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境山野緑地と独歩の森—駅から歩ける雑木林の歩き方|武蔵野個別指導塾

学習のイメージ写真 武蔵野個別指導塾
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境4丁目の約1haの雑木林は、南が古い独歩の森、北が若返った二小ゾーン。木を切って森を若くした跡に来たチョウやバッタを探す歩き方を、子どもの自由研究の目でまとめています。

名前 あるところ 駅からの道順 こんな日に
境山野緑地の南側(独歩の森) 武蔵野市境4丁目 北口から北へ、玉川上水の手前の住宅地 古い雑木林の木陰を静かに歩きたい時
境山野緑地の北側(二小ゾーンのある林) 武蔵野市境4丁目 同じ緑地の北半分 若返った林でチョウや鳥を探したい時
境山野公園 武蔵野市境4丁目 緑地の南側にとなり合う 小さな子が遊具で体を動かしたい時

確かめた月: 2026年11月

よくあるのは、夏休みに入って一週間、自由研究の題がまだ白紙のまま、という場面です。朝の涼しいうちに親子で北口を出て、住宅街の角をいくつか曲がると、急に空気が湿って、蝉の声が厚くなる。足元に落ちた去年のドングリを拾った子が「これ、なんの木」と聞く。題はたいてい、その一言から始まります。境山野緑地は、その一言を拾いに行く場所です。

一つの緑地に、年齢の違う二つの林がある

境山野緑地は、武蔵野市の公式の施設案内では所在地が境4丁目5番、面積は約9,192平方メートルとされています。おおよそ1ヘクタール、サッカーのコートより一回り大きいくらいの林が、住宅地の中にそのまま残っています。市の案内に載る主な施設は防災施設と防災スツールで、遊具や売店のある公園ではありません。ここは「林そのもの」を見に行く場所だと、最初に頭を切り替えておくと迷いません。

おもしろいのは、同じ緑地の中に、生まれた時期のまったく違う林が並んでいることです。市のサイトに載る市民団体「武蔵野の森を育てる会」とNPO法人市民まちづくり会議・むさしのの報告(2025年8月の資料)によると、南側の半分は江戸時代から続く雑木林で、地域では「独歩の森」と呼ばれてきました。北側の半分は、都立武蔵野青年の家の跡地です。その中に、育てる会と市立第二小学校の子どもたちが木を植えて育てた「二小ゾーン」と呼ばれる林があります。図1のように、南は古い林、北は若い林と覚えておくと、歩きながら違いが見えてきます。

図1 境山野緑地の南の独歩の森と北の二小ゾーンの略図

境山野緑地の南側(独歩の森)

名前の由来は、明治の作家国木田独歩の作品『武蔵野』にゆかりがあることです。独歩の話は教科書や文学の本に任せて、ここでは今の林の姿を見ます。

報告によると、武蔵野の雑木林は、もともとコナラやクヌギなどのドングリの木を人が植え、10年から20年ごとに切って、薪や炭、落ち葉からつくる腐葉土に使ってきた林です。切り株から新しい芽が出て、また林に戻る。この繰り返しを「萌芽更新」と呼びます。図2のように、切る、芽が出る、育つ、また切る、という輪で林は若さを保っていました。ところが燃料を使わなくなると、誰も切らなくなり、林は背の高い老いた木ばかりになります。独歩の森も、そうして全体が高くなっていました。

図2 切り株から芽が出て林に戻る萌芽更新の輪

さらに2020年の夏から2021年の秋にかけて、高く太くなったコナラが「ナラ枯れ」に襲われたと報告は書いています。カシノナガキクイムシという小さな甲虫が太い幹に大量に入りこみ、木を枯らす現象です。2022年の2月から3月に、被害のあった木を中心に一部を切り、その跡に市民70人ほどが、独歩の森で採れたコナラとクヌギのドングリをまきました。報告の写真では、その若木が2025年8月に2メートルを超えています。

子ども連れで歩くなら、南側では「高い木の下」と「切ったあとの明るい場所」の二つを見比べてください。高い木の下は地面が暗く、落ち葉が厚く積もっています。明るい場所は草が伸び、若い木の葉の高さが子どもの目に近い。同じ林の中で、光の量が変わると何が変わるのか。それを自分の目で比べられるのが、この南側のいちばんの値打ちです。中学生なら、理科で習う「光合成」と「植物の育ち方」を、教科書の図ではなく地面の明るさで考え直せます。

行く前に知っておきたいのは、ここが守るための林だということです。伐採や植え付けをした区域、手入れの作業をしている区域には、入れない時期があります。道から外れず、ロープの内側に入らない。拾うのは地面に落ちたドングリや葉までにして、枝を折ったり草を抜いたりしない。この三つを、入る前に子どもと約束しておくと安心です。

境山野緑地の北側(二小ゾーンのある林)

北側は、青年の家の跡地に植えた林です。報告によると、2019年2月に市と育てる会が協力して、高くなった二小ゾーンの木をいったん全部切り、萌芽更新を試しました。結果は「見事に再生しました」と報告は書いています。

この北側で見てほしいのは生き物です。育てる会は毎月決まった調査を続けていて、チョウの種類は二小ゾーンを切った2019年と翌2020年に大きく増え、バッタの種類は独歩の森の一部を切った翌年の2023年に大きく増えたとされています。木を切ると生き物が減る、と考える子は多いはずです。ここでは逆のことが、数で記録されています。

報告が「新たに訪れた」生き物として写真で挙げているのは、たとえば次のような顔ぶれです。鳥ではモズ、アオジ、ハクセキレイ。チョウではモンキチョウ、ヒメアカタテハ、ゴマダラチョウ。バッタではショウリョウバッタモドキ、ヒナバッタ。トンボではハグロトンボ、コオニヤンマ、ギンヤンマ。甲虫ではトラフカミキリ、キスジトラカミキリ。さらに、若い雑木林で暮らすシジミチョウの仲間「ゼフィルス」として、ミズイロオナガシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミが写っています。報告はゼフィルスが来たことを、木を若返らせた大きな成果としています。

小学生の自由研究にするなら、この名前の一覧をそのまま持って行き、「見つけたら印をつける」だけでも立派な記録になります。中高生なら一歩進めて、同じ場所に月に一度通い、見つけた種類の数を表にしてみてください。育てる会が何年もかけて続けている調べ方を、小さな形でなぞることになります。ただし、虫を捕まえて持ち帰ることはしないでください。写真と、時刻と、場所のメモで十分です。

記録の表は、横に「日付・時刻・天気・南か北か・見つけた生き物・どこにいたか(地面、草、幹、空)」の欄を作るだけで足ります。南と北を同じ日に歩き、同じ時間ずつ探して、見つかった数を並べる。これだけで、古い林と若い林の違いを自分の数字で語れるようになります。数が少なくても気にしなくてかまいません。何も見つからなかった日も一行として残すことが、記録を研究に変えます。

境山野公園

境山野公園は、市の施設案内で所在地が境4丁目6番、面積は約3,147平方メートルとされています。2026年の紹介記事では、緑地の南側にある、子ども用の遊具のある広場と書かれています。

林だけだと、小さな子はすぐに飽きます。そこで公園と林を組み合わせます。先に公園で体を動かしてから林に入ると、子どもは林の中で落ち着いて足元を見てくれます。逆に、林で虫を探したあとに公園で休む順番もあります。どちらがいいかは子どもの年齢で決めてください。未就学の子なら公園が先、小学校の中学年より上なら林が先が組みやすいはずです。

緑地の中には売店も自動販売機もない、と2026年の紹介記事は書いています。同じ記事は、北側の入口のあたりに水飲み場があるとしています。飲み物は駅の近くで用意してから向かってください。

歩き方・回り方

組み立ての基本は「駅の北口から北へ向かい、公園、南の林、北の林の順に奥へ進む」です。図3のように、駅から近い側から順に回ると、引き返す道が短くて済みます。緑地は玉川上水の手前にあるので、上水の流れに出たら行き過ぎです。そこで向きを変えれば迷いません。

図3 北口から公園と南の林と北の林を回る順の流れ

時間は、林の中で過ごす分を先に決めます。自由研究の下見なら林の中は30分、本番の観察なら1時間。そこに駅からの往復を足します。小さな子がいる家族は、公園で20分を別に取っておくと、林に入ってから「帰りたい」が出にくくなります。朝の9時ごろに駅を出れば、昼前には駅へ戻れる計画が立てられます。

歩くときの並び方も決めておきましょう。林の中の道は広くありません。大人が先頭を歩くと、子どもは足元を見ずについてきます。子どもを先に歩かせ、大人は後ろから「あそこ、何か動いた」と声をかける。見つける役を子どもに渡すと、同じ30分でも見つかる数が変わります。

雨の日は林に入らないほうが無難です。落ち葉の積もった土の道はぬかるみ、根の上で足が滑ります。雨の日の代わりには、駅前の図書館などで、今日見るはずだった生き物を図鑑で先に調べておく時間にしてください。名前と形を知っている生き物は、林の中で目に飛びこんできます。雨の日を準備の日、晴れた次の休みを本番の日と分けておけば、予定が流れても自由研究は止まりません。雨の翌日は道がまだ乾いていないことがあるので、靴は汚れてもよいものにします。

季節と時間帯で変わること

春は芽の季節です。冬のあいだに切った場所があれば、切り株から細い芽が何本も立ち上がるのが見られます。萌芽更新という言葉を、いちばん目で確かめやすいのがこの時期です。新しい葉が出そろうまでは林の中も明るく、地面の草花にも目が届きます。

夏は生き物の季節です。報告に名前の出るトンボやバッタ、チョウの多くは、この時期に姿が見つけやすくなります。自由研究にするなら夏休みの前半、気温の上がりきらない朝に行くのが向いています。林の中は日なたより涼しく感じられますが、蚊や蜂もいます。長袖、長ズボン、虫よけを用意してください。蜂を見かけたら、手で払わず、静かにその場を離れることを先に教えておきます。

秋はドングリの季節です。コナラとクヌギの実の形を比べるだけで、一つの観察になります。クヌギは丸く大きく、コナラは細長い。拾ったドングリを家で並べて、帽子の形まで描き分けると、低学年でも立派な記録になります。

冬は林の骨組みが見える季節です。葉が落ちると、高い木と若い木の背の違いがはっきりわかります。南の古い林と北の若い林を見比べるなら、実は冬がいちばんです。育てる会の報告にある伐採も、2月から3月に行われています。木を切るのはなぜ冬なのか、それを考えるのも中学生には良い問いになります。

時間帯では、朝のほうが鳥の声が多く、夕方は林の中が早く暗くなります。住宅地の中の林なので、夕方遅くに子どもだけで入ることはすすめません。

行く前に確かめること

出かける前に、次の項目を確かめてください。

もう一つ、林の手入れに関心が出てきた子には、武蔵野の森を育てる会のような市民団体が市と協力して森の世話をしていることを伝えてください。活動の日程や参加の方法は、団体の案内や市の担当課で確かめるのが確実です。見るだけの林が、手を入れる林に変わると、子どもの見る目もまた変わります。

教室の窓から

教室は武蔵境駅から徒歩30秒の駅前にあり、まわりにあるのは線路と人の流れです。それでも、駅から歩いて行ける距離に、木を切ることで生き物を増やしている林があるというのは、この街の大きな財産だと思います。

勉強で行き詰まった子に、教科書の外に一つ問いを持たせたいとき、境山野緑地の話をします。木を切ると生き物が増えるのはなぜか。答えは図鑑ではなく、明るくなった地面にあります。机の前で30分悩むより、林で30分立ち止まるほうが、問いの立て方は身につきます。

まとめ

南の古い林と北の若い林を、同じ日に同じ足で歩いて比べられる。ドングリを一つ拾って、なぜここに落ちているのかを考えた日から、境山野緑地はただの近所の林ではなくなります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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