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【生物】神経系と興奮の伝導を図解で総まとめ—静止電位 活動電位・伝導と伝達・シナプス・中枢神経|武蔵野個別指導塾

活動電位のグラフとシナプスの図から、イオンの移動と情報の向きを読み取ります。全か無かの法則、伝導速度の計算、脳と脊髄の役割、反射の経路まで例題で確かめられます。
よくあるのは、修学旅行前の教室でしおりを閉じ、生物のノートを見直していると、「興奮は電気の変化なのに、なぜ次の細胞へ進むところで化学物質が必要なのか」と手が止まる場面です。活動電位のグラフ、ニューロンの絵、脳の各部の名前を別々に覚えていると、どれも神経の話だとはわかっていても、1本の情報の流れとして結びつきません。
この単元では、まず「1個の細胞の膜で起こること」と「細胞と細胞の間で起こること」を分けます。そのうえで、刺激を受けてから筋肉などが反応するまでの経路をつなぎます。膜の内外、イオンが動く向き、情報が進む向きという3つの位置関係を押さえると、用語の穴埋めだけでなく、グラフや実験の読み取りにも理由を添えて答えられます。手を引っ込める反射を「脳を使わない反応」とだけ覚えるのではなく、どこで反応の指令がまとまり、どこへ感覚の情報が届くかまで追っていきましょう。
この単元で身につけること
- ニューロンの構造を情報の流れと結びつけます。樹状突起、細胞体、軸索、軸索末端を区別し、髄鞘が軸索の周囲にあることを図で説明します。
- 静止電位と活動電位を膜の内外の電位差として読みます。Na⁺とK⁺の濃度差だけでなく、どのイオンを通すチャネルが開くかにも注目します。
- 全か無かの法則と刺激の強さを区別します。1回の活動電位の大きさと、一定時間に生じる活動電位の回数を同じものとして扱わないようにします。
- 伝導と伝達を使い分けます。同じニューロンの軸索に沿う移動と、シナプスを介して次の細胞に情報が渡る過程を、異なるしくみとして説明します。
- 脳と脊髄の役割から反射の経路をたどります。受容器から効果器までを矢印で結び、感覚の成立と反射による運動の違いを整理します。
生物基礎で学んだ体内環境の調節と、生体膜で学んだ選択的な物質の出入りが、この単元の土台になります。用語を覚えるときは、「何という名前か」に加えて「どこにあり、何を受け取り、何を起こすか」まで短く言えることを目標にします。
基本の考え方
ニューロンの形と情報の通り道
ニューロンは、神経系を構成し、情報を受け取ってほかの細胞へ送る神経細胞です。核などを含む細胞体、枝分かれして情報を受け取る樹状突起、情報を遠くへ送る長い突起である軸索をもちます。一般的なニューロンでは、樹状突起や細胞体で受け取った情報によって軸索の始まり付近に興奮が生じ、軸索末端へ向かって伝わります。ただし、すべてのニューロンが同じ形をしているわけではなく、感覚ニューロンには異なる形のものもあります。
神経の情報として扱う興奮とは、細胞膜の電気的な状態が変化することです。気持ちが高ぶるという日常語の意味とは区別します。また、1本の軸索と、目で見える太さの神経とは同じものではありません。末梢の神経には多数の神経繊維が束になって含まれており、1個の細胞で起こる現象を、束全体で測った結果へそのまま当てはめない注意が必要です。

図1では、左に樹状突起と細胞体、右に長く伸びる軸索を示しています。軸索を包む髄鞘は、周囲のグリア細胞によってつくられる構造です。グリア細胞はニューロンを支える細胞の総称で、髄鞘をつくるもの以外にも役割の異なるものがあります。髄鞘のある神経繊維を有髄神経繊維といい、髄鞘の切れ目をランビエ絞輪といいます。図では絞輪を見やすくするために間隔を広げており、実物の縮尺を表しているわけではありません。
髄鞘は電流が膜を横切って漏れるのを抑えます。有髄神経繊維では、膜電位の変化が髄鞘に覆われた区間を先へ広がり、主にランビエ絞輪で活動電位が生じます。このように活動電位の生じる場所が絞輪から次の絞輪へ移る伝わり方が跳躍伝導です。イオンが髄鞘の外を飛び越えるのではありません。無髄神経繊維では隣り合う膜の部分で次々に活動電位が生じます。一般に、髄鞘があることや軸索が太いことは、速い伝導につながります。
静止電位から活動電位へ
膜電位とは、細胞膜を隔てた内側と外側の電位差です。通常は外側を基準にして内側の電位を表します。興奮していないときの膜電位を静止電位といい、ニューロンでは内側が外側より負になっています。たとえば−70 mVと示されていれば、外側を0 mVとしたとき内側が70 mV低いという意味です。mVはVの1000分の1を表します。静止電位の値は細胞の種類や条件によって異なるので、問題で値が与えられたらその値を使います。
細胞の外側にはNa⁺が多く、内側にはK⁺が多いという濃度差があります。ナトリウムポンプはATPのエネルギーを使い、Na⁺を外へ、K⁺を内へ運んでこの差を維持します。一方、静止時の膜はNa⁺よりK⁺を通しやすいため、K⁺が外へ移動しやすく、内側が負になることに大きく関わります。負になった内側はK⁺を引き戻す向きにもはたらくため、K⁺が無制限に流れ出すわけではありません。濃度差と電気的な力の両方が関係して静止電位が成り立ちます。
刺激によって膜電位が静止時より負でなくなる変化を脱分極といいます。脱分極が一定の水準である閾値に達すると、膜電位の変化で開くNa⁺チャネルが多数開き、Na⁺が細胞内へ流入します。その結果、膜電位が急速に上がり、一時的に内側が正になることもあります。続いてNa⁺チャネルが不活性化してNa⁺の流入が抑えられ、遅れて開くK⁺チャネルを通じてK⁺が外へ流出することで、膜電位は負の方向へ戻ります。この戻る変化を再分極といいます。
こうした短時間の急激な膜電位の変化が活動電位です。再分極のあとにはK⁺チャネルがすぐには閉じないため、静止電位よりも一時的に負になることがあります。これを過分極といいます。活動電位が起きてからしばらくは、Na⁺チャネルの状態などのために、次の活動電位を起こせない、または起こしにくい時期があります。この時期が不応期です。活動電位の下降を「ポンプが直ちにすべてのイオンを元へ戻すため」と説明せず、まずK⁺の流出とチャネルの状態を押さえましょう。
神経系の全体と脳・脊髄
脳と脊髄を合わせて中枢神経系といい、体の各部と中枢神経系を結ぶ神経を末梢神経系といいます。脊髄は脊椎の中を通る神経組織であり、周囲の骨である脊椎そのものではありません。体の変化を受け取る受容器から中枢へ情報を送るのが感覚ニューロン、中枢から筋肉などへ指令を送るのが運動ニューロンです。中枢では、両者などをつなぐ介在ニューロンが情報の処理に関わります。指令を受けて反応を実行する筋肉や腺などを効果器といいます。
脳の各部は、それぞれ単独で完結するのではなく、連絡しながらはたらきます。大脳は感覚の認識、随意運動、記憶や思考などに関わり、小脳は運動の調節や姿勢・平衡の維持に関わります。間脳の視床下部は自律神経系や内分泌系を介した体内環境の調節に関わります。中脳は眼球運動や瞳孔の反射などに、延髄は呼吸や心臓のはたらきの調節などに関わります。中脳・橋・延髄を合わせた部分を脳幹といいます。名称だけを並べるより、「意識的な判断」「運動の調節」「生命維持の調節」という機能を手がかりに位置づけると整理できます。
末梢神経系をはたらきから整理すると、感覚の情報を伝え、骨格筋の運動に関わる体性神経系と、内臓などの調節に関わる自律神経系に分けられます。自律神経系には交感神経と副交感神経があり、意識して命令しなくても体の状態を調節します。ただし、体性神経系の反応がすべて意識的というわけではありません。骨格筋が動く反射もあるため、「意識しない反応だから自律神経」とは判断できません。
例題で解き方を確かめる
例題1 活動電位のグラフを読む
ある軸索の一点で測定した膜電位が、図2のように変化しました。この図での静止電位は−70 mV、閾値は−55 mV、活動電位の頂点は+30 mVです。静止電位から閾値までの上昇幅と、静止電位から頂点までの上昇幅を求めましょう。また、急な上昇と下降に主に関わるイオンの移動を答えましょう。数値と時間経過は、この問題の読み取り用に設定した模式的な値です。

- 縦軸と横軸を確認します。縦軸は外側を基準とした内側の膜電位、横軸は時間です。同じ一点での時間変化なので、右側ほど軸索の先端に近いという読み方はしません。
- 上昇後の値から上昇前の値を引きます。静止電位から閾値までは、−55−(−70)=15 mVです。負の値どうしでも、−55 mVのほうが高い電位であることを数直線の関係で確かめます。
- 頂点についても同じ基準を使います。30−(−70)=100 mVなので、頂点の値+30 mVと、静止電位からの上昇幅100 mVは異なります。0 mVから測るのか静止電位から測るのかで答えが変わるためです。
- グラフの向きとイオンの移動を対応させます。急な上昇は主にNa⁺の流入、下降は主にK⁺の流出と対応します。下降中に膜電位が正である部分でも、値が下がっているなら再分極の途中です。
答え:閾値まで15 mV、頂点まで100 mV。上昇は主にNa⁺の流入、下降は主にK⁺の流出です。
図2の下向きの谷は過分極を示しています。頂点や谷の値をすべてのニューロンに共通する定数として覚える必要はありません。グラフ上の値を使う計算と、イオンの移動に基づくしくみの説明を分けて練習すると、別の値が示された問題にも対応できます。
例題2 全か無かの法則を使う
同じ1本の軸索に、十分な時間間隔を空けて刺激A、B、Cを別々に加えました。刺激Aでは膜電位が閾値に達せず、Bでは閾値に達し、CではBより強い刺激を与えました。ほかの条件は同じで、それぞれ1回の活動電位が生じるかどうかと、その大きさを比べます。A、B、Cの結果を説明しましょう。
- 活動電位が発生する条件を先に見ます。Aは閾値に達しないため、活動電位は発生しません。刺激による小さな膜電位の変化があっても、それを活動電位と同一視しないためです。
- BとCについて、刺激の強さと活動電位の大きさを分けます。同じ軸索の同じ条件では、閾値に達すればほぼ一定の大きさの活動電位が発生します。これが全か無かの法則です。
- 問われている測定対象を確認します。ここでは1本の軸索の1回の活動電位を比べています。多数の神経繊維をまとめて測定した信号の大きさを比べる問題ではないため、Cで活動電位が高くなるとは答えません。
答え:Aでは活動電位は発生せず、BとCではほぼ同じ大きさの活動電位が発生します。
強い刺激の情報が伝えられないわけではありません。持続する刺激に対しては、一般に一定時間内の活動電位の回数、つまり発生頻度が変化します。また、刺激の強さによって活動する感覚ニューロンの数が増える場合もあります。1回の波の高さ、波の回数、活動する細胞の数という3つの量を分けると、全か無かの法則と強弱の感覚が両立することを説明できます。
例題3 2点の記録から伝導速度を求める
軸索に沿った記録点PとQの間隔は0.12 mです。同じ刺激で生じた興奮が、Pでは刺激から2.0 ms後、Qでは5.0 ms後に記録されました。興奮はPからQへ同じ速さで進み、この区間にシナプスはないものとします。PとQの間の伝導速度を有効数字2桁で求めましょう。
- どの距離に対する時間なのかをそろえます。0.12 mはPとQの間の距離なので、使う時間は5.0−2.0=3.0 msです。刺激からQまでの5.0 msには、Pへ届くまでの時間も含まれるため、そのまま割ることはできません。
- 単位をそろえます。1 ms=0.001 sなので、3.0 ms=0.0030 sです。距離をmで使うとき、時間をsに直せば速度の単位はm/sになります。
- 距離を時間で割ります。0.12 m÷0.0030 s=40 m/sです。与えられた距離と時間差に合わせ、有効数字2桁で4.0×10¹ m/sと表します。
答え:伝導速度は4.0×10¹ m/sです。
この計算では、刺激の時刻から測った2つの時間の差を使うことで、Pに届く前の共通の時間を除いています。もしPとQの間にシナプスがあれば、伝達にかかる時間も含まれ、単純に軸索だけの伝導速度とは呼べなくなります。計算式を選ぶ前に、図や条件から記録点の間に何があるかを確かめることが必要です。
例題4 反射と感覚の経路を分ける
手に痛みを生じさせる刺激が加わったとき、手を引っ込める反射について考えます。経路を単純化して、受容器→感覚ニューロン→脊髄の介在ニューロン→運動ニューロン→筋肉とします。この反射で中枢としてはたらく場所を答え、「痛みを意識してからでなければ手は動かない」という説明が適切かどうかを判断しましょう。
- 反射の意味を確認します。反射は、特定の刺激に対して意識的な判断を経ずに起こる一定の反応です。この問題では、提示された経路のどこで感覚側の情報が運動側へつながるかを探します。
- 中枢の位置を特定します。経路では脊髄の介在ニューロンが感覚ニューロンと運動ニューロンをつないでいるので、この反射の中枢は脊髄です。脊髄が単なる通過点ではないことを確認できます。
- 反射の経路と感覚を意識する経路を区別します。感覚の情報は脳にも送られますが、この反射を起こすために大脳での意識的な判断を待つ必要はありません。「脳に情報が届かない」という意味ではない点が判断の理由です。
答え:中枢は脊髄であり、「痛みを意識してからでなければ手は動かない」という説明は不適切です。
受容器から効果器までの、反射に関わる情報の経路を反射弓といいます。この例には介在ニューロンを含めましたが、伸張反射の主な経路のように、感覚ニューロンと運動ニューロンが直接シナプスをつくるものもあります。また、反射の中枢がすべて脊髄にあるわけではなく、脳に中枢がある反射もあります。「反射」という語だけで場所やシナプスの数を決めず、示された反応と経路から判断しましょう。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 静止しているとイオンは動かない
誤った書き方は、「静止電位では、膜を通るイオンの移動が止まっている」です。どこが違うかというと、静止電位は膜電位が比較的安定している状態の名称であり、物質の移動が全面的に止まることを表していません。膜のチャネルを通る移動も、ポンプによる輸送も続いています。
正しい書き方は、「静止電位は、イオンの濃度差と膜のイオンの通しやすさなどによって保たれ、ポンプが濃度差の維持に関わる」です。K⁺は内側に多いから外へ広がろうとしますが、内側の負の電位はK⁺を内へ引く向きにはたらきます。濃度だけを見て移動を決めず、電位差も同時に考えると、静止電位が負で安定する理由につながります。
誤り2 興奮はシナプスのすき間をそのまま流れる
誤った書き方は、「活動電位が軸索末端からすき間を渡り、同じ形のまま次の細胞へ入る」です。どこが違うかというと、高校で基本として扱う化学シナプスでは、膜の電気的な変化をいったん神経伝達物質による信号に変えている点です。ニューロンなどの細胞どうしが情報を受け渡す接続部がシナプスで、その狭いすき間をシナプス間隙といいます。

図3の上側が情報を送る側の軸索末端、下側が受け取る側の細胞です。活動電位が軸索末端に到達すると、膜電位の変化で開くCa²⁺チャネルからCa²⁺が流入します。これをきっかけに、神経伝達物質を入れたシナプス小胞が膜と融合し、物質をシナプス間隙へ放出します。物質はすき間を拡散し、受け取る側の膜にある受容体と結合します。その結果、イオンの通りやすさが変化し、受け取る側の膜電位が変わります。
正しい書き方は、「化学シナプスでは、神経伝達物質の放出と受容体への結合を介して、次の細胞へ情報が伝達される」です。神経伝達物質にはアセチルコリンなどがありますが、伝達物質が結合すれば必ず次の細胞が活動電位を起こすわけではありません。次の細胞を脱分極させて興奮しやすくする作用もあれば、興奮を起こしにくくする作用もあります。複数の入力が組み合わされ、活動電位が生じる場所で閾値に達するかどうかが決まります。放出された物質は、分解や再取り込みなどによって除かれ、信号が続きっぱなしになるのを防ぎます。
誤り3 伝導も伝達も必ず同じ理由で一方向になる
誤った書き方は、「軸索には一方向にしか伝わらない性質があるため、シナプスでも一方向に伝わる」です。どこが違うかというと、同じニューロン内の伝導と、細胞間の伝達とで、方向が決まる理由が異なります。軸索の途中に実験的に刺激を加えると、その場所から両方向へ興奮が伝導しえます。進む先の膜が興奮できる状態であれば、それぞれの側で活動電位が次々に生じるためです。
正しい書き方は、「通常の興奮の伝導では、直前に興奮した部分の不応期が逆向きの進行を妨げ、化学シナプスでは送る側と受け取る側の構造の違いによって伝達の向きが決まる」です。図3では、送る側に小胞、受け取る側に受容体を分けて描いています。この配置のため、基本として扱う化学シナプスの伝達は一方向になります。ここでいう一方向性を、軸索のどこを刺激しても必ず末端側へしか進めないという規則に広げてはいけません。
伝導では、一部の膜が脱分極すると周辺との間に局所的な電流が生じ、隣の膜も脱分極して閾値に達します。隣で新しい活動電位が生じることが繰り返されるため、通常の軸索では活動電位の大きさが距離とともに弱まらずに伝わります。同じNa⁺が細胞体から末端まで走り抜けるわけではない、という点も一緒に押さえましょう。
練習問題
練習1 膜電位の基準をそろえる
外側を0 mVとして、静止電位が−65 mV、閾値が−50 mV、活動電位の頂点が+35 mVの細胞を考えます。静止電位から閾値までの上昇幅と、静止電位から頂点までの上昇幅を求めましょう。また、頂点付近で内側と外側のどちらが正の電位にあるかを答えましょう。
練習2 距離と時間差を対応させる
1本の軸索上の2点R、Sの間隔は0.18 mです。同じ興奮がRでは刺激の4.0 ms後、Sでは10.0 ms後に記録されました。この区間にシナプスはなく、興奮は一定の速さで進みます。RからSへの伝導速度を有効数字2桁で求め、刺激からSまでの10.0 msをそのまま使えない理由も答えましょう。
練習3 化学シナプスの順序を並べる
次の4つを、軸索末端へ活動電位が到達したあとの順序に並べましょう。アは神経伝達物質が受容体に結合する、イはCa²⁺が軸索末端へ流入する、ウは受け取る側の膜のイオンの通りやすさが変化する、エは小胞から神経伝達物質が放出される、です。さらに、この過程を「伝導」「伝達」のどちらで表すか答えましょう。
練習4 反射の経路と脳の役割を区別する
例題4の手を引っ込める反射について、「受容器→感覚ニューロン→脊髄の介在ニューロン→運動ニューロン→筋肉」の経路に沿って答えましょう。この経路でニューロンどうしのシナプスは何か所ありますか。また、脊髄が中枢であることから「感覚の情報は大脳へ届かない」と結論してよいでしょうか。最後に、運動の調節や姿勢・平衡の維持に関わる脳の部分を答えましょう。
答えと解説
練習1の答えは、閾値まで15 mV、頂点まで100 mV、頂点付近では内側が外側より正です。−50−(−65)=15、35−(−65)=100と計算します。外側を基準にした膜電位と、静止電位からの変化量を混ぜないことが要点です。
練習2の答えは、3.0×10¹ m/sです。RとSの間にかかった時間は10.0−4.0=6.0 ms=0.0060 sなので、0.18÷0.0060=30となります。10.0 msには刺激からRに届くまでの時間が含まれ、0.18 mという距離に対応しません。
練習3の答えは、イ→エ→ア→ウで、用語は「伝達」です。Ca²⁺の流入が放出のきっかけになり、放出された物質が受容体と結合して次の膜に作用します。順序を「電気的な変化→物質の放出→物質の受容→膜の変化」と読むと、軸索に沿う伝導との違いも説明できます。
練習4の答えは、2か所、「大脳へ届かない」とは結論できない、小脳です。感覚ニューロンと介在ニューロンの間、および介在ニューロンと運動ニューロンの間を数えます。運動ニューロンと筋肉の接続は、今回の「ニューロンどうし」という数え方には含めません。反射の運動経路が脊髄で成立することと、感覚の情報が脳へ送られることは両立します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
受容器の単元では、光や音などの刺激が神経へ伝わる情報に変わるところを学びます。筋収縮の単元では、運動ニューロンから届いた情報が筋肉の反応へつながるところを学びます。今回の神経系はその間を結ぶ経路なので、「入力を受ける」「中枢で処理する」「出力を送る」のどこを学んでいるのかを意識すると、各単元がつながります。
家庭では、5分を次の2つに分けて確かめられます。まず2分で膜を1本の線として描き、静止時に多いイオンを内外に書き、活動電位の上昇時のNa⁺と下降時のK⁺の移動に矢印を付けます。残り3分で反射弓を文字だけで描き、「ここは同じ細胞内なので伝導」「ここは細胞の境目なので伝達」と声に出します。熱い物や痛い刺激を使う必要はなく、紙の上だけで確かめられます。
個別指導でグラフの読み方が止まったときは、外側を0 mVとした数直線まで戻り、イオンの説明が止まったときは膜の内外と濃度差まで戻って確かめます。保護者の方がお子さまの説明を聞くなら、名称の暗唱を求めるより、「今の矢印はイオンの移動と情報の進行のどちらなのか」と尋ねると、理解している位置関係を確かめられます。
まとめ
神経系の説明で根拠になるのは、知っている名前の数だけではありません。グラフなら基準となる電位、イオンなら膜のどちら側か、経路なら細胞の境目というように、説明の対象を定めることで因果関係が見えてきます。初めて見る図でも、活動電位が生じる場所と、次の細胞へ情報を渡す場所を分けてたどれば、反応が起こるまでの道筋を自分の言葉で組み立てられます。神経の矢印は、膜の内外と細胞の境目を説明できて初めて、反応の理由になります。
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