に対する効果はそれより大きいという結果が示され、読む目標を決める要素を含む指導で効果が大きく、6〜8年生で大きい傾向も報告されました(Okkingaほか・2018)。ここで参照する作文・読解の研究には英語圏の研究が多く含まれ、この結果も、日本語の論説文から意見を書く力への効果をそのまま示すものではありませんが、練習の入口を考える手がかりになります。
この研究から家庭での練習を考えるなら、「読み方を知っている」と「読んで課題に答えられる」を分けて見たいところです。「しかしに注目する」「要点に線を引く」と言えても、書く問いに必要な箇所を選べるとは限りません。読み方の名前を覚えるだけで終えず、選んだ箇所を使って短い答えを作るところまで試します。
書けなくなる理由の1つは、文章の中にある情報を同じ重さで抱えてしまうことです。印象的な体験談、筆者の結論、反対意見への応答を、どれも「大事なところ」として抜き出すと、材料は増えても順番が決まりません。「筆者が言いたいこと」と「それを支える説明」に役割を分けると、自分の答えに必要な関係が見えてきます。
説明を書く課題では、自分の感想を足すより、本文の中の関係をほどく必要があります。たとえば「なぜこの提案が必要か」なら、問題の状態と提案がどう結びつくかを追います。一方、意見を書く課題なら、その説明を受けたうえで自分がどう判断するかまで進みます。読む段階から課題の違いを意識すると、本文の要約だけで終わることや、本文に触れず感想だけを書くことを見直せます。
もう1つは、筆者の言葉と自分の判断が混ざることです。筆者が「この場合には必要だ」と述べているのに、メモでは「いつでも必要だ」になっていると、その先の賛成や反対もずれます。反対したい気持ちが強いときほど、まず条件を含めて言い換える作業を挟みましょう。相手の考えを正確に置くことが、自分の考えの置き場所を作ります。
知らない言葉に出合ったときも、読む目的が助けになります。意味を調べる必要はありますが、調べた説明をすべて書き写す必要はありません。その言葉が筆者の結論を理解する鍵なら、本文の前後と合わせて確かめます。補助的な例の中の言葉なら、まず印を付けて全体を読み、答えを作る段階で必要かどうかを判断できます。
読む前から結論を決めてしまうこととも違います。「ルールの変更には賛成だ」という答えを握って読むと、都合のよい部分だけを拾うおそれがあります。最初に用意するのは答えではなく問いです。読み進めて問いに合わない事実が見つかったら、考えを修正できる余地を残しておきます。
問い、根拠、判断をつなぐ練習
最初の教材には、手元の教科書や授業で配られた論説文から、主張と理由を追える短いまとまりを選びます。最初から難しい文章を大量に用意する必要はありません。本文に書き込みができない場合は、段落番号だけを別紙に記します。必要なのは、本文、メモ用の紙、時間を確かめるものです。
紙を「本文の内容」「自分の考え」に分けて使います。線を引いて左右に分けても、別々のページにしてもかまいません。本文の内容の側には段落番号を添えます。自分の考えの側には、賛成、疑問、条件、思いついた例などを記します。左右に分ける目的は、見栄えを整えることではなく、誰が述べた内容なのかを戻って確かめられるようにすることです。
最初の2分は、読む問いを決める時間にします。課題文があるなら、求められている動作を確かめます。「説明する」なら本文の関係を示し、「意見を述べる」なら本文を踏まえて自分の判断を示します。自主練習なら、「筆者の提案を実行するとき、何に気をつけるべきか」のように、自分が答えたい問いを紙の上に書いてください。
問いは広すぎないものにします。「社会についてどう思うか」では、何を拾えばよいか決まりません。「この提案は、初めてその場所を利用する人にも使いやすいか」なら、読む視点を置けます。問いを作れない日は、本文の題名から気になる言葉を選び、「筆者はこれをなぜ必要だと考えるのか」と置いて始めましょう。
次の5分ほどで、本文を一度通して読みます。この段階で、すべての段落を丁寧にまとめようとしなくてかまいません。筆者が扱う問題、最終的に勧める考え、その理由に印を付けます。途中で反対の立場が出てきたら、筆者自身の主張なのか、他の考えを紹介しているのかを区別してください。
接続語は手がかりになりますが、接続語だけで役割を決めないようにします。「しかし」の後に筆者の結論がある場合も、別の人の意見への説明が続く場合もあります。その前後を読んで、何と何を比べているのかを確かめます。印を付けた理由を口に出して言えなければ、線を増やす前にその部分を読み返します。
続く4分で、本文の内容の側に「主張」「理由」「条件」を短く書きます。主張は筆者が読者に認めてほしい考えです。理由は、それを認める支えです。条件は、いつ、誰に、どの範囲で当てはまるかを示します。条件が明示されていない場合は、無理に埋めず、本文からどこまで言えるかを見てください。
練習用に、次の短文で考えてみましょう。「地域の広場では、利用できる時間帯を入口に示すとよい。初めて来た人も利用できる時間を確かめやすくなるからだ。ただし、催しで変更がある日は、その案内も必要になる。」ここでの主張は時間帯を示すこと、理由は初めて来た人の確かめやすさ、条件に関わる内容は変更日の案内です。
この短文を「筆者は掲示を増やせば問題が解決すると考えている」とまとめると、話を大きくしすぎています。「利用できる時間帯を入口に示し、変更も知らせるとよいと考えている」なら、元の範囲を保てます。自分の言葉で書くとは、好きな意味に置き換えることではありません。言い方を変えても、主張の向きと範囲は残します。
次の3分で、自分の考えの側を埋めます。本文から納得できる点を選び、「なぜ納得できるか」を続けます。その後に疑問や追加したい条件を書きます。先ほどの短文なら、「入口に表示があると確かめやすい。ただし、表示されている言葉を読めない人には別の伝え方も必要だ」と考えられます。これは筆者の発言ではなく、自分から加える検討です。
判断を急ぐ前に、メモの中の強い言葉を点検する方法もあります。「必ず」「すべて」「誰でも」と書いた箇所があれば、本文もそこまで述べているかを確認します。逆に、本文がはっきり提案しているのに「少し関係がありそうだ」と弱めすぎていないかも見ます。元の文章と自分のメモを交互に読み、条件や言い切りの強さが変わったところを直してください。
自分の経験を使う場合は、本文の主張とどうつながるかを先に書きます。「私も広場に行ったことがある」だけでは、理由を支える働きがありません。「入口で利用時間を探した経験があるため、案内の場所が重要だと考える」なら関係が見えます。ただし、自分の経験だけで、すべての利用者に同じことが当てはまると広げないようにします。
ここで、採用しない材料も選びます。本文のおもしろい例でも、最初の問いに答えるために使わないなら、今回は外します。消してしまうのが気になる場合は、横に小さく「今回は使わない」と添えて残してください。材料を減らすことも、書くための読書の一部です。
最後の5分で、短い答えを書きます。まず筆者の主張を条件付きで示し、次に自分の判断と理由を続け、必要なら追加の条件で締めます。これは練習の順番であり、いつも同じ書き出しにする決まりではありません。最初の問いに答えやすい順番になっているかを見ながら、文の位置を変えてかまいません。
書いた後の確認は、まず問いとの対応です。問いの中で尋ねられている言葉と、自分の結論に線を引いてください。「何に気をつけるべきか」と問うたのに、「私は賛成だ」で終わっていたら、気をつける点を補います。内容が間違っていなくても、問いへの答えが欠けている場合があります。
次は出どころの確認です。本文について書いた文を、段落番号を手がかりに元の箇所へ戻してみます。戻れる箇所が見つからなければ、自分の推測が混ざっていないかを調べます。引用するなら言葉を正確に保ち、言い換えるなら意味の範囲を守ります。本文の説明と自分の意見の境目も、読み手に伝わる形に直してください。
もう1つは、理由の確認です。自分の結論に「なぜなら」をつないで読んでみます。「必要だから必要だ」のように同じ内容を繰り返していたら、誰にどんな違いが生じるのかを書き足します。余裕があれば、「この理由でも結論に納得できない人は何を尋ねるか」と考え、答えられる範囲で説明を補います。
時間が足りなかった日は、続きを急いで埋める必要はありません。「理由を拾う途中」「自分の判断を決める前」と、止まった作業を書き残します。次回はそこから始めます。慣れてきたら、同じ本文に別の問いを置き、選ぶ材料がどう変わるかも比べてください。教材を増やさなくても、読む目的と材料の関係を確かめられます。

個別指導では、読んだ跡と書いた跡を並べる
個別指導でまず見たいのは、完成した答案だけではありません。本文のどこに印を付け、何をメモに残し、どの材料を使わなかったかを並べると、書けなくなった位置を探せます。答案が短い場合も、本文を理解するところで止まったのか、理解した内容を自分の判断につなぐところで止まったのかで、必要な支援が変わります。
たとえば、主張は言えるのに理由を尋ねると具体例だけを挙げる場合は、例と理由を結びつける読みを扱います。「その例があると、筆者の考えをなぜ認めやすくなるのか」と問い、本文の説明へ戻ります。指導する側が理由を完成させて渡す前に、お子さまがどこまで関係をつかんでいるかを確かめます。
反対に、本文については説明できるのに自分の意見が止まる場合は、読み直す量を増やすだけでは進みにくいことがあります。誰の立場から考えるか、どの場面なら困るか、どんな条件を足すかを絞ります。「どう思う」と広く尋ねる代わりに、「初めて使う人の立場でも同じ提案でよいか」と、判断できる幅に問いを調整します。
授業では、問いを作る難しさと、文章を読む難しさを同時に高くしすぎないようにします。読み慣れない内容なら、初めは指導する側が問いを用意します。問いを自分で作る練習の日には、すでに内容を理解した本文を使えます。何を練習している時間かをはっきりさせることで、つまずきの原因も見つけやすくなります。
言葉や背景となる内容の説明も、塾が引き受ける範囲です。知らない概念が主張の中心にある場合、印の付け方を教えるだけでは先へ進めません。必要な意味を説明し、本文中ではどの意味で使われているかを一緒に確かめます。そのうえで、お子さま自身が主張を言い換えられるかを見て、説明を聞いた時間と自分で使えた場面を区別します。
助け方は少しずつ変えます。最初は「理由がある段落を探そう」と声をかけ、次は「今、何を探しているところですか」と尋ねます。やがて、紙に書いた問いを見て自分で本文へ戻れるかを確かめます。手助けを減らした途端に止まったら、すぐに能力の問題とせず、どの手がかりをまだ必要としているかを調べます。
進み具合は、線の数や書いた量だけで判断しません。読む前に問いを置けたか、主張と理由を分けられたか、段落番号を使って根拠へ戻れたか、自分の判断に理由を付けられたかを記録します。「できた」という印だけでなく、「声かけがあればできた」「自分で確かめ直した」と、支援の有無を短く添えます。
直した後は、最初のメモも残します。条件を落としたメモと、条件を補った答えを並べ、「どの言葉を戻したら意味が合ったか」をお子さまに説明してもらいます。正しい答えだけを保存すると、修正のきっかけが見えなくなるからです。次の本文で同じ見落としがあったとき、自分の過去の修正が確かめ方の手本になります。
記録を比べるときは、同じ文章を覚えて答えられたのか、別の文章でも同じ読み方を使えたのかも分けます。慣れた本文でうまく書けた後に、内容の異なる短い論説文を使い、問いから材料を選ぶところを見ます。難しさが変わるため単純な優劣にはせず、どの作業を自分で進められたかを次の練習に生かします。
家庭への連絡は、「今日の問い」「本文から選べた材料」「次に自分で試すこと」の順にすると、学習の中身を共有しやすくなります。たとえば、「提案を実行するときの注意点を考えました。理由は選べましたが、条件を落としていたため、次回は条件を残して言い換えます」と伝えます。抽象的な「読解力を強化します」より、何を確かめるかが具体的になります。
保護者の方には、文章の正しさをすべて判定していただく必要はありません。練習する場所と短い時間を用意し、終わったら「今日は何を確かめるために読んだの」と聞いていただければ、問いを思い出すきっかけになります。答えに迷った場合は、そのまま塾へ持ち帰れるよう、困った箇所を残してください。
お子さまの意見が保護者の方と違っても、すぐに結論を入れ替えず、「その理由は本文のどこから考えたの」と尋ねてみてください。本文にない考えでも、自分の判断として筋道を説明できるかが確認点になります。家庭では意見の一致を目指さず、考えの出どころを言葉にする機会を作ります。
塾側は、その記録を受けて課題の量と難しさを調整します。家庭で毎回長く止まるなら、本文を短くする、問いを用意する、主張と理由だけを拾うなど、持ち帰る作業を絞ります。家庭の負担を増やして埋めるのではなく、授業で扱う部分と一人で確かめる部分の分担を見直します。
読む量や線の引き方についての疑問
Q. 書く力を付けるには、とにかく読書量を増やすべきですか。
読む楽しみや幅を広げることは大事ですが、書く課題で困っているときには、読んだ内容をどう使うかも練習したいところです。読み終えた文章について、筆者の主張を短く示し、それに対する自分の判断を理由付きで書いてみましょう。長い本を読み切ることと、問いに必要な材料を選ぶことでは、確かめたい作業が違います。まず短い文章で読みから書きへのつながりを作り、その後に扱う内容を広げられます。好きな読書のすべてに作文を課す必要はありません。
Q. 大事なところには、たくさん線を引いたほうがよいですか。
線は、後から使う箇所を見つけるための目印です。ほぼ全体に引くと、戻る場所を選びにくくなります。まず読む問いを紙に置き、答えに関係する部分へ印を付けてください。すでにたくさん引いた場合は消し直すより、使う箇所の脇に「主張」「理由」「条件」と役割を書いてみましょう。その印を見て短い答えが作れるかを確かめます。色を増やすことより、なぜその部分を選んだかを説明できることを目安にします。
Q. 筆者に反対できないと、自分の意見になりませんか。
賛成でも自分の意見になります。ただし、「筆者と同じです」だけでは、自分が何を考えたかが読み手に伝わりにくくなります。主張のどこを認め、なぜ認めるのかを添えてください。そのうえで、実行するときの条件や、別の立場から見た注意点を考えると、判断の中身が具体的になります。無理に反対を作ると、筆者の述べていない主張を批判してしまうこともあります。賛否の違いを探す前に、本文を正確に受け取り、自分の理由を持てているかを確かめましょう。
読んだ文章を、自分の答えの材料にする
次に論説文を開くときは、最初の行を読む前に、小さな問いを書いてみてください。読み終えたら、本文の内容と自分の考えを分け、選んだ材料から短い答えを作ります。うまく書けなければ、問い、材料、判断のどこで止まったかを残します。その跡が、次に必要な練習を教えてくれます。
読んだ文章のすべてを覚えている必要はありません。自分の答えに必要な箇所へ戻り、意味を確かめ、判断に結びつける経験を重ねましょう。お子さまが持ってきた本文の小さな印や、使わずに残したメモにも、指導の手がかりがあります。その印を頼りに本文へ戻り、自分の判断とのつながりをたどり直すうちに、読み終えた論説文を新しい問いへの材料として使いこなせるようになります。
参考文献
- Okkinga et al.(2018). Educational Psychology Review. 読解方略指導に関する52研究のメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/81b7a1f8036b500b80d5a77949a3600b/
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。


